2010/06/30

選挙期間中のブログ更新の自粛はするな

おはようございます。日本チーム頑張りましたね。

選挙期間中、ブログで政治的な発言、特に特定政党や特定候補者の主張にあった発言や、逆に批判する発言を控える人が多いように思う。また、そう公言している人もいる。特に今回は「ネット選挙解禁」が国会に出されていて、結局流れちゃったので、ダメという認識が広がっているように思う。また改正案でもTwitterはやっぱりダメということになっていたので、Twitterにも広がっているような気がする。

以前も書いたけど (「これは歓迎すべきことかも」)、これは困った傾向だと思う。特に控えると発言している人は、他の人の発言まで抑える効果をもつことを認識すべきだ。

ちゃんと「自粛すべきでない」と主張するために、公職選挙法 "第13章 選挙運動"を読んでみた。

まず、大きな枠組みとして、第13章は選挙運動でやっていいことと悪いことを規定していることだ。そしてその選挙運動に関しては、第129条で、
選挙運動は、各選挙につき、
...
公職の候補者の届出のあつた日から当該選挙の期日の前日まででなければ、することができない。

と書かれている。

すなわち、ここで「選挙運動としてできないこと」と規定されていれば、選挙期間外であってもやっちゃいけないことになる。「選挙期間中だから自粛していること」が、通年でやっちゃいけないことかどうかで判断してみれば、自ずと分るだろう。

それから、なぜ立候補している訳でなく選挙事務所で働いている訳でもない一般人が自粛しているのかということも考える必要があるな。これは法律の中に書かれている「何人も」という表現がキーになるだろう。これは一般人も含んでいる。以下では主に「何人も」という表現を使っているところを見て行く。

第138条:戸別訪問禁止「投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて戸別訪問をすることができない」だから、選挙期間中は友だちの家へ行ってもいいけど「投票して」とか「するな」とか発言しちゃダメ。

138条の表現「投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて」だと、特定の候補者や政党に無関係な場合でも、例えば「棄権しないよう」に呼びかけるのもダメになるな。

138条の2では、 「演説会の告知を戸別に行ってはならない」というだけでなく、「特定の候補者の氏名若しくは政党その他の政治団体の名称を言いあるく行為」もダメっていうことになるな。係り受けの範囲は難しいけど、演説の告知に限定しないようだ。

要は、一般人も含めて連呼はダメだってことか。いや待てよ、これじゃあ選挙事務所も連呼しちゃいけないってことになるな。実は連呼に関しては、後の方第140条の2 「連呼行為の禁止」で出てくるので、この「言いあるく行為」というのはそれとは別になるということになる。歩いている最中のつぶやきも含まれそうな表現だ。かといって止まったときはOKというのもなさそうだし。これはこの法律の文言だけでは私は判断できない。

第138条の3 人気投票の公表の禁止:これも「何人も」って書いてあるんだけど、マスコミの結果予想もダメだってことだよな。しかし、Wikipedia 「選挙違反」を見ると、
人気投票の公表
人気投票の方法が必ずしも公平とは言えず、その結果によって有権者が影響されたりすることを防ぐため、禁止されている。新聞社等が行う世論調査は調査員が被調査員に面接して調査をした場合に該当し、人気投票には当たらないとされている。
とある。

第140条 気勢を張る行為の禁止:デモとかパレードとか珍走団禁止ってことだな。日本選手団の応援は ... これは選挙じゃないからいいけど、どさくさに紛れて「たちあがれ日本!」なんて言っていたやつまさかいないよな。

第145条 ポスターの掲示箇所等:「ポスター」は常識的に考えて「投稿者」じゃなくて紙のポスターのことだろう。

第146条 文書図画の頒布又は掲示につき禁止を免れる行為の制限:やっと「文書図画」に来た。なるほどブログやツイッターは「第142条(文書図画の頒布)又は第143条(文書図画の掲示)の禁止を免れる行為」と見なされる可能性があるのか。

書いちゃ行けない範囲は、候補者、政党だけじゃなくて、「候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名」も入っている。「たちあがれ日本」を支持する「石原慎太郎」とかも含まれるな。って、あ、この投稿もそうか。「自民党」とか「民主党」とかの文言が入っていてもいけないことになってしまう。

だからブログ投稿は「第142条(文書図画の頒布)又は第143条(文書図画の掲示)の禁止を免れる行為」でないことを言わないといけないのか。

で、第142条(文書図画の頒布)を見ると「選挙運動のために使用する文書図画は ... 頒布できない」とある。「文書図画」にWebが入るとしても「選挙運動のために」でなければOKじゃないかな。

政治的な発言や、候補者や政党に対する批判が「選挙運動」ととられる可能性があるという懸念もあるかもしれないけど、最初に書いたようにそれが「選挙運動」なら、常にダメってことになる。

私の結論は、特定の候補者への支持を訴えたりするのでなければ、ブログ更新、ツイッター投稿OKです。自分が誰を支持するとか言って構わない。

何か誤解があればご指摘下さい。

■ おまけ

今回のテーマに関係ないんだけど、「飲食物の提供の禁止」のところで、事務所で出る弁当の数まで細かく規定していて面白かった。

第140条の2に「前項ただし書の規定により」って書いてあって、「書」って何?「下記」のかな漢字変換ミス?って思ったのだけど、悩んだ末「ただし書き」のことと判明。

2 件のコメント:

あかちん さんのコメント...

4月に同じチームメイトになったあかちんです!
選挙期間中のネット禁止は、ネットに疎い(お偉い)先生方のネットの力の脅威と認識不足から生まれているものだと思っています。
よってこれから法改正されると思います。

yoshihiroueda さんのコメント...

あかちんさん、
コメントに気づかず申し訳ありません。
基本的にはネットがなかった時代の法律を、そのまま杓子定規に解釈する役人と、法律の改正を怠ってきた政治家の問題だと思うのですけれど、怠ってきた理由がなんとなく怖いとか、ネットに馴染んでいない自分が不利になるからという理由もありそうですね。
おっしゃる通り改正されるとは思うのですが、今の政治の動きを見ているといつになることか ...