2018/01/17

災害とアート

阪神淡路大震災から23年。

昨日1月16日、森美術館で行なわれた「カタストロフと美術のちから展」プレ・ディスカッション・シリーズ 第3回「阪神・淡路大震災から20余年:体験とその継承」を聴きに行きました。

3回目なんですね。2回目は行けなかったけど、1回目はいつあったんだ? と思ったら2016年の3月にあった「大惨事におけるアートの可能性」で、これには出ていたのでした。

今回の第一部は3人の方のプレゼンがありました。

甲南女子大学文学部メデイア表現学科教授 河﨑晃一氏
兵庫県立美術館学芸員 江上ゆか氏
アーティスト 平川恒太氏

河﨑氏は、震災当日、芦屋市立美術博物館の職員でした。自宅をある程度片付けたら、午前中には美術博物館に出勤し、被災した収蔵物の片付けに当たります。その後2月8日には文化庁から「文化財レスキュー隊」の打診があり、中山岩太写真スタジオ、大橋了介宅から資料搬出など行います。

2000年に行なわれた「震災と美術」展のお話がありました。堀尾貞治氏が被災地をスケッチした作品が印象的でした。

河﨑氏は、「美術がなんの役に立つのか」ということを、皆が、そしてアーティストも考えたと語ります。パフォーマンスや音楽のように即効性のあるものと違って、アートは記憶を担うものと考えているとのことでした。

江上氏は、主にその後に開いた美術展の話が中心です。まずは河﨑氏も触れた5年目2000年の「震災と美術」展です。これは震災を直接に扱ったものと限定する一方で、プロのアーティストだけでなく、絵本や子どもの絵を含み、幅広く紹介していました。作らずにはいられなかった状況を伝えることを狙いとしていました。

特に印象に残ったのは「5年目だからできた展覧会」というところです。それ以降になると記憶が薄れてくる。その前だと心の傷がまだ大きく、皆がまだ向き合う準備ができていない。

10年目は「再生」をテーマにした公募展と記念事業。20年目の2015年には展覧会「阪神・淡路大震災から20年」に合わせて、阪神間の美術館、ギャラリーなどで、全9回のリレートークを行なったということです。
アートアニュアルオンライン 2015年01月16日 阪神・淡路大震災から20年 ―江上ゆか(兵庫県立美術館学芸員)

この9館のうち半数以上は震災後に作られたもの、またその職員の多くが震災時にいなかった人も多いと江上氏は語ります。そのような当事者ではない人がこのような企画を行うことには抵抗があったそうです。その中で詩人の季村敏男氏の「死者こそ当事者、それ以外の人は当事者ではありえない」という言葉がありました。当事者が亡くなっているのならじゃあ誰が伝えるのか、ということを考えたら、自分たちが伝えるほかにありません。また、もっと死に直面した人でも、その直後のままではなく、人はだんだん変わって行かざるを得ないといこともあります。

もう一つ心に残ったのは、展覧会のアンケートに、感想ではなく、自分の当日の体験をぎっしり書いてくれた人がいたということです。その人は多分今までそれは自分の心にしまっていたのでしょう。江上氏は「心のふたを開いてしまった」とおっしゃっていました。

平川恒太氏は、「記憶のケイショウ」というタイトルでお話をされました。カタカナの「ケイショウ」は、「継承」であり、「形象」、「警鐘」でもあります。

彼の作品に、藤田嗣治などの戦争画を黒一色で描いたTrinititeというシリーズがあります。トリニタイトは原爆実験によってできた人工鉱物です。戦争画であること、黒一色で塗りつぶされたように見えること、画材は原爆の副産物、ということで多重の意味を持っています。

第2部は、インディペンデントキュレーターの長谷川新氏と森美術館の近藤氏を加えたパネルディスカッションです。色々な話題が出ましたが、阪神淡路大震災のこの年は「ボランティア元年」と言われるだけでなく、住民が芸術の制作に関わる動き、芸術祭の取り組みの始まりでもあったということが印象に残りました。

というのは、アートの役割として、記録・記憶だけではなく、アートを作ることによる心の癒し、再生・創造を担う役割があるのではないかということを質問しようと思っていたからです。東日本大震災では、遠藤一郎氏の「未来へ号」、Chim↑Pom の「気合い100連発」、蔡國強のいわき回廊美術館での花火パフォーマンス、キュンチョメが帰宅困難者のお年寄りと一緒にPhotoshopでバリケードを消していく作品があった。阪神淡路大震災の時はそういう取り組みはあったのか。


ウソをつくった話 The Story of Making Lies (2015) Short version

"KI-AI 100" by Chim ↑ Pom - YouTube

その答えの一つが「住民が芸術の制作に関わる動き」であったと思います。また、河﨑氏の話の中にも、復興住宅の前の広場をアート作品にした話がありました。それ以外はあまり大きな動きはなかったようだ。大きく違うのは、そこに多くのアーティストが住んでいて、アーティスト自体も被災者だということでしょう。また周りの人も必死で生きようとしている中、アートだ! と花火をあげるのも難しかっただろうということは想像に難くありません。

次の第4回は3月11日に予定されているそうです。次回も参加したいと思います。

参考
artscape (2018/1/15) ディアスポラ・ナウ!~故郷(ワタン)をめぐる現代美術
  -- キュンチョメ作品に言及があります。

追記
震災ということで、巨大クリスマスツリーの話題もちょっとだけでした。このプロジェクトに対する批判は置いておいて、今回、震災に関して口をつぐむ傾向があった被災者の人たちが直接にNo! の声をあげたのは今回が初めてと言っていいとのことでした。

Buzzap (2017/11/20) 神戸市の樹齢150年のあすなろを使った「世界一のクリスマスツリーProject」が醜悪すぎると話題に

2018/01/08

草乃しずか展と中谷芙二子+宇吉郎展

銀座で行われている次の2つの展覧会に行ってきました。

草乃しずか展 煌く絹糸の旋律
会期:2017年12月27日(水)-2018年1月15日(月)※1月1日(祝・月)は休業。
会場:松屋銀座  8階 (東京都中央区銀座3-6-1)

「グリーンランド」 中谷芙二子+宇吉郎展
会期:2017年12月22日(金)~2018年3月4日(日)不定休
会場:銀座メゾンエルメスフォーラム  (東京都中央区銀座5‐4‐1 8階)

草乃しずかは、刺繍作家です。昨年は、ヨコハマトリエンナーレの青山悟、shiseido art eggの沖潤子と刺繍作家に縁がありました。また、三井記念美術館で行われた「特別展 驚異の超絶技巧! -明治工芸から現代アートへ-」でも刺繍絵画が出ていました。

草乃しずかは日本の伝統技法を用いた作品を作り続けています。最初は物資の足りない時代に古い着物をリフォームした作品などが出ていますが、現在はアートの領域に進んでいると言えるでしょう。源氏物語や鳥獣戯画の刺繍による再現、古来からの文様を用いたデザイン、紫式部やエカテリーナなど歴史上の人物をイメージして制作した着物などが出ていました。100歳を超えた母親とのコラボの作品 (母親が古布にアプリケして草乃しずかが刺繍) も興味深いものでした。

展示の中には、明治時代に、それまで職人が作るものだった刺繍が学校教育に取り入れられ、女子の教養になったということも触れられていました。そういえば昔小学校の家庭科で刺繍やったな。その頃は男子の教養でもあったのか。

会場には、刺繍の技法を説明するビデオも流れており、思わず全部見ていました。

またちょうど作家本人のギャラリーツアーがありました。会場は結構な混み様でしたので、それには参加しませんでしたが、ちょっとだけ本人を拝見しました。上品なご婦人でした。

中谷芙二子は、「霧の彫刻」を作り続けているアーティストです。私は、横浜トリエンナーレ2008の三渓園での展示で始めて知ったのですが、大阪万博のペプシ館以来世界各所で出しているんですね。会場にマップがあって、そのうち5作品がビデオで流されていました。昭和記念公園での展示風景では、子どもたちが霧の中で遊んでいたりして楽しそうで良かったです。


中谷宇吉郎は、中谷芙二子の父で、氷の結晶の成長を初めて明らかにし人工的に作った学者です。今回の展覧会では、中谷宇吉郎の業績に関する展示もあり、これはこれで興味深いものでした。

今回の展示のタイトル「グリーンランド」は、石川県加賀市に「中谷宇吉郎 雪の記念館」が建設されるにあたり、父が氷の研究を行なったグリーンランドの氷河の石を持ってきてその風景を作りたいという中谷芙二子の思いから来ています。

初めてGINZA SIXにも行って来ました。右の写真は屋上ですが、雨が降っていなかったらもう少し端まで行って見たかったです。

GINZA SIXの6階の蔦屋書店も行ってみましたが、アート、デザイン関係の領域が充実していて、楽しいとところですね! 福袋も色々種類があって、家がもっと広ければ色々買ってしまいそうでした。万年筆なども売ってあって、高い万年筆の似合うオヤジになりたいと一瞬思いました。

本当は、アドミュージアムの「思いつく」を考える展にも行こうと計画していたのですが、月曜で休館でした。待ち合わせしていた息子には申し訳ないことをしてしまいました。

2018/01/07

新しい価値を売る (2) セルフィー専用カメラ

"ここでアップルが提供しようとしているものはモノではなく、新しい体験であり、新しい生活。私達が買うのはそのモノではなく、それを使っている「自分自身」。"

以前、「モノを売るのではなく新しい価値を売る」なんて書いたんですが、この商品もそんな感じですね。

engadget (2018/1/5) 撮られる人を確実に笑顔にするカメラ! カシオの「TR mini」レビュー
  • コンパクト型で (わかりにくいな。化粧用品のコンパクトの形)、ふた部分がカメラとライト、下部分がディスプレイ
  • 美肌モードが充実
  • 使っている姿が可愛い
レビューの中の
現実ではないとわかってますってば! だけど楽しい!
とか
TR miniは、時計を巻き戻したとしてもそんなキレイな時はなかったぞ? と思える写真を量産してくれます。それが非現実的であるとわかっています。でも撮れた写真は確実に気分をアゲてくれるんですよね。 
 などを読んでいて、「モノを売るのではなく新しい価値を売る」では、
ここでアップルが提供しようとしているものはモノではなく、新しい体験であり、新しい生活。私達が買うのはそのモノではなく、それを使っている「自分自身」。
と書いたのを思い出しました。この商品も同様に、デジカメを売っているのではなく、 これでセルフィー写真を撮っている自分、パーティーでみんなでとって盛り上がっている自分を買っているのだと思います。

ツイッターに書きましたが、まず世界市場を見ているというのはいいところだと思います。売れることはわかったので、日本でも出せばいいのにと思います。

CASIO INTERNATIONAL TR-M11


2017/12/31

shiseido art egg 公開審査会

shiseido art egg 審査会が今年から一般公開されることになり、抽選にあたったので8月25日の対話型審査会に参加してきました。

shiseido art egg とは
https://www.shiseidogroup.jp/gallery/artegg/
シセイドウ アートエッグは、新進アーティストの活動を応援する公募展です。
  • 毎年3名が選ばれる。
  • 資生堂ギャラリーをどう使うかも審査の基準になる。
  • 選ばれた人は資生堂ギャラリーで3週間の個展ができる
今回の受賞者は以下の三人 (第11回 shiseido art egg/審査結果) で、ここから一人を選ぶことになります。
  • 吉田志穂 
  • 沖潤子
  • 菅亮平
「第11回 shiseido art egg」展 でそれぞれ約3週間ずつ個展が開かれました。

最初に資生堂ギャラリーの沿革の説明がありました。資生堂は1915年に薬局から化粧品への事業転換を測ったそうです。1919年には資生堂ギャラリーを始めました。「芸術を通して価値を会社に取り込む」ことを狙いにしたとのことでした。

shiseido art egg 審査の説明です。新人ということで、「新しい価値観」を重視しているということでした。また、ジャンルにとらわれないということも意識しているとのことで、今回は写真、刺繍のアーティストが入っていますし、菅亮平氏も純粋な絵画の作品ではありません。

吉田志穂さんは、インターネットの世界での写真のあり方を探ります。ネットで見つけた写真の現地へ自ら赴き自分の写真を撮影します。

展示では、「寄り」と「引き」を意識したものにしたとのことでした。引いて全体をみてもらう、寄って細部をみてもらう、両方あって初めて全体を理解してもらえるようにとのことです。

沖潤子さんは刺繍作家です。一旦会社勤めを行なったあと、刺繍で美術の世界に入りました。このため3人の中では一番の年長さんです。

扱う材料は、何か物語のある古布です。入手した布をずっと部屋に置いておき、熟成させるというのでしょうか、何かを感じた時に制作を開始します。

最初はよくわからない作品と思っていましたが、お話を聞いているうちに、自分の内部にある思いや衝動が表出したものになっているのだなと理解できました。

ただ、そういう作風の人だけに、展示方法も審査基準に入っていることは辛いかなと感じました。
菅亮平さんは、「ホワイトキューブ」にこだわった展示です。「ホワイトキューブ」は現代の美術館やギャラリーで多く使われる展示空間。観客に美術館の立地や環境を忘れさせ、アートに没頭してもらうための装置です。しかし菅亮平さんの作品は、そのアート作品がなくなったホワイトキューブ。観客は何もない美術館を歩き回る感覚になります。

審査員は『美術手帖』編集長の岩渕貞哉氏、アーティストの宮永愛子氏、建築家の中村竜治氏の3名。それぞれの候補者に感想を語り、質問もしていきます。

審査は意見が割れました。というよりも審査員の皆さんも悩んでいるようです。

審査基準の「ギャラリーをどう使うか」で言えば、そのような経験も豊富な菅亮平さんが一歩抜きん出ているように見えます。一方、新進アーティストの発掘の場ということを考えると、そういう経験を持った人は本来はあまりいないはずです。

沖潤子さんは年齢的に新人賞を取るのは最後のチャンスだからというのもちらと聞こえてきたような気もしますが、そんなことで決めてはいけない、ちゃんと内容で判断しなければという揺り戻しも感じました。

以前、「アートの評価ってなんだろうね」と書いたのを思い出しました。

結局この日は決まらず (最初からそれも織り込み済みだったのかもしれません)、後日発表ということになりました。

私としては、年齢に関係なく、自己の内面の表出が作品になっている沖潤子さんに決まって欲しいと思いました。
→ 2017/10/6 「第11回shiseido art egg賞」審査結果が発表されました。沖潤子さんが受賞されました。おめでとうございます。

後日3年分のshiseido art egg 展覧会カタログをいただきました。ありがとうございます。川久保ジョイも昨年入賞していたんですね。

2017年にいった展覧会とアートイベント

今年は横浜トリエンナーレの年でした。忙しかったので、あまりそれ以外の美術展にいけていないかもと思いましたが、そうでもないかな。

日付順はやめて展覧会、アートイベントで分類します。

美術展

  • 森美術館
  • 原美術館
  • 国立新美術館
    • Domani・明日展 (2017/1/21) → ブログ 国立新美術館10周年ということで…
    • 5美大卒業制作展 (2017/2/26)
    • ミュシャ展  (2017/4/28)
    • 草間彌生展「わが永遠の魂」 (2017/5/1)
    • ジャコメッティ展 (2017/8/27)
    • サンシャワー展 (2017/8/27)
  • 三菱一号館美術館
  • 横浜美術館
    • 篠山紀信「写真力」(2017/2/12)
    • 和田淳展 | 私の沼 (2017/2/12)
    • ファッションとアート 麗しき東西交流 (横浜美術館) (2017/05/17) 
    • ヨコハマトリエンナーレ2017
  • Bunkamura
  • そごう美術館
    • 院展 (2017/2/16)
    • マリー・アントワネットとナポレオン皇妃ジョゼフィーヌが愛した宮廷画家 ルドゥーテの「バラ図譜」展 (2017/5/16)
  • パナソニック汐留ミュージアム
    • マティスとルオー展 (2017/3/11)
  • 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
  • 三井記念美術館
    • 「驚異の超絶技巧」展 (2017/11/18)
  • 21_21 Design Sight
    • デザインの解剖展 (2017/1/21) 
    • アスリート展 (2017/2/25, 2017/4/8)
    • そこまでやるか 壮大なプロジェクト展 (2017/10/1)
  • 東京ステーションギャラリー
    • パロディ展 (2017/3/18)
  • NTT-ICC 
    • ART+COM  . RHIZOMATIKS RESEARCH  (2017/3/18)
  • デザインハブ
    • 地域×デザイン2017 -まちが魅えるプロジェクト- (2017/2/26)
  • TOTOギャラリー「 間」
    • 堀部安嗣展 (2017/1/21)
  • 泉屋博古館分館
  • Fuji Xerox Art Space
    • 富士ゼロックス版画コレクションと印刷物展 (2017/2/8)
    • 河口龍夫展  (2017/6/16)
    • ハンネ・ダルボーフェン展 (2017/9/25)
  • FUJI FILM SQUARE
    • 鬼海弘雄写真展「India 1979-2016」(2017/5/29)
    • 高橋修悦写真展「走れ、小海線」(2017/5/29)
    • 「幕末明治の写真家が見た富士山 この世の桃源郷を求めて」(2017/5/29)
    • 二十世紀の巨匠 美と崇高の風景写真家 アンセル・アダムス (2017/11/27)
  • 3331 Arts Chiyoda
    • ソーシャリー・エンゲージド・アート展 (2017/3/5)
  • 岡本太郎記念館
  • 資生堂ギャラリー
    • 吉岡徳仁 スペクトル − プリズムから放たれる虹の光線 (2017/3/11)
  • ポーラミュージアムアネックス
    • Alan Chan「HELLO GINZA!」 (2017/5/1)
  • エスパス ルイ・ヴィトン東京
    • DAN FLAVIN展 (2017/5/1)
  • 銀座メゾンエルメス フォーラム
    • 「水の三部作 2」アブラハム・クルズヴィエイガス展 (2017/5/1)
  • BankART NYK
    • BankART LIfe 「観光」(2017/9/1) 
  • ソニービル

                                      ギャラリー

                                      • うらあやか個展  "The body dances freely" @ Art Center Ongoing  (2017/2/12) 
                                      • LITTLETOPIA - 森洋史個展  @ Art Lab Tokyo (2017/2/25) 
                                      • 多摩美術大学 日本画専攻卒業制作有志展澪標 (miotsukushi) @ 3331 Arts Chiyoda (2017/3/5)
                                      • 写真分離派展 @ NADIFF apart  (2017/3/4)
                                      • アンスティチュ・フランセ東京 (2017/3/18)
                                      • 木下佳通代展 @ ユミコ チバ アソシエイツ (2017/3/18)
                                      • アートラボ・グループ・アート・ショー ムスタングラーズ @ ヒカリエ8/ (2017/5/29)
                                      • ベンモリ・ジャングルワールド x シロクマ親子 @ ヒカリエ8/ (2017/5/29)
                                      • 山本桂輔展「地底の雲」@ ヒカリエ8/ (2017/5/29)
                                      • Gari Gari Girly展 @ Art Lab Tokyo (2017/7/21) 
                                      • わらおびびし個展 @ Art Lab Tokyo (2017/7/21) 
                                      • Hanabi展 @ Art Lab Tokyo (2017/7/29)
                                      • パオラ・ピヴィ《全部みんな同じに見える》@ ペロタン (2017/9/17)
                                      • 岩清水さやか @ Art Lab Tokyo (2017/9/17)
                                      • 黄金町バザール2017
                                      • Possessions Jomi Kim solo exhibition @ Art Lab Tokyo (2017/12/9)

                                      イベント

                                      • 2017/1/14 現代芸術アーカイヴの構築に向けて―保存・発信・活性化 @ 慶応義塾大学三田キャンパス
                                      • 2017/1/21ヨコハマラウンド ラウンド1 <0と1の間にあるアート> @ 横浜美術館
                                      • 2017/1/25 トリエンナーレ学校2017 vol.9 アートで地域をつなぐ活動にみる創造性 @ 横浜美術館
                                      • 2017/1/28 国立新美術館20周年シンポジウム「アーカイヴ」再考 - 現代美術と美術館の新たな動向
                                      • 2017/2/4 「MAMプロジェクト023:アガサ・ゴス=スネイプ」 アーティストトーク @ 森美術館
                                      • 2017/2/12 横浜美術館サポーター勉強会「美術館に収まりきれない彫刻の魅力」@ 横浜美術館
                                      • 2017/2/13 森美術館国際シンポジウム「現代美術館は、新しい『学び』の場となり得るか?―エデュケーションからラーニングへ」@ アカデミーヒルズ
                                      • 2017/2/22 トリエンナーレ学校2017 vol.10 建築家としてまちを刺激する試み
                                         @ 横浜美術館
                                      • 2017/2/26 DOOR to ASIA -アジアデザイナーと東北事業者が未来の扉をひらく- @ デザインハブ
                                      • 2017/3/22 トリエンナーレ学校2017 vol.11 法と市民活動 
                                      • 2017/3/25 ヨコハマラウンド ラウンド2 <創造と汚染>
                                      • 2017/4/8 アスリート展トーク@ 21_21 Design Sight → ブログ Analogy Learning
                                      • 2017/4/18 森美術館アージェント・トーク031:崩れゆく絆―アルフレド・ジャーが見る世界のいま → ブログ アルフレド・ジャーの講演を聞いてきた
                                      • 2017/4/19 N・S・ハルシャ展キュレータートーク「ハルシャ、マイスール、インド」
                                      • 2017/5/28 ヨコハマラウンド ラウンド3 <島とオルタナティブ: 歴史・社会、医療、アート>
                                      • 2017/6/6 森美術館 アージェント・トーク032: 選択の重要性―アーティストと美術館は制作、収集、展示、保管そして保存においていかに選択をするのか?
                                      • 2017/6/28 横浜美術館 トリエンナーレ学校2017 vol.12  【ヨコハマトリエンナーレ2017】アーティスト 宇治野宗輝と語らう
                                      • 2017/7/8 国立新美術館 シンポジウム「現代美術は東南アジア地域をどのように表象してきたか」
                                      • 2017/7/9 森美術館 アーティスト・リレー・トーク「MY WORK」
                                      • 2017/7/29 トークセッション 「写真の現場から世界へ:三影堂と中国現代写真の歩み」@ 森美術館
                                      • 2017/8/4, 5 ヨコハマラウンド ラウンド4<繋がる世界と孤立する世界>
                                      • 2017/8/20 ヨコハマラウンド ラウンドbis <K.T.O.と横浜・インド>
                                      • 2017/8/25 ヨコハマラウンド ラウンドbis パオラ・ピヴィ アーティストトーク
                                      • 2017/8/25 第11回shiseido art egg賞 対話型審査会 → ブログ shiseido art egg 公開審査会
                                      • 2017/8/26 「ヨコハマラウンド」 ラウンド5<ガラパゴス考察>
                                      • 2017/9/8 寺子屋サンシャワー 【第5回】建築|東南アジアの近現代建築 @ 国立新美術館
                                      • 2017/9/16 トークセッション「私の東南アジアを話し尽くす」@ 森美術館
                                      • 2017/9/18 ヨコハマラウンド ラウンド6 <新しい公共とアート>
                                      • 2017/9/19 トーク「写真の見方―記録か芸術か」@ 森美術館
                                      • 2017/10/8 ICC20周年記念シンポジウム「メディア・アートの源流とその変遷 メディア・アートとICCの20年」(NTT-ICC)
                                      • 2017/10/1 レクチャー「比較の難しさ 東南アジア地域をキュレーションするための調査、テーマ、その他の方法」@ 森美術館
                                      • 2017/10/15 ヨコトリしゅみせん!「有頂天の余韻を遺す〜図録ってどうやってつくるの?〜」@ 横浜美術館
                                      • 2017/10/21 ヨコハマラウンド ラウンド7 <我々はどこから来てどこへ行くのか?>
                                      • 2017/11/2 グッドデザイン賞審査レビュー ユニット16 仕組み取り組みのデザイン @ 東京ミッドタウン デザインハブ 
                                      • 2017/11/3 ヨコハマラウンド ラウンド8 <より美しい星座を描くために: アートの可能性とは?> → ブログ アートとAI
                                      • 2017/12/9 現代アートと哲学対話―新しい学びの可能性 @ 森美術館
                                      今年はヨコハマトリエンナーレ2107以外で言えば、国立新美術館と森美術館で行われたサンシャワー展が良かった。昨年からシンポジウムなど行われ、期間中もトークやレクチャーに参加しました。


                                      今年最も印象に残っているのが、森美術館で行われた「崩れゆく絆―アルフレド・ジャーが見る世界のいま」です。 

                                      2017/11/26

                                      デンマーク・デザイン展

                                      11月23日から行われるデンマーク・デザイン展の内覧会が22日に行われ、参加しました。

                                      北欧デザインというくくりでの展覧会はあったが、デンマークに特化したもので大きなものは今回が初めてということです。

                                      まずデンマーク大使館のマーティン・ミケルセン氏の挨拶です。

                                      デンマークの冬は長く、気候が厳しい。人はあまり外出したがらず、家を快適にすることに力を入れる。そのため快適なインテリア、家具のデザインが発達した。

                                      ここはこれからこの展覧会をみていく上でキーとなるポイントだと思いました。

                                      そのあとは、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館の主任学芸員 江川均氏による解説です。全体が章立ての構成になっており、それに従って館内を順に巡ります。

                                      最初はロイヤル・コペンハーゲン。これは「デンマーク・デザイン」が注目される前の時代です。まず「ブルーフルーテッド」(写真)。そしてその後の「ブルーフラワー」シリーズが続きます。

                                      磁器は焼成温度が1400℃と高く、その温度に耐えられる色は青しかなく、このため白地に青一色の絵付けが主流です。後には多色のものもありますが、それは複数回に分け焼いたもので、そのためコストが高くなります。多くの人に使ってもらうことを優先して青一色のものが多くなっているそうです。

                                      「ブルーフラワー」シリーズでは非対称のデザインが特徴ですが、これにはジャポニズムの影響が大きいということです。

                                      次の部屋では、近代デザインのパイオニア、コーオ・クリントに光が当たります。古典をベースにしながら、機能性を追求した家具をデザインしました。人間工学の先駆者と言われれいるそうです。直線的なデザインが特徴です。

                                      次の時代「 ミッドセンチュリー」の特徴は「オーガニック」です。「オーガニック」は今と違って、「曲面のデザイン」という意味です。人間工学の影響もありますし、素材の発達、工業の発達によってそれが可能になったという背景もあります。また、大量生産のアメリカに対して、手工業的なところがあり、そこが人気になりました。

                                      この時代の中心人物に、アーネ・ヤコプスン[アルネ・ヤコブセン]、ハンス・ヴィーイナ[ウェグナー]、フィン・ユールがいました。もともと建築家だが、その中の家具をデザインしたという人が多いようです。


                                      ヴェアナ・パントン (写真) もこの時代の人です。あれ、このデザインは? と思いましたが、そうです、以前  (2009年だったよ ...) 見たヴェルナー・パントンです。プラスティックという新しい素材を使うところはデンマークらいしかもしれませんがが、色使いやフォルムは他のデンマーク製品とは一線を画するようなものになっています。図録を見るとやはり特に国外で高く評価されたとありました。

                                      家具以外では、ポウル・ヘニングスンの眩しくない照明「アーティチョーク」や、ヤコブ・イェンスンのオーディオ機器やポータブルラジオがありました。ヤコブ・イェンスン[イェンセン]は、バング&オルフセンのかっこいいオーディオ機器を手がけた人です。これは欲しいと思う人は多いのではないでしょうか。

                                      レゴもデンマークでしたね。最初の頃のパッケージとか展示されていて興味深い。こんな小さなパッケージで小分けにされて売られていたんですね。少しずつ貯めて、大事に使っていたんだろうなと思います。

                                      最後の章「ポストモダニズムと現代のデンマークデザイン」では、自転車の説明がありました。展示されていたキビースィの自転車《PEK》高級品で高いものですが、デンマークは国土の高低差が少ないため、自転車大国となっおり、普段使いの自転車の産業も盛んだそうです。展示されていた自転車の背後の壁には、デンマークの日常に自転車が自然に存在する写真が貼られていました。

                                      最後に座れるチェアが幾種類か置いてあります。ここでは写真撮影も可能です (本記事は美術館より特別に写真撮影の許可をいただいています)。右はその一つ。デンマーク大使館のマーティン・ミケルセン氏が、「このサイドのカーブが自然にバックのカーブに繋がっているところが身体にフィットするんだよー」というようなことを説明していました (たぶん)。

                                      以下展覧会の情報です。

                                      日本・デンマーク国交樹立150周年記念
                                      デンマーク・デザイン
                                      http://www.sjnk-museum.org/program/current/5062.html
                                      会期:2017年11月23日(木・祝)~12月27日(水)
                                      休 館 日:月曜日(ただし12月25日は開館)
                                      会場:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
                                      〒160-8338 新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42階
                                      開館時間:午前10時-午後6時、金曜日は午後7時まで(入館は閉館30分前まで)
                                      観覧料
                                       一般:1,200円(1,000円)
                                       大・高校生:800円(650円)  ※学生証をご提示ください
                                       65歳以上:1,000円     ※年齢のわかる物をご提示ください
                                       中学生以下:無料      ※生徒手帳をご提示ください
                                       ※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を提示のご本人と
                                       その付添人1名は無料。被爆者健康手帳を提示の方はご本人のみ無料。
                                      主催:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館、日本経済新聞社

                                      2017/11/13

                                      パリ・グラフィック展

                                      11月9日、三菱一号館美術館で開かれている「パリ・グラフィック展」の内覧会に参加してきました。

                                      まず展覧会の情報から。

                                      パリ❤グラフィック展
                                      会期:2017年10月18日(水)~ 1月8日(月・祝)
                                      開館時間:10:00~18:00(祝日を除く金曜、11月8日、12月13日、1月4日、1月5日は21:00まで)※入館は閉館の30分前まで
                                      休館日:月曜休館(但し、1月8日と、「トークフリーデー」の10月30日(月)、11月27日(月)、12月25日(月)は開館
                                      年末年始休館:2017年12月29日~2018年1月1日
                                      展覧会サイト:http://mimt.jp/parigura/
                                      トークは、三菱一号館美術館学芸員の野口玲一氏と、おなじみ「青い日記帳」主宰Takこと中村剛士氏。



                                      この展覧会は、19世紀末に大きく動いた、メディアとしての版画に焦点を当てます。誰が見るものか、何が伝えられるのか、どのように流通するのか。

                                      それまで、版画は絵画の1ランク下の存在に見られていました。そこに、ロートレックなど媒体による価値を気にしないアーティストたちが現れます。彼らはカフェや演劇のポスターで成功しますが、だからと言って「格上」の絵画に移行するのではなく、版画も絵画も同じように制作を続けます。

                                      パリの庶民は、これまであまり触れられなかった役者やダンサーの姿を、街中に貼られたポスターで知るようになります。ちょうどそれは、役者が描かれた浮世絵を見ていた江戸市民と似たようなものかもしれません。

                                      ポスターに人気が出てくると、エリートたちはそれを自分の家に飾りたいと思うようになります。大衆向けだった版画が、エリート向けに作られ、リビングに飾られたり、引き出して眺められたりしました。またそうなると題材も変わってきて、例えばエロティックなものも描かれるようになりました。

                                      また、大衆もポスターや版画集という形で版画を買うようになってきます。ここもまた江戸時代に庶民が絵 (浮世絵) を買っていたということを思い出します。

                                      お話を聞いていて、世紀末、時代が変わる感覚、高揚感に、版画ポスターが一役をかったのではないかと思いました。これまで芸術はアカデミーから出ていた、これからは我々庶民からアートが出てくる、そういう時代の変化を感じていたのかもしれません。

                                      そしてこれは今のネットの絵師にも通じるというお話には共感しました。そこから次世代のスターが生まれてくるかもしれません。もう生まれ始めているかも。

                                      以前どこかでロートレック展を見たとき、図録は買わず、「ロートレック写真集」というものを買ってきました。ロートレックの幼少時代、ムーラン・ルージュと踊り子たち、カフェ、娼館などロートレックに関係する様々な写真が収められています。そこに出てくる、ロイ・フラー、ラ・グーリュ、ジャヌ・アヴリルなどが今回モデルとして絵の中で出ていました。それで思い出して「ロートレック写真集」を引っ張り出して見ています。

                                      2017/11/04

                                      アートとAI

                                      11月3日に行われた、ヨコハマトリエンナーレ 「ヨコハマラウンド」ラウンド8<より美しい星座を描くために: アートの可能性とは?> の中で、スプツニ子! 氏から、
                                      世の中は記号であふれている。皆が全てのものに対してカテゴリーに当てはめて理解している。そのほうが理解が簡単だから。しかしアートはそのカテゴリーをはみ出す。そのはみ出し方は無限にあり、世の中の問題の解決策も無限にあるのではないか。
                                      という趣旨の発言があった。この、「アートは今までの常識を覆してくれる。新しい発想を提示してくれる」というのは、これまでも繰り返し言われてきたことであろう。

                                      また、AIが作るアート (イアン・チェンの作品、ゴッホ風の絵を描くAI) の話になり、
                                      AIは評価関数で動く。これはAIに評価関数を与えると、それが高くなる方向へ動くということ。一方、アーティストは評価されるために作るのではない。AIがアートを制作するようになっても人間はアートを作るのをやめないであろう。
                                      という話もでた。

                                      確かにAIで作るアートが「ゴッホ風の絵」とか、既存の価値観での作品だったら、「新しい発想を提示してくれる」というのは期待できないであろう。それは音楽の領域でも同様で、小室哲哉氏は、
                                      AIがどういう曲を作るかは、大体見えます。例えば「マニアックなジャズを」という絞り込み型の作曲はどんどんできる。オーダーを受けて作曲するなら、人よりはるかに優れた曲を作るでしょう。
                                      ...
                                      「なんか聴いたことある」というなじみがない曲も、ブレークするのは難しい。
                                      と語っている (AERA dot. 2017/8/31 AI作曲は「絞り込み型なら人間以上」 TM NETWORK小室哲哉)。

                                      ここで考えたのは、アーティストが一般人にできない発想を提示することに存在意義があるなら、AIもそのようなことができるだろう、ということ。そう考えたのは、Google  DeepMind の AlphaGo が、人間の棋士では考えもつかない手を打つということから (これは小室氏も指摘している)。

                                      ただし、AlphaGo は「勝つ」という単一の評価関数を持っている。アートに対して適切な評価関数は何だろう。そういう評価関数がなければ AlphaGo だってランダムな手を打つしかない。

                                      そのランダムな中から、意味のある、しかも「新しい発想を提示してくれる」ものを選ぶ必要がある。それができるのはアーティストだろう。そういう評価関数を与えると言っても良い。

                                      今回の議論の中で「美とは何か」という問いもあった。現代アートでは「美」は求めていないのかもしれないが、これまで印象派やゴッホが新しい「美」を提示したように、今後も新しい「価値」を見いだすのはアーティストだと思われる。

                                      こういうことを考えて、「AlphaGoは単一の『勝つ』という評価関数で動くが、アートの場合は『新しい発想』ということが求められ、単一の評価関数はない。しかし、アーティストが評価関数を作ることでAIにアートを作らせる可能性があるのではないか」という質問をした。はしょりすぎですね。でもスプツニ子! 氏から「Googleの碁の棋譜を見ると人間では考えつかない展開があるそうだ。そのような可能性があるかもしれない」という回答をいただいたので、収穫があったと思います。

                                      2017/09/29

                                      こんなシナリオ

                                      安倍首相の対抗が、同じく改憲/ナショナリズム/民族差別ではどう投票してよいかわからない。よりましな選択肢はないものか。

                                      という訳で次のようなシナリオ (期待) を考えた。

                                      ・民進党のリベラルは希望の党の公認を申請せず (ここ大事)、共産党との選挙協力を取り付けた上で、無所属で出る。
                                      ・希望の党は大幅に伸ばすものの過半数には届かない。
                                      ・与党も過半数に届かず、安倍首相は辞任。
                                      ・民進党リベラルはそこそこの議席を確保する。
                                      ・無所属リベラルと共産党は、自民党の新しいリーダーと協議し、首班指名では自民党側に回る。入閣は求めず、今後もキャスティングボートを握り続ける。

                                      二番め以降は選挙結果次第だけれど、まずは一番めの動きを期待します。

                                      追記:
                                      • 過半数に届かなかったら責任をとる、は安倍首相本人が設定した低い目標ですが、ギリギリ過半数を超えたとしてもこれまで2/3を維持していた訳ですから大敗北です。辞任せざるを得ないでしょうね。
                                      • 10/2 枝野氏が民進党リベラルを結集した新党「立憲民主党」を立ち上げることになり、ここで「無所属で出る」とした人たちの受け皿ができました。「そこそこの議席」と言わず全員当選の勢いを期待します。
                                      • 10/3 希望の党の第一次公認候補が発表になりました。民進出身は110名。「希望の党の公認を申請せず」と書きましたが、残りは立憲民主党に帰って来れば良いと思います。また、公認を得た人も蹴って立憲民主党に戻った方が良いと思います。
                                      さらに追記 (選挙後):
                                      • 大外れですね。
                                      • 与党は再び 2/3 を確保。今のやりたい放題がまだ続く。
                                      • 希望の党は伸びるどころか改選議席割れ。この点は良かったかな。
                                      • 立憲民主党が大幅に伸びたことは良かったと思います。「まっとうな」がポイント。

                                      2017/09/09

                                      浅井忠の京都遺産

                                      9月9日から六本木1丁目の泉屋博古館分館で、「浅井忠の京都遺産」が開催されます。それに先だち、7日にブロガー内覧会があり、参加してきました。

                                      浅井忠 (ちゅう) は、学生時代京都にいたときに展覧会に行ってそれ以来気になっていた画家ですが、それ以降まとまった展覧会で見る機会がありませんでした。学生時代に図録を買ったということは相当気に入ったと言えます。図録に書いてある会期をみると1981年でした。

                                      その時も工芸なども展示されていたのですが、画家としてしか記憶していませんでした。今回の展示で、教育者としての側面、図案家として京都の工芸の発展を支えた側面など知ることができました。コンパクトながらよくまとまった展示になっています。

                                      浅井忠は、黒田清輝などとともに明治時代の洋画の基礎を作った人です。東京美術学校 (東京芸術大学の前身) の教授で、ヨーロッパに派遣され洋画の研究やパリ万博を視察を行いました。そこで誘われて、京都工芸繊維大学の前身である京都高等工芸学校の開学と同時に教授に就任します。

                                      展覧会は三章に分かれます。

                                      第1章 はじまりはパリ - 万国博覧会と浅井忠
                                      第2章 画家浅井忠と京都洋画の流れ
                                      第3章 図案家浅井忠と京都工芸の流れ

                                      ブロガー内覧会では普通一部だけ解説するのですが、ほとんどの作品の解説がありました。

                                      武士山狩図の解説をする実方葉子さん (泉屋博古館(京都)学芸課長)。下絵も複数展示されていて、入念な仕事ぶりがわかります。あまりの注文の多さにモデルが逃げ出して、用務員さんが代役を務めたというエピソードが面白かったです。姿勢のしっかりした人がいてよかった。

                                      工芸作品の解説をする森下愛子さん (泉屋博古館分館学芸員)。京都高等工芸学校で教材として使うためにヨーロッパで作品を買い集めた話、釉薬の工夫、アールヌーボーとの関連など興味深いお話でした。京都に陶磁器試験所を作ったりしているんですね。産業界への貢献も今回知ったことで、収穫がありました。

                                      なお、写真撮影は今回特別に美術館より許可をいただいています。

                                      特別展 「浅井忠の京都遺産―京都工芸繊維大学 美術工芸コレクション」
                                      会場:住友コレクション 泉屋博古館分館
                                       〒106-0032 東京都港区六本木1-5-1
                                       03-5777-8600
                                      会期:2017年9月9日(土)―10月13日(金)  
                                      開館時間:午前10時00分~午後5時00分(入館は4時30分まで)
                                      休館日:休館日:月曜(9/18・10/9は開館、9/19(火)・10/10(火)は休館)
                                      入館料:一般 800円(640円) / 学生600円(480円) (  )内は団体料金
                                      https://www.sen-oku.or.jp/tokyo/program/


                                      2017/07/15

                                      全裸のキリスト

                                      三菱一号館美術館で、「レオナルド×ミケランジェロ展」が行われています。

                                      レオナルド×ミケランジェロ展
                                      会期:2017年6月17日(土)~9月24日(日)
                                      開館時間:10:00~18:00(祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
                                      休館日:月曜休館(但し、祝日は開館)
                                      展覧会サイト:http://mimt.jp/lemi

                                      7月11日、ブロガー向け内覧会が行われました。ナビゲーターはおなじみ「青い日記帳」主宰のTakこと中村剛士さん。

                                      ちょうどこの日からミケランジェロの未完の彫刻 《十字架を持つキリスト (ジュスティニアーニのキリスト) 》が公開されています。

                                      これはミケランジェロが製作していたものですが、彫り進めて顔の部分に来た時に、もともとの石に大きな疵が見つかり、そのためミケランジェロは製作を途中でやめてしまったものです。後に17世紀に別の彫刻家によって現在の形に仕上げられたようで、この形で取引されていたことが記録でわかるそうです。長らく行方がわからなかったのですが、2000年に特定されたとのこと。

                                      なぜ会期の最初から展示されなかったかというと、6月までロンドンのナショナル・ギャラリーで展示されていたため。学芸員のトークでは設置にあたってのドタバタも披露されました。二重の木箱で送られてくるのだが、内箱の状態で設置して、箱の底は土台として残しその上にカバーがかけられて展示される。箱の状態で設置するため、どちらが正面なのかわかっていないといけないのだが、イタリアから来た担当者はわからないとのこと。結局再度クレーンを持ち込み設置し直したそうです。トークでは「何しに来たんだ」、「さすがイタリア人」という怨嗟の声が感じられました。

                                      さてこの作品は、キリスト像には珍しく全裸です。しかも痩せ細った姿でなく筋骨隆々。ルネサンス芸術にギリシア古代芸術の特徴を取り入れた形になっています。キリストが全裸というのは、当時はとんでもない話だっということですが、ミケランジェロだから通ったというところもあるとのこと。

                                      どの部分がミケランジェロでその部分が後世の彫刻家によるものか、という疑問に関しては、立ち方、十字架に寄り添うポーズ、足や背中の筋肉にはミケランジェロの特徴が出ているとのこと。顔に疵が発見されてそこでやめてしまったので、顔、左腕あたりは後世の彫刻家によるものと考えられているそうです。

                                      展示にあたっては外光が入るようにしているとのことで、一階に設置されていることもあり、外からも一部は見えるようです。どれくらい見えるのか、そとから見た感じはどうなのか、ちょっと気になります。

                                      ミケランジェロのこの作品のことばかり書きましたが、レオナルド×ミケランジェロ展は、素描を中心に二人の対比がされた展示になっています。

                                      2017/05/01

                                      ヨコトリ2017の予習として ...

                                      ... 出展アーティストの作品が今展示されている展覧会を見に行った。

                                      表参道の岡本太郎記念館で 「TARO賞20年 20人の鬼子たち」という展覧会が行われている。キュンチョメさんのサイトで、風間サチコが出ている! ということを知って行ってみた。行って初めて気がついたのだけど、宇治野宗輝も出てた。

                                      いずれも1点だけなので、それほどよく知ることができるわけではない。風間サチコは2013年(から32014年初め) に森美術館で行われた「六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」と、2014年に横浜美術館で行われた「魅惑のニッポン木版画」で見ていたが、宇治野宗輝は初めてだったので収穫と言える。

                                      20人のアーティストの中では、キュンチョメ «空で消していく» が一番よかったな。被写体になっている人が、自分が見たくないものを語り、それが見えないように鏡で隠し空を反射させながら、鏡を移動しパノラマ写真を撮る。例えば。アトピー皮膚炎に悩まされている人は、その体を小さな鏡で隠していく。

                                      キュンチョメさんは横浜トリエンナーレ出展作家じゃないけれど、ヨコトリ2014の初日には花輪の格好をして来てた (サイトのトップページの画像)。今年も来てくれるかな?

                                      そのあと、畠山直哉が出ている椿会展2017を見に銀座の資生堂ギャラリーまで行ったのだけど、月曜は休館だった (T . T)。サイトの紹介では、
                                      これまで毎回異なった連作を発表し、さまざまなパーソナリティを見せてきました。今回は60~70年代に建設されたイギリスのニュータウン、テムズミードを撮影したシリーズに、当時の不動産広告のテキストを組み合わせた作品と、今年1月に撮影した赤瀬川原平のアトリエの写真を展示する予定です。
                                      とあって、ちょっと気になる。今月中に行けるかな。

                                      その後せっかく来たので銀座のアートスペースをいくつか回った。

                                      今日は本当は草間彌生展を見ることが主目的だったのだ。今日5月1日は出勤日なのだけど、休日には混雑しているので、休みを取って行った。開館時刻の10:00からちょっと過ぎで入ったのだけど、十分込んでたな。特に昼食をとった後、乃木坂駅に行くのに横を通ったらチケットを買う列が結構長くなってた。それ以上に草間彌生展物販の並び (これは会場外にはみ出している) が伸びてた。

                                      今日行った美術展、アートスペース。




                                      2017/04/29

                                      アルフレド・ジャーの講演を聞いてきた

                                      4月18日、森美術館で、「アージェント・トーク031:崩れゆく絆―アルフレド・ジャーが見る世界のいま」を聞いてきた。

                                      最初に携帯電話の電源を切ってくださいと言われる。いつもだったら「電源を切るかマナーモードにしてください」と言われるところだが、今日は「電源を切ってください」だけ。さらに主催者側からだけでなく、本人からも言われる。スマートフォンでノートをとるつもりだったが、これだけ言われるのだからと思い、電源も切った。後で思うと、講演に没入してくださいということだろう。その価値はあった。

                                      まずアルフレド・ジャー (Alfredo Jaar http://www.alfredojaar.net/) のポリシーが述べられる。「作品を制作する前にコンテキストをちゃんと理解する」。綿密な調査を基に作品制作を開始する。

                                      アーティストトークというと、まずこれまでの作品をスライドで見せることが多い。アルフレド・ジャーも過去の作品というかプロジェクトの話から始まる。

                                      しかし最初のスライドは女性水泳選手が泳いでいるところ。正面から撮ったものだが、スイミングゴーグルと水しぶきで誰かわからない。

                                      Wikipedia "Death of Alan Kurdi" より 
                                      次のスライドから4枚は、大きな話題となった、難民ボートで遭難して亡くなった子供の写真とそれを抱きかかえる男性の写真。Alan Kurdi という名前だそうだ。
                                      Wikipedia "Death of Alan Kurdi"

                                      この4枚の写真はその後もプロジェクトの切り替えの時に間に挟むように使われる。その間アルフレド・ジャーは無言だ。

                                      そう、これは伏線だ。

                                      プロジェクトの一つはスウェーデンの街に美術館を作る話。Skoghall はスウェーデンの製紙の街。製紙工場で働く人のために会社が街を作った。住宅も学校も病院も図書館も。ただ美術館はなかったので、美術館を作るプロジェクトにアルフレド・ジャーが呼ばれる。アルフレド・ジャーは美術館を作るために調査を開始する。住民に聞き取り調査をするが、別に美術館がなくても良いと考える人が多くいた。

                                      アルフレド・ジャーは紙を主に使った美術館を作る。地元のアーティストにも紙を使った作品を制作してもらう。また、子どもたちが紙を使った作品を作るワークショップも開く。ただ、この美術館は1日限定のオープンで、次の日には燃やしてしまう。住民に「美術館のある生活」を理解してもらい、そしてそれがなくなった生活を理解してもらうことが目的なのだ。

                                      その目的は達せられ、その後恒久的な美術館が建てられることになった。

                                      Lights in the City はカナダモントリオールでのプロジェクト。ホームレスが市民から見えない (透明な) 存在になっていると感じているのに対して起こされた。ホームレスが一時宿泊施設に入りスイッチを押すたびに、モントリオール旧市街にある Marché Bonsecours (ボンスクールマーケット) のドームに設置された赤いLEDライトが灯る。

                                      フィンランドは難民の受け入れ率が非常に低い。そこで、100万冊のパスポートを用いたインスタレーションを作った。

                                      東日本大震災に対して彼のリサーチは被災した小学校にも向けられる。黒板を用いたインスタレーション «生ましめんかな» があいちトリエンナーレ2013に出品された。

                                      次第にプロジェクトから現実の世界の認識に入る。

                                      Alan KurdI 君の写真は世界中の人々の心を打った。世界の多くの新聞が彼の写真を一面トップに使った。普段はゴシップを取り上げるタブロイド紙も同様だ。難民受け入れの機運は大きく盛り上がった。

                                      しかし今、その機運は縮小しつつある。英国のEU離脱の一因は難民というかEU全体から入ってくる移民の受け入れ問題にある。フランスも極右政党国民戦線のルペン氏が力を伸ばしている。

                                      そしてアメリカではメキシコからの移民を排斥する主張のトランプ氏が代表になった。ただトランプに対してはヨーロッパは批判的で、イギリスではトランプをイギリスに呼ぶなという声が盛り上がっている。

                                      アジアではヨーロッパに比べ難民に対する意識は低い。中国では習近平がトランプを歓迎している。日本に至っては最悪で、真っ先にトランプに会いに行った。

                                      希望はカナダのトルドー首相だ。難民歓迎イベントでインドの民族舞踊が披露された時、トルドー首相は民族衣装で一緒に踊っているところがビデオで流された。

                                      アルフレド・ジャーも難民問題を題材にしたプロジェクトを行った。公園で青い立方体の箱を配る。その箱は内側に、Alan君が打ち上げられていた浜の写真をAlan君を抜くように加工した写真が印刷されている。裏返しに箱を組み立てると表面にそのの写真が出る。また、遭難した難民を救助する NPO Migrant Offshore Aid Station (MOAS) への寄付を呼びかけるメッセージがふくまれている、

                                      リオデジャネイロ・オリンピックでは希望の光が見えた。これまで国を出てオリンピックに出場できなくなった難民で初めて難民選手団が組まれたのだ。その中の一人が女子競泳のユスラ・マルディニ選手。そう、最初に出された写真の選手だ。彼女は海を渡ってギリシャに行く。そこで命の保証を得たのだが、彼女は水泳がやりたかったので、そこを出て幾つかの国を経由してドイツにまで行く。そうやって夢をつかんだのだ。

                                      1時間半惹きつける講演で、帰りのエレベーターでは「消化しきれないね」という声が上がっていた。この機会を提供していただいた森美術館に感謝します。


                                      この日、4月18日は、ヨコハマトリエンナーレ2017のアーティスト発表があった日だ。ヨコハマトリエンナーレ2017のテーマは「孤立」と「接続」。各国が自国ファーストで内向きになり孤立していく世界をどのように接続していくことができるのか。プレスリリース  (PDF) から引用する。
                                      本トリエンナーレでは、「接続」と「孤立」をテーマに、こうした相反する価値観が複雑に絡み合う世界の状況について考えます。そして、人間の勇気と想像力や創造力がどのような可能性を拓くことができるのか、開国、開港の地・横浜から新たな視点を発信します。
                                      今年 Socially Engaged Art 展 で、難民のライフジャケットを用いたインスタレーションを披露したアイ・ウェイウェイが、やはりライフジャケットを使った作品を出すという。

                                      この日聞いたアルフレド・ジャーの講演は、「孤立」と「接続」に合致していると思う。ヨコトリ2017で彼の講演を再度聞きたいし、皆にも聞いて欲しいと思うのだ。

                                      同じく講演を聞いていた人の記事:

                                      2017/04/09

                                      Analogy Learning

                                      21_21 DESIGN SIGHTで行なわれている「アスリート展」のイベント、トーク「アスリートのコミュニケーション」に行ってきた。「コミュニケーション」とか言われると行かざるを得ないよね。

                                      「アスリートのコミュニケーション」と言っても、「ファイト!」とか「チェストー!」とか「どんまい」とかそういうことではない。最初に「コミュニケーション」の定義が示された。「言語化する = イメージを言語に変換する」ことで、ここでは典型的には「コーチがどう技術を伝えるか」ということになる。

                                      コミュニケーションの難しさは、選択肢が無数にある中で適切な表現を選ばなければいけないことにある。それはお互いに共有する前提 = 背景情報によって異なる。相手が何を知っているかを知らないと最適な表現は選べない。

                                      慶応大学の加藤貴昭准教授はスポーツの動きの研究を行っている。身体が勝手に反応する「ゾーン」の話、自分の動きを考えすぎるとうまく動けなくなる「チョーク」の話などがあって、"Implicit Learning vs Explicit Learning" の話があった。"Explicit Learning" は直接技術を教えることに対して、"Implicit Learning" は違う表現で教える。学習者はそれを受けて自分で正しい技術を習得する。このほうが、一定期間経った後に覚えている割合が高いという。

                                      "Analogy Learning" は Implicit Learning の一手法。類似性、比喩表現で教える。フリースロー2750回連続成功のギネス記録を達成したトム・アンベリー氏は、その秘訣を「頭上にあるクッキーの瓶に手を突っ込むように」と語ったという。その他、バレエなどでは「操り人形が上から吊るされているかのように立つ」みたいな表現がされているのは知られていることかと思う。

                                      展覧会の一つの出品作品がこの "Analogy Learning" をテーマにしている。例えば「地面を熱したフライパンの上だと思って走る」というアナロジーに対して、右に走っている映像、左に熱したフライパンの映像を配置する。

                                      この作品を作るために、加藤氏が学生に与えた課題「アスリートから自分のアナロジー表現を聞き出してくる」の結果を使った。慶応大学のクラスだと、周辺に各分野のトップレベルのアスリートが多いからこういう課題が出せるという。なるほど、地方大学では難しいだろう、また東大でも難しいかと思った。

                                      最初に、コミュニケーションでは共通する背景知識が重要だということを書いた。アナロジーは、相手も知っていると思われる一般的な知識を用いるので、その点はクリアできているのだと思う。また、「地面を熱したフライパンの上だと思って走る」を言葉にすると「地面への接地面積、時間を短くして ... 」ということになろうが、これを実際にやろうとすると、先に述べた「チョーク」が起き、うまく体が動かない。

                                      アナロジーはスポーツの分野だけでなく、いろいろな分野に適用可能だと思った。実際に使われているのだと思う。自分が何かを説明する上で活用を考えていきたい。

                                      Twitterの最初の投稿

                                      ネットで「Twitterと歩んだ10年を振り返ってみる【前編】」という記事が話題になっていた。
                                      本日でTwitterを始めて10年が経ちます。たぶんアクティブな日本人IDでは上位100人とかの最初期勢です。
                                      ほう。

                                      この人の最初のツイートは

                                      テスト投稿っぽい。

                                      最初のツイートなんてどうやって調べるのか、と思って調べたら、Twitterがそういうサービスを提供しているみたい。

                                      Discover your first Tweet | Discover

                                      自分のIDを入れてみる → https://discover.twitter.com/first-tweet#ryokan

                                      結果がこれ。

                                      はげあたま (@hageatama) さんから遅れて1日、私も今日がちょうど10年目だったよ。

                                      自分の投稿もテスト投稿っぽい。というかTwitterの使い方がわからず、投稿はできるけれども何を投稿すれば良いのかわからなかった。その時々に何をやっているかを記録するものと言われていたので、その通りにしてみましたという感じ。それがどういう意味、価値をもっているか、1年くらいはわからなかったように思う。日本人ユーザーも少なかったし、英語圏の人のツイートを読んでもそれがどう使えるかわからなかった。

                                      そう、最初は英語でツイートしていたんです (Facebookもそうだったな)。IDが最初に来て、その後が動詞でつながるような形式が多かったと思う。
                                      @ryokan wants to ...
                                      みたいに第三人称扱い。

                                      Be動詞は最初の投稿のように抜いて
                                      @ryokan ...ing

                                      としていたと思う。

                                      最初にフォローしたのは日本人だったけど、彼女もアメリカ在住で英語でツイートしていたし。その後、伊藤穣一氏 (@Joi)、大統領になる前のオバマ氏 (@BarackObama)、日本人だとおなじみ小飼弾氏 (@dankogai) ... をフォローしていた。

                                      ツイートしたものをまとめてはてなダイアリーに投稿してEvernoteにコピーするサービスができて (最初の投稿は Tweets of 2009.01.01 ... タイトルは間違いで2010年1月1日でした)、ようやく記録としての意味がでてきたかなと思う。現在このサービス twtr2src はサービスを終了しており、今は Twieve を使っている。

                                      現在、Instagram や はてなブックマークから連携してツイートするというのが中心になっている。コメントのやりとりも Facebook が中心になっている。Facebook のほうがアクティブに読んでくれる人が多いしね、SNSはやはりアクティブユーザーの数で価値が決まってくる。

                                      収益化にも苦労しているようだし、今後Twitterはどうなっていくのかなと思う。

                                      2017/03/26

                                      これぞ暁斎

                                      暁斎の絵はたぶんいろいろなところで見ていたんだろうけど、最初にちゃんと認識したのはNHKのテレビ番組だった。それは、あまり知られていない画家を紹介するシリーズの一つで、そのときは「狂斎」の名前で記憶した。

                                      だから、2015年に三菱一号館美術館で「画鬼・暁斎―KYOSAI 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル」展 (PDF)があったとき、「あれ? 『狂斎』じゃなかったっけ?」と思い、検索して調べたことがある。Wikipedia 「河鍋暁斎」によると
                                      号は「ぎょうさい」とは読まず「きょうさい」と読む。それ以前の「狂斎」の号の「狂」を「暁」に改めたものである。
                                      とある。

                                      三菱一号館美術館の展覧会は、NHKの番組で気になって以来初めての大型展で、堪能できた。コンドルとの関係で建築まで言及されていたのが興味深かった。

                                      そして今、Bunkamuraで「ゴールドマンコレクションこれぞ暁斎!世界が認めたその画力」展が行われている。その内覧会に参加する機会をいただき行ってきた。ナビゲーターはブログ「青い日記帳」のTakこと中村剛士さんと、ジャーナリストのチバヒデトシさん。

                                      三菱一号館美術館の展示は、改めて今回のBunkamuraの展示と比較すると、真面目で堅い印象になる。今回の展示が不真面目というのではなく、暁斎の「楽しさ」、「可愛い絵」が強調されていたように思う。そしてそれを支える狩野派に学んだ基礎の画力、浮世絵や山水画その他の画法への挑戦、書画会や注文に応じて絵を書き上げる多作ぶり、そしてその中でもバリエーションを生み出していく好奇心の強さ、今回のトークのおかげで、それらがよく分かった。

                                      今回、「私の一枚」を選んで紹介してください、という指令が出ていて、いろいろ悩んだ末、結局は人気が高そうなこの「百鬼夜行図屏風」を選んでみた。


                                      右から左に妖怪たちが行進する。しかし行き着く先には太陽が出ていて、慌てて反対方向に逃げる妖怪たち。妖怪それぞれがユーモラスな個性があって、見ていて飽きない。

                                      これ以外にもいろいろ魅力的な絵がたくさんあった。

                                      右は「五聖奏楽図」。磔にされるキリストを、釈迦、孔子、老師、神武天皇が囃し立てているところだという。明治初期にキリスト教が解禁されたのは日本の宗教界特に仏教にとっては大事件であったことが背景にあるが、とはいえそんな深刻さは感じられずユーモラスだ。キリストが扇子と和楽器の鈴を持っているのも面白い。

                                      こういう絵が描けるのも、ゆるい宗教観をもつ日本ならではと思う。いやいや不平等条約が残っていた当時の後進国日本でこんな絵があることが知られたら国際問題になっていたかも。

                                      左は「大仏と助六」。大胆な構図で、最初は近づいて見ていたので、タイトルにある「大仏」って何? と思った。

                                      鴉の間。今回鴉図が20点近く出ている。鴉は、明治14年内国勧業博覧会で「枯木寒鴉図」で最高賞をとったように、暁斎のお気に入りのモチーフだったようだ。頼まれてささっと描くのにもよく使われた。同じように見えるがそれぞれに違いが出されていてバリエーションがある。

                                      細かく描きこんでいるもの以外に、太い筆で大胆に描いたものも魅力的だ。特に蛙などの動物に多い。

                                      春画コーナーもあるよ。三菱一号館美術館でもあったけど、やはり今回のが楽しい。子供の絵本にあるように、手で動かす仕掛けがついたものもある。

                                      会期があと3週間ですので、ご注意ください。

                                      展覧会情報
                                      開催期間: 2017/2/23(木)-4/16(日) ※会期中無休
                                      開館時間: 10:00-19:00(入館は18:30まで)毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
                                      会場: Bunkamura ザ・ミュージアム
                                      入館料(消費税込): 一般 1,400円、大学・高校生 1,000円、中学・小学生 700円

                                      なお、本記事の写真は特別の許可を得て撮影したものです。

                                      2017/03/11

                                      ソニー エレクトリカル アンサンブル

                                      銀座のソニービルが今年3月31日までで、その後閉館になる。それにあわせて "It's a Sony 展" が行なわれている。実は会期が二つに分かれていて、前半 2月22日までがこれまでのソニーの歴史や歴代製品を辿るもので、残念ながら行きそびれてしまっていた。

                                      今日は午後から公開シンポジウム「インタラクションを通じた信頼と共感」に行く予定だったので、午前中行こうと考えていた。「考えていた」というのは結局行っていないということだ。

                                      最初に汐留のパナソニック汐留ミュージアムで「マティスとルオー展」を見て、それから歩いて銀座に向かっていたら、途中に資生堂ギャラリーがあって、吉岡徳仁の展示をやっているじゃないですか。これは寄らざるを得ない。

                                      資生堂ギャラリー 吉岡徳仁 スペクトル − プリズムから放たれる虹の光線

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                                      先にロッテリアで昼食にしてからソニービルに入った。

                                      そしたら、8F OPUS「エレクトリカル アンサンブル -ソニーを奏でる、みんなで奏でる-」というのをやっているではありませんか! ついついふらっと ...

                                      このイベントはこれまでの各種のソニー製品を電子楽器に仕立て上げたもの。客が自由に音を出せる (演奏する、とは言い難いな)。例えば、中高生憧れの (高くて買ってもらえない) スカイセンサー5800 は、チューニングダイヤルで周波数があうと音が出る仕組み。その前の壁面ディスプレイに音の様子がグラフィカルに示される。

                                      #エレクトリカルアンサンブル

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                                      そこの女性スタッフに撮ってもらいました。

                                      その後もその女性スタッフがそれ以外の楽器も説明してくれたので結局全部体験した。

                                      その後、アーティストOpen Reel Ensemble の演奏スペシャルムービーが流されてそれも全部見てきた。

                                      Open Reel Ensemble #エレクトリカルアンサンブル

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                                      という訳で "It's a Sony 展" 第2部は見れなかったのでした。まだ3月31日までチャンスがある! ... って大丈夫かな。


                                      イノベーションの作り方

                                      3月7日、ドコモ・イノベーションビレッジ (公式ページFacebook)が主催する勉強会「イノベーション創出法を学ぶ。2名の専門家によるイノベーション創出に向けた整理、思考法の解説」に参加してきました。

                                      第1部「イノベーションマップから始めるアウトカムデザイニング」は、イノベーションとは何かから始まり、イノベーションを分類整理したイノベーションマップを紹介、これを用いてどうイノベーションを創出するかというお話。

                                      イノベーションは、持続的イノベーションと破壊的イノベーションに分けられる。それぞれはさらに2つに分類され、全体で4つの類型が得られる。

                                      • 持続的イノベーション: 今までの製品、サービスをよりよくしたもの。既存顧客を対象にする。
                                        • 漸進的イノベーション
                                        • 飛躍的イノベーション - アナログレコードからCD
                                      • 破壊的イノベーション: 新しい価値を提供する。新しい顧客を対象にする。
                                        • ローエンド型破壊 - QBハウず、イケア、ユニクロ
                                        • 新市場型破壊 - ウォークマン、ルンバ
                                      また、変化を起こす対象に関しても3つに分けられる。
                                      • プロセス・イノベーション: やり方を変える
                                      • サービス/プロダクト・イノベーション: 製品、サービスを変える (通常よく言われるイノベーション)
                                      • メンタルモデル・イノベーション: 見方を変える
                                      メンタルモデル・イノベーションとしては、ポカリスウェット (スポーツのシーンでなくともスポーツドリンクを飲む)、デビアスのスィートテン・ダイヤモンド (結婚10年目でジュエリーを買おうという意識付け) の例が出された。

                                      イノベーションの類型4つと、対象3つをマトリクスにしたものがイノベーションマップである。この各セルにアイデアを埋めていく。何もないところからアイデアを出すのは難しいので、このように「プロセスに飛躍的な変化を加えると何ができるだろう」といった制約を与えてアイデア出しをするのは有効に思える。

                                      この時に考えないといけないのは「次に生活者に提供すべきアウトカムは何か?」を常に考えるということだ。「アウトプット」が作り出したものに対して、「アウトカム」はその効果である。


                                      第2部は「脳機能の働きからみたイノベーション創出の思考法」。「脳機能」というととっつきにくいが、ざっくりまとめる。

                                      スタノビッチらによる二重過程説では、脳には、直感的思考プロセスを司るSystem 1と分析的な認知を司るSystem 2 の働きがあるとする。System 1は無意識的で連想的な学習で身についたプロセス、System 2 は意識的な学習で身につけるもの。これを繰り返し習慣化するとSystem 1の知識として身につく (考えずに行動できる)。人間の行動は、System 1からの無意識の提案を、System 2 が監視し暴走を抑えることによって成立している。System 1の思考過程は低エネルギーで駆動されるので、人間の進化過程で得た「エネルギー摂取を最大化、支出を最小化」というストラテジーにより、80~95%の行動はSystem 1によってなされていると考えられる。

                                      新しい製品、サービスを出す時に、こういう人間の思考原理を考慮しなければならない。できるだけ意思決定をしなくてすむように、わかりやすく簡単なものが求められる。新しい製品・サービスを導入するのに、生活資源 (お金、時間、空間、能力) を必要とするので、それと生活目的のバランスを考えないといけない。目的に必要な資源が多すぎると、人はそれに取り組まない。

                                      これを聞いて、自動車のことを考えていた。自動車は高いし、使う上においては自動車学校へ通って免許を取らなければいけない。かなり大きな資源を使うものだが、それに見合う目的があったんだよなと思う。自分の行動範囲を大きく広げることができたし、なにより自由度が上がった。女性にモテるための必須条件であったようにも思う (気のせいかも)。今は相対的に効果が薄れてきて、売れなくなるよなと思う。

                                      脳機能を持ち出さなくとも、ここらあたりの考え方は理解ができると思う。

                                      2017/02/16

                                      ラップの文化翻訳

                                      2017年1月11日から開講していたオンライン講座「文化翻訳入門-日本と世界の文化コミュニケーション-」を受けていた。

                                      文化翻訳とは「単に言語を翻訳し、意味を伝えるだけでなく、その文化的意味、背景を含めて伝えるものである」とかいった定義を最初に語ってくれればいいのだが、最初の講義は、文化翻訳とは何かが明確にできないというところから始まる。
                                      書物や文書の翻訳は言うに及ば ず、字幕翻訳でも通訳でも、そこには必ず「原文」があり、それを翻訳した結果としての 「訳文」が存在するわけである。これに対して、社会学、民族学、人類学などにおいて用 いられる「文化翻訳(cultural translation)」という考え方においては、「原文」も「訳文」 も、テクストとしては、ただちには確定しがたいのである。
                                      講義自体もオムニバス形式になっていて、それぞれの講師が自分の専門の中での文化翻訳の事例について語る。

                                      • 文学: 小説と詩 (日中の詩)
                                      • 映画、テレビドラマ
                                      • マンガ
                                      • 演劇
                                      「今だからこその江戸美術」のときと同様に、最後にレポートがある。
                                      「文化翻訳」の身近な実例を最低ひとつ、具体的な作品名とともにあげ、講義の内容を参照しつつ、どうしてその事象が「文化翻訳」と言えるのか、また、その事象がメディア・文化圏を超えるために必要な要件はなにか、序論・本論・結論の体裁を守って論じなさい。(2000字程度)
                                       「今だからこその江戸美術」のときは400文字だったのに今回は2000字。制限を気にせず自由に書けるとも言えるが、2000字も書くことがない場合はつらい。

                                      最初の講義で出てきた「散文は翻訳できるが韻文は翻訳できない。音韻の再生や原文の語順の再現を求められるからである」(Jacobson 1959) を踏まえ、韻文であるラップを題材に取り上げた。

                                      以下私が出したレポート。すこしブログ用に整形した。

                                      ------

                                      ここではラップをとりあげる。

                                      ラップの特徴として「韻をふむ」ことがある。

                                      例えばRun-D.M.C.の曲 "Christmas in Hollis" の最初をみてみよう。
                                      https://www.youtube.com/watch?v=OR07r0ZMFb8

                                      It was December 24th on Hollis ave in the dark
                                      When I see a man chilling with his dog in the park
                                      I approached very slowly with my heart full of fear
                                      Looked at his dog, oh my god, an ill reindeer

                                      ここでは、"park" と "dark" が、"fear" と "reindeer" が韻を踏んでいる。

                                      そこでこの日本語訳をみると、次のようになっている。
                                      12月24日 もうあたりはすっかり暗くなった頃
                                      公園で犬を連れてこごえてるおっさんがいた
                                      おっかなびっくり近づいてみると
                                      犬だと思ったのはなんとトナカイだった
                                      ここには押韻はない。「いた」と「だった」で「た」が同じであるが偶然であろう。

                                      最初の講義で、『「韻文」は翻訳できない』という命題があった。すなわち、「意味」は翻訳できるけれども、「韻文」の「形式」は翻訳できない、翻訳先の言語で原文の「形式」は再現できない、というものである。正確に言えば「形式」は翻案によって新たに作り出す必要があるということだ。

                                      この日本語訳はそこまで努力して原詩の世界を再現する労力を放棄している (CDについてきた日本語訳であり演じるための訳詞でないので当然である)。押韻以前に、音数を揃えてメロディーに乗せること自体が難しい。

                                      では日本語ではラップという文化は輸入されていないかというとそうではない。日本語ラップというジャンルが存在する。

                                      日本語ラップの初期のヒット曲 "DA.YO.NE" をみてみよう。
                                      ねえ ちょっと聞いてよ 私の彼
                                      そこら辺のとは ケタ外れ
                                      すごくお洒落な彼
                                      出会いは私の方から一目惚れ
                                      と全て「れ」で終わっているが、押韻の意味では「え」段で揃えているということになる。そのあとも「会社では凄腕」、「何だって完璧で」と続くことになる。

                                      英語においては、押韻は、
                                       母音(列) (+ 子音)
                                      と子音も含めての一致をみるので、バリエーションは豊富だ。ここで母音列とは、ai, au, ei, ou, eaなどである。また母音の長音も別の音とみなされる (a: など )。

                                      先の例では
                                      "park" と "dark" = a:k
                                      "fear" と "reindeer" = ir
                                      となる。

                                      一方、日本の場合使える子音は「ん」だけで、パターンが少ない。

                                      ならべてみると、
                                       母音のみ: あ、い、う、え、お
                                       母音列: あい、あう、いい、えい、おう
                                       上記に「ん」がついたもの
                                      とせいぜい20個程度になる。

                                      できる詞はどうしても単調とならざるを得ない。下手な歌い手だと御詠歌に聞こえるほどである。

                                      しかしこのような制約の中で、日本語ラップというジャンルが形成されているということは、頑張っていると言えるのではないだろうか。

                                      このように、ラップにおいては作品ごとの翻訳、翻案はほとんどなされていない。これはラップにおいては形式の翻訳が難しいためであった。しかし、日本では「ラップ」という文化自体を輸入し、日本に根付かせていると言える。作品ごとではなく、文化全体として翻訳して身につけていると言えるのではなかろうか。

                                      それは、天婦羅、ラーメン、カレーライス、トンカツを日本流にアレンジして日本文化と言えるものに仕立て上げた日本の「たくましさ」と言うべき特質と考える。
                                      (1467文字)

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                                      レポートの提出が終わると、次は他の受講者のレポートの採点。採点基準が示されており、それを満たしているか否かで採点する。中間点がないのでやりやすいが、「満たしていないと断言するのは酷か」みたいなレベルの時に ×をつけるのはためらわれる。

                                      一人が他の受講者5人を採点することになるので、自分のレポートは5人から採点されることになる。その中の中央値が自分の得点になる。今回満点だったので、5人中3人は満点をつけてくれたことになる。

                                      採点者はコメントもするのだが、ラップを取り上げた点、説明がわかりやすい (特に韻をふんでいるところ) と、好評価をいただいた。これは自分が目指したところでもあるので素直に嬉しい。

                                      2017/02/11

                                      オルセーのナビ派展

                                      2月9日、三菱1号館美術館で行われている「オルセーのナビ派展」のブロガー内覧会に行ってきました。実は抽選に外れて参加できないのに勘違いして行って、ご好意で参加させていただいたのです。

                                      オルセーのナビ派展 http://mimt.jp/nabis/
                                      場所: 三菱一号館美術館 〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2
                                      会期: 2017年2月4日(土)~5月21日(日)
                                      開館時間: 10:00~18:00(祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は20:00まで)
                                      ※入館は閉館の30分前まで
                                      休館日: 月曜休館(但し、2017年3月20日、5月1日、15日は開館)

                                      左: Takこと中村剛士氏 / 右: 三菱一号間美術館館長 高橋明也氏
                                      Takこと中村剛士氏と三菱一号間美術館館長 高橋明也氏のトークがありました。

                                      ナビ派は一般にはあまり馴染みがなく、まとまって出されるのは今回が日本初と言ってよいくらいらしい。これは日本に限らず世界的にそうらしい。私も以前オルセー美術館展があったとき (そんなに前じゃないと思っていたが2010年だった)、その一つのチャプターが「ナビ派」で、そこで初めて知った。

                                      その「ナビ派」とは何か。サイトの「見どころ」から引用する。
                                      19世紀末パリ、ゴーガンの美学から影響を受け、自らを新たな美の「ナビ(ヘブライ語で"預言者"の意味)」と称した前衛的な若き芸術家グループ。平面性・装飾性を重視した画面構成により、20世紀美術を予兆する革新的な芸術活動を行った。
                                      絵としては、ゴーギャンの系譜を引き、面を一様に塗るのが特徴のようだ。その意味で浮世絵に近いところがあり、また実際に浮世絵に影響を受けているアーティストもいて、日本人にもなじみやすいということだ。印象派よりも日本人向きじゃないかとのこと。私も絵画らしい絵画だと感じた。

                                      もう一つの特徴はテーマに暗示された背景、物語性らしい。私の好きな作品 (2010年オルセー展で好きになった) にヴァロットンの「ボール」があるのだが、公園でボールを追う少女、しかし木の影や大人が離れていることにより不吉な予感がある。

                                      フェリックス・ヴァロットン《ボール》
                                      オルセー美術館は印象派で有名なところだが、現館長のこじはる ... じゃなかったコジュヴァル氏の専門がナビ派で、このためナビ派の作品の所蔵を増やしているし、展示もそれまでひっそりあったのが光の当たる場所になったらしい。あとコジュヴァルは自分の美意識のためには強引なところがあってトランプみたいなところがある、という話が面白かった。

                                      なお、写真は普通内覧会では特別に許可されるものですが、今回はそういう断り書きはないようです。一部のボナール作品は撮影禁止、またすべてのボナール作品はSNS投稿はお断りしますということだけで、その日だけの話じゃないように思います。ボナールに関しては「著作権の関係で」という話でしたが、Wikipediaを見ると、亡くなったのが1947年1月23日なので、ちょうど死後70年なんですね。でも70年はちょうど超えたので心配は必要ないと思います。