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2014/05/29

映画をめぐる美術

「映画をめぐる美術」展を見て来た。

映画をめぐる美術 ――マルセル・ブロータースから始める

東京国立近代美術館 企画展ギャラリー
2014年4月22日(火)~6月1日(日)

展覧会は、映画を言語の拡張として捉えていたマルセル・ブロータースの考え方を基軸として構成されている。会場の構成もこの展覧会の構成を反映していて面白い。マルセル・ブロータースの考え方が中心の部屋に据えられ、それぞれのコンセプトごとにそこから繋がる別の部屋に入っていくように設定されている。「シネコンのような」という説明が与えられていた。

第一の部屋は"Still"。シンディ・シャーマンは扮装で映画の主人公になりきる。当然森村泰昌を想起させる。

アナ・トーフ《偽った嘘について》は写真と文字の自動スライドショー。スライドショーというとコンピューターのソフトウェアと思うだろうが、アナログポジフィルムをカルーセル映写機にセットして一枚一枚機械式に切り替えている。違いは多くあるものの基本線はトヨダヒトシ (今年行われるヨコハマトリエンナーレ2014の出展作家) を想起させる。トヨダヒトシは本人が手操作で切り替えるので、このような展示会でずっと見せるということはできず、毎回イベントのような形になる。トヨダヒトシが日常の風景、食べ物、人など、見たものをそのまま撮っているのに対して、アナ・トーフは一人の女性の表情、苦渋に満ちた表情を映し出していく。トヨダヒトシが個々の写真の繋がりを提示せず観客に委ねているのに対して、アナ・トーフは (動きはないものの) 言葉でストーリーが朧げながら浮かび上がる。アナ・トーフが使っているテキストはジャンヌ・ダルクに対する審問の記録という。

第2の部屋のやなぎみわも面白かった。映画部?の女子高生が「レオン」(→ Wikipedia) の二人 (レオンとマチルダ) と「グロリア」(→ Wikipedia) の二人 (グロリアとフィル) を再現するのだけど、同じ二人が演じていて、設定の似た両方の映画を交互に出すので、今どっち?と混乱する。というか考えながら見るのが楽しかった。やなぎみわもヨコハマトリエンナーレ2014の出展作家。

第6の部屋アイザック・ジュリアンの《アフリカの亡霊》は、アフリカの過去の映像、映画で国おこしを図るブルキナファソの現代の風景、アフリカの大地で踊る一人のダンサーを映し出すもの。アフリカの音楽、リズムが惹きつける。

常設展も毎回違っているものが入っていて面白い。今回は Chim↑Pom が入っていて、こういうところに展示されるようになったかと不思議な気がする。川端龍子 (りゅうし) の作品が新しく入ったということで、一つの部屋がまるごとあてられていた。太平洋戦争のための戦意高揚の作品が特集されていた。

2011/07/20

パウル・クレー展

16日土曜日、パウル・クレー展に行って来ました。その日、特別講演会 (無料) があるというので狙ってその日にしたのですが、予約ではなく入るためには並ばないといけなくて、残念ながら講演会は聴けませんでした。

実はパウル・クレーは、小学校か中学校のときに最初に行った展覧会で、それ以来最も好きな画家の一人です。その後も何回か行っていて、展覧会のカタログが2冊、画集というか解説本が2冊ありました。もう要らないような気もしますが、今回の展覧会は展示の構成が面白かったので、今回も買ってしまいました。

どう面白かったかというと、クレーが使った技法で分類して解説してあったところです。有名作品はないけど、その構成が興味深い。

昔は作品を集めるだけでよかったけど、今は背景知識をあわせて提示しないと満足してもらえないんだろうと思います。何年か前のマティス展でも制作の過程が見えるようになっていたし、最近ではBunkamuraでひらかれたジヴェルニーの画家達も画家の交流を浮かび上がらせる企画が面白かった。

一緒に所蔵品展と工芸館も入れるというので、両方みて来ました。工芸にはあまり興味はないのですが、見たことがないような技法の作品が見られて収穫がありました。

2010/02/28

終ってから盛り上がるケントリッジ展

いや私が気がついてなかっただけかもしれないですが。

こんにちは。

先日、メディア芸術祭の後に、東京国立近代美術館で行われていた、ウィリアム・ケントリッジ展へ行って来ました。

ウィリアム・ケントリッジ 歩きながら歴史を考える
そしてドローイングは動き始めた……


最初に京都国立近代美術館で行われ、東京に来ています。その後は広島に行くそうです。

もともとこのアーチストの存在を知らず、計画には入れていなかったのですが、チケットを譲ってもらったので行ってみることにしたのです。同じ場所で開催されている早川良雄展は行ってみようかと思っていて、会期も同じく14日までだったので、併せて見にいけると思って。

ケントリッジ作品は、ドローイングのコマ撮りで作るアニメーションが中心です。原画を複数用意して順に撮影するのではなく、原画を一部消しながら書き加えて行きます。明確なストーリーがある訳ではなく、そういう意味では石田尚志と同様、抽象画のアニメーションです。

一つの大きな部屋の複数の壁を使って複数の作品を展示というか上映しています。音声はその部屋ではレシーバーを借りてチャンネルを合わせて聴くのですが、金曜日ですが建国記念日と土日の間ということもあって、結構込んでおり、すぐには借りることが出来ませんでした。一旦残りの作品を一通り見てからその部屋に戻って来て、レシーバーを返す人を待ってやっと借りてみることができました。

ケントリッジ展自体は好みが分かれると思いました。全体的に暗いトーンの作品なので、私も最初はちょっと自分に合わないかなと思いながら見ていました。ユーモラスではあるんですけどね。

私が興味を引かれたものは、ドローイング2枚を使って鏡を使って立体視できる作品などがあります。それから、真ん中に立てた鏡面円筒に反射させるとちゃんとみえる不思議絵がありますよね。上からテーブルに投影することで、それを動画にしている作品も面白い試みと思いました。







[追記: 京都国立近代美術館の中の人 (@MoMAKyoto) が、この作品の解説のありかを教えてくれました。
キュレトリアル・スタディズ 03 ウィリアム・ケントリッジ???Part II: 新収蔵作品研究《やがて来たるもの(それはすでに来た)》]

これ以外にもあります。→ 京都国立近代美術館 (MoMAK) MoMAKJapan さんのチャンネル

前評判はよく分らないのですが、金曜日でも結構混雑していたので、話題のアーチストなんだなと分りました。ちょうど京都国立近代美術館がツイッターを使っていることが分り (@MoMAKyoto) 、フォローを始めたら、「もっと早く行くんだった」とか「2時間じゃ足りなかった」とか「見逃したー」という声に対してひとつひとつコメントを返しており、やはり後になってからじわじわ盛り上がって来たのだと思います。特に「見逃して残念」と言う声には、3月から始まる広島展を勧めていました。

広島近辺の人は一度行かれると良いと思います。本人によるレクチャー/パフォーマンスが、4月16日に行われますのでこの日は狙い目です。

さて、明日は森美術館で行われている「医学と芸術展」の最終日なんですが、どうしようかな。東京マラソンのコースのそばじゃないのですが、東京の主要駅は混雑しそうです。横浜美術館で行われている束芋だけにしようかな。