2016/03/19

ビジョンなき改憲

安倍首相が「改憲」を次の参議院選挙の争点にするという。

「在任中改憲」表明
参院選争点化確実に 同日選も視野
(毎日新聞 2016年3月3日 魚拓)

選挙の争点にせず選挙で勝ってから言い出した「解釈改憲」、「安保法制」のときよりもずっとましだとは言えるが、何を変えるか言わないで「改憲」の是非は選挙では判断がつかないだろう。
「どの条文から改正するかは、憲法審査会の議論が収れんすることを期待している」と語った。
人任せかよ。自分の意志はないのかよ。

いや、自民党案があるのは知っている。基本的人権に対して「天賦人権論をとらない」(Togetter 「天賦人権論をとるのは止めよう、というのが私たち(自民党)の基本的考え方です。」)、国が認める人にだけフルスペックの人権を与えようというものだった。でもそれは今回出さないんだよね。憲法96条「改正」とか、環境権とかプライバシー権とか、国民に受け入れられそうなものから出す、「お試し改憲」なんでしょ。

「お試し」と言ってもクーリングオフ期間があるわけではない。ずっと残るのだ。

そして今出ているのが「緊急事態条項」。

特集ワイド:本当に必要? 「緊急事態条項」 (毎日新聞2016年2月2日 魚拓)
現憲法の制定に尽力した金森徳次郎憲法担当相は46年7月、帝国議会衆院憲法改正案委員会で次のように語った。「緊急勅令及び財政上の緊急処分は行政当局者にとりましては実に調法なものであります。しかしながら(略)国民の意思をある期間有力に無視しうる制度である(略)。だから便利を尊ぶかあるいは民主政治の根本の原則を尊重するか、こういう分かれ目になるのであります」
以前麻生副首相が「ナチに学んだらどうかね」と言った。批判されて引っ込めたように見えるけど、全権委任法をしっかり勉強していたんだ。

この案に関しても国会内で議論が深まっているように見えない。法案が出されないと仮定の議論になって議論しにくいという事情があるのはわかるが、選挙の前に議論を深めておかないと判断のしようがないではないか。最初の記事では、枝野幹事長が記者会見で「どの条文を変えたいかという話を抜きに『変えたい』というのは論理矛盾だ」と批判したとあるが、記者会見ではなくて国会でやれ。

しかし、やはり問題は、何を変えるのかというよりも、ただ「変えたい」とだけいう安倍首相だ。必要なのは、憲法を変えてどういう国にしたいのか、ますそのビジョンを国民に語ることだと思う。「国の維持のために国民は犠牲を厭わず貢献する」でもいいよ (よくないけど)、自分の口で言ってみてもらいたい。

それがなくて「自分の任期中に改憲したい」というのは「おじいちゃんにできなかったことをボクがなしとげた」と言いたいだけに見えるのだ。
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