2016/01/12

村上隆と狩野一信と藤田嗣治

今森美術館で行われている村上隆展 (村上隆の五百羅漢図展) の関連イベント椹木野衣氏の講演を聞いてきました。

トーク「大震災、五百羅漢図と村上隆」

題名の通り、東日本大震災との関連を述べています。村上隆の五百羅漢図はもともと東日本大震災を契機に作られました。
東日本大震災後にいち早く支援の手を差し延べてくれたカタールへの感謝を込めて、震災の翌年2012年にドーハで発表されました。
(展覧会概要より)
テーマに選んだ五百羅漢は、もともと自然災害で亡くなった人の鎮魂、残された人の慰めのために五百羅漢像として作られていたそうです。500という多さは、それだけあればどれかは亡くなった人に似ているものがあるという意味があるとのことです。

今回の講演内容はもうすぐ評論として世に出るということなので、内容に深くは触れず、3人の芸術家 (村上隆と狩野一信と藤田嗣治) が活躍したそれぞれの時代と社会の波乱および自然災害の関係を対比させる視点についてのみ記載したいと思います。

2011年3月、狩野一信の五百羅漢図全100幅の公開が予定されていました。直前に東日本大震災が起こったため、延期され、その四十九日をすませた4月29日に改めて開幕することになりました。

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(江戸東京博物館 五百羅漢-増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師 狩野一信 より)

狩野一信がこの五百羅漢図を制作していたのが、1854年から1863年に亡くなるまで。この頃の日本は、1853ペリー来訪、1858年井伊直弼が大老になり、安政の大獄がああった時期ですが、自然災害では1854年 安政東海地震安政南海地震豊予海峡地震 が立て続けに発生し、翌年 安政江戸地震、さらに翌年の1856年には安政東京湾台風が襲ったとのこと。五百羅漢図にはそういう時代背景がある。

藤田嗣治もフランスに渡ってすぐに第一次世界大戦と恐慌を経験し、さらに帰国後は第二次世界大戦の中で戦争画を制作するなど、世界的に乱世であった時代を生きて来た。それだけではなく、戦争の影に隠れているが  (情報統制により広く報道されないようにしていた)、日本では自然災害が多く発生していた  (1943年鳥取地震、1944年東南海地震、1945年三河地震、1944-45年昭和新山、1946年昭和南海地震、1948年福井地震)。

藤田はその戦争画により軍部に協力したという非難を受けるのだが、私は「アッツ島玉砕」など藤田の戦争画は、国民を鼓舞するというより、戦争の悲惨さを伝えている、いわば戦争画の名前を借りた反戦画だと思っていました。

さて、村上隆が生きる現代もまた、1991年湾岸戦争以降、2001年9.11同時多発テロ、2003年イラク戦争、2015年パリ同時多発テロと、大国対大国ではない新しい形の不安定さが続いている。自然災害の方もそれまで比較的安定していたのに、1993年北海道南西沖地震 (奥尻島津波)、1995年阪神淡路大震災、2004年中越地震、2007年中越沖地震/東電柏崎刈羽原発事故、2011年東日本大震災/東電福島第一原発事故と災害が続いている。

椹木氏は、村上隆の作品に、そういう時代背景を見ている。特に朱雀 = 火の鳥を描いたパートに、宇宙 = 核エネルギーへの言及をみており、また、破滅と再生を見ている。

アートの解釈は、最初は人それぞれであろうと思うが、狩野一信や藤田嗣治との共通項を見出す椹木氏の視点は面白いと思ったし、勉強になった。

時代背景が似ているのはわかったが、時代背景から影響された部分に共通項がどれほどあるのかまでは私自身まだ咀嚼できていないので、私の文章にもうまく表出できていません。申し訳ありません。

2016/01/10

FLOWERS BY NAKED

FLOWERS BY NAKED 内覧会に行ってきました。

FLOWERS BY NAKED は一言で説明するのは難しいですが、「花」をモチーフにしたメディア・アートと言えば良いでしょうか。公式ページには、「花をテーマにしたアート、空間、食、お酒、メイク、ファッション……あなたの周りが花で溢れる女子会」と書いてあります。しまった、「女子会」だったか。

最初は大きな本にテーマが描かれるプロジェクションマッピング "Big Book" がお出迎え。

bigbook

Dandelion Clocks

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桜彩

R. Yoshihiro Uedaさん(@ryokan)が投稿した動画 -

全体像

R. Yoshihiro Uedaさん(@ryokan)が投稿した動画 -

行くまではチームラボの作品と勘違いしていましたが、村松亮太郎氏のチームNAKEDの作品でした。いけばなの草月流ともコラボしており、代表の勅使河原茜氏もいらしてました  (山本寛斎氏もお客様として招かれていたようで、勅使河原さんとお話しされていました)。

日本橋三井ホールでは夏になると生きた金魚を使ったアートアクアリウムが開かれます。これは人気が高く2012年には会場まで行って待ち時間を聞いて断念したことがあります (その後2014年に行くことができました)。このFlowers by Nakedも人気が出るのではないでしょうか。

草月流とのコラボ作品に関しては、草月流自身がダイナミックな作風なのですが、会場全体を暗くしないといけないため、それがあまり生きていなように感じました。その点は残念なところでした。

以下、展覧会の情報です。

会期: 2016年1月8日(金)〜2月11日(木・祝)
時間: 月~木/日/祝日 10時~20時、金/土/祝前日  10時~21時
(最終日2月11日 (木・祝)は、10:00〜17:00)
場所: 東京都中央区日本橋室町2-2-1 COREDO室町1 日本橋三井ホール
チケット料金: 大人(高校生以上)1300円 /小人900円

2016/01/01

あけましておめでとうございます 2016

あけましておめでとうございます。

2016-01-01-nenga

今年もよろしくお願いします。

今年はオンラインコースでビッグデータに挑戦しようと思います。

Big Data University

昨年みたいに1コース1ヶ月という期間が定められていて宿題も毎週あるようなものだとなんとか継続できると思うのですが、これは自分で選んでいくもので、明確なゴールが設定しにくく途中でだれないか心配です。日本語のコースもあるのは嬉しいところです。