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2008/11/10

ワインバーグの文章読本

ワインバーグの本は久しぶり。金曜日に本屋に行ったらあったので買ってしまいました。

ワインバーグの文章読本
伊豆原 弓

翔泳社 2007-11-20
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副題は「自然石構築法」。本を書くのを自然石で壁を構築するのに喩えている。統一感のある美しい壁を作るためには、色や風合いの揃った自然石を集めなければならない。不足しているところにちょうどはまる大きさも必要だ。

ひとつの壁を作るために自然石を揃える (ひとつのテーマの本を書くために材料を揃える) のはたいへんだ。特に最後が埋まらず苦労する。

しかし複数の壁を同時並行に作っているならば、そしてその後にも別の壁を作るつもりならば話は違ってくる。良い自然石を見つけたら全部持って帰り、どの壁にあうかを決めて行けば良い。文章も同じで、日常生活で気になったものはとっておき、どの作品に使うか分類していく。どこにも入らないものは次回用の分類に入れる。

もちろん素材があるだけではだめでその取捨選択、組み合わせ方が重要になる。この本もページ数で言えば多くをそこに割いている訳だが、この本の根幹にこの「自然石構築法」のコンセプトがある。

実はもっと重要なポイントがある。それが

興味のないことについて書こうと思うな。

というルールだ。

でも書きたくないものを書かないといけないことがある。そのときはどうするの?
与えられた課題を受入れ、知性と想像力を使ってそれを変える
と言っている。

ここにはそれ以上のことは書かれていないが、与えられた「課題」に逸脱しない範囲で、明示的に示されていない期待を裏切るということだろうな。レポートにサスペンスタッチを入れてみたり、例示に古典を引用 (本歌取り) したりとか。さじ加減は難しいと思うが、その工夫がただのお仕事をワクワクするものに変える。

なるほどと思わせるところは色々あるのだが、そのなかで「使えない石を捨てる」という章でおもしろい概念があった。まず、あるレシピから「タマネギをバターでキツネ色になるまで炒め、タマネギは捨て、バターをとっておく」という部分をとりだし、
わたしの書くバターには、捨てたたまねぎの風味がとじこめられている。
と書いているのだ。1語につき少なくとも5語を検討した上で選んで残りを捨てるという自分のルールを示し、
不思議なことに残した言葉の中には、もうそこにない言葉の風味がとじこめられているのだ。
と書いている。

これはすごく分る。自分でもそういう書き方をする部分がある。その時に選んだ言葉には、採用しなかった言葉の思いが込められていて、使わなかったけど言いたいことを汲み取ってねと思うことがある。もちろん気付かれないことが多いけど、気付いてくれると本当に嬉しいものだ。自分でも後で読んで気付かないことがあるのでもっともな話ではあるのだけれど。以前書いたものを後で読んで思い出すと、それ以外の書きようがなかったんだと思うこともある。単に成長してないだけかもね。

ワインバーグの本は、プログラミング、ソフトウェア開発プロセス、問題発見/問題解決、コンサルティングというコンテキストで大学時代から読んできた。この本はそれらとはちょっと毛色が違うが、これまで多くの本を書いてベストセラーも出してきた著者のものなのでそれなりの期待を持って読んだし、それは裏切られなかったと思う。しかしこれまでの本よりも内容は薄めとは言えるだろう。

2005/10/02

PRESIDENTの特集「書く技術」

おはようございます。皆さん、ブログの更新頻度落ちてませんか? (人のことは言えませんが...)
「何でもいいから 毎日、実際に文章を書く」
ことが大事だって、丹羽宇一郎さん(伊藤忠商事会長)がおっしゃってますよ。

PRESIDENT 2005年10.17号の特集は「解決!書く技術」。ブログを書く参考になるかと思って買ってきましたよ。

追記: ブログでの文章を書く技術に関して言及している皆さんです(トラックバック送ります)。 -- あざらしサラダさん「♪ブログで上手な文章を書くヒント」

ブログを書く参考になるのは、
人気エッセイストから盗む「読ませるコツ」  山口文憲
ナンシー関 (「なんしーぜき」と読まないように)、酒井順子、ゲッツ板谷 (ダンディ坂野じゃないみたい) などの文章をもってきて、その面白さの解説をしています。

酒井順子さんの文章は、「ある、ある、へえ」の法則、というのの例に使われています。
バレンタインデー直前のチョコレート売り場って混雑してますよね
  → 「ある」 (共感)
明治神宮の初詣も混雑してますよね
  → 「ある」 (共感)
どちらも現世利益を求めているという点で、同じ動機による行動です。
  → 「へえ」 (感心)
という構造になっている、とのことです。使えそうですね。

「脳を鍛える」で話題の川島隆太先生の記事もあります。
脳科学が解明!「書く力を磨けば仕事力も上がる」 川島隆太
文字を書くことによって脳の「前頭前野」が活性化するそうですよ。だからみんながんばってブログ更新しましょう。ただし...
パソコンではなく、「手を使って」書くことが大事だそうです...

「頭がいい人、悪い人の...」で話題の樋口裕一氏の記事
解決「伝わらない、まとまらない、遅い」悩み 樋口裕一
では、テクニック的なことはともかくとして、
一般的には、人は思考した結果を文章に書くものだと思われている。だが多くの人は、考えながら書いている。もしくは書くために考える。書かなければいけない状態に陥って、初めて物事について深く考えることもある。そうすることによって、自分が何を考えていたかを発見するすることにもつながる。
という点に共感しました。こちらも、書くことが考えるトレーニングになるといっているということになりますね。

と、ここまで書いといて、今後も更新頻度がひくかったり、ちっとも面白さが増してない、ってことになったらどうしましょ。

最後にもうひとつ。
知らずに使っている!「ビジネス敬語」誤用辞典  萩野貞樹
敬語って難しいですね。この中で「お求めやすい価格」が誤用として挙げられていましたが、理由がわかりませんでした。

2005/05/25

文体の統一

こんばんは。 本多 勝一です (ウソ)。

先日、"Web Designing" 2005/6月号 特集「伝えたいこと、きちんと伝えるために - 人を惹きつけるWebライティング」の感想を書くことを予告しました。 「書く前に構想を練る」とか、「わかりやすくするための工夫」など当たり前のことも多かったのですが、「ななめよみ」などWebに特有な行動に合わせた書き方等参考になるものもありました。

といいながら、今日は、当たり前の書き方のほうの話題です。

「表記の揺れを取る」という項では、「文体 (です・ます調、である調) の揺れは非常に目立つ。」とありました。これまで、このことには触れていませんでしたが、ここでは、「である」調と「ですます」調を混在させて使って来ました。わざとです。規範にあっていないので、許せないという方もおられるかもしれません。

「わざと」というのは、「意図をもって」ということです。ここで、どういう使い分けをしているのか、まとめておきたいと思います。

まず、「ですます」調と「である」調の基本的な使い分けですが、

ですます調: 語りかけ、説明、説得、依頼
-- 共感を求めたい意見の表明や提案、レクチャーみたいなもの用

である調: 事実の記載、独白
-- 書評のように好みの表明、共感を求めていない意見

というように分けています。最近はですます調が多いようですね。

では混在させている意図を説明します。

ですます調の中にである調:
・自分の意見を述べている中で、事実の記載であることを示すため。箇条書き等。
 -- これは通常の用法です。
・説明の中で独り言を言っていることを示すため。
・リズムを重視して意見の内容を外に出したもの。
   -- 説明が難しいな。例えば、
  XXXするべきだと思います。そしてそのことによりYYYし、ZZZにつなげる。
  というように実は「つなげる」のあとにも「思います」をおくべきなのですが、
  そうすると、「思います」ばっかりになっちゃうので。

である調の中でですます調を使っている場合:
・事実、独白の中で依頼事項がある場合。
 -- 例えば、「(個人を批判している訳ではないことにご注意下さい)」、「ここつっこみどころですから」とか

というような感じでしょうか。基本的には「モードを変える」ということを意図しています。

もちろんきっちりした規則ではないので、揺れもあります。誤字脱字も (後日うちの校正の達人の紹介をしたいと思います)。暴走も。マジで知らないのかボケなのかいまいち判断不能な文も。

こんな私ですが、5月25日で開設一周年になります。すみません、5月25日のタイムスタンプをつけたくて、途中で出してしまいましたが、rakurakuonsenさんに先に指摘されてしまいました。ご指摘の通り、この話題は自分らしいかなと思って選びました。

一年間みなさんのブログを読ませていただき勉強になりました。コメント、トラックバックもありがとうございます。また、自分のブログを書くためにも、仕入れと称して雑誌や新書をより多く読むようになりました。というより書くためにという意識が読む姿勢を変えたと思います。

なんかおしまいみたいな書き方ですね。冷めた訳でも、飽きた訳でもありませんし、「ブログは終わった」というつもりもありません。今後も「にぶいペース」で続けていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

コメント
 Commented by rakurakuonsen at 2005-05-26 00:11 x
こんばんは。あ~uedaさんだなぁ、というエントリーに、まったくもって場違いなトラバを送ってしまいました。すみません。
初エントリーの日付から1周年になりますね。「いままで、ありがとうございました。そして、これからも、どうぞよろしくお願いします。」という気持ちでございます。。。

 Commented by yoshihiroueda at 2005-05-26 00:50 x
★ rakurakuonsenさん、
ひっそり迎えようと思っていたのですが、気付かれちゃいましたか。
それから私は当初予定通り平常営業に戻します。

 Commented by n0n0n at 2005-05-26 00:52 x
「ここつっこみどころですから」っていうのが良寛さんポイです(笑)
ごめんね、いつも理解できなくて・・・

 Commented by yoshihiroueda at 2005-05-26 02:09 x
★のんちゃん、すみません、 分かりにくいボケで。今後もこりずにおつきあいください。

 Commented by yodaway2 at 2005-05-26 10:44 x
まず、1周年、おめでとうございます!!!――考えてみれば、私もそうですが、1年とは言え、もはや”古参”ブログなんですよね。私が開設したろきには、exciteで15000人位でした。それがいまや25万人に迫ろうとしています。アクティブなブログは、それよりは、ずっと少ないのでしょうけれど、単純に割り算すれば、15倍以上です。すさまじい勢いで拡大してきたと思います。そのなかでは栄枯盛衰もあり、私やyoshihirouedaさん、rakurakuonsenさんらがスタートしたころには声を掛け合っていたのに、いまは更新がストップしていたり、なくなってしまっているブログも、けっこうあるかと思います。こうしてみると、1年、続けてきたというのは、お互いにすごいことじゃないかと、私は思います。これ、ホント、実感です。それぞれのペースで、ときにのんびり、行けるところまで、続けていきましょう。^^

 Commented by yodaway2 at 2005-05-26 10:47 x
あ、本文、エントリーについてのコメント忘れ。続いてですが。文体の話、私もまったく同感ですし、そのようにしています。ひょっとするとデ誌はサイト全体の統一……を、と言っているのかもしれませんが、私は、一つのエントリーの中で、意識してそうすることも多いですね。自分の前に、コミュニケーションしたい相手が座っているとして、その方にどのように話したらよいか……という感覚で、文体を切り替え、切り替えすることだってありますよ。(――よいか、も、です・ます調とだ・である調のプチ混在です。^^)意図的な混在は、あり、だと思います。どうぞ、今後ともよろしく。^^

 Commented by HarryBlog at 2005-05-26 15:07 x
おめでとうごぜぇます。
丁度一番濃い一年だったんじゃないでしょうか。
ウチとも随分やり取りしましたね。これからもよろしくおねがいします。
あ、ウチも文体は全て意図的です。ほとんどが独り言だけど。

 Commented by rakurakuonsen at 2005-05-27 00:21 x
こんばんは。先走ってしまいました、すみません。
blogの場合、だである調とですます調を、本文とコメントで使い分けられるってことがありますよね。例えば、僕の場合は、基本的に本文:だである調(ときに、ですます調)、コメント:ですます調。この混在を構造的に許容しているところが、blogにはあると思います。今、気がつきましたが、僕の場合は、それをいいことに、気張ったり息を抜いたりしているわけで… 
モードの可変性をもともと持っていることによって、その切り替えを容易にしているのかもしれません。僕の場合は、間違いなく、そういう「場」に依存している気がします。
ところで――、見ましたか?
yodaway2さんがやってくれました。
「にぶ刊!Tomorrow's Way」(感涙)。
言葉が示すものは、本当に大きいです。本当に、本当に。

 Commented by yoshihiroueda at 2005-05-28 01:45 x
★yodaway2さん、お祝いの言葉ありがとうございます。それからお祭りへの参加も。たくさんの訪問者を集めるようなブログではないので気恥ずかしい一方、いつも見てくれている人がいて評価していただけるというのはありがたいことです。
私もブログって何? 日記とどう違うの? と思いながら、中に入ってみないと分からないというモチベーションで始め、当初の目的は達したはずなのに、すっかり抜けられなくなっています。いや、まだブームが安定期に入っていないことを考えると、まだまだ中でその変化を見続けなきゃと思っています。
yodaway2さんのブログは、迫力のある文体が特徴ですね。そのなかにあってふっと力の抜いた文はよいアクセントですよね。
今後も御愛顧のほどを。

 Commented by yoshihiroueda at 2005-05-28 01:51 x
★はりーさんとは往復書簡みたいになったことが何度かありました。これもブログの魅力ですね。あ、まだ私がボール持ったままのものがあったような... ゆっくりと続けていきたいと思いますので、今後もよろしくお願いします。はりーさんの文体も一貫していますが、ときどき別人格の書き手が現れますよね。

 Commented by yoshihiroueda at 2005-05-28 02:00 x
★rakurakuonsenさん、書きかけを中途半端に出して申し訳ありません。コメント欄は「ですます調」にしている人は多いですね。ここは対話で、本文は主張のモードになっているからでしょうね。ブログのいいところは、ただの主張の場ではなく、フィードバックがいただけることです。その意味でコメントを下さる皆さんを大事にしていきたいと思います。