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2022/03/19

見て! ミロ展

3月15日に、現在Bunkamura ザ・ミュージアムで行われているミロ展のブロガー内覧会が行われ、参加させてもらいました。

ミロ展 - 日本を夢見て - https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/22_miro/ 

開催期間:2022/2/11(金・祝)~4/17(日)※2/15(火)、3/22(火)は休館
開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)
     毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム 〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1

入館料(消費税込) 当日 前売
一 般 1,800円 1,600円
大学・高校生 1,000円 800円
中学・小学生 700円 500円

解説は学芸員の吉川貴子さん
今回の展覧会の視点は「日本」。ミロと日本の関係にフォーカスをあてます。

ミロは1893年バルセロナ生まれ。そのころバルセロナは、1988年万博から続くジャポニスム・ブームにあったそうで、日本美術を扱うお店もあり、その中でミロも日本にあこがれや興味を持ったと言われています。

このためこれまでも日本文化の影響は言及されてきたそうですが、日本文化に詳しくない美術評論家の解説は、どうしても印象論で語られがち。今回は、様々な角度からミロと日本の関係を明らかにしています。

最初の絵は、ジャポニズムに感化された友人に囲まれて影響を受けたことを示すため、浮世絵を背景にした友人の肖像画から始まります。

《絵画 (カタツムリ、女、花、星)》は絵の中にテキストが書かれています。ミロは絵と文字を区別せず一つの作品に中に入れます。これは、日本の絵巻物など書画に通底する表現ということです。

《絵画 (カタツムリ、女、花、星)》

ミロの初期の作品には細い線が入るものが多いですが、《ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子》には、その細い線と書のような太い線が混在しています。

《ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子》

この黒背景も日本の影響だそうです。西洋では黒は影くらいにしか使われないということです。

その後も、禅の影響や民芸との関係を示す展示が並びます。《花瓶》は花瓶にしては巨大な作品です。これにもミロらしい模様が施されています。

《花瓶》

これは絵巻物。作品名も《マキモノ》です。左の木箱もかわいい。

《マキモノ》

3点全て《絵画》
このあたりの作品は禅の影響なのでしょうか。黒と白の対比。これまで知っていたミロとは大きく異なります。

このように今まで知らなかったミロをたくさん見ることができます。

日本とミロということで、ミロが日本に来た時のエピソードも書かれていました。最初の日本での展示会で来日したときは、日本文化に触れるために日本中を回っています。大阪万博のガスパビリオンに壁画を展示した時には、新たに壁画を描くことを自分から提案して描いています。残念ながら保存はされていないそうです。

ミロのアトリエを再現したコーナーも楽しいです。

グッズもいろいろあって楽しそう。内覧会では時間がなくてカタログだけ買って帰りました。

最後にネスレのミロをもらいました。ダジャレかよ! (人のことは言えないですけど)。

2017/03/26

これぞ暁斎

暁斎の絵はたぶんいろいろなところで見ていたんだろうけど、最初にちゃんと認識したのはNHKのテレビ番組だった。それは、あまり知られていない画家を紹介するシリーズの一つで、そのときは「狂斎」の名前で記憶した。

だから、2015年に三菱一号館美術館で「画鬼・暁斎―KYOSAI 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル」展 (PDF)があったとき、「あれ? 『狂斎』じゃなかったっけ?」と思い、検索して調べたことがある。Wikipedia 「河鍋暁斎」によると
号は「ぎょうさい」とは読まず「きょうさい」と読む。それ以前の「狂斎」の号の「狂」を「暁」に改めたものである。
とある。

三菱一号館美術館の展覧会は、NHKの番組で気になって以来初めての大型展で、堪能できた。コンドルとの関係で建築まで言及されていたのが興味深かった。

そして今、Bunkamuraで「ゴールドマンコレクションこれぞ暁斎!世界が認めたその画力」展が行われている。その内覧会に参加する機会をいただき行ってきた。ナビゲーターはブログ「青い日記帳」のTakこと中村剛士さんと、ジャーナリストのチバヒデトシさん。

三菱一号館美術館の展示は、改めて今回のBunkamuraの展示と比較すると、真面目で堅い印象になる。今回の展示が不真面目というのではなく、暁斎の「楽しさ」、「可愛い絵」が強調されていたように思う。そしてそれを支える狩野派に学んだ基礎の画力、浮世絵や山水画その他の画法への挑戦、書画会や注文に応じて絵を書き上げる多作ぶり、そしてその中でもバリエーションを生み出していく好奇心の強さ、今回のトークのおかげで、それらがよく分かった。

今回、「私の一枚」を選んで紹介してください、という指令が出ていて、いろいろ悩んだ末、結局は人気が高そうなこの「百鬼夜行図屏風」を選んでみた。


右から左に妖怪たちが行進する。しかし行き着く先には太陽が出ていて、慌てて反対方向に逃げる妖怪たち。妖怪それぞれがユーモラスな個性があって、見ていて飽きない。

これ以外にもいろいろ魅力的な絵がたくさんあった。

右は「五聖奏楽図」。磔にされるキリストを、釈迦、孔子、老師、神武天皇が囃し立てているところだという。明治初期にキリスト教が解禁されたのは日本の宗教界特に仏教にとっては大事件であったことが背景にあるが、とはいえそんな深刻さは感じられずユーモラスだ。キリストが扇子と和楽器の鈴を持っているのも面白い。

こういう絵が描けるのも、ゆるい宗教観をもつ日本ならではと思う。いやいや不平等条約が残っていた当時の後進国日本でこんな絵があることが知られたら国際問題になっていたかも。

左は「大仏と助六」。大胆な構図で、最初は近づいて見ていたので、タイトルにある「大仏」って何? と思った。

鴉の間。今回鴉図が20点近く出ている。鴉は、明治14年内国勧業博覧会で「枯木寒鴉図」で最高賞をとったように、暁斎のお気に入りのモチーフだったようだ。頼まれてささっと描くのにもよく使われた。同じように見えるがそれぞれに違いが出されていてバリエーションがある。

細かく描きこんでいるもの以外に、太い筆で大胆に描いたものも魅力的だ。特に蛙などの動物に多い。

春画コーナーもあるよ。三菱一号館美術館でもあったけど、やはり今回のが楽しい。子供の絵本にあるように、手で動かす仕掛けがついたものもある。

会期があと3週間ですので、ご注意ください。

展覧会情報
開催期間: 2017/2/23(木)-4/16(日) ※会期中無休
開館時間: 10:00-19:00(入館は18:30まで)毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会場: Bunkamura ザ・ミュージアム
入館料(消費税込): 一般 1,400円、大学・高校生 1,000円、中学・小学生 700円

なお、本記事の写真は特別の許可を得て撮影したものです。