2018/02/18

Domani・明日展 20th

Domani・明日展は毎年ではないのですが、行ける時は行くようにしています。今年は20回記念だそうですね。おめでとうございます。

過去行ってブログを書いたのが、2010年2014年2017年。2016年も行ったはずですが、ブログには書いていませんでした。

毎回知らないアーティストが多いのですが、今年はこれまで見たことがあったアーティストとして、中谷ミチコ、西尾美也、やんツーがいました。

中谷ミチコは、今回最もいいなと思ったアーティストです。みたことがあるな、と思ったら、2011年に横浜美術館で行なわれた「中谷ミチコ展|境界線のありか」に行っていたのでした。会期中に東日本大震災があったのですね。

それ以外にも2011年のBankART LifeⅢ "新・港村"、2014年の東アジアの夢ーBankART Life4 に出ていたのですが、記憶に残っていません。

今回印象に残ったのは、雨宮庸介です。順番に見ていって、雨宮氏のエリアに入ると、雨宮氏が観客の前で話をしていました。アーティストトークをやってるんだ、と思って聞き始めたら、だんだん変な感じがしてきました。「みんなが同じ方向に走っていて、これは何ですかと聞こうと思ったら、みんな息を切らしていて、これは真剣なんだなと思って、自分も一緒に走りました」というようなプロットが繰り返し出てきて、あ、これはこういうパフォーマンスなんだなと理解しました。

本人はその場で制作を続けていて、声をかけるとパフォーマンスが始まるそうです。でも制作中のアーティストには、ちょっと声をかけにくいかもしれません。

2018/02/17

持続可能な開発

2月14日、東京大学政策ビジョン研究センターの10周年記念国際会議「サステナビリティと国際関係- 持続可能な開発の実現に向けて-」を聴講してきました。

中心のテーマは国連 (UNDP: 国連開発計画) の「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals: SDGs) です。貧困問題、飢餓、教育、エネルギー、環境など、17の目標を設定し、どれか一つではなく、バランスを持った開発を目指しています。

外務省ホームページより

まず東京大学総長の五神真氏より基調報告として、東京大学の取り組みについてお話がありました。東大では未来社会協創推進本部 (FSI) を創設しています。大学というと研究までで、成果を具現化していくことはミッション外となりがちですが、その名にあるように「協創」を目指しています。多くのプロジェクトがありますが、それぞれ何らかの形で、SDGsと繋がっています。それぞれのプロジェクトがどの目標に繋がっているかを示されていました。

国際連合大学学長 デヴィッド・マローン氏の基調報告では、SDGsまでの歴史の話からスタートします。前身のミレニアム開発目標  (2000~) では、SDGsに含まれる平和に関する目標は除外されていました。平和、公正 (justice) は、持続性に大きな影響があります。今回SDGsには、「目標16: 平和と公正をすべての人に」が含まれています。

日本についても言及がありました。福島の原発事故で、日本の取り組みは後退した。しかし、長い間には停滞することもある。長い目で見ていく必要があるということでした。

パネルでは、プリンストン大学 ジョン・アイケンベリー教授、ジャーナリストの国谷 裕子氏、国際連合大学副学長の沖 大幹氏がそれぞれ短いプレゼンを行ないました。

アイケンベリー教授は、気温上昇2℃以内に抑えることが重要で、その影響を4つの項目 (自然災害、海面上昇、農業への影響、移民・難民) で語ります。問題があっても豊かな国は生き残ることができるが、紛争や難民で結局ヨーロッパにも影響が波及するので、全世界的な協調が重要だということを訴えます。

元NHK「クローズアップ現代」のキャスターを長く務めた国谷裕子さんは、その後も社会問題に関して活動を続けられています。その経験から「ある問題の解決が別の問題を生むことを何度も見てきて、悩んでいた。そこにSDGsに出会って、これだと思った」とのこと。SDGsでは、目標間の相互依存性を留意し、バランスをとった解決が求められます。

国谷さんは、SDGsは取り組みの時期に入っていて、企業が取り組みを初めているとのことです。一方日本では、途上国支援の延長という程度の位置付けになっています。今後ビジネスチャンスとして考える必要があると語ります。また、地方自治体での取り組みも始まっています。地方自治体は、人材流出、人口減少、老齢化といった課題が目の前の危機としてあるからです。後で出てきますが、例えば、SDGs Award をとった北海道下川町 では、森林資源を生かした産業、エネルギー自給率の向上などに取り組んでおり、今後はエネルギー外販で13億円の収益を上げることを目指しているそうです。

国谷さんは、「みんなが知って、みんなが取り組む。そうすれば世界は変わる」と語ります。"Imagine" ですね!

沖氏は、水の問題の専門家です。私は以前 BIG ISSUE を読んでこの人のことを知りました。当然、水の問題、環境問題に警鐘を鳴らすのかと思いましたが、意外にも「世界は良くなっている」というメッセージでした。SDGs レポート2017によると、世界の絶対貧困は減っているし、初等教育の普及も進んでいるとのこと。パリ協定では、世界が「化石燃料を使い切らない」と決め、再生可能エネルギーに舵を切っている。

「独り勝ちはない = 一連託生」という考えが広まっており、「グローバル・サウス」を単なる貧困地域としてではなく、労働/消費市場とみなすようになってきた。社会問題、環境問題への配慮は soft law (法律ではないが皆が守る規範) になってきた。

その規範は常に前に動いており、中国ですら変わらざるを得なくなってきている。

このことは大きな希望ですね。これまでは自分の利益のために動いてきた。「ゼロサム」が根底の考え方にあり、自分の利益は誰かの犠牲のもとに成り立っていた。しかしそれは結局「共倒れ」につながる。協力することで自分も相手も利益になるという考え方、そして、無理だと決めてかかるのをやめることがポイントにな流とのこと。

あとはアメリカですね。それから日本も、難民問題や人権、子どもの貧困など大きく遅れているところがあります。

先ほど中国を褒めましたが、南シナ海の支配など、覇権の拡大は世界のためにならないということを早く気が付いて欲しいです。一帯一路も「中国の覇権に従うもの」が参加資格といった側面が感じられます。

最後に会場からの質問を受け付けましたが、取り上げきれないほど多くの方の挙手がありました。最初の人の発言は「日本企業は重要性は理解していても、行動が伴わないことが多い。企業の取り組みをインデックス化して公開したらどうか」というもので、なるほどと思いました。中には「なぜ多くの目標の中でCO2削減が中心になっているのか。日本が80%削減したら鉄鋼セメント以外全産業が壊滅する」というような、これまで「バランスが大事」ということを聞いてなかったのかというような質問もありましたが。

全体的に、希望を感じさせる国際会議だったと思います。

2018/02/10

赤い枝を探せ

三菱一号館美術館で開かれている「ルドン―秘密の花園」展。初日の2月8日にブロガー内覧会が行われ、参加させてもらいました。

トークの様子
まず館長の高橋氏 (右写真) が、ルドンに対する思い入れを語ります。ルドンの《グラン・ブーケ (大きな花束) 》を購入するきっかけになったエピソード、購入後最初の公開が2011年パリのルドン展であったこと、震災の中での苦労、今回のルドン展までに時間がかかったことなど。

ルドンは、印象派の時代にあって独自の道を進み、生涯にわたって多彩な技法やテーマに取り組んだため、「ルドンといえば○○」といったわかりやすいレッテルはありません。ます。それでも普通「象徴主義」と位置付けられるとのことです。

ルドンは初期には木炭画、エッチングなどを使ったモノクロームの作品を発表していますが、発表はしないものの小品の油彩も描いていました。後年、油彩やパステル画など色彩を使った作品を発表します。

今回の展覧会のテーマは「花」で、必然的に色彩の豊かなものも多くなりますが、若い頃植物学者アルマン・クラヴォーと親交があり、その影響を受けた作品が黒の時代にもあります。

配置図
今回の展示の目玉は、ルドンが手がけたフランス ブルゴーニュ地方のドムシー男爵家の食堂の装飾画が日本で初めて揃うことにあります。三菱一号館美術館の《グラン・ブーケ (大きな花束) 》も元はその一つでした。

展示は元の食堂の壁ごとの配置をなるべく生かした配置になっています。元の配置図も示してありました。元は高いところにあっためあまり近寄っては見れないのを、今回の展示では寄ってみることができます。絵自体も上の方は粗く描かれていたのがわかります。次の写真の左の絵C.《人物(黄色い花)》は途中から繋いだ跡がわかります。

また、途中でやめている感じのところもあります (写真右作品《花とナナカマドの実》の右下)。「絵はどこまで描けば完成か」というのははっきり決められないところではありますが、この「途中でやめた感」はその頃の流行だそうです。

トークの中では明治時代の横山大観らの「朦朧体」との類似にも言及がありました。日本人には好まれるのではないかと。

象徴主義に関して、「赤い枝」の話がありました。ルドンの作品の中には赤い枝が描かれているものがある、とトークでいってしまうと、鑑賞が「赤い枝を探せ」状態になってしまう、という話でした。ええ、最初の方の展示まで戻って、横浜美術館所蔵の《二人の踊女》を確認してきましたよ。

これ以外にも、何かを象徴するものが描かれているのですが、ルドン自身は何も語らなかったそうです。

今回写真は特別の許可を得て撮影しています。ドムシー男爵家の食堂の絵の配置を再現した部屋があり、通常はそこでのみ写真を撮ることが可能です。

以下展覧会情報です。なお、4月6日は開館8周年のイベントで、付箋のプレゼントがあるそうです。

「ルドン―秘密の花園」展
http://mimt.jp/redon/
会場: 三菱一号館美術館
    〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2
会期: 2018年2月8日(木)~5月20日(日)
開館時間: 10:00~18:00
(祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は21:00まで)
休館日: 月曜日(但し、祝日の場合、5/14とトークフリーデーの2/26、3/26は開館)
チケット: 一般 1,700円、高校・大学 1,000円、小・中学生500円 
     ※障がい者手帳をお持ちの方と付添の方1名まで半額。


2018/01/17

災害とアート

阪神淡路大震災から23年。

昨日1月16日、森美術館で行なわれた「カタストロフと美術のちから展」プレ・ディスカッション・シリーズ 第3回「阪神・淡路大震災から20余年:体験とその継承」を聴きに行きました。

3回目なんですね。2回目は行けなかったけど、1回目はいつあったんだ? と思ったら2016年の3月にあった「大惨事におけるアートの可能性」で、これには出ていたのでした。

今回の第一部は3人の方のプレゼンがありました。

甲南女子大学文学部メデイア表現学科教授 河﨑晃一氏
兵庫県立美術館学芸員 江上ゆか氏
アーティスト 平川恒太氏

河﨑氏は、震災当日、芦屋市立美術博物館の職員でした。自宅をある程度片付けたら、午前中には美術博物館に出勤し、被災した収蔵物の片付けに当たります。その後2月8日には文化庁から「文化財レスキュー隊」の打診があり、中山岩太写真スタジオ、大橋了介宅から資料搬出など行います。

2000年に行なわれた「震災と美術」展のお話がありました。堀尾貞治氏が被災地をスケッチした作品が印象的でした。

河﨑氏は、「美術がなんの役に立つのか」ということを、皆が、そしてアーティストも考えたと語ります。パフォーマンスや音楽のように即効性のあるものと違って、アートは記憶を担うものと考えているとのことでした。

江上氏は、主にその後に開いた美術展の話が中心です。まずは河﨑氏も触れた5年目2000年の「震災と美術」展です。これは震災を直接に扱ったものと限定する一方で、プロのアーティストだけでなく、絵本や子どもの絵を含み、幅広く紹介していました。作らずにはいられなかった状況を伝えることを狙いとしていました。

特に印象に残ったのは「5年目だからできた展覧会」というところです。それ以降になると記憶が薄れてくる。その前だと心の傷がまだ大きく、皆がまだ向き合う準備ができていない。

10年目は「再生」をテーマにした公募展と記念事業。20年目の2015年には展覧会「阪神・淡路大震災から20年」に合わせて、阪神間の美術館、ギャラリーなどで、全9回のリレートークを行なったということです。
アートアニュアルオンライン 2015年01月16日 阪神・淡路大震災から20年 ―江上ゆか(兵庫県立美術館学芸員)

この9館のうち半数以上は震災後に作られたもの、またその職員の多くが震災時にいなかった人も多いと江上氏は語ります。そのような当事者ではない人がこのような企画を行うことには抵抗があったそうです。その中で詩人の季村敏男氏の「死者こそ当事者、それ以外の人は当事者ではありえない」という言葉がありました。当事者が亡くなっているのならじゃあ誰が伝えるのか、ということを考えたら、自分たちが伝えるほかにありません。また、もっと死に直面した人でも、その直後のままではなく、人はだんだん変わって行かざるを得ないといこともあります。

もう一つ心に残ったのは、展覧会のアンケートに、感想ではなく、自分の当日の体験をぎっしり書いてくれた人がいたということです。その人は多分今までそれは自分の心にしまっていたのでしょう。江上氏は「心のふたを開いてしまった」とおっしゃっていました。

平川恒太氏は、「記憶のケイショウ」というタイトルでお話をされました。カタカナの「ケイショウ」は、「継承」であり、「形象」、「警鐘」でもあります。

彼の作品に、藤田嗣治などの戦争画を黒一色で描いたTrinititeというシリーズがあります。トリニタイトは原爆実験によってできた人工鉱物です。戦争画であること、黒一色で塗りつぶされたように見えること、画材は原爆の副産物、ということで多重の意味を持っています。

第2部は、インディペンデントキュレーターの長谷川新氏と森美術館の近藤氏を加えたパネルディスカッションです。色々な話題が出ましたが、阪神淡路大震災のこの年は「ボランティア元年」と言われるだけでなく、住民が芸術の制作に関わる動き、芸術祭の取り組みの始まりでもあったということが印象に残りました。

というのは、アートの役割として、記録・記憶だけではなく、アートを作ることによる心の癒し、再生・創造を担う役割があるのではないかということを質問しようと思っていたからです。東日本大震災では、遠藤一郎氏の「未来へ号」、Chim↑Pom の「気合い100連発」、蔡國強のいわき回廊美術館での花火パフォーマンス、キュンチョメが帰宅困難者のお年寄りと一緒にPhotoshopでバリケードを消していく作品があった。阪神淡路大震災の時はそういう取り組みはあったのか。


ウソをつくった話 The Story of Making Lies (2015) Short version

"KI-AI 100" by Chim ↑ Pom - YouTube

その答えの一つが「住民が芸術の制作に関わる動き」であったと思います。また、河﨑氏の話の中にも、復興住宅の前の広場をアート作品にした話がありました。それ以外はあまり大きな動きはなかったようだ。大きく違うのは、そこに多くのアーティストが住んでいて、アーティスト自体も被災者だということでしょう。また周りの人も必死で生きようとしている中、アートだ! と花火をあげるのも難しかっただろうということは想像に難くありません。

次の第4回は3月12日に予定されているそうです。次回も参加したいと思います。

参考
artscape (2018/1/15) ディアスポラ・ナウ!~故郷(ワタン)をめぐる現代美術
  -- キュンチョメ作品に言及があります。

追記
震災ということで、巨大クリスマスツリーの話題もちょっとだけでした。このプロジェクトに対する批判は置いておいて、今回、震災に関して口をつぐむ傾向があった被災者の人たちが直接にNo! の声をあげたのは今回が初めてと言っていいとのことでした。

Buzzap (2017/11/20) 神戸市の樹齢150年のあすなろを使った「世界一のクリスマスツリーProject」が醜悪すぎると話題に

2018/01/08

草乃しずか展と中谷芙二子+宇吉郎展

銀座で行われている次の2つの展覧会に行ってきました。

草乃しずか展 煌く絹糸の旋律
会期:2017年12月27日(水)-2018年1月15日(月)※1月1日(祝・月)は休業。
会場:松屋銀座  8階 (東京都中央区銀座3-6-1)

「グリーンランド」 中谷芙二子+宇吉郎展
会期:2017年12月22日(金)~2018年3月4日(日)不定休
会場:銀座メゾンエルメスフォーラム  (東京都中央区銀座5‐4‐1 8階)

草乃しずかは、刺繍作家です。昨年は、ヨコハマトリエンナーレの青山悟、shiseido art eggの沖潤子と刺繍作家に縁がありました。また、三井記念美術館で行われた「特別展 驚異の超絶技巧! -明治工芸から現代アートへ-」でも刺繍絵画が出ていました。

草乃しずかは日本の伝統技法を用いた作品を作り続けています。最初は物資の足りない時代に古い着物をリフォームした作品などが出ていますが、現在はアートの領域に進んでいると言えるでしょう。源氏物語や鳥獣戯画の刺繍による再現、古来からの文様を用いたデザイン、紫式部やエカテリーナなど歴史上の人物をイメージして制作した着物などが出ていました。100歳を超えた母親とのコラボの作品 (母親が古布にアプリケして草乃しずかが刺繍) も興味深いものでした。

展示の中には、明治時代に、それまで職人が作るものだった刺繍が学校教育に取り入れられ、女子の教養になったということも触れられていました。そういえば昔小学校の家庭科で刺繍やったな。その頃は男子の教養でもあったのか。

会場には、刺繍の技法を説明するビデオも流れており、思わず全部見ていました。

またちょうど作家本人のギャラリーツアーがありました。会場は結構な混み様でしたので、それには参加しませんでしたが、ちょっとだけ本人を拝見しました。上品なご婦人でした。

中谷芙二子は、「霧の彫刻」を作り続けているアーティストです。私は、横浜トリエンナーレ2008の三渓園での展示で始めて知ったのですが、大阪万博のペプシ館以来世界各所で出しているんですね。会場にマップがあって、そのうち5作品がビデオで流されていました。昭和記念公園での展示風景では、子どもたちが霧の中で遊んでいたりして楽しそうで良かったです。


中谷宇吉郎は、中谷芙二子の父で、氷の結晶の成長を初めて明らかにし人工的に作った学者です。今回の展覧会では、中谷宇吉郎の業績に関する展示もあり、これはこれで興味深いものでした。

今回の展示のタイトル「グリーンランド」は、石川県加賀市に「中谷宇吉郎 雪の記念館」が建設されるにあたり、父が氷の研究を行なったグリーンランドの氷河の石を持ってきてその風景を作りたいという中谷芙二子の思いから来ています。

初めてGINZA SIXにも行って来ました。右の写真は屋上ですが、雨が降っていなかったらもう少し橋まで行って見たかったです。

GINZA SIXの6階の蔦屋書店も行ってみましたが、アート、デザイン関係の領域が充実していて、楽しいとところですね! 福袋も色々種類があって、家がもっと広ければ色々買ってしまいそうでした。万年筆なども売ってあって、高い万年筆の似合うオヤジになりたいと一瞬思いました。

本当は、アドミュージアムの「思いつく」を考える展にも行こうと計画していたのですが、月曜で休館でした。待ち合わせしていた息子には申し訳ないことをしてしまいました。

2018/01/07

新しい価値を売る (2) セルフィー専用カメラ

ここでアップルが提供しようとしているものはモノではなく、新しい体験であり、新しい生活。私達が買うのはそのモノではなく、それを使っている「自分自身」。以前、「モノを売るのではなく新しい価値を売る」なんて書いたんですが、この商品もそんな感じですね。

engadget (2018/1/5) 撮られる人を確実に笑顔にするカメラ! カシオの「TR mini」レビュー

  • コンパクト型で (わかりにくいな。化粧用品のコンパクトの形)、ふた部分がカメラとライト、下部分がディスプレイ
  • 美肌モードが充実
  • 使っている姿が可愛い
レビューの中の
現実ではないとわかってますってば! だけど楽しい!
とか
TR miniは、時計を巻き戻したとしてもそんなキレイな時はなかったぞ? と思える写真を量産してくれます。それが非現実的であるとわかっています。でも撮れた写真は確実に気分をアゲてくれるんですよね。 
 などを読んでいて、「モノを売るのではなく新しい価値を売る」では、
ここでアップルが提供しようとしているものはモノではなく、新しい体験であり、新しい生活。私達が買うのはそのモノではなく、それを使っている「自分自身」。
と書いたのを思い出しました。この商品も同様に、デジカメを売っているのではなく、 これでセルフィー写真を撮っている自分、パーティーでみんなでとって盛り上がっている自分を買っているのだと思います。

ツイッターに書きましたが、まず世界市場を見ているというのはいいところだと思います。売れることはわかったので、日本でも出せばいいのにと思います。

CASIO INTERNATIONAL TR-M11


2017/12/31

shiseido art egg 公開審査会

shiseido art egg 審査会が今年から一般公開されることになり、抽選にあたったので8月25日の対話型審査会に参加してきました。

shiseido art egg とは
https://www.shiseidogroup.jp/gallery/artegg/
シセイドウ アートエッグは、新進アーティストの活動を応援する公募展です。
  • 毎年3名が選ばれる。
  • 資生堂ギャラリーをどう使うかも審査の基準になる。
  • 選ばれた人は資生堂ギャラリーで3週間の個展ができる
今回の受賞者は以下の三人 (第11回 shiseido art egg/審査結果) で、ここから一人を選ぶことになります。
  • 吉田志穂 
  • 沖潤子
  • 菅亮平
「第11回 shiseido art egg」展 でそれぞれ約3週間ずつ個展が開かれました。

最初に資生堂ギャラリーの沿革の説明がありました。資生堂は1915年に薬局から化粧品への事業転換を測ったそうです。1919年には資生堂ギャラリーを始めました。「芸術を通して価値を会社に取り込む」ことを狙いにしたとのことでした。

shiseido art egg 審査の説明です。新人ということで、「新しい価値観」を重視しているということでした。また、ジャンルにとらわれないということも意識しているとのことで、今回は写真、刺繍のアーティストが入っていますし、菅亮平氏も純粋な絵画の作品ではありません。

吉田志穂さんは、インターネットの世界での写真のあり方を探ります。ネットで見つけた写真の現地へ自ら赴き自分の写真を撮影します。

展示では、「寄り」と「引き」を意識したものにしたとのことでした。引いて全体をみてもらう、寄って細部をみてもらう、両方あって初めて全体を理解してもらえるようにとのことです。

沖潤子さんは刺繍作家です。一旦会社勤めを行なったあと、刺繍で美術の世界に入りました。このため3人の中では一番の年長さんです。

扱う材料は、何か物語のある古布です。入手した布をずっと部屋に置いておき、熟成させるというのでしょうか、何かを感じた時に制作を開始します。

最初はよくわからない作品と思っていましたが、お話を聞いているうちに、自分の内部にある思いや衝動が表出したものになっているのだなと理解できました。

ただ、そういう作風の人だけに、展示方法も審査基準に入っていることは辛いかなと感じました。
菅亮平さんは、「ホワイトキューブ」にこだわった展示です。「ホワイトキューブ」は現代の美術館やギャラリーで多く使われる展示空間。観客に美術館の立地や環境を忘れさせ、アートに没頭してもらうための装置です。しかし菅亮平さんの作品は、そのアート作品がなくなったホワイトキューブ。観客は何もない美術館を歩き回る感覚になります。

審査員は『美術手帖』編集長の岩渕貞哉氏、アーティストの宮永愛子氏、建築家の中村竜治氏の3名。それぞれの候補者に感想を語り、質問もしていきます。

審査は意見が割れました。というよりも審査員の皆さんも悩んでいるようです。

審査基準の「ギャラリーをどう使うか」で言えば、そのような経験も豊富な菅亮平さんが一歩抜きん出ているように見えます。一方、新進アーティストの発掘の場ということを考えると、そういう経験を持った人は本来はあまりいないはずです。

沖潤子さんは年齢的に新人賞を取るのは最後のチャンスだからというのもちらと聞こえてきたような気もしますが、そんなことで決めてはいけない、ちゃんと内容で判断しなければという揺り戻しも感じました。

以前、「アートの評価ってなんだろうね」と書いたのを思い出しました。

結局この日は決まらず (最初からそれも織り込み済みだったのかもしれません)、後日発表ということになりました。

私としては、年齢に関係なく、自己の内面の表出が作品になっている沖潤子さんに決まって欲しいと思いました。
→ 2017/10/6 「第11回shiseido art egg賞」審査結果が発表されました。沖潤子さんが受賞されました。おめでとうございます。

後日3年分のshiseido art egg 展覧会カタログをいただきました。ありがとうございます。川久保ジョイも昨年入賞していたんですね。