2011/12/31

2011年アート系イベント

今年も1年に行ったアート系イベント (展覧会、ワークショップ) をまとめてみました。といっても今年はヨコハマトリエンナーレに初めてサポーターとして参加して、まさにヨコハマトリエンナーレの年と言えるでしょう。


数にしたら結構ありました。何か書いておこうと思いながら記事にしていないのもたくさんあるー、うう。

2011/10/17

魚の釣り方を教えるだけでなく [Blog Action Day - Food]

「魚を与えるのではなく魚の釣り方を教える」というのは最近初めて知りました。いや、意味は分りますが、「食糧を与えるのではなく食糧の生産方法を教える」みたいなえらく直截的な表現で理解していたので。

しかし、「魚の釣り方を教える」でも十分ではないと思う。それはサステナブルではあるけれど、低いレベルで持続可能ということではないだろうか。発展がない。何かというと、より上の生活レベルを目指すための余裕を生まないということだ。

余裕を生むためには「魚の売り方を教える」だろう。自分たちが生きるため以上の生産を促し、余裕となる現金を生むようなモチベーションを持ってもらう。

そこで生まれた余裕はただ消費してしまうものではなく、次のレベルにいくための投資に使ってもらう。具体的にいえば子供への投資 = 教育だ。医療や科学技術の知識を習得するために、親が稼ぎ、子は学びに専念できることが望ましい。

日本はそういうところに力を注ぐべき。それは相手のためだけではない。「情けはひとのためならず」を、日本が生き延びて行くための戦略とするのだ。

もう少し具体的にすると、援助することによって日本の食糧、資源を確保することを戦略に据えるのだ。

今農水省では、食糧自給率が低いことを問題にしている。
Food Action Nippon 日本の食料自給率問題とは 

これ自身を見ると間違ったことは言っていないように見える。

しかし、ここで言っている自給率とはカロリーベースでの計算なのだ。野菜を生産しても自給率は上がらない。牧畜を行うのに輸入した飼料は自給率をマイナスにする方向に働く。

お分かりだろう。自給率を上げるには、お金になる作物を作るのではなく、穀物や芋類など単価は安いがカロリーになるものを作る必要があるのだ。これって農家に自分たちの利益を上げるよりも、国家のいざという時のために食いつなぐ食糧となる作物を作れと言っているようなものだろう。また、国民にも国産の作物を食えと言っているだけでなく、飼料を外国に依存する肉を食うなと言っているようなものだろう。

さて、もとの論旨に戻る。日本がとるべき戦略とは、

貧困国に食糧増産のノウハウを教えインフラを整備するだけでなく、
余剰の生産を行うことで豊かになる道を教え、
余剰生産を日本が優先的に得られる関係、仕組みを作る

ことだと思う。農水省の問題は日本がいきなり孤立してしまうことを前提としている点だ。そのときに食糧だけあって食いつなげても仕方がないと思う。エネルギーはどうするの、工業製品生産に必要な材料部品はどうするの?ということだ。

日本は他の国から孤立しては生きられない。ここで提示した枠組みは、途上国を豊かにする一方で、日本の仲間を増やし、いざという時に孤立しない、いやそれ以前に孤立する状況にならないことを狙うものだ。いわばWIN-WINの関係を築くということだろう。

関連記事
2008年 ホワイトバンドまだつけてる [Blog Action Day] 
2005/07/05 ほっとけない、だけど…

2011/10/16

ヨコハマトリエンナーレ キッズアートガイド

ヨコハマトリエンナーレでは、小中学生が大人に作品の紹介をするキッズアートガイドという企画があります。

これまで 9/11, 9/25, 10/2 の3回行われ、あと2回 10/16, 10/30 に行われます。毎回
11:10-12:00/横浜美術館
14:00-15:00/日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)
というスケジュールで行われているようです。

9/25 横浜美術館と、10/2 日本郵船海岸通倉庫に参加して来ました。

9/25 横浜美術館は、キッズも観客も多いため、2班に分かれ、A班は展示ルートの前半、B班は後半を回ります。最後に美術館の前のウーゴ・ロンディノーネで合流します。私はB班で行くことにしました。開場から間もない時間帯で後半に行くため、ほとんど貸し切り状態になるというのに惹かれて。

作品の解説というより、キッズが作品ごとに分担して、自分が感じたことを観客の皆さんの前でプレゼンします。一生懸命説明してくれるのが可愛いですね。

聞いているだけで良いのかと思ったら、最初の作品のところでいきなりあてられて焦りました。負けないように一所懸命話しました。それぞれの作品でこういうふうに聞かれるのかと思っていたら、ここだけでした。

最後に集まったところで、誰か感想を話してくださいとのことで、今度は自分から手を挙げて全体の感想を話しました。「今後もずっとアートに親しんでください」みたいなことを話しました。

これは日本郵船海岸通倉庫のほうも参加したいと思ったのですが、その日の午後は有志ボランティア アートバードの人たちの「トーキング&ウォーキング ~ヨコハマトリエンナーレをしゃべろう~」に参加することになっていたので、それはまた次回。ということで10/2にしました。


この日は、キッズの数が少なく、一人で複数作品の説明をしていました。王節子先生に聞くと、子ども達にもそれぞれ都合があって午前で帰った子もいるとのこと。観客のほうは9/25 横浜美術館の1班と同じくらいの人数でした。

ただ日本郵船海岸通倉庫は作品と作品の間隔が狭く、観客を前に説明するのは厳しいような感じがしました。午後で他のお客さんも増えている時間帯ですし。また、こちらのほうはフラジャイルな作品が多くはらはらしました。ケンピナスの作品は、作品に沿って歩いて見てくださいなんていうもんだから、磁気テープに当たって揺らす人が続出。みんな気がつかないのかな。サポーターで来た訳ではないのに思わず離れてくださいと声出しちゃいました。

ブログ「美術検定」の記事「ヨコトリ:キッズ・アートガイド2011」で、
キッズ・ガイドは、ビデオテープのインスタレーション作品でも、「ここから作品に沿って歩いて行くと景色が違うものに見えてきます。そこが僕は面白いと思います」という紹介をしてくれました。
という記事は読んでいたのですが、別にすれすれのところを歩かなくていいのにね。

ノイエンシュワンダーのProsopopeia <プロソポピーア>では3種類の参加型作品を全部触らせていましたが、卵のは抜いても良かったんじゃないかな。ただでさえ壊れやすいので、スタッフの皆さんはいつも神経尖らせているのに、大勢で押し寄せると対処に困っている様子でした。

ここも最後は感想を聞かれるので、やはり皆さんの前で話して来ました。基本的に同じような感想ですけど。

あと2回ですので、それにあわせて行くようにすると良いと思います。

2011/10/10

聞き耳ワールド

Smart Illuminationの日、集合時間が16:00だったので少し早めに行って、聞き耳ワールドを体験して来ました。

参加したコースはこれ。
H:関内周辺おすすめランチ紹介ツアー
港町で味わう“異国料理”を大特集


象の鼻テラスへ向かうので、関内からBankART Studio NYK へ向かうコースを選択しました。1時間はつきあえないけど。

歩くペースが同じなので、そろそろ見えてくるとか、いまそばにあるビルが震災のときは ... なんて本当に二人がそばで会話している感じ。

収録日は横浜スタジアムで横浜阪神戦が行われていて、阪神の応援団がすごいみたいなことを話していたのですが、私が歩いた日もちょうど横浜阪神戦やってたみたい。シーズンも終盤で盛り上がりには欠けたかも。

タイカレー、トルコ料理など、一度は行ってみたいところばかりです。

 

2011/10/09

スマートイルミネーション横浜

ヨコハマトリエンナーレのサポーターへのお知らせメールの中に運営ボランティア募集の案内があったので、これは面白そうととって参加して来ました。

スマートイルミネーション横浜 省エネ技術とアートでつくる「もう一つの横浜夜景」

山下公園、元町など各地で色々な取り組みがあったのですが、仕事は象の鼻パークの周辺だけだったので、ボランティア参加ではなく一般客として行った方が良かったかもしれません。

それでもいろいろなイルミネーションを見て来ました。

ひかりの実: 紙袋 (果実栽培用らしい) に各人思い思いのスマイルを描きます。その中にLEDの光を入れて木に飾ります。



参加には500円必要で、このひかりの実は持って帰れませんが、LEDで光るバッジをくれます。18:00までに行くと光るバッジはもらえませんが無料で参加できます。私もそれで参加して来ました。

横浜三塔のひとつ、クイーンのライトアップ。《The Organic Nucleus/有機中芯的「象の鼻」》というタイトルがついているんですね。



光る男。これは、「〈光のアーティスト日下淳一と巡る〉 イルミ・アート・ツアー」というイベントなんですね。日下さんが戻られた時に休憩中の写真を撮らせていただきました (これは公開しません)。



その他の写真は、MobileMeのギャラリーにおきました。

MobileMe ギャラリー: Smart Illuminations
→ 移転  Google フォトアルバム スマートイルミネーション横浜

MobileMeのギャラリーはiPhotoからアップロードするのですが、アップロードした後もiPhotoと連携しているんですね。写真のキャプションを変えるのにはWebで出来なくてiPhotoを使う必要があるようです。編集する場所が決まってしまうと面倒のように思うのですが。これiCloudになった時にどういう扱いになるんでしょうか。

追記: アップロードして編集するのは、ギャラリーからはできないけれどもMobileMe サイトから出来るんですね。その編集結果もiPhotoに反映されるようです。

追記 (2017/1/7): MobileMeと写真を同期していると容量制限を超えてしまうので、容量を気にしなくて良いGoogle フォトアルバムに移転しました。→ スマートイルミネーション横浜

なお、このイベントは10月9日までです。

2011/10/07

Never Be The Same

ジョブズがいない世界。朝訃報を聞いた時にはついにその日が来たかと思っただけなのだが、じわじわと感慨が湧き上がって来る。ジョブズのいない世界は、今までと同じではあり得ない。

しかし ...

スティーブ・ジョブズ-驚異のイノベーション」のポイントとなるメッセージは、
ジョブズならどうするだろうか。

これからはそれを僕らが考える番だ。ぶれないキャラクターを心の中に描き、自らの行動をそれに照らし合わせてみる。そこで自分の生き方もぶれないものになるのだろう。

独特の文化をもった企業には、そういうキャラクターがいる。本田宗一郎だったらどう言うだろうか。盛田昭夫はどう判断するだろうか。皆がそのように考えることで、それは共通の価値観となり、文化として定着する。

アップルもジョブズ亡き後もそんな企業になると思う。

しかしジョブズの遺伝子はアップルだけに残すのはもったいない。

皆が「ジョブズならどうするだろうか。」と考え行動することにより、その遺伝子は共有できる。

ジョブズのいない世界は、今までと同じではあり得ない。
しかし、小さなジョブズがたくさんいる世界は作れると思うのだ。

2011/10/02

"The Clock" が面白い

ヨコハマトリエンナーレで展示されている作品の一つに、クリスチャン・マークレーの "The Clock" という映像作品があります。以前の記事に簡単に紹介しました。
今年ベネチアビエンナーレで金獅子賞をとったので、注目の作品です。色々な映画から時計など時間が表示されている部分を繋いで、その時刻にその場面が現れるようにした24時間の映像作品です。入口の前にいたので内容は見れなかったのですが、音を聞いているかぎりでは、ぶちぶち切れた映像ではなくスムーズに繋がっているもののように思います。

今日は中に入って映像を見ていました。何回かに分けましたが、合計すると1時間近く見ていたと思います。じっくり見ていると、スムーズに繋がっていることを再認識させられます。ストーリーは個々の断片にはあるのでしょうが、全体としてはもちろんストーリーはなく、次の展開も予想がつきません。それでも次を見たくなる、見続けたくなるのです。うまく繋がっている以上の何かがあると感じます。

今回気づいた点を列挙します。
  • 音と映像の切れ目は同じではない。
    例えば、室内のシーンから (別のシーンの) 戸外に移る際、戸外の喧噪を室内の シーンに入れているようです。こうすると客は、室内のシーンの途中で、次のシーンへの準備が出来ていることになります。
  • 視線の移動に配慮する
    同様に次のシーンへの予告になるものとして「視線の移動」が考えられます。前のシーンでは登場人物が視線を動かすと、次のシーンではその視線の先にある対象物があると期待します。"The Clock"では、この場合は実際は別の映画から持って来るものになるでしょうが、 こういう場合には見ている対象として違和感のないものが選ばれていると思います。
  • 雰囲気のにたものをつなげる
    例えば電話。電話をかけているシーンがあったら、次はその相手が映っていると期待するだろう。"The Clock"では、(場合によっては別の映画の) 電話をかけているシーンになっているようです。
まだまだ理由はあると思いますが、私が気づいたものは以上です。

これらはもしかして、もともと映画で使われているテクニック、いわば「映画の文法」の一部なのかもしれません。"The Clock" の特徴がそのそのようなものだと仮定すると、それで金獅子賞というのは微妙なところかもしれません。

追記: クリスチャンマークレーのインタビューがありました。制作過程が興味深いです。
ART iT クリスチャン・マークレー インタビュー
やっぱり音は重要な要素だったんですね。

追記:クリスチャン・マークレー「The Clock」24時間上映決定 (ヨコハマトリエンナーレ2011)
2011年10月26日(水)20:00~10月27日(木)20:00
定員 60名だけどソファは24名分しかないので、トイレに立ったら交替!

2011/09/19

パンプキン・プロジェクト

ヨコハマトリエンナーレ2011、スッシリー・プイオックのパンプキン・プロジェクト (PDF) に参加してきました。今回はサポーターではなく、お客さんとして。

スッシリー・プイオックというアーチストはタイ人の若い女性でした。オレンジの大きな日傘の下、ずっとカボチャに彫刻をしていました。オレンジの帽子と緑のシャツで、カボチャコーディネートですな。

こんな作品です。


つるがついたまま畑に並んでいます。

一つの作品にどれくらい時間がかかるか訊いたのですが、2、3時間ということでした。カボチャの堅さによるそうで、日本のカボチャは堅いそうです。この会場内に複数の品種のカボチャがあるようですね。

カービング体験というのもあって、指導を受けながら挑戦して来ました。



スタッフの方が、他のお客さんの作品と一緒に並べてくれたのでそれを撮影しました。

調子に乗って勝手に作品を作ってみました。



恐竜みたいにみえますが、カラスのかーくろうです。胴体、羽根まで作れる力があればよかったのですが ...

カボチャを使ったお菓子3種、レモングラスとバーベナのハーブティーがふるまわれて、いただいて来ました。



作品を鑑賞して、カービング体験をして、お菓子をいただいて、スッシリー・プイオックさんに質問したりして、約1時間楽しい時間をすごしました。

そのあとバスでいったん横浜美術館へ戻り、カールステン・ニコライの参加型作品 "autoR" で壁にステッカーを貼った後、連携プログラムの「新・港村」へ行って来ました。

MacBook その後

2006年に買って、その後膨張したバッテリーを交換してもらった奥さん用MacBookですが、その後いろいろ調子が悪くなってきて直したのでまとめておきます。ええ、まだ使ってますよ。

昨年くらいから熱を持つようになって、保冷剤を下にしいたりしながら使っていたのですが、ファンもぶんぶん回ってうるさいし、カリカリ音もするんですよね。全体が立ち上がらなくなったりして、ハードディスクもやばい。ということで、今年の初めに新しいのを買うか、今使っているのをなんとかするか検討しました。MacBook Airも安くなっているし、これだとハードディスクがうるさいこともないだろと思ったのですが、結局SSDに換装することにしました。あわせてメモリーも2GBに増やしました。約15,000円。

ハードディスクはこれで解決し、しばらく調子良く使っていたのですが、やはり熱を持っているし、音はハードディスクだけの問題じゃなくてファンから出ているものでした。これはファンも替えないといけないのですが、ファンはディスクやメモリーと違って、簡単に交換できるようには作ってないんですよね。

それからまたバッテリーの膨張です。前回はアップルストアで無料で交換してもらったのですが、その後のコメントを見ると最近はもう交換してもらえなくなっているようです。交換したときはもうこの次はマシーン自体を買い替えるサイクルだろうなと思っていたのですが、SSD交換したばかりなので悩みます。サンクコストですな。

この夏息子が帰って来たとき、自分のMacBookの修理もあわせてアップルストアへ持ち込んでくれました (渋谷まで2台持っていくのは結構くると思われます)。見積もりしてもらったところ、バッテリーとファンと修理工賃を含めて14,000円ちょっと。結局修理してもらうことにしました。また息子がとりに行ってくれました。

さてこれはいつまでもたせるかな。

2011/08/29

現代美術とキャプションと解説

森美術館で開催されている「フレンチ・ウィンドウ展:デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」、今日8月28日が最終日なんですが、田口行弘のトークを聞いた時に見ていながら何も書いていませんでした。

「デュシャン賞」という訳で、「レディメイド」という概念を確立した有名なデュシャンの便器、「泉」が出ていた。私には「泉」の芸術的価値は分らないけれど、当時センセーションを巻き起こしたと言うことは、無視されなかったということで、その議論を起こす価値があったということだろう。そしてその概念「レディメイド」は、いわば常識として定着している。

今行われているヨコハマトリエンナーレに、冨井大裕の "belt is standing" と "measure" が展示されている。作品には素材が書いてあるのだが、それぞれ「ベルト」と「メジャー」。 先日ヨコハマトリエンナーレでサポーター活動したときは、音声ガイドの貸し出しと回収の係りで、回収した音声ガイドを貸し出し窓口に運ぶ時にこの横を通るのだが、その際に観客の反応も見ていた。やはりデュシャンに言及している人もいました。

面白かったのは子供が「そのままじゃん」と言っていたことで、共感してしまった。 デュシャンが使った方法がまだそのまま通用するのかという妙な感慨があります。それともデュシャンと違って何か加工がしてあるのかもしれませんし、何か別の意図が込められているのかもしれません。

ちょうどヨコハマトリエンナーレ関連の情報を調べていたら、横浜美術館のキュレーター天野太郎氏の文章があった。

ヨコハマ創造界隈 VIA YOKOHAMA 第13回 説明を要する現代美術 - 「キャプション論」、再び-
近代以前においては、例えば絵画はその主題とした神話、歴史、宗教において、それらの教養を十分に備えた受容者だけが、キャプションを必要としないで鑑賞出来た。

...

近代以降においては、教養を強化するため、キャプションは不可欠のものとなった。キャプションを必要としない「教養」ある人々が受容者であった時代から、「教養」を身につけるために美術を「学ぶ」ためのキャプションを必要とする受容者の出現が、こうした事態を生んだのだ。無論、近代の美術が、「美」の芸術から「概念」の芸術へシフトしてきたこともまた、作品が、キャプション=テキストを強く要請してきた理由の一つに挙げられるだろう。

キャプションがないとどう見ていいか困るというのは、コンテキストは違うものの、先日 名和晃平展で経験したことだ。

さらに、
横浜トリエンナーレに代表されるような現代美術では、キャプションばかりか、作品を巡るテキストはある意味で必須だ。例えば、主会場の一つ横浜美術館で、最初に遭遇する中国のアーティスト、尹秀珍(イン・シウジェン)の作品。まるで映画のフィルム入れのような金属の容器に、布らしきものが詰められた《one sentence》という作品。

会場で、与えられる情報は、このキャプションと、何よりも作品自体。これでは、何のことやら、謎めいたままだ。

と書いている。

実は、言及した音声ガイドはその穴を埋めている。トリエンナーレの総合ディレクター逢坂恵理子横浜美術館館長がそのことを語っている。

ヨコハマ経済新聞【インタビュー】2011-08-07
ヨコハマトリエンナーレ2011・逢坂総合ディレクターに聞く
今回のヨコトリが挑む、新たなステージとは?

音声ガイドの貸し出しもあります。

―それは画期的です。普通、現代美術の展覧会ではあまりしませんよね。現代美術のファンは、説明を嫌う人も多いですから。

そうなんです。でも今回は、現代美術にあまり馴染みない方にも来て頂きたいので。

私自身はまだ音声ガイドの内容は知らないのだが、今度観客として行く時にはぜひ借りてみようと思う。

2011/08/10

ヨコハマトリエンナーレ2011 アーチストトーク

8月7日、ヨコハマトリエンナーレ内覧会に続いて2回めのサポーター活動。

この日は閉館後、日本郵船倉庫会場で、ジュン・グエン・ハツシバの作品制作に協力した人たちが集まって記念撮影が行われます。そのためその人たちには配慮してくれて、日本郵船倉庫会場担当になりました。

さらに、ハツシバのトークが聴けるよう、トーク会場担当にアサインしていただきました。

アーチストトークを聴くと、俄然作品に対する愛着がわきます。特に制作に関わったハツシバの作品には愛着も一入です。

そういう個人的な事情を除いても、震災後に作品のコンセプトを変えて被災者を応援するメッセージを込めたと聴くと、思い入れが強くなるでしょう。

作品としても、感動的なものに仕上がっています。自分が担当した部分は、「これが桜?」という感じなんですが、たくさん集まるとみごとなものです。また、幹の部分はベトナム ホーチミン市を流れる川を使っていて、これがうまくはまっています。

参加者が走っている写真が別の壁に順次映されています。たくさんあるので自分の写真が出るまでかなり待つことになるのですが、せっかくなので待ちました。とは言え、2回行ったうちの一つだけですが。会場に来られたら、探してみてください。

写真撮影には、内覧会でお会い出来なかった三潴さんも来られていて (ハツシバのエージェントとしてよりも三潴さんも作品制作に参加されています)、少しお話をさせていただきました。こういう大災害でアーチストが果たせる役割や、三潴さんがツイッターでよく発言されている原発のことなど。


2011/08/06

ヨコハマトリエンナーレ2011 オープン前内覧会

ヨコハマトリエンナーレは本日8月6日から。

ヨコハマトリエンナーレ2011 2011年8月6日(土)~11月6日(日)途中休館日ありご注意下さい。

しかし、ボランティアは8月5日から必要ということで、志願して行って来ました。前夜祭みたいな特別なことがあると期待して。パーティーに出られる訳ではないのですが、内覧会ということで有名人が集まる確率が高い訳です。ってミーハーだな。

でも林文子横浜市長御一行しか確認できませんでした。会田誠、ミヅマアートギャラリーの三潴さんも来られたようですが気づきませんでした。他にも浅田彰も来ていたらしい。

よく考えたら芸能人とは違って名前を知っていても顔は良く知らない場合が多いので当然の結果だと思います。

しかしそれでも内覧会ということで、報道陣も多く、通常とは違う雰囲気なんだろうと思います。

今回配置についたのは、BankART Studio NYKの方で、ジルヴィナス・ケンピナスの作品の入口、シガリット・ランダウの作品の前、クリスチャン・マークレー "The Clock"の入口の外でした。

クリスチャン・マークレー "The Clock" は、今年ベネチアビエンナーレで金獅子賞をとったので、注目の作品です。色々な映画から時計など時間が表示されている部分を繋いで、その時刻にその場面が現れるようにした24時間の映像作品です。入口の前にいたので内容は見れなかったのですが、音を聞いているかぎりでは、ぶちぶち切れた映像ではなくスムーズに繋がっているもののように思います。

最初はみんな横浜美術館から先に来るのか比較的すいていたのですが、3時過ぎる位からだんだん増えて大盛況になりました。会期中も高い人気が予想されるので、早め (午前中) に行った方が良いと思われます。

シガリット・ランダウの作品は、有刺鉄線に死海の塩の結晶をつけた立体作品と、死海に渦状に繋がって浮かべた西瓜とそのなかに一緒にヌードで入っているアーチスト本人が、だんだん渦が解かれていく様子を撮影した映像作品 "DeadSee"。
"DeadSee"の抜粋が http://www.sigalitlandau.com/videos にあります。

1時間半以上そこについていたので、もうランダウのおっぱい飽きた。そういうことじゃないか。ここはお客さんが「これは何ですか」と質問してくることが多く、やりがいのある担当でしたね。

ジルヴィナス・ケンピナスの作品「第5の壁」はここで説明しないほうがよいでしょう。見に来て、奥まで入っていただくと驚きの視覚効果に気づかされます。

次は8月7日で、その後8月は毎週土曜日に行くことにしているのですが、会場担当になると立ちっぱなしで後にひびくので9月は少し控えようかな。

2011/08/05

名和晃平展

東京都現代美術館で行われている名和晃平展へ行って来ました。昨年から今年の初めにかけて行われた小谷元彦のような、立体作品の新しい表現を期待して。

東京都現代美術館 名和晃平 ─ シンセシス 展 2011年6月11日(土)‒ 8月28日(日)

最初に入った部屋は、偏光パネルを使ったもの*で、アクリルの中にある物体が見えたり見えなかったりするもの。これは他の作品も期待できます。

[* 注: あとで説明を見るとプリズムを使っていて、中に立体物がはいっていると思ったのも実際は平面画像だったようです。]

各作品には、題名や使用した素材などのキャプションがついてないんですよね。しかし作品リストを持って見ている人はいます。美術館のスタッフの人に聞くと、最後にお渡しするとのことでした。

作品をちゃんと見て欲しいという意図なんでしょうね。しかし題名がないと何を意図したものかも分らないし、素材がないとどうやってこの表現が編み出されているのだろうという興味にも答えることができないと思います。どう鑑賞していいか分らず、20分ちょっとで見終わってしまいました。

作品リストを持って見ている人は2ラウンド目を見ていたんですね。

すぐに見終わったというのは鑑賞の仕方が分らないだけではありません。作品自体がつまんないのですよね。ただでかいだけ。

最近みた現代美術は規模の大きいものが多く、国立新美術館で見たArtist FileDOMANI展でみた作品などは、迫力があるなーと思って、作品が大きいことにはむしろ肯定的な印象を持っていたのですが、今回はそれを考え直すきっかけになりました。

作品がでかいと、経済的に恵まれた人でないと作品が作れないと思います。さらに問題は保管場所です。

これは新しいアーチストの門戸を狭めるのではないでしょうか。その場を得られなかった人がすべてカオス・ラウンジのようなところに向かうとは思いませんが、二極化するような気がします。

脱線しましたが、大きいからつまらないという訳ではなく、作品自体が安易に作られているような気がするのです。展示を見終わったあとギャラリーショップで製作風景ビデオを見ましたが、でかいオブジェに樹脂をスプレーしているだけに見えました。それはそれでたいへんだとは思いますが、同じような作品をたくさん作る必要ないんじゃね?と思ってしまうのです。

最後の方にある映像作品は面白かった。床に投影した白い映像の中を観客が歩くと、加減の部分がカラフルに浮き上がる。加色混合で白を作り出していたんですね。

東京都現代美術館のMOT Collection展は、石田尚志の特集をやっていました。今回は次の予定が入っていて、以前写真美術館Artist File 2010で見たのでほとんどパス。時間のある人にはおすすめです。

前回込んでて見れなかったピピロッティ・リストの映像作品をじっくり楽しんできました。

アップルとディーター・ラムス

スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション」の法則5 デザイン「1000ものことにノーという」は、デザインを極限までシンプルにすること。そうすることで、必要なもののみがうきあがる機能美が現れるということだろう。

これは以前府中市美術館で見たディーター・ラムスにつながるものだ (ブログ書いてなかった)。

府中史美術館 2009/5/23 - 7/20 純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代―機能主義デザイン再考

関連記事
この時点で、アップル製品のラムスデザインに対する類似性は指摘されていた。最初のインタビュー記事から引用する。
―現在、多くの人々がアップル社の「iPod」や「iPhone」などで音楽や映像を外に持ち出して楽しんでいるわけですが、この「iPod」や「iPhone」のデザインに、ラムスさんが影響を与えたと言えるのではないでしょうか? たとえばこの「TP1」のように、「縦型」というデザインのポイントなど。それについてはいかがでしょう。

 私の持っている基本的意見と、よく似た考えで作られているということは、確かに感じます。私の知り合いのジャーナリストや友人によっては「あれはコピーだ」という意見を私に言ってくることもありますね。でも、そう言われることは、逆に私にとっては褒め言葉だと思います。デザイナーの持つ宿命と言いますか、私自身は模倣ではないと思います。私にとっての最大級の褒め言葉だと感じていますよ。
それはそれ以前から指摘されてきていることだし、その後もみかける。

らばQ 2008/1/18 Appleがあのブラウンからパクったグッドデザイン10の原則
(元ネタ GIZMODO 2008/1/14 1960s Braun Products Hold the Secrets to Apple’s Future)
Wired.jp 2011/5/16 Appleデザインに影響を与えた古いガジェットたち「パクった」と「影響を与えた」って言葉の選び方で、そのサイトのテーストが現れていますね。

増加する機能を、いかに整理して提示するかは今後も続く課題だろう。

2011/08/04

製品を売るな。夢を売れ。

スティーブ・ジョブズ-驚異のイノベーション」で第3法則に「製品を売るな。夢を売れ。」というのがあった。

これって、以前書いた「モノを売るのではなく新しい価値を売る」と同じですね。まあ、これもアップルのiPod shuffleをきっかけとして書いたのですが。

しかし私の原点はウォークマンにあります。録音できないカセットプレーヤーが出た時、私は消費者として、これ売れるの?と思いました。しかし、みんなが使っているのを見て、自分でも使ってみて、それなしに過ごせなくなってしまいました。ソニーが売っていたのは、「音楽を持ち歩く生活」だったんですね。

お客様に聞くのではなく、新しい製品を提示して、「どうです、これがあなたが欲しかったものじゃありませんか」と問い、"Yes" と答えさせる。こうありたいですね。

しかしそういう提案がまず企業内で出しにくいところがあります。

顧客志向、お客様の声を聞く、というのは一見正しく、それに対して反論する論理はなかなか出しにくいと思います。しかし、イノベーションのジレンマは、顧客の声を聞く先行企業が後発に負けてしまうという話でした。

ああ、これも「 みんなソニーが大好き」で書いたことでしたね。進歩ないな。

2011/08/03

スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション

読みました。

スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション―人生・仕事・世界を変える7つの法則
カーマイン・ガロ 外村 仁 解説
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イノベーションというと、技術者や経営者にしか関係なさそうに見えますが、自分の人生をよりよくしたいすべての人に向けられた本のように思います。
発明家になれる人は限られているが、イノベーターには誰でもなれる。 ... イノベーションは、すばらしい人生を送るために普通の人々が日々、行うことだ。
その人たちが、スティーブ・ジョブズだったらどうするだろうかを考える時に指針になることを目指しています。
1日に何回も、何か問題を抱えたどこかの学生、どこかのアントレプレナー、どこかの産業デザイナー、どこかのCEOがこう自問しているはずだ ーー『スティーブ・ジョブズならどうするだろうか?』と。
これに対してここでは7つの法則を提示しています。
  1. キャリア「大好きなことをする」
    -- 自分の心に従え。
  2. ビジョン「宇宙に衝撃を与える」
    -- 自分のビジョンに賛同する人を惹きつける。
  3. 考え方「頭に活を入れる」
    -- 創造性はさまざま物事をつなぐこと。そのためには幅広い体験が必要だ。
  4. 顧客「製品を売るな。夢を売れ。」
    -- 顧客からニーズを聞くのではなく、顧客の本当の希望を知る。
  5. デザイン「1000ものことにノーという」
    -- 不要なものを取り除き、必要なものの声が聞こえるようにする。
  6. 体験「めちゃくちゃすごい体験を作る」
    -- アップルストアの顧客サービスは体験を提供している。
  7. ストーリー「メッセージの達人になる」
    -- プレゼンにより周りの人を巻き込む。
各法則には2章を使い、1章はジョブズの場合、もう1章では他の人の事例 (他の成功した人もこの法則にあてはまること) が載っています。

法則の全てが誰にでも適用可能なものとは言えないかもしれませんが、自分にどう関わってくるかを考えるのは有効だと思います。

特に重要なのは法則1 「大好きなことをする」ではないでしょうか。

アップルから追い出されたころのことをこう語っています。
くじけず前に進めたのは、自分がしていることが大好きだったからです。大好きなことをするのでなければ、すばらしい仕事などできるはずがありません。
またこのようにも話しています。
アントレプレナーというのは大変な仕事だからね。この仕事で成功した人と成功できなかった人を分けるものの半分は、忍耐力だと思うんだ。
...
大きな情熱がなければやり遂げられるはずがない。
また、情熱が傾けられるものが今なければ、レストランの雑用係かなにかになって、見つかるまで探すべきだということもいっています。

ちょうど前後してみたジャック・ウェルチのインタビュー (CEO EXCHANGE) で、リーダーシップに必要なものとして、4つのE (Energy, Energize, Edge, Execute) に1つのP (Passion) を加えていました。ここでも「情熱」が語られています。

7月30日、Earthling 2011 で講演された山中俊治さんも「自分の好奇心に従え」と語っていました。

NHK教育で再放送されていた、FIRSTサイエンスフォーラム「常識の壁を打ち破れ」でも、同じメッセージが出されていました。情熱を傾けて一生懸命やると何かは必ず得られる。

そして同じメッセージが「スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション」の法則1の後半でも出てきます。次の言葉は社会起業家ビル・ストリックランドが、アップルから追放された時のジョブズに関して語ったもの。
情熱があっても失敗はします。でも情熱があれば、失敗で終ってしまうことがないのです
失敗したときこそ、その夢がどれほど大事なものかよくわかるとも言っています。

読んで自分の行きて来た道を考えると複雑な心境ですね。がんばってきたつもりではあるのだけど情熱が足りなかったんじゃないのとも思います。情熱が傾けられるところにいながら、少しずつずれてきて今ここにいるのかもしれない。一方でこれからでも少しずつでも情熱の傾けられる道に修正していかないといけないと思うのです。

2011/08/02

Mac OS X Lionのスクロール

こんばんは。

先日、Mac OS X の新バージョン Lion が発売になりましたが、当初は混雑してなかなかダウンロードが終らないということでしたので、先週末に購入ダウンロードしました。

その前にインストールディスクを作成しました。
参考: マイコミジャーナル (2011/07/22) 新・OS X ハッキング! 6 Lionへアップグレードするその前に~インストールDVDをつくろう~

インストールしたら、マジックマウスのスクロールが効かなくなって、慌てました。

検索したら、実は、スクロールの方向が逆になっていて、トップにきててそれ以上上に行かない状態になっていたことが分りました。
参考:Mac OS X Lionの逆スクロールを従来の方向に戻す方法

なんでスクロールを逆にするかなと思ったのですが、上記ブログの次の記事で意図が分かりました。
参考: Mac OS X Lionの逆スクロールに慣れる方法。 | 和洋風◎

なるほど。設定を変える方法もあるのだけれど、ジョブズが変更したのには訳があるんだから、大人しくしたがって慣れるようにするか。「設定」では、これまでと逆の方向が「ナチュラル」となってるし。

コンテンツの下の部分を見るとき、これまではスクロールバーを下に動かして下を見た。Lion では、コンテンツを上に動かして下の隠れている部分を見る。そう考えると合点がいく。

ただ、それは、「つかむ」というメタファーが働く時だけだと思う。iPhone, iPad は画面を触って、そこにあるものを動かす感じ。トラックパッドは画面とは離れているけれど、触って動かすというメタファーはまだ有効だと思う。

一方で、マウスでは触るというのはクリックするか、ボタンを押下してドラッグすることに対応するだろう、マウスを押さずに、マウスの上を指でなぞる、というのはどうもこれまでの操作性からすると違和感があるのだ。

Snow Leopard の設定に戻すかな。そうすると、やっぱりオヤジには適用力なかったかといわれちゃいそうですよ。

2011/07/20

パウル・クレー展

16日土曜日、パウル・クレー展に行って来ました。その日、特別講演会 (無料) があるというので狙ってその日にしたのですが、予約ではなく入るためには並ばないといけなくて、残念ながら講演会は聴けませんでした。

実はパウル・クレーは、小学校か中学校のときに最初に行った展覧会で、それ以来最も好きな画家の一人です。その後も何回か行っていて、展覧会のカタログが2冊、画集というか解説本が2冊ありました。もう要らないような気もしますが、今回の展覧会は展示の構成が面白かったので、今回も買ってしまいました。

どう面白かったかというと、クレーが使った技法で分類して解説してあったところです。有名作品はないけど、その構成が興味深い。

昔は作品を集めるだけでよかったけど、今は背景知識をあわせて提示しないと満足してもらえないんだろうと思います。何年か前のマティス展でも制作の過程が見えるようになっていたし、最近ではBunkamuraでひらかれたジヴェルニーの画家達も画家の交流を浮かび上がらせる企画が面白かった。

一緒に所蔵品展と工芸館も入れるというので、両方みて来ました。工芸にはあまり興味はないのですが、見たことがないような技法の作品が見られて収穫がありました。

2011/07/18

再び桜ドローイング

先日、横浜トリエンナーレに出品するジュン・グエン=ハツシバの作品《Breathing is Free: JAPAN, Hopes & Recovery》の制作サポートに参加して来た話を書きました (→ 「横浜トリエンナーレのプロジェクトに参加してきた」)。

これって多くの人が参加するためのものと思っていたのですが、Facebookにあがる報告を見ていると複数回参加した人もいるのですね。

その後、ジュン・グエン=ハツシバ氏の来日 (ベトナム) にあわせて、サポーター交流会というのがあり参加してきました。交流会に参加した人の中には5コース分行った人もいました。

交流会の中で、まだいくつかコースが残っているので、参加者のみなさんにはまた参加して欲しい旨のお話がありました。私が1回目に参加した時はなかったのですが、参加には事前レクチャーを行うようになったようです。経験者が参加してくれた方が嬉しいようです。その交流会の場で申し込んできました。

前振りが長くなってしまいましたが、7月10日午後、港南台のコースに参加してきました。

コースはこんなコース。予めデータをもらってGoogle Earthに入れていきました。




コース全長は6.5kmで、前回のコースに比べたら半分ちょっとしかありません。

しかし結構たいへんでした。

暑いのもあって、最初ペットボトルを2本用意していったのですが、途中1本 + アイス調達。

アップダウンは前回ほどではなかったのですが、道なき道というのもあり、結局道が見つからないところもありました。蚊の大群に襲われ、私は長ズボンで長袖も用意していたのでそれほど被害にはあいませんでしたが、サポート役の女性 (前回のときと同じ学生さん) はレギンスの上から刺されたようです。10カ所以上も刺されて可哀想でした。

道が見つからないのと蚊の襲撃で断念したところはこのあたりです。上空から道があるように見えないでしょ。



帰りはバスがあるところで助かりました。行きは元気だったので駅から歩いてコースまで行きましたが、さすがに疲れたので。

今回のコースはちゃんと取れたのでしょうか。確かに断念したところがあるので完全ではないのですが、それ以外にもGPSの電源を入れ忘れてたりとかしないかいまいち不安です。

横浜トリエンナーレは8月6日から。会期が始まったら会場案内などのボランティアで参加しますので、声をかけてくださいね。

2011/06/13

この国の新しい風景

こういう記事があった。

地熱発電:国立公園の外から「斜め掘り」 十和田八幡平 - 毎日jp(毎日新聞)
 三菱マテリアルと東北電力が地中を斜めに掘る技術を利用して、国立公園の直下にある地熱エネルギーを使う発電を計画していることが11日、分かった。日本は地熱資源の約8割が国立公園など自然公園に存在するとされるが、開発が厳しく制限されていた。しかし、政府は10年6月、景観に配慮した開発を認めるよう規制を緩和した。実現すれば斜め掘りを利用した日本初の地熱発電となり、他地域の地熱活用にもはずみがつきそうだ。
景観に関しては、以前、「東電の国有化に関して」で、
再生可能エネルギーでは主に太陽光発電と風力発電を想定していたが、地熱発電のコストは従来の発電とほぼ同等らしいので日本だと特に期待できるところだろう。火山というと国立公園内という場合も多いだろうが、今の状況だと多少風景を犠牲にしてもエネルギー自立を図るべきだと思う。
と書いた。

今はもう少し進んで、「風景を犠牲にしても」というネガティブな理由ではなく、積極的に地熱発電所があることを新しい日本の風景として取り入れても良いのではないかと思う。

地熱発電所を、日本の復興のシンボルにする。

先日、「横浜トリエンナーレのプロジェクトに参加してきた」で、高台から見える工場地帯の風景の写真をあげた。コンビナートってワクワクするよね。高速道路も、ダムも、橋も。戦争からの荒廃から立ち直る際に、これらの風景は日本人の心を奮い立たせたと思うのだ。

震災からの復興は、そんなワクワク感とはちょっと違うかもしれないが、国立公園に観光へ行った際に地熱発電所の施設を見る度に、復興への意志を新たにすることができるのではないか。そして将来、こうやって日本はまた復活したのだよと誇りにすることができると思う。

それは地熱発電だけではない。各家庭の屋根や、ビルの外壁、高速道路の防音壁を覆い尽くす太陽電池パネルも新しい風景になる。風力発電は日本では設置する場所は少ないが、海上に設置するという構想もあるようだし、それも新しい風景だ。休耕田は、メガソーラーにするよりも食糧増産に使うべきだと思うが、休耕田のままにしておくよりはメガソーラーの方がましだと思う。

電力のことばかり書いたが、東北を地震・津波に強い地域にするための開発も新しい日本の風景になると思う。高台に散在する住宅地、そこを繋ぐ交通機関。低地の使い方は議論が必要だろうが、できるだけ災害時の復旧が容易な利用方法を考えていく必要があると思う。大規模経営の農地や牧場など、今の土地の価格では成立しないかもしれないが、高台の価値が上がることによる相対的な価格低下、大規模化効率化によるコストダウンでなんとか出来ないかと思う。