11月9日、三菱一号館美術館で開かれている「パリ・グラフィック展」の内覧会に参加してきました。
まず展覧会の情報から。
パリ❤グラフィック展
会期:2017年10月18日(水)~ 1月8日(月・祝)
開館時間:10:00~18:00(祝日を除く金曜、11月8日、12月13日、1月4日、1月5日は21:00まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜休館(但し、1月8日と、「トークフリーデー」の10月30日(月)、11月27日(月)、12月25日(月)は開館
年末年始休館:2017年12月29日~2018年1月1日
展覧会サイト:http://mimt.jp/parigura/
トークは、三菱一号館美術館学芸員の野口玲一氏と、おなじみ「青い日記帳」主宰Takこと中村剛士氏。
この展覧会は、19世紀末に大きく動いた、メディアとしての版画に焦点を当てます。誰が見るものか、何が伝えられるのか、どのように流通するのか。
それまで、版画は絵画の1ランク下の存在に見られていました。そこに、ロートレックなど媒体による価値を気にしないアーティストたちが現れます。彼らはカフェや演劇のポスターで成功しますが、だからと言って「格上」の絵画に移行するのではなく、版画も絵画も同じように制作を続けます。
パリの庶民は、これまであまり触れられなかった役者やダンサーの姿を、街中に貼られたポスターで知るようになります。ちょうどそれは、役者が描かれた浮世絵を見ていた江戸市民と似たようなものかもしれません。
ポスターに人気が出てくると、エリートたちはそれを自分の家に飾りたいと思うようになります。大衆向けだった版画が、エリート向けに作られ、リビングに飾られたり、引き出して眺められたりしました。またそうなると題材も変わってきて、例えばエロティックなものも描かれるようになりました。
また、大衆もポスターや版画集という形で版画を買うようになってきます。ここもまた江戸時代に庶民が絵 (浮世絵) を買っていたということを思い出します。
お話を聞いていて、世紀末、時代が変わる感覚、高揚感に、版画ポスターが一役をかったのではないかと思いました。これまで芸術はアカデミーから出ていた、これからは我々庶民からアートが出てくる、そういう時代の変化を感じていたのかもしれません。
そしてこれは今のネットの絵師にも通じるというお話には共感しました。そこから次世代のスターが生まれてくるかもしれません。もう生まれ始めているかも。
以前どこかでロートレック展を見たとき、図録は買わず、「ロートレック写真集」というものを買ってきました。ロートレックの幼少時代、ムーラン・ルージュと踊り子たち、カフェ、娼館などロートレックに関係する様々な写真が収められています。そこに出てくる、ロイ・フラー、ラ・グーリュ、ジャヌ・アヴリルなどが今回モデルとして絵の中で出ていました。それで思い出して「ロートレック写真集」を引っ張り出して見ています。
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