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2021/02/28

トラNsれーショNs展 (トランスレーションズ展)

21_21 DESIGN SIGHTで、「トランスレーションズ展 −『わかりあえなさ』をわかりあおう」が開催されています。自然言語処理関係者だったら開幕即行くぐらいの勢いでないといけないのですが、昨日、要約、いや、漸く行ってきました。

企画展「トランスレーションズ展 −『わかりあえなさ』をわかりあおう」
http://www.2121designsight.jp/program/translations/

会期:2020年10月16日(金) - 2021年6月13日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2
休館日:火曜日(11月3日、2月23日、5月4日は開館)、年末年始(12月26日 - 1月3日)
開館時間:11:00 - 17:30(入場は17:00まで)
入館料:一般1,200円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料

最初に企画説明があります。この展覧会では、「翻訳」を「理解して、相手がわかる言葉にする」というプロセスだと捉えています。人間が見たものの説明をしたり、自分が考えていることを表明したりする場合も、見たもの/考えていることを取捨選択し、表現する適切な言葉を選ぶところから始めなくてはいけません。そこでの選択ミスは「誤訳」ということになります。聞いたことを人に伝える時にも、録音機のように聞いたことをそのまま伝えることはできないので、要約したり別の言葉で言い換えたりすることが発生するので、同じ言語でも誤訳が生じます。

言語間でなく、この展覧会は様々な非言語の変換を題材にしています。「オンテナ」は音を振動と光に変換し聴覚障害者が音を感じるのを助けます。「見えないスポーツ図鑑」は競技中のアスリートの感覚を感じることを目指しています。さらには「Human × Shark」の研究の先には匂いを媒介としたサメとのコミュニケーションができる未来があるかもしれません。

各展示には持ち帰れる説明シートがあります。片面は日本語、片面は英語です。

展示の中には体験型のものも多くあります。最初の グーグル・クリエイティブ・ラボの「ファウンド・イン・トランスレーション」もその一つ。展示スペースの中央にマイクがあって、画面に表示される質問に答えると、分析の様子がグラフィック表示され、各国語に表示されます。

私は「昨日見た夢はなんですか」という質問に対して、「このコロナ禍の中、みんなを連れて旅行に行ってきました」と言ったつもりでしたが、「この頃、中野中みんなを連れて ... (このころなかのなかみんなをつれて)」と聞き取られ、「中野の全ての人を連れて ...」みたいに翻訳されているのがご愛嬌。

後ろのパネルには転移学習の説明があります。

一つの言語から学べることは、
あらゆる言語に適用できる。
 

これまで見たことのない言語であっても、ある言語の知識があればコンピューターは別の異なる言語を理解できることを研究者たちは発見しました。この発見により、ほとんど知られていない言語や遠隔地の言語、さらには絶滅の危機に瀕している言語でも翻訳が可能になります。

ってざっくり説明しすぎだろ。 

エラ・フランシス・サンダース「翻訳できない世界の言葉」は、文字どおり翻訳が難しい語を集めたもの。絵本として出版されているものからの抜粋なんですね。日本語からは "TSUNDOKU" (積ん読) などが採録されています。

ティム・ローマスの「ポジティブ辞書編集」も同様に翻訳不可能な言葉を集めたものです。これは感情を表す言葉なので余計に翻訳が難しそうです。一方で感情は人類に共通する部分も多そうですから、ある言語のある感情を表す言葉が国際共通語として広まる可能性もあると思います。

和田夏実+筧康明の「…のイメージ」はジェスチャーを画像に変換します。具体的にはふんわり包み込むような動きをすると、正面スクリーンに雲が生まれ浮いて流れていきます。また、手を上下に揺らすと雨が落ちてきます。

永田康祐の「Translation Zone」の翻訳対象は言語ですらなく、日本で揃う食材を使って外国の料理を作るもの。レヴィ=ストロースの料理の三角形 (全ての料理は、「焼く」、「煮る」、「薫製」の3頂点の三角形の辺のどこんかに位置付けられるという説。その後「油:揚げる」が加わって四面体になる) に従えば、全ての国の料理が再現できることになる。ただし手に入れられない材料があるので、そこは「誤訳」が生じることになる。
[検索したら、日本調理科学会誌の記事がありました。]

東南アジアのチャーハン的な料理と焼うどん的な料理を作っていましたが、美味しくできたようです。もととは違うものではあるのでしょうけど、もととどう違うかはわかりませんよね。でもこれは言語の翻訳でも同じようなものです。

自国の材料で他国の文化を再現するということで、以前日本語ラップを「文化翻訳」という視点で考えた「ラップの文化翻訳」を思い出しました。

オンラインでトークイベントも何回も行われていたんですね。もっと早く気づくべきでした。

2017/04/09

Analogy Learning

21_21 DESIGN SIGHTで行なわれている「アスリート展」のイベント、トーク「アスリートのコミュニケーション」に行ってきた。「コミュニケーション」とか言われると行かざるを得ないよね。

「アスリートのコミュニケーション」と言っても、「ファイト!」とか「チェストー!」とか「どんまい」とかそういうことではない。最初に「コミュニケーション」の定義が示された。「言語化する = イメージを言語に変換する」ことで、ここでは典型的には「コーチがどう技術を伝えるか」ということになる。

コミュニケーションの難しさは、選択肢が無数にある中で適切な表現を選ばなければいけないことにある。それはお互いに共有する前提 = 背景情報によって異なる。相手が何を知っているかを知らないと最適な表現は選べない。

慶応大学の加藤貴昭准教授はスポーツの動きの研究を行っている。身体が勝手に反応する「ゾーン」の話、自分の動きを考えすぎるとうまく動けなくなる「チョーク」の話などがあって、"Implicit Learning vs Explicit Learning" の話があった。"Explicit Learning" は直接技術を教えることに対して、"Implicit Learning" は違う表現で教える。学習者はそれを受けて自分で正しい技術を習得する。このほうが、一定期間経った後に覚えている割合が高いという。

"Analogy Learning" は Implicit Learning の一手法。類似性、比喩表現で教える。フリースロー2750回連続成功のギネス記録を達成したトム・アンベリー氏は、その秘訣を「頭上にあるクッキーの瓶に手を突っ込むように」と語ったという。その他、バレエなどでは「操り人形が上から吊るされているかのように立つ」みたいな表現がされているのは知られていることかと思う。

展覧会の一つの出品作品がこの "Analogy Learning" をテーマにしている。例えば「地面を熱したフライパンの上だと思って走る」というアナロジーに対して、右に走っている映像、左に熱したフライパンの映像を配置する。

この作品を作るために、加藤氏が学生に与えた課題「アスリートから自分のアナロジー表現を聞き出してくる」の結果を使った。慶応大学のクラスだと、周辺に各分野のトップレベルのアスリートが多いからこういう課題が出せるという。なるほど、地方大学では難しいだろう、また東大でも難しいかと思った。

最初に、コミュニケーションでは共通する背景知識が重要だということを書いた。アナロジーは、相手も知っていると思われる一般的な知識を用いるので、その点はクリアできているのだと思う。また、「地面を熱したフライパンの上だと思って走る」を言葉にすると「地面への接地面積、時間を短くして ... 」ということになろうが、これを実際にやろうとすると、先に述べた「チョーク」が起き、うまく体が動かない。

アナロジーはスポーツの分野だけでなく、いろいろな分野に適用可能だと思った。実際に使われているのだと思う。自分が何かを説明する上で活用を考えていきたい。

2014/01/12

ソウル東大門デザインプラザ

現在21_21デザインサイトで、企画展「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」が行われており、関連イベントがいろいろ行われています。1月11日、トーク「現場からみる、デザインミュージアムの可能性」を聴きにいってきました。

今回は実際のデザイン関係のミュージアムの関係者によるお話。
  • 東京国立近代美術館の工芸館: 工芸品だけでなくデザイン作品を所蔵している。
  • 竹中大工道具館(神戸市)
  • 東大門(トンデムン)デザインプラザ(DDP)2014年3月開館予定
「デザインミュージアム」という展覧会のコンセプトに近いということもあり、また、韓国から来ていただいたということもあるだろう。話題の中心は東大門デザインプラザにあったように思う。

鄭國鉉氏はここでは総監督という肩書きになっているが、オープン後は館長 (名称は違うかもしれない) 就任が予定されている。もともとサムスンのデザイン部門出身と言うこともあってか、単なる公式発表だけでなく、ざっくばらんに話をしていただき、面白かった。

さて、東大門デザインプラザ (DDP) ですが、ティーザー映像がありました。


このフォルムは! そう、話題のザハ・ハディッドです。

鄭國鉉氏によると、中国にもザハ・ハディッド建築があるが、雨漏りがあったりして、まともに建ったものは少ないという。韓国メディアからもさんざん叩かれているとのこと。しかし、鄭國鉉自身は、その点に関しては心配していないようだ。

外側を構成するパネルは一枚一枚違う。個々にプレスで制作しているとのこと。建築費がかさみそう。

内部も曲線で構成され、遠近感を狂わせる。下を向いて歩いていると頭をぶつけたりするそうだ。また、ポスターには屋根に座っている女性の写真が使われているのだが、なだらかな屋根で比較的容易に登れたりする場所もあるとのこと。開館前には安全対策をするらしいが、そのため無粋な立て看板だらけになるのではなかろうか (笑)。

韓国には一度も行ったことはないのですが、ここには一度行ってみたいです。

「ザハ・ハディッドを見に行こう!」

2007/12/22

牛丼一杯、水2000リットル

こんにちは。冬至より湯治がいいよね。

先週K市オフ会へ行ってまいりました。その感想は他の参加者に任せたいと思います (レポートはともかく感想までって手抜きもいいとこ) が、めめんさん、小霞さん、ゆきさん、まみこさん、すぷりーさんの娘さんはじめまして。今後もよろしくおねがいします。[追記: ゆりりんさんを忘れていました。申し訳ありません。]

遠くまでいくし、オフ会まで時間もあるので、水の展覧会 (21_21 DESIGN SIGHT 佐藤 卓ディレクション「water」) へ行ってきました。本当はこの展覧会はまだ会期もあるし、次の日に終る「鳥獣戯画がやってきた」に行こうかと思っていたのですが、あまりの行列の長さに断念したのです。

超撒水素材を用いた作品というのは、細い棒の上に様々なパターンの凹凸がつけられた超撒水加工の紙皿が載せてあって、観覧者自身が傍に用意してあるスポイトで水をたらし、紙皿をゆらすことができるもの。パターンによって水玉のいろいろな動きが楽しめます。市松模様のパターンだと凸部分と凸部分の間に同じ大きさの水玉が並びます。

「牛丼一杯、水2000リットル」というのは、牛丼に使われるバーチャルウォーター(「ビッグイシュー」参照)の量です。まずいろいろな料理のサンプルが展示してあって、横に食券販売機がおいてあります。その食券販売機のボタンを押すと、食券が出てくるのですが、お金ではなくその食品に用いられているバーチャルウォーターの量が印刷してあるのです。

入り口には逆さの状態でつられた傘がいくつかおいてあって、ポスターのようなポーズで記念写真をとることができます。そしてその写真を送信するとウェブサイトに載せてもらえます。実際にそこでもウェブサイトがみることができるのですが、残念ながらURLがわかりません。どこかにリンクがあると思うのだけど...

展覧会会場を出たら、イルミネーションが点灯されていました。5時前でまだそんなに暗くなかったですが、イルミネーションは十分映えます。無駄に広い贅沢な芝生だなとは思っていたのですが、こうやって芝生にイルミネーションをしきつめると幻想的な世界が広がります。このために用意してたんですね。


手ぶれがめだたないようにその他の写真は小さく...

 

2007/10/16

水の展覧会 2

こんばんは。waterboyです (ウソ)。

以前水の展覧会に関して書きましたが、また水をテーマにした展覧会が行われます。

21_21 DESIGN SIGHT 佐藤 卓ディレクション「water」

TBS「世界遺産」をとるつもりで録画予約していたら、半分「情熱大陸」が入っていて、そこで佐藤 卓が取り上げられていたので知ったのでした。

前回の「チョコレート展」がチョコレートに関係あればなんでもありだったので、今回は「水」をテーマにしていればなんでもありなのかも。「超撥水」素材を利用した作品もあるそうで、楽しみです。

ポスターに使われている逆さにした傘のマークは、「雨水利用を呼びかける世界共通のマークとして提案」しているものだそうで、ルールに従えば自由に使って良いそうですよ。このブログおよびこの記事は「雨水利用活動」ではないのでルールからはずれますが (ポスターのイメージの中には入っていますけどね)。

「雨水利用活動」という意味で、Blog Action Dayのテーマとしてもあいますね、ってもう15日過ぎてましたよ。

2007/07/17

チョコレート展

小さな瞳 夢見るチョコレート... あ、おはようございます。

東京ミッドタウンの21_21 Design Sightで行われているチョコレート展に行ってきました。「チョコレート」をキーワードに、アーティストがチョコレートに関係があると思えば何でもあり、というコンセプトで行われている美術展です。素材としてのチョコレート、色としてのチョコレート、銀紙、カカオ農場で働く人達...

ちょっとフェティッシュの香りも。國村隼や市川実和子が出ている映像作品が面白かった (すみません、アーチストの名前は見たはずだけど思い出せません)。

市川実和子は、男性とレストランに来ている。出されるのは苺一個とかバナナ一本とか料理とは言えない代物。しかしカトラリーは銀紙で包んだチョコレートなのだ。フォークとナイフの銀紙をはがして、バナナを切って食べる。そしてチョコレートで出来たナイフも食べる。ワインゴブレットもチョコレート。飲み終えたら食べちゃう。皿ももちろんチョコレートで、バリバリバリバリ食べてしまう。チョコレートで汚れた口のアップ...

國村隼が出ているシーンは、チェスの駒がチョコレートで出来ていて、相手の駒をとるとそのままチョコレートを食べてしまうのだ。にやりとする男と悔しがる相手。お酒の入った杯になった駒もあって、やはり飲んで杯まで食べちゃう。最後は酔いつぶれる二人。

チョコレートを題材に遊んだというような小ネタ的な作品も並んでいました (もちろん作品は手をかけて作ってるんですが)。美術展にしては親子連れも多く、そのような作品を親子で楽しんでいました。

21_21 Design Sight外観。ミッドタウン・ガーデンの中にあって、入り口さえ目立たないような建物なんですが、展示室は地階にあって十分なスペースが確保されています。
21_21 Q。21_21 Design Sightのショップは、キューブをベースにした屋台です。一台はGOODS、もう一台はFOODSです。
ミッドタウン・ガーデンは広い芝生の庭で、ジョギングコースまで用意してくれています。贅沢だなー。これってリッツカールトンの宿泊客やショップのお客さんの財布から出ていくお金で運営されてるんだよなーと思った次第です。

次は昨日最終日だったヘンリー・ダーガー展について書く予定です。

追記: PingMag「深澤直人:頭の中のチョコレート」に深澤直人へのインタビューが載りました。ここには作品の写真も多数ありますよ。