2004/08/15
歴史に学ぶ - 日露戦争物語
いつもは反戦の立場に立って書いているのですが、日露戦争100年ということで、このマンガの紹介をしたいと思います。第二次世界対戦の終戦記念日 (敗戦記念日) に、この導入はへんですね。「太平洋戦争の失敗はこのころ既に始まっていた」ということがわかる、江川達也もそれを意図していると思うからです。
なお、このマンガは現在連載中で、秋山真之の少年時代からはじまって、今は日清戦争を描いています。
この11巻では、「死んでもラッパを離しませんでした」のエピソードが描かれています。同じ頃、補給の確保に失敗した責任をとって自害した古志正綱大隊長の話が出てきます。前者は美談として語られますが、後者は大きく扱われることはありませんでした。江川はこれが逆だったら歴史は変わっていただろうと語っています。NHKで日本の敗因というシリーズをやっていましたが (角川文庫で出ているようです)、インパール作戦では、作戦会議で補給路の確保ができないという懸念を述べた人は積極性が足りないと批難され、結局泥沼に入って行きました。これに限らず太平洋戦争では前線の拡大にも関わらず補給は軽視されたようですね。
また、13巻では、平壌の清側の要塞を攻めるところが描かれていますが、誰もいなかった玄武門に対して一番乗りを果たした兵卒が賞賛されたことが描かれています(もちろん批判的に)。
NHK日本の敗因では、ガダルカナルでの戦闘のこともありました。銃剣をもって一斉突撃し、機銃掃射で全滅するというのを、失敗したにもかかわらず何回か繰り返したとのこと (大胆な要約はご勘弁を)。これは日露戦争でうまくいったので、ということを言っていました。日露戦争物語もこのあたりになると、ガダルカナルを意識した記述がでるでしょうか。
日露戦争物語の連載では、現在、清の艦隊との交戦が描かれています。本体命令を無視した行動を取る坪井司令の意図が明かされるが、それは2か月前の海戦で自らがおかした失敗の反省をいかしたものだということがわかる。
明治日本で民間人が必死に富国強兵に邁進する姿も描かれており、「歴史に学ぶ」ということがこのマンガの全体のテーマと思う。そういう意味で今日終戦記念日にマッチした話題ではないかと思います (強引でしたか?)。
ただ、絵と字が細かすぎ、読む気を削ぐのが難点です。
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