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2008/06/12

ロスジェネがなかったので...

... こんなのを買ってきました。8日、日曜日のことです。

晋遊舎ムック m9(エムキュー) Vol.1

4月26日発売だったんですね。全然気づいていませんでした。

◆【特別対談】小飼弾×赤木智弘/希望は「戦争」か、「テロ」か?弱者は団結するな! 散開しろ!!

一方のロスジェネ

【対談】 僕らの希望は「戦争」か「連帯」か
赤木智弘(ライター)×浅尾大輔(作家・本誌編集長)

とりあえずの代替と思ったけど、「戦争」と「テロ」、「連帯」と「散開」、比較するといいかもね。

で、m9の特集は、これ。

◆特集「激論」格差・ニート・ワーキングプア

そして、これを買ったのは8日、日曜日。そう、この日です。

通り魔:東京・秋葉原で7人死亡、10人重軽傷 トラックではね、次々刺す (AFP 2008年06月08日)

昔だって格差、貧困、彼女できない、はあっただろ、みんなそれぞれ解決はできなくとも折り合いをつけて生きてきたんじゃないの、甘えるんじゃないよ... と思うところなんですが、その後の報道や、ブログ記事や、そしてこのm9を見ていると、単純にそう考えていては何も解決しないなと思うようになってきている。いやもちろん許されることではないのはわかっているけれど、むしろ許せないと思う気持ちが強いのだけれど、それを「許せない」で終らせてはいけないという声が聞こえてくるのだ。

最後になりましたが、亡くなられた方のご冥福をお祈りします。亡くなられた方の命の重さは同じだということはわかってはいるのですが、被害者のご老人を介護しようとして背後から刺された武藤舞さんのことは特に心が痛みます。

■ 関連記事

うえぶろぐ 2008-06-05 「快楽としての戦争、かあ」
うえぶろぐ 2008-05-08 「格差に関して」
ダーサの一夢庵 2008-06-11 「もやもや」
about ・ぶん (ぶんさん) 2008-06-11「考えさせられた記事」
-- 雨宮処凛さんの引用
その行動が正当化されるはずもないのは言うまでもないこと、だからこそ、「なぜ」を問うことが何よりも必要なのではと思います。
『それを「許せない」で終らせてはいけないという声』はここから聞こえてきたのか...

内田樹の研究室 2008年06月11日 格差社会論(再録)
404 Blog Not Found (小飼弾さん) 2008年06月11日 「フェア(Fair)って何(のため)?」
何かごにょごにょ言ってます 2008-06-10 【秋葉原無差別殺傷】人間までカンバン方式
-- 「折り合いをつけて生きてきたんじゃないの」と書いたけど、人とのつながりがあったからできたということかもしれない。
CLick for Anti War (九郎政宗さん) 2008-06-11 「すべての虚構の、現実に対する敗北」
-- 結果として2ちゃんねるは、今回の事件を止められなかった。俺はそのことを情けなく思う。

2008/05/08

格差に関して

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち
ポール グレアム Paul Graham


「ハッカーと画家」を読んでいるのだけど、その中に格差を肯定する論を述べた章がある (補足: このポール・グレアム「ハッカーと画家」はすごく面白い本です。計算機オタクには特に)。

・格差がある社会の方が社会全体で豊かだ。格差のない国の上層は格差のある国の下の層より貧しい。

このベースには、富が一つのパイであって格差はその切り方で生じるものという考え方ではなく、富 (これはお金に限らない) は新たに産み出せるものであって、富を多く産み出した人が上に伸びることによって格差が生じているという考えかがある。さらに、新しく産み出された富の多くは世の中全体にもたらされるものという認識による。

例として出されたもののひとつにスティーブ・ジョブズがある。ジョブズは金持ちになるのに誰かのものを盗んだり誰かを貧乏にさせた訳ではない。生産性をあげたり無から富を紡ぎだせるコンピュータを世の中に提供することで、世の中を豊かにし、自分も豊かになった。

付け加えると雇用を創出したこともあげられるだろう。

それはそうかもしれない。鄧小平の考え方「先に豊かになれる人が豊かになり、豊かになった人は他の人も豊かになれるように助ける」もそうなんだろう。

しかしこれは、民主主義に裏打ちされた資本主義のもとで成り立つ話で、ナイーブに過ぎるといえるだろう。

鄧小平の考え方も後半部分は実現できていない。それは中国の経済成長が「安い労働力」を競争力にしている部分が大きいから。すなわち、国民に都市戸籍と農村戸籍の二重構造があり、農村が豊かになれないことを前提にして経済成長が成り立っているといえるのだ。

アメリカだって同じ。アメリカの戦争、特に冷戦後の戦争の意味を考えてみると分るだろう。二酸化炭素の排出も、排出権を買わずに排出しているということは、排出権という資源を搾取していると同じだろう。

コンピュータなどハイテク分野では他を貧しくすることなく富を作り出せると言うこともできるかもしれないが、何らかの資源がからむところでは、そしてそれはほとんどの経済活動がそうなのだが、どうしてもパイの奪い合いは避けられない。

そしてパイの奪い合いは分野を越えて発生する。バイオエタノールの生産への補助が食糧の価格の高騰を招き、貧困を拡大している。

最初の話から大きくなり、散漫にもなってしまったが、「格差」ということを言い出すと、いろいろな思いが生じてしまうのだ。

中島聡さんの『「少年よ大志を抱け!」よりも「若者よどん欲になれ!」の方が良くないか?』を読んでいて、特に後半に出てくる
 そもそも資本主義というのは、「企業や個人が自己の利益を最大にするためにする経済活動が社会全体に利益をもたらす」ように設計されている。社会主義の国ならいざ知らず、日本が資本主義の国である限り、人々の「利益を追求する」強い欲求があってこそ経済活動がさかんになり、それが国力につながる。
の部分で、このポール・グレアム「ハッカーと画家」の格差に関する記述を思い出した。同じナイーブさを感じるが、ひとつのブログ記事でそこまで言及していないからと言って批判するつもりはありません。

それからこれもちょっと関連する話題。
切込隊長BLOG: グローバリズムは何故、貧困を引き起こすか

2007/10/26

その他90%の人たちへのデザイン

PingMagの家紋の一つ前の記事にも注目。

その他90%の人たちへのデザイン (PingMag 2007/10/24)

その他90%の人たちへのデザイン、って "computer for the rest of us" とかそういうことではありません。発展途上国の人々の生活を助けるための製品。安くできて今役立つもの。電力などインフラが整備されていない場所でも使えるもの。そういうものを集めた展覧会がDesign for the Other 90%

最初に出されているのは、タイヤ型の水の容器Q-Drum。転がして運べる。なぜこのようなものがなかったのかと思いますよ。


One Laptop Per Childも含まれていて、教育も重要ではあるのですが、まず命を守るための技術、デザインに惹かれます。

キュレーターのシンシア・E・スミスさんの言葉
私はこの展示を見た人々が、貧困にピリオドを打つためのアクションというのは私たちの誰もができることなのだと気づいて、様々な可能性に目を向け始めてくれたら、と願っています。
何かの問題を解決するとき、自分の得意分野で考えがちではあるのだけれど、そうでなくともイノベーションは起こせるということを意識しておかないといけませんね。