さて今日の本題。
東電の国有化という話があるようだ (http://t.co/KRR2PkQ)が、それが東電の責任を国がそのままかぶるという意味になるなら反対する。
先日ツイッターで次のように書いた。
ryokan: ソフトバンクの孫さんが主張するようなNTT分離は電力でこそ行うべきだな。スマートグリッド化をすすめ、再生可能エネルギーを使う発電業者の参入を促す。配電新会社を国営で立ち上げる。配電網は東電から買い上げ、賠償の足しにしてもらう。まずは関東圏から。 (Mon Mar 28 23:42:44 +0000 2011)
いっぺんにいろいろなことを書いたので整理すると、
- まず東電に賠償責任があることを明確化する。地震の規模は想定外だったかもしれないが、冷却機構の喪失とそれが回復できていないのは想定外とはいえない(http://bit.ly/fBWvsY)。
- 東電の賠償は基本的に東電の内部留保 (http://goo.gl/NgcF0)の取り崩し、資産の売却でまかなう。
- 資産といっても電力事業者でないと不要なものが大半だろう。受け皿として国有会社を設立する。
- 現在東電が行っている発電と送配電の業務を分離する。新会社はまず配電から。それでも賠償額に足りない場合既存の発電所を順次切り売り。
- 発電に関しては独占とせず新規参入を促す。特に再生可能エネルギーを使う発電業者の参入を促進させる。
- 消費者はいずれかの発電会社と契約する。価格の安いところや、少々高くても再生可能エネルギーを供給するところなど、各自の価値観で選択する。
- 配電会社は各消費者の使用量を計算し発電会社ごとに集計する。発電会社の供給量も計算する。供給量が足りていない発電会社は他の発電業者から購入する。その価格は発電業者間で決める。
- 発電会社が安い価格を設定しても良いが、自社で発電量が足りない場合は他社から仕入れることになるので、そのリスクを見込んで価格設定、契約者の募集をしなければならなくなる。
また、再生可能エネルギーでは主に太陽光発電と風力発電を想定していたが、地熱発電のコストは従来の発電とほぼ同等らしいので日本だと特に期待できるところだろう。火山というと国立公園内という場合も多いだろうが、今の状況だと多少風景を犠牲にしてもエネルギー自立を図るべきだと思う。
各家庭で発電した電気を買い取って売る業者も複数出てきて良いと思う。そのためには買い取り価格も自由化を行う必要があるだろう。
まず関東圏から始めるがうまくいったら全国的に広げる。既存の各地域の発電会社は東電のような賠償の負債を抱えている訳ではないが、配電網の買取で得た資金は原発の安全性の強化にあててもらう。いつ東電のような危機が訪れるかもしれず、そのときに国が救ってくれないと分っていれば、現在の経営陣も安全性強化を先送りにはできないだろう。
地震は不幸なことではあるが、ただ悲しんでばかりもいられない。脱原発から再生可能エネルギー産業を輸出する国にする大転換のチャンスとすべき。太陽光発電や太陽熱発電のような他国に依存しないエネルギーは新興国にとっても有利なはずで、そういう国々と協力しながら産業の転換を進める。
国にいくらでも資金があるような書き方をしたけれど、原発以外の震災の立て直しも行わなければならない。その資金を賄うためには、増税や電気料金の値上げも必要だろう。「日本人の力をあわせる」というのは、ボランティアを行うとか義援金を出すというだけでなく、増税なども容認するって意味だろう。産業界に関してはそれとは別に考える必要があるけど、円高や新興国の安価な労働力への対抗等に比べると容認できるレベルになるのではないかと思う。
この転換の中で、東電の株が紙切れ同然になるかもしれないがそれも我慢する。私も直接東電の株を持っている訳じゃないけど、投資信託や年金基金の中に組み込まれているから影響はあるだろう。それも仕方ない。
この震災の中で、日本人として希望を持たせるメッセージを何度も目にした。ただ頑張って前と同じ日本を復活させるのではなく、旧来の悪弊や制度疲労を起こしている仕組みもあわせて解体して、新しい日本を創っていくべきなのだと思う。