昨年第11回では、公開審査会という形で行われ他のですが (→記事「shiseido art egg 公開審査会」)、今年は審査は非公開で、さらにこの贈賞式で結果発表という形になりました。主催者側も色々模索しているのだと思います。
対象は、入選し (→ 第12回 shiseido art egg/審査結果)、今回6月から8月にそれぞれ資生堂ギャラリーで個展を行った3名です。
冨安由真 ~ くりかえしみるゆめ
佐藤浩一 ~ 半開花の庭
宇多村英恵 ~ 戦争と休日
昨年は審査会の中で作品をスライドで振り返る時間があったのですが、今年はほとんどなく、どういう作品か分からないまま審査結果を聞くことになりました。展示を見に行っておけばよかったと後悔しました。
そういう訳で事後になりますが、作品のことについてアーティストのインタビューを見てみます。
- 美術手帖 2018/6/6 「心霊」を現代美術に組み込む。「第12回shiseido art egg」 冨安由真インタビュー
- 美術手帖 2018/7/8 植物と人間の関係性を探る。 「第12回shiseido art egg」 佐藤浩一インタビュー
- 美術手帖 2018/8/9 アクションの先にあるものとは? 「第12回shiseido art egg」 宇多村英恵インタビュー
さて結果ですが、この中から、宇多村英恵さんに決まりました。
宇多村英恵さんは、受賞あいさつで以下のようなことを仰っていました。
- これまで展覧会では毎回新作を出してきて、過去を振り返ることはなかった。今回はそれらを振り返る機会となった。
- 初期の頃の作品は、人に見せることを意識していないもの。作品に理由を持たせない。今回初めて見た人に新しい解釈をしてもらう。
そのあと審査委員の畠山直哉氏から総評がありました。まず「3人選ばれた時点で審査は終わっていると言える。今回観客として向き合ってきた」ということでした。
印象に残ったのは、「昔自分が若い頃は、いい写真を撮る = いい作品を作るだけでよかった。今はそれだけではダメで、作品を作る上でストーリーが求められる」ということでした。畠山氏は、「今回の3名に共通するものとして、霊的なものがある。作品にストーリーが求められるという背景から来ているが、その上でどうプレイするかが勝負になる」というようなことを仰っていました (すみませんメモが正確にできなかったので多分に自分の印象も含まれています)。
冨安さんの作品は直接霊的なものでしょう。佐藤さんの作品も、遺伝子組み換えなど見えないもの、そして見えないゆえに怖いものに取り組んでいます。宇多村さんは、上記インタビューを見ると、戦争の遺産に残る人の思い (という単純な言葉で言い表せませんが) に思いを馳せていることがわかります。
他の記事を見ると冨安さんの展示も行列ができるほどの話題だったそうですね。来年またshiseido art egg 関連のイベントに参加できる機会があるかどうかわかりませんが、その時のために事前にみておきたいと思います。
三人で記念写真。左から佐藤さん、宇多村さん、富安さん。 |
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