だから、2015年に三菱一号館美術館で「画鬼・暁斎―KYOSAI 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル」展 (PDF)があったとき、「あれ? 『狂斎』じゃなかったっけ?」と思い、検索して調べたことがある。Wikipedia 「河鍋暁斎」によると
号は「ぎょうさい」とは読まず「きょうさい」と読む。それ以前の「狂斎」の号の「狂」を「暁」に改めたものである。とある。
三菱一号館美術館の展覧会は、NHKの番組で気になって以来初めての大型展で、堪能できた。コンドルとの関係で建築まで言及されていたのが興味深かった。
そして今、Bunkamuraで「ゴールドマンコレクションこれぞ暁斎!世界が認めたその画力」展が行われている。その内覧会に参加する機会をいただき行ってきた。ナビゲーターはブログ「青い日記帳」のTakこと中村剛士さんと、ジャーナリストのチバヒデトシさん。
三菱一号館美術館の展示は、改めて今回のBunkamuraの展示と比較すると、真面目で堅い印象になる。今回の展示が不真面目というのではなく、暁斎の「楽しさ」、「可愛い絵」が強調されていたように思う。そしてそれを支える狩野派に学んだ基礎の画力、浮世絵や山水画その他の画法への挑戦、書画会や注文に応じて絵を書き上げる多作ぶり、そしてその中でもバリエーションを生み出していく好奇心の強さ、今回のトークのおかげで、それらがよく分かった。
今回、「私の一枚」を選んで紹介してください、という指令が出ていて、いろいろ悩んだ末、結局は人気が高そうなこの「百鬼夜行図屏風」を選んでみた。
右から左に妖怪たちが行進する。しかし行き着く先には太陽が出ていて、慌てて反対方向に逃げる妖怪たち。妖怪それぞれがユーモラスな個性があって、見ていて飽きない。
これ以外にもいろいろ魅力的な絵がたくさんあった。
右は「五聖奏楽図」。磔にされるキリストを、釈迦、孔子、老師、神武天皇が囃し立てているところだという。明治初期にキリスト教が解禁されたのは日本の宗教界特に仏教にとっては大事件であったことが背景にあるが、とはいえそんな深刻さは感じられずユーモラスだ。キリストが扇子と和楽器の鈴を持っているのも面白い。
こういう絵が描けるのも、ゆるい宗教観をもつ日本ならではと思う。いやいや不平等条約が残っていた当時の後進国日本でこんな絵があることが知られたら国際問題になっていたかも。
左は「大仏と助六」。大胆な構図で、最初は近づいて見ていたので、タイトルにある「大仏」って何? と思った。
鴉の間。今回鴉図が20点近く出ている。鴉は、明治14年内国勧業博覧会で「枯木寒鴉図」で最高賞をとったように、暁斎のお気に入りのモチーフだったようだ。頼まれてささっと描くのにもよく使われた。同じように見えるがそれぞれに違いが出されていてバリエーションがある。
細かく描きこんでいるもの以外に、太い筆で大胆に描いたものも魅力的だ。特に蛙などの動物に多い。
春画コーナーもあるよ。三菱一号館美術館でもあったけど、やはり今回のが楽しい。子供の絵本にあるように、手で動かす仕掛けがついたものもある。
会期があと3週間ですので、ご注意ください。
展覧会情報
開催期間: 2017/2/23(木)-4/16(日) ※会期中無休
開館時間: 10:00-19:00(入館は18:30まで)毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会場: Bunkamura ザ・ミュージアム
入館料(消費税込): 一般 1,400円、大学・高校生 1,000円、中学・小学生 700円
なお、本記事の写真は特別の許可を得て撮影したものです。
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