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2014/01/10

アージェント・トーク022

1月7日、森美術館で行われた

アージェント・トーク022:「具体:すばらしい遊び場所」展から考える日本美術のグローバルな位置

を聞いてきました。

「具体」に関しては一昨年国立新美術館で展覧会が開かれたので行って来ました(→「具体」展)、昨年はニューヨークのグッゲンハイム美術館で開かれていました。そのキュレーターの一人ミン・ティアンポさんのトークです。

日本の美術をどう世界の中で位置づけるか。それは今も日本の美術界のテーマであるのでしょうが、現在は村上隆以外は海外に打って出るような動きはあまりみられないと感じています。もちろん個人個人では意識している人も多いのでしょうが (ヴェネチア・ビエンナーレで日本館として賞をとった田中功起もその一人でしょう)、全体の力になっておらず、日本の中で分ってもらえればいいというようなスタンスに見えます。

このトークの中で面白かったのは、「具体」が雑誌というかカタログを作成して世界の美術家に送付していたということ。今はインターネットが使えますが、当時そういうものはない中で、世界に発信していたというところです。数こそ多くは配れませんが、物理的に存在するものは強いですね。

美術というと、美しいか美しくないか、されに現代でいえば、好きか嫌いかの差しかないように感じていましたが、全世界の中で相対化し美術の歴史の文脈の中に位置づけることが重要なんですね。国際公用語としての英語はそのためには重要ということで、会場とのQ&Aの回答中に言われていました。

2012/08/19

「具体」展

もう1ヶ月前になりますが、国立新美術館で行われている「具体」展に行って来ました。

「具体」-ニッポンの前衛 18年の軌跡
展覧会Facebookページ: http://www.facebook.com/gutai.nact

「具体」というグループの存在自体知らなかったのだけれど、時代を切り開いていった集団だったんですね。彼らの熱気とその変質が感じられる展示でした。

「熱気」というのは、「これまでになかったものを作る」ことを目指していたことが伝わります。様々な素材、動く作品、音の出る作品、美術館から出たインスタレーション、アクションペインティング等制作方法、観客が参加することで成立する作品、朽ちる等変容を受容した作品 ... きっとグループ内でも、誰が最初にやったかで競争になっていたのだと思います。

きっとそこには、作品を「売る」という意識はなかったでしょう。しかしフランス人美術評論家ミシェル・タピエ氏がこのグループを世界に紹介し出したことで「変質」が始まります。彼は画商でもあったため、作品が売買の対象になります。売るためには保存、移動ができないといけません。前衛であることには変わりはなかったでしょうが、活動の中心がタブロー形式の絵画に移って行きます。

これは想像ですが、作家の意識も「新しい」ものよりも「売れる」ものにシフトして行ったのではないかと思います。ある作品が売れたら、同じような傾向の作品が求められるようになる。それは「画風」という意味で非難されることではないですが、グループ内では、また個人としても葛藤があったのではないかと思います。

最初の「新しいもの」というところに戻ります。

展覧会の解説には、これが関西の、しかも、高級住宅街を擁する芦屋を中心する活動だったので、受入れられ育ったとありました。土地全体に進取の気性に富んでいたとのことでした。展覧会もデパートで行われるなど、上流階級だけでなく、一般にも受入れられていたんでしょう。

展覧会の休憩室では、当時のニュース映像が流されていました。「これが新しい芸術というものらしいです」みたいな表現があって、分らないけれども受入れる姿勢が微笑ましく思いました。今だと、私は分ってますよ的なスタンスで伝えるんじゃないでしょうか。



これ知らなかったんですが、作品だったんですね。当時の再現だそうです。ニュース映像の中では、この紙を破るパフォーマンスが「まさに横紙破り」と紹介されていました。



これは外に展示してあって、見逃してしまいました。「水の彫刻」の再現。過去のニュース映像では「前衛芸術を見て頭が痛くなった人は、これで頭を冷やしてください」って言ってて実際に子供が頭にあてていました。当時は触れたんですね。

9月10日までです。