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2021/01/11

出COVID記

年末から年始にかけ、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に罹患、入院していました。罹患から退院までの経緯を報告します。

2020/12/24

  • 朝体温を測ったら37.2°C。会社からは37.5°C以上の場合出勤を見合わせる指示が出ていて、その基準を満たしてはいなかったものの、急遽在宅勤務に切り替えました。結果的に1週間前の木曜日までしか会社には出社していないことになり、濃厚接触者を発生させずにすみました。
  • 夕方の体温は38.4℃。明日は病院に行こうと考えました。
2020/12/25
  • 朝の体温は37.2°C。会社は休みます。
  • 病院に行こうかと思って体温を測ったら36℃台で、もしかしたらただの風邪の可能性もあるため病院へ行くのはもう1日待ってみることにしました。
  • 夕方の体温は37.9℃。明日は病院に行く。
2020/12/26
  • 朝の体温は37.0°C。病院 (医院) に連絡する時点ではやはり平熱だったけれど、2日前からの状況を話して、発熱外来を受けることにしました。
  • いつもは徒歩で行ける医院ですが、自動車で来ないとみてもらえません。医院の中には入れないため、駐車場から連絡して、事務の人に出てもらって受付。
  • 先生が防護服で出てきてPCR検査の検体 (唾液) 採取。2日で結果は出るとのこと。
  • 夕方の体温は38.2℃。
  • 毎日新聞2020年12月25日 小川淳也議員のコロナ感染体験 「これで軽症なのか」入院11日間
    • "病院は宿舎から1キロほどの距離でした。39度の熱がある中で、ヘトヘトになって歩いて行きました。" 後に出てくる羽田議員も含め、皆さんPCR検査がなかなか受けられない状況にある。
2020/12/27
  • 朝の体温は37.9°C。
  • PCR検査の結果が来ました。陽性。医院から保健所に連絡が行き、保健所から電話連絡が来ます。
  • 保健所からのヒアリング内容ですが、この一週間の症状 (熱、喉の痛み、咳、鼻水)、立ち寄ったところ、LINEを使っているか、ホテルで自分で洗濯ができるか、自宅療養の場合ケータリングが必要かなど、詳細にわたります。立ち寄ったところは通勤とジムで、ジムではマスクをつけて運動して、運動のたびに器具を消毒するのでここも感染源とは考えにくいです。
  • 「神奈川県療養サポート」というLINEアカウントに登録し、ここから毎日2回体温や酸素飽和濃度 (パルスオキシオメーターが送られてくる予定)、各種症状を登録することになります。
  • その後連絡があり、入院、ホテル、自宅待機のうち、自宅待機になりました。「自宅・宿泊療養のしおり」のURL をもらい自分で印刷したものを見ながら説明を受けます。
  • しおりには番号は載っていませんが「コロナ119番」という緊急電話番号があり、それを口頭で伝えられます。この連絡先にはLINEのメニューから電話をかけることができます。
  • でも電話はなかなか通じません。スカイプからその電話番号にかけたら比較的はやくとってもらえました。
  • 細は濃厚接触者になりPCR検査を受けてきましたが、まだ感染していない可能性があります。できるだけ感染を防ぐため、二人の動線を分けます。ベッドとトイレを分け、食事も同じ部屋ではありますが別のテーブルでいただきます。
  • 夕方の体温は37.0℃。夜になると38.4℃まで上がりました。

2020/12/28
  • 朝の体温は38.3°C。
  • 夕方の体温は39.6°C。ここまで体温が上がることは今までなかったので、以前何かでもらったロキソニンを使いました。これは効果があり、汗を大量にかいて体温は35℃台までさがりました。
  • パルスオキシオメーターはまだ届かず、コロナ119番へ連絡。
  • 昨日会社へは陽性であったことを報告していましたが、会社からは保健所からヒアリングされた内容をすべて報告するように指示がありました。あわせて感染しそうなところへの行動(旅行や会食)があったのかなかったのか報告が必要です。後者は「ない」で良いのですが、前者の報告は熱がある中で結構時間がかかり、つらい思いをしました。
  • 立憲民主党 2020年12月28日 福山幹事長、羽田雄一郎参院議員の逝去について記者会見
    • PCR検査が直ぐに行われないことが問題。自民党ならスケジュールを捻じ込むことができただろう。国会議員は所属に関わらず特別枠があって良い。
2020/12/29
  • 朝の体温は38.0°C。
  • 夕方の体温は38.3°C。その後39.5°C。再度ロキソニンを使う。
  • 高熱が続くので、コロナ119番に連絡して不安を訴えたら、「今ウイルスと戦っている証拠です」と言われて納得してしまいました。ここで納得していなかったらもう少し軽く済んだかもしれません。
2020/12/30
  • 朝の体温は38.6°C。
  • 夕方の体温は38.9°C。
  • パルスオキシオメーターはまだ届きません。忘れているのではないかと伝えてようやく夕方持ってきてきてくれました。測定したところ酸素飽和濃度93%。今日の2回目の報告は行っていたが、再度登録。これでようやく症状の深刻さが伝わったようです。

2020/12/31
  • 朝の体温は39.6°C。またロキソニンを飲んだところ35.2℃にまでなりました。
  • 酸素飽和濃度は「深呼吸して測り直してください」と言われて測り直したところ95%。一応良さそうに見えるが、入院に切り替えるという話になった。
  • 入院先の調整ができて、海老名総合病院に入院することになりました。
  • 民間委託の救急車 (ワゴン車で運転席と後部座席はポリエチレンシートでシールドが作ってある) で搬送。羽田議員の件もあるので、途中容体が急変しないかとか非常に不安でした。
  • 入院したら個室に入り、酸素吸入開始。解熱剤としてカロナールが処方されたのですが、これはほとんど効きません。
  • 血栓予防の注射が朝晩行われます。
  • ステロイド剤 (副腎皮質ホルモン) がこれから毎朝投与されます。ステロイドは喘息の特効薬でもあり、肺機能回復に効果があるのではないかと期待しています。
  • 夕食はあまり食べられませんでした。
  • 持ってきた荷物はスマートフォンや歯ブラシなど必要なものを除いてすべてビニール袋に入れて保管されます。汚染物扱いです。通常使っている薬も同様の扱いで、同じ薬が入院先の病院から処方されます。
  • 治療は公費負担ですが、パジャマ、フェースタオル、バスタオルなどのレンタルがありこれは1日500円。毎日替えることができます。下着は使い捨てで1回当たり150円。
  • 細にはスカイプでテキストメッセージを送っているのですが、この日は熱が下がっていなくて、自分で書いていて支離滅裂な内容になっていました。途中で「すみません自分でもまとまった話ができません」と送ったのですが、後から見ても何を言いたかったのか分からなくなっています。
  • 部屋にエアコンのスイッチがなく、一晩寒い思いをしました。次の日にようやくエアコンのリモコンが入手できました。
  • NHK 2020/12/31 東京都 新型コロナ 過去最多の1337人の感染確認 初の1000人超
    • これクリスマス頃の感染だとすると、年末年始の影響は仕事始めの頃から広く影響が出てくる。
    2021/01/01
    • 今朝の体温は36.3℃。平熱まで下がりました。昨日の晩は39.0℃あって結構苦しかったです。シーツが汗びっしょりで最後のウイルスとの戦いだったんだと思います。早く退院できるのではと思います。
    • 細のPCR検査は一旦陰性だったものの、微熱と頭痛が続くため再検査。時間指定で伊勢原まで行ってきたのに、駐車場で1時間以上待たされたそうです。72時間連絡がなかったら陰性とのこと。陽性なら連絡ありだそうです。
    • 病院の食事は冷凍食品のセットが納入されています。朝400キロカロリー、昼は牛乳137キロカロリーを含め620キロカロリー前後、夜は500キロカロリー前後です。あまりおいしくはないし、お味噌汁も冷めていますが、しっかり食べて体力回復に努めたいと思います。


    • 後で看護師さんに聞いたら、通常は食事の支度は看護師はしないそうです。新型コロナ感染症隔離病棟を少人数で回すため、看護師さんの仕事も増えます。
    2021/01/02
    • 6:30で38.4℃。解熱剤を飲みました。
    • 午前中は汗が引くまで待っていたのですが、午後着替えて睡眠をとっていました。ずいぶん楽になりました。
    • 会社からは、富士フイルムグループ社員なので、アビガンを使ってもらうよう交渉してはどうかという提案がありました。しかしこの野戦病院のようなところでそんなVIP待遇が可能なのか分かりません。また、承認は見送りになったはずです。会社にはその旨伝えました。後日この提案は撤回になりました。
    2021/01/03
    • 今朝の体温は37.7℃。今日は氷枕を使っています。
    • 採血。
    • 午後はシャワーを浴びました。一旦呼吸酸素吸入を外してそのシャワーが終わった後もう一度酸素吸入を始めます。この間酸素吸入がないのでしばらくSpO2値が低下していますから、その回復を待ちます。
    2021/01/04
    • CTスキャナーと胸部 X線写真。
    • CTスキャナーで肺炎が広がっていることがわかりました。治療自体はこれまでと変わらず、酸素吸入とステロイド剤です。
    • アビガン使用の依頼は撤回にはなったのですが、医者に「アビガンはどうなんでしょうか」と聞いてみました。「明確に否定されちゃったからね」と一蹴。それにウイルスの拡大を抑えるもので、既に広がった状態では効果はないそうです。
    • 細の再検査はやはり陰性。
    2021/01/05
    • 酸素吸入量を3リットルから2リットルに落としました。
    • 午後シャワー。今日は酸素ボンベをもって入りました。
    2021/01/06
    • 酸素吸入量を2リットルから1リットルに落としました。その後ゼロになりました。
    • ただ寝てると数値が悪くなるのでちょっと早すぎたかも。起きているときは意識して呼吸しているのに対して、無意識で呼吸出来るようにならないといけないのです。
    2021/01/07
    • 個室から相部屋に移りました。ここには酸素吸入の装置はありません。六人部屋に四人入れる運用のようです。
    • 症状が軽くなったら、酸素吸入の装置のある部屋は新しい人に回して、さっさと交代ということだと思います。
    • 換気扇のそばのベッドで換気扇から入る風が寒いしうるさい。どうにかしてくれと言ったのですがどうにもならないようで、自分で換気扇の風を遮る対処をしました。
    • 午後はシャワー。当然ながら酸素吸入はありません。
    2021/01/08
    • 大学の授業がまだ残ったまま入院になったので、病院で資料を作成します。Wi-FiはないのでiPhoneテザリングです。さすがに授業を録画することはできないので、資料のみアップロードします。来週の授業なんですが、もう既に見て出席をつけている生徒もいます。
    • NHK 2021年1月8日 東京都 コロナ検査陽性でも入院先など決まらない人が急増
      • 基本的にホテルと自宅待機で病床数を確保する政策だったはずだが、それ以上に陽性患者を抑える施策ができていないことに尽きる
    • NHK 01月08日 保健所ひっ迫で接触者調査を縮小 (神奈川県)
      • 政策の変更というより事実上不可能になったということだな。抑える施策に政府が消極的だったから仕方ない。
    2021/01/09
    • 今日の回診で明日10日の退院が決まりました。
    • 午後はシャワー。
    2021/01/10
    • 退院。病院のロビーは通らず、裏口みたいなところから出ていきます。
    • 海老名駅まで10分くらい歩くのですが、体力の衰えを感じます。
    • 電車の中で、40代くらいのオジサンが、向かいの席で会話していた男女の近くまで言って文句を言ってた。本人はマスクが鼻にかかってなくてよっぽど怖いよ。殺伐としてる。
    • 帰ってお昼はラーメンにしてもらいました。温かい食事が身に染みる。
    • 夕食はお造りとお節料理風盛り合わせ (黒豆、なます、かまぼこ、大根、角煮、スナップエンドウなど)。少し日本酒も飲んで幸せを感じます。
    • 細の待機も今日で終わりです。
    終わりに

    2020/04/05

    パンデミックと人権 (3) 様々な差別

    この新型コロナウイルス肺炎 (COVID-19) の蔓延に伴い、様々な差別が浮き彫りになっている。

    人種差別・民族差別

    新型コロナウイルスが最初に問題になったのが中国で、このため中国人、さらには欧米人には区別がつきにくい日本人も差別にあっている。

     一般論は怖い。「中国人は」「大阪人は」「名古屋人は」、あるいは「白人は」「女は」「おっさんは」と属性でひとくくりにするのは、そう語る人自身の過去の残念な体験や、意地の悪さを映し出すだけなのに簡単には改まらない。特にこの新型コロナウイルス禍では、一般論好きの人たちがにわかに元気になり、差別と呼ぶのも恥ずかしいような無知、偏見をさらし始める。
    自分の「外」と「内」を分け、「外」を排除するのは、 自分を守るための防衛本能から来ているところがあるだろう。しかしそれを起因する属性以外に広げることと、その「外」に対して攻撃を加えることが差別になる。ここで「起因する属性」というのは「新型コロナウイルスに感染しているか否か」であって、アジア人か否かは無関係だ。また、感染する人から距離を置けばいい話であって、攻撃する必要はない。

    しかしそういう差別意識は、人はだれしも持っているものだろう。なくすのが難しければ自制して表に出さないのが、これまで人権重視が人間の共通の価値観であることを学んできた教養によるものだろう。しかしその自制は非常事態では忘れられていく。

    その差別意識は簡単に利用される。トランプ大統領が『中国ウイルス』と呼んでいるは自分たちの無策を隠すため、日本でも麻生太郎副総理が「武漢ウイルス」と呼んだが、ボスカーさんは「これも無知だけではないだろう」と言っている (無知はもう前提としてある訳だ)。ちなみに、COVID-19 という病名は、発生した土地の名前をつけるとずっと偏見が残るからあえて土地の名前を付けないようにしたということだ。それでもトランプ大統領や麻生氏のように意図的に無視する人間が出てくる。

    ここで「差別や憎悪はメディアやネットを通じて広がるので時にウイルス以上に“感染力”が強い。たちが悪いのは自分が『感染』していると思っていない点だ」という作家ショーン・ボスカーさんの言葉を皆が意識することが重要だ。

    米国最高裁は「差別」と「区別」に明快な線引きを行っている。

    米国最高裁は対象事件での「仕分けの性質」を問うことにした。具体的には「黒人ならこれはダメとか、女性ならあれはダメ」など、自分ではどうすることもできない、生まれ持ったステータスをもってして、特定の権利を受ける人・受けられない人を「仕分けていないか」を問うのである。
    これは各個人が自問自答できる基準であるだろう。

    左記記事より
    そして日赤の訴えも参考になる。

    「ウイルスは心の中にも感染する。特効薬やワクチンはないので自分で連鎖を断ち切るしかない。」
    他の記事:

    差別的な言葉は間違いなく人を傷つける。人を絶望に陥れる破壊力がある。
    感染者・医療従事者への差別

    感染者、感染者と接触した人、医療関係者への差別も続いている。

     医師と看護師の感染が確認された兵庫県小野市の北播磨総合医療センターでは、感染者と接触していない職員や患者、家族らから「ばい菌扱いされた」「勤務先から出勤停止と言われた」などの訴えが相次いだ。ライブハウスでクラスター(感染者の集団)が発生した大阪市では、別の店舗の経営者から「感染リスクが高い『危ない場所』との風評被害が出ている」との声が上がる。
    差別であるだけでなく、「このままでは、感染者が立ち寄り先などに迷惑が掛かると感じ、保健所の行動歴聞き取りに正確な情報を話しにくくなる恐れがある」ということだ。


    日本赤十字社が公表する「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応する職員のためのサポートガイド」の中で
    「未知のウイルスは私たちを不安に駆り立て、ウイルスを連想させるものへの嫌悪・差別・偏見を生み出し、人と人との間の連帯感や信頼感を破壊します。私たちの誰もが、これら3つの感染症の影響を受けていますが、最前線で対応する職員はその影響を最も強く受けることになります。COVID-19対応においては、感染対策(第1の感染症対策)はもちろんのこと、第2、第3の感染症が職員に与える影響を考慮に入れながらCOVID-19対応者へのサポート体制を構築していくことが極めて重要となります」
    と記載しているそうだ。

    医療関係者による患者差別

    医療関係者による患者差別もあるという。


    差別の対象は精神科にかかっている感染者だ。精神科特有の難しさがあるかららしい。彼らをコントロールするのが (まだ) 長けている精神科医と感染病専門医で協力することで対応が可能でないかと思う。

    2020/04/01

    パンデミックと人権 (2) 感染者のプライバシー

    だんだん感染経路が把握できない感染者が増えている ...

    クラスターになればライブハウス、病院、大学名が特定される。一方、クラスターにならなければ名前が出ないので、どういうところを避ければいいのか判断がつかない。

    クラスターを特定するのにこだわるからではなかろうか。感染経路が分からなければ可能性あるところを全部挙げればいいじゃん、と思う。

    それぞれの感染者の名前をマスクして、自宅近辺を除き通ったところ立ち寄ったところを全部集めて重ねる。多くの人が通ったところはそれに応じて濃くなる。それによって危険な地域をあぶりだす。夜のお店はお店の協力が得られないというのであれば街の名前だけ出す。

    これなら感染者個人のプライバシーも守られ、お店の立場も守られるのではないか。その店のある街にとっては迷惑かもしれないが、個々の店で感染対策をしっかりしてそれをアピールすればよい。

    ということを考えていたら、こんな記事があった。

    Courrier 2020.3.28 ユヴァル・ノア・ハラリ「非常事態が“日常”になったとき、人類は何を失うのか」
    うっかりしていると、今回のコロナ危機が、「監視の歴史」における重大な分岐点になるかもしれないのだ。大量監視ツールの標準展開が、それまで展開を拒否していた国で続々と実施されるかもしれない。「皮膚より上」から、「皮膚の下」の監視へと劇的な移行が起きているだけに、その懸念は強くなる。 
    プライバシーか、健康か。両者の二者択一を迫られれば、たいていの人が健康を取るだろう。
    このあと両方をとるべきという方向性が示されるのだが、そのまま押し切られる恐れが大きいと思われる。

    このことに関してはこのパンデミックが終息してからが本当の試練だろう。心しておきたい。

    追記:

    対応が評価されている韓国だが、過剰な対応が批判されている。
    東京新聞 2020.04.02 コロナ対策で浮かび上がる「監視社会」韓国 個人情報をここまでさらしてよいのか

    NHKでも取り上げられるようになった。
    NHKニュース 2020.04.17 ビジネス特集 新型コロナで迫られる“選択” さよならプライバシー




    2020/03/31

    パンデミックと人権 (1) 行動の制限

    だんだん感染経路が把握できない感染者が増えている ...

    自分が感染しているかどうかわからない人から感染が広がっているということだろう。

    そうするとPCR検査を積極的に行って、陽性の人を隔離する必要があると考えるが、そうすると医療崩壊が起こると言われている。幸い発症しても軽くで済む人が多いようなので、陽性の人を病院に入れるのではなく自宅隔離か特別の施設で隔離するようにすれば良いのではないかと考える。今はそうできないということみたいなので、必要なら時限立法等必要かもしれない。

    自宅隔離がうまくいかないという話もある。

    ブルームバーグ 2020/03/02 自宅隔離は感染広げる、武漢の轍を踏まぬよう-中国がイタリアに警告
    研究者らによると、自宅隔離では家族への感染防止を徹底しないばかりか、自由に外出を続けて外で第三者にうつすことも多い。イタリア紙コリエレ・デラ・セラが30日報じたところによると、同国当局が28日に外出禁止の取り締まりを強化したところ、違反者のうち約50人が自宅隔離を指示された感染者だった。
    やはり特別の施設が必要なのか。
    武漢では2月初めにオフィスやスタジアム、体育館を転用した仮設病院に症状の軽い患者を全て隔離し始めてから、感染拡大が劇的に鈍化した。
    現在イベントが中止になっているのでスタジアム、体育館の転用は比較的容易なのではないか。 利用料を国費で出せば損失の一部の充当にもなる。イベント主催者にも何らかの形で行くようにできればいいが、そこまでは出せないかもしれない。

    症状が出ていなくて、検査を希望している人もたくさんいるらしい。希望者にも検査をばんばん行って、安心して隔離施設に行ってもらえば良いのではないか。

    検査は100%正確ではなく、陰性の人も偽陰性の可能性がある。このため、陰性の人も自宅隔離にするという条件を飲んでもらう。数日開けて再度検査し再度陰性ならば自宅隔離をといても良いだろう。

    ただ、隔離は行動の制限であり、自由権の侵害という側面はどうしても出てくると思う。陽性の人を隔離するのはこれまで行われてきている訳で、議論の上で結論が出ているのだと思われる。ここで私が陰性の人も行動の制限をすべきだと言っているのはその範囲外だろう。このため「希望して条件を飲んだ人」に限定した。

    しかし都市封鎖という事態になれば、外出自粛ではなく諸外国のように外出禁止という措置が取られるかも知れない。これは健康な人も含めての話だ。今回人権先進国の西欧諸国で次々と外出禁止などの施策がとられているのは正直びっくりした。どういう根拠に基づきそういう命令が出せるのであろうか。そして日本でも同様なことができるのだろうか。

    日本経済新聞 2020/03/30 緊急事態宣言発令なら知事に権限 自粛要請、強制力なし 官房長官「ぎりぎり持ちこたえ」 から引用:


    緊急事態宣言が出されても「外出自粛」のままで、強制力はないという。強制力のあるものは財産権の侵害にとどまっている。人権の面では抑制されたものになっているのだが、パンデミックを抑えるのに諸外国のような強権的なことができなくて大丈夫かという懸念も出てくる。

    人命と人権ではどちらが大事か問われればそれは人命なのだが、それによって人権がどこまで制限されて良いのかというのは考えていく必要があるだろう。

    追記: 東京都が軽症者の隔離のためホテルを借り上げるようにするという。

    都は軽症・無症状の患者は、病院外で療養させられるよう感染症法の運用見直しについて国と最終調整しており、受け入れ先と想定するホテルと交渉も始めた。
    これをみると、時限立法は必要なく、感染症法の運用見直しですみそうだ。

    そして厚労省も動いた。

    厚生労働省は3日、新型コロナウイルスの感染の拡大状況に応じて、軽症者や症状がない感染者について、自治体の用意する施設やホテル、自宅での療養を検討するよう都道府県などに通知したと発表した。