今日でブログを書き始めてから10年になる。
昨日は以前書いていた記事を見直し、リンク切れを直したり改行によるずれを直したりしてアップデートしていた。
最初に書いたのはこの記事 → にぶろぐ: 愛国者宣言 (2004-05-25)
現在ブログを引っ越して現在はこちら → うえぶろぐWordPress: 愛国者宣言 (2004-05-25)
昔は愛国主義者だったんだね。
書いている内容は、平和、環境、社会問題、技術、ビジネス、アート、言語 (日本語) が多い、って全然まとまりないな。
そう言えば最初ブログ名を「環境/ビジネス/カルチャー」にしていたんだ。その意図はブログ名を変更するときに書きました。
Twitterが出てきて以来、そちらで書くことが圧倒的に多くなり、ブログの更新頻度がめちゃくちゃ落ちている。しかし、まとまったことを書くことは、考えを整理する上で役に立つ。
今後もまだまだやめる気はないので、みなさん、見守ってください。
2014/05/25
こども展
5月20日、森アーツセンターギャラリーで開催されている「こども展」のブロガー特別内覧会が開かれ行ってきました。
「こども展 名画にみるこどもと画家の絆」展覧会情報
会期: 2014年4月19日(土)~6月29日(日)※会期中無休
場所: 森アーツセンターギャラリー
開館時間 10時~20時 (火曜日は~17時)
詳しくは 森アーツセンターギャラリー「こども展 名画にみるこどもと画家の絆」、または、特設サイトへ。
特別内覧会ということで、エキジビション・ディレクター中山三善氏のギャラリートークがありました (以降も含め写真は美術館より特別に撮影許可を得ています)。また、通常は有料の音声ガイドも無料で貸していただけます。音声ガイドのナレーターは竹内まりやで、展覧会のテーマソングになっている「人生の扉」も入っています。なお、音声ガイドは 2種類あって、もう一つのジュニア版はクイズ形式になっているそうです。
この展覧会は、以前オランジェリー美術館で行われた企画展を再構成して持ってきたもの。巨匠が子どもを描くということで、ピカソも入っていますが、基本的にはかわいい子どもの姿を写実的に描いたものです。この展覧会は難しいことを考えず、かわいいと楽しんでもらえば良いとのことでした。こんな毒にも薬にもならない展覧会は久しぶり ... って、あ、ごめんなさい、かわいい子どもの絵で癒されるので薬にはなりますね。
その中でも私が一番気に入ったのは (おそらく、多くの人もそうかと思います) ポスターにもなっているルノワール「ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども」(→ Wikipaintings) とその関連作品でした。
ジュリー・マネは、ベルト・モリゾとウジェーヌ・マネ (エドワール・マネの弟) 夫婦のひとり娘。この一角はジュリー・マネの成長を絵で追います。右の2点はいずれもベルト・モリゾによるもの。右は「庭のウジェーヌ・マネとその娘」(→ Wikipaintings)、その左は「犬を抱く娘」(→ Wikipaintings) です。ルノワールの「ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども」にはベルト・モリゾは気に入ったらしく、自身で版画にもしています。これもいい感じでした。
ジュリー・マネは成長してやはり画家になっており、ここには彼女が描いた子どもの絵も展示してあります。
オフィスアイ・イケガミ アートブログによるレビュー「こども展―名画にみるこどもと画家の絆― 」にはもっといろいろなエピソードが載っています。その中で
というのは母娘の愛情を感じさせるいい話ですね。右の絵です (WikiPaintingから持ってきました)。
竹内まりやの音声ガイドには、作品の解説から離れて、ベルト・モリゾをとりあげたチャプターがあります。彼女を「働くお母さん」という観点で評価をしているんですね。同じ働く女性として共感したのだと思います。あわせて夫ウジェーヌ・マネの理解あってこそと評価していています。そういうことが可能な階級、仕事だったということを考えないといけないとは思うのですが、そういう意味で似たような位置づけにある竹内まりやではしかたないかなという気もします。
このコーナーばかり取り上げましたが、他にも印象的な作品がありました。エンダディアン「ネガールの肖像」は気に入って後で調べようと思ったのですが、綴りが分らず検索できません。
5月31日から同じ森ビルの最上階にある森美術館で「ゴー・ビトゥイーンズ展 こどもを通して見る世界」があります。こちらは毒もある展覧会で、ハナ・マフマルバフ監督「子供の情景」(Wikipedia) 上映など関連イベントが多くあります。この展覧会にも行きたいと思います。子どもを見る「こども展」と、子どもの目で世界を見る「ゴー・ビトゥイーンズ展」。あわせて見ることで世界が広がるのだと思います。
「こども展 名画にみるこどもと画家の絆」展覧会情報
会期: 2014年4月19日(土)~6月29日(日)※会期中無休
場所: 森アーツセンターギャラリー
開館時間 10時~20時 (火曜日は~17時)
詳しくは 森アーツセンターギャラリー「こども展 名画にみるこどもと画家の絆」、または、特設サイトへ。
特別内覧会ということで、エキジビション・ディレクター中山三善氏のギャラリートークがありました (以降も含め写真は美術館より特別に撮影許可を得ています)。また、通常は有料の音声ガイドも無料で貸していただけます。音声ガイドのナレーターは竹内まりやで、展覧会のテーマソングになっている「人生の扉」も入っています。なお、音声ガイドは 2種類あって、もう一つのジュニア版はクイズ形式になっているそうです。
この展覧会は、以前オランジェリー美術館で行われた企画展を再構成して持ってきたもの。巨匠が子どもを描くということで、ピカソも入っていますが、基本的にはかわいい子どもの姿を写実的に描いたものです。この展覧会は難しいことを考えず、かわいいと楽しんでもらえば良いとのことでした。こんな毒にも薬にもならない展覧会は久しぶり ... って、あ、ごめんなさい、かわいい子どもの絵で癒されるので薬にはなりますね。
その中でも私が一番気に入ったのは (おそらく、多くの人もそうかと思います) ポスターにもなっているルノワール「ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども」(→ Wikipaintings) とその関連作品でした。
ジュリー・マネは、ベルト・モリゾとウジェーヌ・マネ (エドワール・マネの弟) 夫婦のひとり娘。この一角はジュリー・マネの成長を絵で追います。右の2点はいずれもベルト・モリゾによるもの。右は「庭のウジェーヌ・マネとその娘」(→ Wikipaintings)、その左は「犬を抱く娘」(→ Wikipaintings) です。ルノワールの「ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども」にはベルト・モリゾは気に入ったらしく、自身で版画にもしています。これもいい感じでした。
ジュリー・マネは成長してやはり画家になっており、ここには彼女が描いた子どもの絵も展示してあります。
オフィスアイ・イケガミ アートブログによるレビュー「こども展―名画にみるこどもと画家の絆― 」にはもっといろいろなエピソードが載っています。その中で
マネの代表作≪すみれの花束をつけたベルト・モリゾ≫(1872年、オルセー美術館)をジュリーは生涯大事に自宅居間に飾っていたという。
Berthe Morisot with a bouquet of violets by Edouard Manet |
竹内まりやの音声ガイドには、作品の解説から離れて、ベルト・モリゾをとりあげたチャプターがあります。彼女を「働くお母さん」という観点で評価をしているんですね。同じ働く女性として共感したのだと思います。あわせて夫ウジェーヌ・マネの理解あってこそと評価していています。そういうことが可能な階級、仕事だったということを考えないといけないとは思うのですが、そういう意味で似たような位置づけにある竹内まりやではしかたないかなという気もします。
このコーナーばかり取り上げましたが、他にも印象的な作品がありました。エンダディアン「ネガールの肖像」は気に入って後で調べようと思ったのですが、綴りが分らず検索できません。
5月31日から同じ森ビルの最上階にある森美術館で「ゴー・ビトゥイーンズ展 こどもを通して見る世界」があります。こちらは毒もある展覧会で、ハナ・マフマルバフ監督「子供の情景」(Wikipedia) 上映など関連イベントが多くあります。この展覧会にも行きたいと思います。子どもを見る「こども展」と、子どもの目で世界を見る「ゴー・ビトゥイーンズ展」。あわせて見ることで世界が広がるのだと思います。
2014/04/30
統計学ちゃんと勉強しなきゃ
ビッグデータとか統計学とか最近ブームなのでいろいろ見ているけど、どうもつまみ食いの範囲を越えていない。
購入した本
逐次通訳はついていたけれど英語の講演で、統計学の用語を辞書をひきながら聞いていた。
購入した本
- ビッグデータの正体 - ビクター・マイヤー=ショーンベルガー: Web連載を読んだのでたぶん一部だけ
- ビッグデータの覇者たち - 海部美知
- 統計学が最強の学問である - 西内啓: iBookStore で購入
- 2014/3/12 SAS イベント 国際統計学会副会長 講演Helen MacGillivray来日記念講演会~統計的思考の養い方~
- 2014/4/10 SAS Forum Japan
逐次通訳はついていたけれど英語の講演で、統計学の用語を辞書をひきながら聞いていた。
- R-sq = 決定係数
- ANOVA = Analysis of Variance 分散分析
- chisq = カイ2乗検定
2014/03/09
日本美術院再興100年 特別展『世紀の日本画』
東京都美術館で行われている、日本美術院再興100年 特別展『世紀の日本画』。前期後期で全作品を入れ替えるのですが、後期が始まる3月1日、閉館後にブロガー向け特別観覧会があり、参加してきました。
表題のとおり、日本美術院の再興から100年を記念し、これまでの名作を俯瞰するものです。「再興」というのは、最初明治31年 (1898) に岡倉天心によって創立されたものの、その後資金不足で一旦休止状態にあったものを、大正3年 (1914) に岡倉天心の一周忌にあわせて活動を再開したということです。
最初に学芸員の河合晴生氏から全体の説明、最初の部屋のいくつかの作品の説明がありました。
狩野芳崖の「悲母観音」には、聖母と赤子を配置しているところにキリスト教というか西洋の影響が見られる。横山大観の「屈原」は、妬まれ左遷され自殺した屈原と東京美術学校を追われた大観に重ねたもの。同じく大観の「無我」は、幼いこどもを描くことで抽象的な概念をイメージ化している ...
また、それまでの日本画が輪郭を描くものであったのに対して、色と濃度の差でものの形を表現する西洋的手法が「朦朧体」と呼ばれたなど、美術院初期、これまでの日本画から脱却しようとしている時代の美術家の挑戦が感じられます。
それぞれの作品が、ただ日本画の伝統を追っているだけではないことがわかる展示になっていました。小倉遊亀の「コーちゃんの休日」(コーちゃんは越路吹雪) にはマチスの影響があることがわかります。月岡榮貴の「やまたのおろち」はシャガールのような幻想的な感じを受けました。
色の強さにインパクトを感じるものが多くありました。小林古径「芥子」の緑、小茂田青樹「虫魚画巻」背景の銀、速水御舟「比叡山」の群青の濃淡、今村紫紅「熱国之巻」インドの光の強さを表現するための金粉 ...
今回最も気に入ったのが、岩橋英遠の「道産子追憶之巻」。一面の風景の中に、秋から冬にかけて変わっていく自然を表現しているものでした。これが1978年から1982年の作品で、まだまだ変わっていく日本画のダイナミズムを感じました。
日本画というと、以前、"「日本画」なの?" でもう日本画ともいえない作品も見てきたのですが、今回のものは伝統に沿いながらも新しい「美」を目指す姿勢を感じることができました。現代美術に抵抗のある人にもオススメです。4月1日まで。
表題のとおり、日本美術院の再興から100年を記念し、これまでの名作を俯瞰するものです。「再興」というのは、最初明治31年 (1898) に岡倉天心によって創立されたものの、その後資金不足で一旦休止状態にあったものを、大正3年 (1914) に岡倉天心の一周忌にあわせて活動を再開したということです。
最初に学芸員の河合晴生氏から全体の説明、最初の部屋のいくつかの作品の説明がありました。
狩野芳崖の「悲母観音」には、聖母と赤子を配置しているところにキリスト教というか西洋の影響が見られる。横山大観の「屈原」は、妬まれ左遷され自殺した屈原と東京美術学校を追われた大観に重ねたもの。同じく大観の「無我」は、幼いこどもを描くことで抽象的な概念をイメージ化している ...
また、それまでの日本画が輪郭を描くものであったのに対して、色と濃度の差でものの形を表現する西洋的手法が「朦朧体」と呼ばれたなど、美術院初期、これまでの日本画から脱却しようとしている時代の美術家の挑戦が感じられます。
それぞれの作品が、ただ日本画の伝統を追っているだけではないことがわかる展示になっていました。小倉遊亀の「コーちゃんの休日」(コーちゃんは越路吹雪) にはマチスの影響があることがわかります。月岡榮貴の「やまたのおろち」はシャガールのような幻想的な感じを受けました。
色の強さにインパクトを感じるものが多くありました。小林古径「芥子」の緑、小茂田青樹「虫魚画巻」背景の銀、速水御舟「比叡山」の群青の濃淡、今村紫紅「熱国之巻」インドの光の強さを表現するための金粉 ...
今回最も気に入ったのが、岩橋英遠の「道産子追憶之巻」。一面の風景の中に、秋から冬にかけて変わっていく自然を表現しているものでした。これが1978年から1982年の作品で、まだまだ変わっていく日本画のダイナミズムを感じました。
日本画というと、以前、"「日本画」なの?" でもう日本画ともいえない作品も見てきたのですが、今回のものは伝統に沿いながらも新しい「美」を目指す姿勢を感じることができました。現代美術に抵抗のある人にもオススメです。4月1日まで。
2014/01/14
バルテュスの優雅な生活
娘が成人式の式典に出席している間、図書館で読みました。
バルテュスの優雅な生活
バルテュスに関しては原久路の作品に関する記事であげたのですが、バルテュス自体はそれまで知らず、またそれ以降も詳しいことは知らなかったので、興味深く読みました。昔の人だと思っていたのですが、2001年に亡くなったので現代の人と言えるんですね。勝新太郎とも交流があり、一緒の写真も載っていました。その他リチャード・ギアとの写真もありました。
また、この著者にもなっている節子さんという日本人が奥さんだったのですね。節子さん自身が書かれた馴れ初めの部分が面白かったし、若くして結婚した節子さんが、教養をつけるために勉強したエピソードも興味深く読みました。
バルテュスの優雅な生活
バルテュスに関しては原久路の作品に関する記事であげたのですが、バルテュス自体はそれまで知らず、またそれ以降も詳しいことは知らなかったので、興味深く読みました。昔の人だと思っていたのですが、2001年に亡くなったので現代の人と言えるんですね。勝新太郎とも交流があり、一緒の写真も載っていました。その他リチャード・ギアとの写真もありました。
また、この著者にもなっている節子さんという日本人が奥さんだったのですね。節子さん自身が書かれた馴れ初めの部分が面白かったし、若くして結婚した節子さんが、教養をつけるために勉強したエピソードも興味深く読みました。
2014/01/12
ソウル東大門デザインプラザ
現在21_21デザインサイトで、企画展「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」が行われており、関連イベントがいろいろ行われています。1月11日、トーク「現場からみる、デザインミュージアムの可能性」を聴きにいってきました。
今回は実際のデザイン関係のミュージアムの関係者によるお話。
鄭國鉉氏はここでは総監督という肩書きになっているが、オープン後は館長 (名称は違うかもしれない) 就任が予定されている。もともとサムスンのデザイン部門出身と言うこともあってか、単なる公式発表だけでなく、ざっくばらんに話をしていただき、面白かった。
さて、東大門デザインプラザ (DDP) ですが、ティーザー映像がありました。
このフォルムは! そう、話題のザハ・ハディッドです。
鄭國鉉氏によると、中国にもザハ・ハディッド建築があるが、雨漏りがあったりして、まともに建ったものは少ないという。韓国メディアからもさんざん叩かれているとのこと。しかし、鄭國鉉自身は、その点に関しては心配していないようだ。
外側を構成するパネルは一枚一枚違う。個々にプレスで制作しているとのこと。建築費がかさみそう。
内部も曲線で構成され、遠近感を狂わせる。下を向いて歩いていると頭をぶつけたりするそうだ。また、ポスターには屋根に座っている女性の写真が使われているのだが、なだらかな屋根で比較的容易に登れたりする場所もあるとのこと。開館前には安全対策をするらしいが、そのため無粋な立て看板だらけになるのではなかろうか (笑)。
韓国には一度も行ったことはないのですが、ここには一度行ってみたいです。
「ザハ・ハディッドを見に行こう!」
今回は実際のデザイン関係のミュージアムの関係者によるお話。
- 東京国立近代美術館の工芸館: 工芸品だけでなくデザイン作品を所蔵している。
- 竹中大工道具館(神戸市)
- 東大門(トンデムン)デザインプラザ(DDP)2014年3月開館予定
鄭國鉉氏はここでは総監督という肩書きになっているが、オープン後は館長 (名称は違うかもしれない) 就任が予定されている。もともとサムスンのデザイン部門出身と言うこともあってか、単なる公式発表だけでなく、ざっくばらんに話をしていただき、面白かった。
さて、東大門デザインプラザ (DDP) ですが、ティーザー映像がありました。
このフォルムは! そう、話題のザハ・ハディッドです。
鄭國鉉氏によると、中国にもザハ・ハディッド建築があるが、雨漏りがあったりして、まともに建ったものは少ないという。韓国メディアからもさんざん叩かれているとのこと。しかし、鄭國鉉自身は、その点に関しては心配していないようだ。
外側を構成するパネルは一枚一枚違う。個々にプレスで制作しているとのこと。建築費がかさみそう。
内部も曲線で構成され、遠近感を狂わせる。下を向いて歩いていると頭をぶつけたりするそうだ。また、ポスターには屋根に座っている女性の写真が使われているのだが、なだらかな屋根で比較的容易に登れたりする場所もあるとのこと。開館前には安全対策をするらしいが、そのため無粋な立て看板だらけになるのではなかろうか (笑)。
韓国には一度も行ったことはないのですが、ここには一度行ってみたいです。
「ザハ・ハディッドを見に行こう!」
16th DOMANI・明日展
国立新美術館で行われている16th DOMANI・明日展 に行って来ました。毎年行われているのですが、以前は2010年に行ったので4年ぶりになります。
今回の特徴は、建築を大きく取り上げたことだろう。建築家43名それぞれに区分されたスペースを与えられている。それぞれじっくりみていると、時間がいくらあっても足りない感じ。
建築家のことはほとんど知らないのだけれど、現在NTTインターコミュニケーションセンターで行われている都市ソラリス展の事前シンポジウムで出ていた松川昌平のARKHITEKTOMEがあった。建築において可能なパターン (コンピュータ上のモデル) を作っては、与えられたコンテキストで評価し、淘汰していくことを繰り返すもの。昨年11月東京ミッドタウンで行われた、慶應SFCのORFでも出ていたらしい。
アート作品に関しては自分としてはあまり収穫はなかったが、その中にあって榊原澄人の作品は惹かれた。
É IN MOTION No.2(部分) http://domani-ten.com/artist/exhibition/01.php より[/caption]
大きなスクリーンに、一部が繋がった4つのシーンが少しずつずれながら連続して投影されている。個々のシーンの中では部分部分でそれぞれイベントが発生していて、そのイベントを追っていると他のイベントを見るのが疎かになってしまいまうので、今度は別のところを中心にみることになる。画面の移動はゆっくりではあるが、それでも終端にくると見えなくなるので、そのあいだにみないといけない。一周は15分くらいだと思うが、この作品は全部じっくり見てしまった。
大野由美子の床面にジグソーパズルのピースを並べた作品も面白かった。靴を脱げばその上に乗れるようになっているのだけれど、ピースが靴下にひっかかって元と違ったものになるのではないとひやひやした。
川上りえの作品も、針金で制作したキューブの組み合わせを天井から吊るしたものの下を通っていく感じで、不思議な感覚。
今回の特徴は、建築を大きく取り上げたことだろう。建築家43名それぞれに区分されたスペースを与えられている。それぞれじっくりみていると、時間がいくらあっても足りない感じ。
建築家のことはほとんど知らないのだけれど、現在NTTインターコミュニケーションセンターで行われている都市ソラリス展の事前シンポジウムで出ていた松川昌平のARKHITEKTOMEがあった。建築において可能なパターン (コンピュータ上のモデル) を作っては、与えられたコンテキストで評価し、淘汰していくことを繰り返すもの。昨年11月東京ミッドタウンで行われた、慶應SFCのORFでも出ていたらしい。
アート作品に関しては自分としてはあまり収穫はなかったが、その中にあって榊原澄人の作品は惹かれた。
É IN MOTION No.2(部分) http://domani-ten.com/artist/exhibition/01.php より[/caption]
大きなスクリーンに、一部が繋がった4つのシーンが少しずつずれながら連続して投影されている。個々のシーンの中では部分部分でそれぞれイベントが発生していて、そのイベントを追っていると他のイベントを見るのが疎かになってしまいまうので、今度は別のところを中心にみることになる。画面の移動はゆっくりではあるが、それでも終端にくると見えなくなるので、そのあいだにみないといけない。一周は15分くらいだと思うが、この作品は全部じっくり見てしまった。
大野由美子の床面にジグソーパズルのピースを並べた作品も面白かった。靴を脱げばその上に乗れるようになっているのだけれど、ピースが靴下にひっかかって元と違ったものになるのではないとひやひやした。
川上りえの作品も、針金で制作したキューブの組み合わせを天井から吊るしたものの下を通っていく感じで、不思議な感覚。
2014/01/10
アージェント・トーク022
1月7日、森美術館で行われた
アージェント・トーク022:「具体:すばらしい遊び場所」展から考える日本美術のグローバルな位置
を聞いてきました。
「具体」に関しては一昨年国立新美術館で展覧会が開かれたので行って来ました(→「具体」展)、昨年はニューヨークのグッゲンハイム美術館で開かれていました。そのキュレーターの一人ミン・ティアンポさんのトークです。
日本の美術をどう世界の中で位置づけるか。それは今も日本の美術界のテーマであるのでしょうが、現在は村上隆以外は海外に打って出るような動きはあまりみられないと感じています。もちろん個人個人では意識している人も多いのでしょうが (ヴェネチア・ビエンナーレで日本館として賞をとった田中功起もその一人でしょう)、全体の力になっておらず、日本の中で分ってもらえればいいというようなスタンスに見えます。
このトークの中で面白かったのは、「具体」が雑誌というかカタログを作成して世界の美術家に送付していたということ。今はインターネットが使えますが、当時そういうものはない中で、世界に発信していたというところです。数こそ多くは配れませんが、物理的に存在するものは強いですね。
美術というと、美しいか美しくないか、されに現代でいえば、好きか嫌いかの差しかないように感じていましたが、全世界の中で相対化し美術の歴史の文脈の中に位置づけることが重要なんですね。国際公用語としての英語はそのためには重要ということで、会場とのQ&Aの回答中に言われていました。
アージェント・トーク022:「具体:すばらしい遊び場所」展から考える日本美術のグローバルな位置
を聞いてきました。
「具体」に関しては一昨年国立新美術館で展覧会が開かれたので行って来ました(→「具体」展)、昨年はニューヨークのグッゲンハイム美術館で開かれていました。そのキュレーターの一人ミン・ティアンポさんのトークです。
日本の美術をどう世界の中で位置づけるか。それは今も日本の美術界のテーマであるのでしょうが、現在は村上隆以外は海外に打って出るような動きはあまりみられないと感じています。もちろん個人個人では意識している人も多いのでしょうが (ヴェネチア・ビエンナーレで日本館として賞をとった田中功起もその一人でしょう)、全体の力になっておらず、日本の中で分ってもらえればいいというようなスタンスに見えます。
このトークの中で面白かったのは、「具体」が雑誌というかカタログを作成して世界の美術家に送付していたということ。今はインターネットが使えますが、当時そういうものはない中で、世界に発信していたというところです。数こそ多くは配れませんが、物理的に存在するものは強いですね。
美術というと、美しいか美しくないか、されに現代でいえば、好きか嫌いかの差しかないように感じていましたが、全世界の中で相対化し美術の歴史の文脈の中に位置づけることが重要なんですね。国際公用語としての英語はそのためには重要ということで、会場とのQ&Aの回答中に言われていました。
2014/01/02
2014年 あけましておめでとうございます
2014/01/01
2013年に行った展覧会
毎年年末にまとめている「今年行った展覧会」、こんな時間になっちゃった。
今年は展覧会というより、あわせて行われるトーク等が増えたように思います。
これ以外にヨコハマトリエンナーレ関係のイベントがありました。来年はいよいよ本展です。忙しくなりそうです。
今年は展覧会というより、あわせて行われるトーク等が増えたように思います。
- 2013/01/06 国芳展 @ 横浜美術館
- 2013/01/13
- 美術にぶるっ @ 東京国立近代美術館
- 田中一光展の関連イベント。 @ 21_21 DESIGN SIGHT
- 2013/01/29 吉竹美香さんアージェントトーク @ 森美術館
- 2013/02/11
- 装画を描くコンペティショングランプリ ミナミタエコ個展 @gallery_h_maya
- 大巻伸嗣More Light @ 渋谷ヒカリエ
- 2013/02/20 メディア芸術祭 @ 国立新美術館
- 2013/03/13 デザインあ展 @ 21_21 DESIGN SIGHT
- 2013/03/19 TECHNE映像の教室展 @ 東京ミッドタウン デザインハブ
- 2013/04/21 ルーベンス最終日 @ Bunkamura ザ・ミュージアム
- 2013/06/01 「ソフィ カル - 最後のとき/最初のとき」 @ 原美術館
- 2013/06/29
- カラーハンティング展ギャラリートーク @ 21_21 DESIGN SIGHT
- 怠慢ガール @ TAMBOURIN GALLERY
- 2013/07/07 箱根ガラスの森美術館 2013年特別企画 ─時空を超えた東西の技─「モザイク美の世界」ヴェネチアン・グラスと里帰りした箱根寄木細工 // 観光客向け美術館だけど結構良かった。
- 2013/07/27 トークセッション「ニッポン国文化村~負の現在」@ さくらWORKS
- 2013/08/11
- 福井利佐 「LIFE-SIZED」@ ポーラ ミュージアム アネックス
- ミン・ウォン展 @ 資生堂ギャラリー
- ベネチアビエンナーレ報告会 @ さくらWORKS
- 2013/08/17
- 泥象 鈴木治の世界 @ 京都国立近代美術館
- 『dreamscape ─ うたかたの扉』 @ 京都芸術センター
- 2013/08/23 プーシキン美術館展とキュレーターの講演 @ 横浜美術館
- 2013/08/30 エドワード・マイブリッジの「動物の運動」写真展 @ フジフイルム スクエア // 他にも木村伊兵衛展がありました。
- 2013/09/08 横浜トリエンナーレサポーター企画 あいちトリエンナーレ2013 と 名古屋市美術館でのトークイベント
- 2013/09/16 黄金町バザール (他の日にも行きました)
- 2103/09/21
- カラーハンティング展トーク 「やさいピグメント」@ 21_21 DESIGN SIGHT
- クリスチャン・ケレツ展 @ ギャラリー・間
- 六本木クロッシングとアーチストトーク @ 森美術館
- 2013/09/28
- カラーハンティング展トーク「国家珍宝帳プロジェクトを語る」@ 21_21 DESIGN SIGHT
- NISSAN ART AWARD @ BankART Studio NYK
- 2013/10/14
- 竹内栖鳳展 @ 東京国立近代美術館
- Rhizomatiks @ ICC: InterCommunication Center
- 2013/11/05 アージェントトーク @ 森美術館
- 2013/11/16「D-8が語るデザインとミュージアム」Vol.1 テーマ「デザイン・ミュージアムの魅力と力」@ 21_21 DESIGN SIGHT
- 2013/11/23 シンポジウム「都市ソラリスへ」 @ ICC: InterCommunication Center
- 2013/12/03 アージェントトーク021 中国社会のいま @ 森美術館
- 2013/12/07
- 森村・荒木対談 @ 資生堂花椿ホール
- 森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る @ 資生堂ギャラリー
- 「トマシェフスキ展 - 世界を震わす詩学」 @ ギンザ・グラフィック・ギャラリー ggg)
- 2013/12/08 横浜トリエンナーレサポーター企画
- 森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る@ 資生堂ギャラリー
- 美しき、ブラックリスト展~D&AD Awards 1963-2013~ @ アド・ミュージアム東京
- 「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」@ 原美術館
- 2013/12/14「D-8が語るデザインとミュージアム」Vol.2 テーマ「ジャパンデザイン、そしてデザインの力」@ 21_21 DESIGN SIGHT
- 2013/12/21 参加アーティストによるプレゼンテーションとトークセッション テーマ「空中都市」@ ICC: InterCommunication Center
これ以外にヨコハマトリエンナーレ関係のイベントがありました。来年はいよいよ本展です。忙しくなりそうです。
2013/09/07
iPhoneそろそろ買い替えようかな
ソフトバンクのiPhone 4Sを使っているのだけど、このところソフトバンクからプロモーションのメッセージがくる。
5月末までの特典! iPhone5 への機種変更のみに使えるポイント9450円分プレゼント!
6月21日 「1年間パケット通信料1050円割引!」
-- 5月末までで駆け込みで機種変更した人かわいそう。
6月28日 「iPhone 4S下取り 14000円!」
その後毎週来てた。
そして 8月9日 「iPhone 4S下取り 14000円!さらに今なら 1年間パケット通信料1050円割引!」
電気屋さんへ行くとauならパケット通信料もっと割引になっているね。まだ2年契約が終わっていないのだけれど、違約金払っても安くなる計算だ。
という訳で、買い替えようかな ...
5月末までの特典! iPhone5 への機種変更のみに使えるポイント9450円分プレゼント!
6月21日 「1年間パケット通信料1050円割引!」
-- 5月末までで駆け込みで機種変更した人かわいそう。
6月28日 「iPhone 4S下取り 14000円!」
その後毎週来てた。
そして 8月9日 「iPhone 4S下取り 14000円!さらに今なら 1年間パケット通信料1050円割引!」
電気屋さんへ行くとauならパケット通信料もっと割引になっているね。まだ2年契約が終わっていないのだけれど、違約金払っても安くなる計算だ。
という訳で、買い替えようかな ...
2013/05/27
2012 自主勉強会の発表
2011年度東工大の社会人向け「エッセンシャルMOT」というコースで学んでいました。この修了生向けに「アドバンストMOT」というコースが予定されていて、2012年度はそれに参加しようと考えていたのですが、人数が集まらず開講できませんでした。そのため、2012年度は自主的勉強会という形で進めることになりました。
ここでは、ひとつテーマを選んで1年かけて研究をまとめます。本来は仕事に直結したようなテーマが望ましいのですが、MOTに繋がるような職務ではないので、自分の興味で選びます。アップルは多く取り上げられていてそれぞれ聞く人も思い入れ強いと思いますので、マイクロソフトを取り上げてみました。
初めに、研究の課題設定を行い、ストーリーを組み立てます。順次新しいファインディングを加えて肉付けをし、毎月1回のペースで集まり発表を行って、そこで頂いたコメントを次に反映させます。
とはいえ、一度発表すると脱力して、なかなか次の取り組みができません。結局準備するのは次の発表の直前ということになり、半年以上かけた割には穴だらけの研究になってしまったと思います。せっかくなのでここに公開します。ご意見を頂ければ幸いです。
この中で特に、ビジネスエコシステムと言う概念で整理することを試みました。基本的にはプラットフォーム戦略の発展形ですが、プラットフォーム間の競争、共生が業界全体のパイを大きくするなど、競争から共生を強く意識したものになっています。
ここでは、ひとつテーマを選んで1年かけて研究をまとめます。本来は仕事に直結したようなテーマが望ましいのですが、MOTに繋がるような職務ではないので、自分の興味で選びます。アップルは多く取り上げられていてそれぞれ聞く人も思い入れ強いと思いますので、マイクロソフトを取り上げてみました。
初めに、研究の課題設定を行い、ストーリーを組み立てます。順次新しいファインディングを加えて肉付けをし、毎月1回のペースで集まり発表を行って、そこで頂いたコメントを次に反映させます。
とはいえ、一度発表すると脱力して、なかなか次の取り組みができません。結局準備するのは次の発表の直前ということになり、半年以上かけた割には穴だらけの研究になってしまったと思います。せっかくなのでここに公開します。ご意見を頂ければ幸いです。
この中で特に、ビジネスエコシステムと言う概念で整理することを試みました。基本的にはプラットフォーム戦略の発展形ですが、プラットフォーム間の競争、共生が業界全体のパイを大きくするなど、競争から共生を強く意識したものになっています。
2013/05/11
Saul Bass
"Saul Bass"で検索すると検索結果のトップはWikipeiaの項目になる。
ソール・バス - Wikipedia
ソウル・バス
先日 (5月8日) 誕生日で、Googleのロゴが変わってた。
Doodle for Saul Bass' 93rd Birthday - YouTube
先日東京ミッドタウンのデザインハブで行われていた「映像の教室」展で出てた。ここでは「ソウル・バス」表記になっている。 Techne Works - タイポグラフィ
ソール・バス - Wikipedia
ソール・バス(Saul Bass, 1920年5月8日 - 1996年4月25日)は、アメリカ合衆国のグラフィック・デザイナー。ニューヨーク市出身。しばしばソウル・バスとも表記されるが、これは発音の上からは明らかな誤りである(auは長音であって二重母音ではない)。一方、人名等のとき検索結果の右の方にはWikipediaの項目が出るのだけど、そこにはこう書いてある。
ソウル・バス
ソウル・バス(Saul Bass, 1920年5月8日 - 1996年4月25日)は、アメリカ合衆国のグラフィック・デザイナー。ニューヨーク市出身。ソール・バスとも表記される普通使われるのはどっちなんだ?
先日 (5月8日) 誕生日で、Googleのロゴが変わってた。
Doodle for Saul Bass' 93rd Birthday - YouTube
先日東京ミッドタウンのデザインハブで行われていた「映像の教室」展で出てた。ここでは「ソウル・バス」表記になっている。 Techne Works - タイポグラフィ
2013/04/06
経済わからん
こんにちは。
日銀の黒田総裁の方針発表で、株価急上昇、円安と現在の日本経済にとってプラスの効果が早速出ているという。
市場も驚いた異次元緩和、黒田日銀の「バズーカ砲」炸裂
黒田ハルヒの驚愕、異次元緩和により1時間半で日経平均株価を500円、ドル円を2円ほど動かす : 市況かぶ全力2階建
社会科で、「金融緩和は金利を下げることで、お金を借りやすくしてお金を使いやすくする」と習った。この「国債の買い取り量を増やす」というのは緩和の意味があるのだろうか。
国がお金を借りやすくお金を使いやすくする、という意味になるのか。国がお金を使えばそのお金は民間には回るだろうが、民間に渡る時に業種に偏りが出るんじゃないか。土建とか。民間に直接お金が行くようにしないといけないんじゃないだろうか。
その前に、国がお金を借りやすくなるというのも違うように思う。政府が発行する国債は、現在は民間が買っていて、一応全部捌けているのではないか。日銀が買い取るというのは、単に購入する人が変わるだけで、全体の量は変わらないのではないか。
確かに今まで買っていた国債が日銀に買われちゃって、お金の使い道に困るということはあるだろう。そのお金をどう使うのかと言った時に、じゃあ投資するか、消費にまわすかとはならないように思う。別の形の貯金になるだけじゃないか。下手したらタンス預金になるだけ。
規制緩和で新規事業の立ち上げを促進するとか、雇用の安定化や賃金の増加で安心して使える環境を作らないと、お金は回っていかないのではないかと思う。
もちろんインフレで目減りするくらいなら使ったほうが良いと言う判断はあるかと思うが、インフレだって目標を決めただけで、対策はないよね。インフレになると発表されているので、そうならないうちに買い物するということをみんなが実施したおかげで、インフレになると言うアナウンス効果はあると思う。
結局インフレ目標も国債買い取り量大幅増加も、これによって経済が良くなるのではないか、じゃあ株を買っておくかという雰囲気を作っているだけではないかと思う。もちろん雰囲気が重要な役割をになっているのは知っているが、それだけではみんなが気づいた時に一挙に瓦解するのではないかと思う。
それから、もう一方の円安になる理由がわからない。これまでの円高は、ユーロ危機など世界的な不況の中で、まだ日本はマシじゃね?として円が買われていたものと認識していた。安倍政権の発足や今回の日銀発表で日本経済が良くなると期待されているのなら、さらに円高になってしかるべきではなかろうか。円安になるというのは逆の予測がなされているということではないのか。
以上の疑問、だれか解説していただけるとありがたいです。
追記:
国債の買い入れは新規発行分の引き受けというのではなく、市場に出回っているのを買うことのようだ。購入価格が上がるということが期待できる。債権の価格が上がるということは金利が下がるということ。また、国債を売って得たお金はもう少しリスクの高い投資に回ることが期待でき、株価が上がる。このメカニズムは分かった。
日銀の黒田総裁の方針発表で、株価急上昇、円安と現在の日本経済にとってプラスの効果が早速出ているという。
市場も驚いた異次元緩和、黒田日銀の「バズーカ砲」炸裂
黒田ハルヒの驚愕、異次元緩和により1時間半で日経平均株価を500円、ドル円を2円ほど動かす : 市況かぶ全力2階建
社会科で、「金融緩和は金利を下げることで、お金を借りやすくしてお金を使いやすくする」と習った。この「国債の買い取り量を増やす」というのは緩和の意味があるのだろうか。
国がお金を借りやすくお金を使いやすくする、という意味になるのか。国がお金を使えばそのお金は民間には回るだろうが、民間に渡る時に業種に偏りが出るんじゃないか。土建とか。民間に直接お金が行くようにしないといけないんじゃないだろうか。
その前に、国がお金を借りやすくなるというのも違うように思う。政府が発行する国債は、現在は民間が買っていて、一応全部捌けているのではないか。日銀が買い取るというのは、単に購入する人が変わるだけで、全体の量は変わらないのではないか。
確かに今まで買っていた国債が日銀に買われちゃって、お金の使い道に困るということはあるだろう。そのお金をどう使うのかと言った時に、じゃあ投資するか、消費にまわすかとはならないように思う。別の形の貯金になるだけじゃないか。下手したらタンス預金になるだけ。
規制緩和で新規事業の立ち上げを促進するとか、雇用の安定化や賃金の増加で安心して使える環境を作らないと、お金は回っていかないのではないかと思う。
もちろんインフレで目減りするくらいなら使ったほうが良いと言う判断はあるかと思うが、インフレだって目標を決めただけで、対策はないよね。インフレになると発表されているので、そうならないうちに買い物するということをみんなが実施したおかげで、インフレになると言うアナウンス効果はあると思う。
結局インフレ目標も国債買い取り量大幅増加も、これによって経済が良くなるのではないか、じゃあ株を買っておくかという雰囲気を作っているだけではないかと思う。もちろん雰囲気が重要な役割をになっているのは知っているが、それだけではみんなが気づいた時に一挙に瓦解するのではないかと思う。
それから、もう一方の円安になる理由がわからない。これまでの円高は、ユーロ危機など世界的な不況の中で、まだ日本はマシじゃね?として円が買われていたものと認識していた。安倍政権の発足や今回の日銀発表で日本経済が良くなると期待されているのなら、さらに円高になってしかるべきではなかろうか。円安になるというのは逆の予測がなされているということではないのか。
以上の疑問、だれか解説していただけるとありがたいです。
追記:
国債の買い入れは新規発行分の引き受けというのではなく、市場に出回っているのを買うことのようだ。購入価格が上がるということが期待できる。債権の価格が上がるということは金利が下がるということ。また、国債を売って得たお金はもう少しリスクの高い投資に回ることが期待でき、株価が上がる。このメカニズムは分かった。
2013/01/01
2013年 あけましておめでとうございます
あけましておめでとうございます。
毎年、お正月になると、これもやりたい、これもやらなくちゃ、と思うのですが、目標が高過ぎるようで、それでいて漠然としている傾向があって、年末になると達成できていないなと思うのです。
そんな中、こんな記事がありました。
Thinking Differently About New Year’s Resolutions
"resolution" というのは「解決」ではなく、「決意、決心」というのが第一の語義でした。この文章の主旨は、「毎年新しいことを "決意" するよりも、好きなこと、得意なことを伸ばしていこう」ということでした。
好きなことも遠ざかっていると能力は次第に落ちて行くので、続けることが重要です。それを意識しながら続けると、能力の維持だけでなく、少しずつでも伸びて行くのだと思います。いろいろなことに取り組んで、どれも中途半端になってしまいがちですので、取り組みことを増やすことは得策ではありません。新しいことを始める際には、やりたくて取り組んでいるのか、やらされているのかを問うてから始め、また常に問い直す必要があると思っています。
ということを今年は「決意」したのでした。ぇ?
毎年、お正月になると、これもやりたい、これもやらなくちゃ、と思うのですが、目標が高過ぎるようで、それでいて漠然としている傾向があって、年末になると達成できていないなと思うのです。
そんな中、こんな記事がありました。
Thinking Differently About New Year’s Resolutions
"resolution" というのは「解決」ではなく、「決意、決心」というのが第一の語義でした。この文章の主旨は、「毎年新しいことを "決意" するよりも、好きなこと、得意なことを伸ばしていこう」ということでした。
好きなことも遠ざかっていると能力は次第に落ちて行くので、続けることが重要です。それを意識しながら続けると、能力の維持だけでなく、少しずつでも伸びて行くのだと思います。いろいろなことに取り組んで、どれも中途半端になってしまいがちですので、取り組みことを増やすことは得策ではありません。新しいことを始める際には、やりたくて取り組んでいるのか、やらされているのかを問うてから始め、また常に問い直す必要があると思っています。
ということを今年は「決意」したのでした。ぇ?
2012/12/31
2012年にいった展覧会
今年も最後になりました。また今年行った展覧会をまとめてみたいと思います。
今年良かったのは
追記: 地中美術館 (写真) に行ったの忘れてました。
- 2012/01/08
- メタボリズムの未来都市展:戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン | 森美術館
- MAMプロジェクト 015 ツァン・キンワー(曾建華)
- ぬぐ絵画展 @ 東京近代美術館
- ヴァレリオ・オルジャティ展 @ 東京近代美術館
- 2012/01/21 エリック・ギルのタイポグラフィ展と講演 (→ 「エリック・ギルのタイポグラフィ展」)
- 2012/02/11 女子美卒業制作展 (→ 「女子美卒業制作展」)
- 2012/02/18 石子順造的世界 美術発・マンガ経由・キッチュ行 (→ 「 石子順造的世界 美術発・マンガ経由・キッチュ行」)
- 2012/03/17
- 松井冬子展 @ 横浜美術館
- RYUGU IS OVER!! @ 竜宮美術館
- 2012/04/22 会田誠の世界 森美術館「会田誠展」プレイベント @アカデミーヒルズ
- 2012/05/25 イ・ブル展 MAMプロジェクト 016 ホー・ツーニェン(何子彦)@ 森美術館
- 2012/06/02 「マックス・エルンスト -フィギュア×スケープ」展
- 2012/7/21「具体」展 @ 国立新美術館 (→ 「具体」展』)
- 2012/08/19
- 山下以登さん個展「ふくろとじ」(→ 『山下以登さん個展「ふくろとじ」』)
- Espace Louis Vuitton Tokyo 『AWAKENING』展
- 心展/ところてん (都内の大学11校の美術系サークルによる合同展)
- ひかり*くうかん じっけんしつ @ NTT-ICC (→ 「ひかり*くうかん じっけんしつ」
- 2012/08/22 直島アートサイト 地中美術館
- 2012/09/02
- 「村山知義の宇宙 すべての僕が沸騰する」 at 世田谷美術館
- 「Gallerist Meeting × SOMEWHERE -非日常のライフスタイル- 」展
- 花代 「Doppelgänger N Da Hood」 http://www.tokyoartbeat.com/event/2012/EBC1
- 東恩納裕一 「FL」@ ナディッフアパート
- 2012/09/16 契丹展 @ 東京藝術大学大学美術館
- 2012/09/23 奈良美智 @ 横浜美術館
- 2012/09/29「ポップアップ・マトハフ@森美術館—マトハフ・アラブ近代美術館共催シンポジウム 遠くて近い、近くて遠い、アラブと日本:アーティストの役割とは何か」 (→ 「アラブエクスプレス展と関連シンポジウム」
- 2012/10/07 神奈川県展 厚木巡回展
- 2012/10/08
- 与えられた形象―辰野登恵子/柴田敏雄
- アラブエクスプレス展@森美術館 (→ 「アラブエクスプレス展と関連シンポジウム」
- MAMプロジェクト 017 イ・チャンウォン
- エルネスト・ネト「Madness is part of Life」@ エスパス ルイ・ヴィトン 東京
- 2012/11/11さわひらき Whirl @ 神奈川県民ホールギャラリー、アーチストトーク
- 2012/11/17 森美術館
- 「会田誠展:天才でごめんなさい」、トークセッション
- MAMプロジェクト18 山城知佳子、アーティストトーク (→ 記事「沖縄の人たち 山城知佳子」)
- 参考: 森美術館公式ブログ 「山城知佳子の沖縄詩的映像が映し出す真実の姿」。観客の中に私が写ってました。
- 2012/11/20 <特別展>中国 王朝の至宝、特別展「出雲-聖地の至宝-」@東京国立博物館 平成館
- 2012/11/24
- 平等院養林庵書院 山口晃襖絵特別公開
- 平等院養林庵書院 襖絵奉納記念 山口 晃展 ~山口晃と申します 老若男女ご覧あれ~ @ 京都駅伊勢丹
- 2012/12/15
- NTT-ICC「アノニマス・ライフ 名を明かさない生命」と関連イベント
パフォーマンス 「模像と鏡像 《美容師篇》」 - 山城知佳子『黙認のからだ』 @ Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku
- NTT-ICC「アノニマス・ライフ 名を明かさない生命」と関連イベント
今年良かったのは
- ぬぐ絵画展: やらしい目で見るためじゃないよ!というアピールに苦労していた様がよく分った。
- 石子順造的世界: マンガ、キッチュな世界等普通の美術展と違う雰囲気が楽しめた。
- 松井冬子: 制作途中の素材等の展示もあって充実していた。
- エリック・ギルのタイポグラフィ展: ページにあわせて文字を修飾する等、昔は手間かけてたんだねえ。
- 村山知義: 装丁、ポスター、舞台装置など様々な分野での活躍。
- アラブエクスプレス展: どうしても戦争や文化を考えさせられる展覧会。
- 「具体」展: 当時の熱気が感じられた。
- 与えられた形象―辰野登恵子/柴田敏雄: これも若い時代の熱気が感じられた。
- 山口晃: そんなに大きなスペースではないのだけれど作品ごとのディテールが楽しめる。
- 会田誠: カオスラウンジみたいなスペース、18禁エリア、でかい作品などバラエティに富む展示。これはもう一枚チケットがあるので行く。
追記: 地中美術館 (写真) に行ったの忘れてました。
2012 in review
以下、WordPressが作ってくれた今年のレポートです。これとは別に「今年行った展覧会」作成中。
WordPress.com 統計チームは、2012年のあなたのブログの年間まとめレポートを用意しました。
概要はこちらです。
WordPress.com 統計チームは、2012年のあなたのブログの年間まとめレポートを用意しました。
概要はこちらです。
2012年にエベレスト山の登頂に成功したのは600名でした。2012年にこのブログは約5,600回表示されました。もしエベレストに登った人たちだけがブログを見たとすると、同じ表示数に達するには9年間かかる計算になります。レポートをすべて見るにはクリックしてください。
2012/11/18
沖縄の人たち 山城知佳子
昨日 2012年11月17日から「会田誠展:天才でごめんなさい」が開催されており、初日の昨日はトークセッションも開催され、こちらも参加して来ました。会場外に立ち見が出るほどの盛況でした。
これに関しては別稿で書きたいと思います。ここでは、同期間に行われている「MAMプロジェクト18 山城知佳子」のアーティストトークにも参加して来たので、その感想を書いておきたいと思います。
トークは山城さんと森美術館キュレーターの近藤さんの対談形式で行われました。山城さんはあまり雄弁な方ではないようで、近藤さんが話題をふってそれに答えるという形で進行がなされました。
過去の作品を紹介して、最後に今回の作品「肉屋の女」に話題がなった時も、近藤さんが作品の背後にあるストーリーを補足説明していました。作品に出てくるものに様々なメタファーを感じ取った近藤さんがそのことを質問すると、全体で「肉」を表現したい、出てくる人間も肉を食べそして肉として食べられることを意識しているとのこと。作品の中のに出てくる洞窟 (沖縄ではガマ) もその中で一般人が自決をした沖縄戦のイメージを重ねているのかという問いに対しても、人間の体内の穴を奥まで進んで行くイメージとのことでした。
作品に対して、その意図を問うと「作品そのものを見てください、感じてください」という日もいて、山城さんもそういうタイプなのかと思ったのですが、答えを聞いて行くとやはりコンセプトが少しずつ出て来て、現代アートはやはり概念であり言葉なんだなと思います。
沖縄の住民に関しても、周りからは住みやすく人々も楽天的なように見えるけれども、そこに住んでいる人は、基地があって、レイプが身近に感じられ、逃げ場のなさを感じているとのことです。沖縄に住んでいる表現者は、そのことを考えざるを得ない。
そういう背景を聞いたので、セッションの最後の質問の時間では「肉屋の女の女性には悲しそうな表情が見える、それは意図したものか」と聞きました。「そういう意図はなく、役者さんにそういう指示も出していない。むしろたくましさを表現した」とのことでした。また「むしろ肉に群がる男達 (労働者) に悲しさを感じる」とのことでした。出演者の女性の表情は、山城さんが男達に向けている目なのかもしれません。
山城さんの作品には、黙認耕作地、その中のマーケット (闇市)、黙認浜 (これは山城さん命名の言葉)、壊される自然、辺野古の海など、沖縄、日本を考えさせられるモチーフが色々出て来ます。同時期に開催されている『黙認のからだ』(2012年11月17日(土)–12月22日(土)、Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku) も行ってみようと思います。
これに関しては別稿で書きたいと思います。ここでは、同期間に行われている「MAMプロジェクト18 山城知佳子」のアーティストトークにも参加して来たので、その感想を書いておきたいと思います。
肉屋の女 |
トークは山城さんと森美術館キュレーターの近藤さんの対談形式で行われました。山城さんはあまり雄弁な方ではないようで、近藤さんが話題をふってそれに答えるという形で進行がなされました。
過去の作品を紹介して、最後に今回の作品「肉屋の女」に話題がなった時も、近藤さんが作品の背後にあるストーリーを補足説明していました。作品に出てくるものに様々なメタファーを感じ取った近藤さんがそのことを質問すると、全体で「肉」を表現したい、出てくる人間も肉を食べそして肉として食べられることを意識しているとのこと。作品の中のに出てくる洞窟 (沖縄ではガマ) もその中で一般人が自決をした沖縄戦のイメージを重ねているのかという問いに対しても、人間の体内の穴を奥まで進んで行くイメージとのことでした。
作品に対して、その意図を問うと「作品そのものを見てください、感じてください」という日もいて、山城さんもそういうタイプなのかと思ったのですが、答えを聞いて行くとやはりコンセプトが少しずつ出て来て、現代アートはやはり概念であり言葉なんだなと思います。
沖縄の住民に関しても、周りからは住みやすく人々も楽天的なように見えるけれども、そこに住んでいる人は、基地があって、レイプが身近に感じられ、逃げ場のなさを感じているとのことです。沖縄に住んでいる表現者は、そのことを考えざるを得ない。
そういう背景を聞いたので、セッションの最後の質問の時間では「肉屋の女の女性には悲しそうな表情が見える、それは意図したものか」と聞きました。「そういう意図はなく、役者さんにそういう指示も出していない。むしろたくましさを表現した」とのことでした。また「むしろ肉に群がる男達 (労働者) に悲しさを感じる」とのことでした。出演者の女性の表情は、山城さんが男達に向けている目なのかもしれません。
山城さんの作品には、黙認耕作地、その中のマーケット (闇市)、黙認浜 (これは山城さん命名の言葉)、壊される自然、辺野古の海など、沖縄、日本を考えさせられるモチーフが色々出て来ます。同時期に開催されている『黙認のからだ』(2012年11月17日(土)–12月22日(土)、Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku) も行ってみようと思います。
2012/10/28
雨で出現する壁画
雨で濡れると現れる樫の木の壁画。アメリカコネチカット州ハートフォードのダウンタウンに先月公開された。
木の部分以外は防水加工されており、濡れると木の部分だけが色が濃くなって、壁画が出現する。
Photograph by Erika Van Natta
雨で濡れると、と書いたが、スプリンクラーが取り付けられていて、毎日午後3時に作動させている。
モチーフはCharles De Wolf Brownellの "Charter Oak"。Wikipedia記述ではわかりにくいので日本語の説明を探しました。
Link USA アメリカ州辞典 > コネチカット州チャーターとは植民地の勅許状のことで、イギリス人から植民地を守るためこの樫の木のうろに勅許状を隠したことに由来するそうです。コネチカットの歴史に重要な意味を持つモチーフなんですね。
制作の様子。アトリエでステンシルシートをカットして壁に貼付けたとあるが、現場でもカットしているようです。
引用元: The Water-Activated Oak Tree Mural in Hartford.
DesignWorksでも取り上げられていました。
木の部分以外は防水加工されており、濡れると木の部分だけが色が濃くなって、壁画が出現する。
Photograph by Erika Van Natta
雨で濡れると、と書いたが、スプリンクラーが取り付けられていて、毎日午後3時に作動させている。
モチーフはCharles De Wolf Brownellの "Charter Oak"。Wikipedia記述ではわかりにくいので日本語の説明を探しました。
Link USA アメリカ州辞典 > コネチカット州チャーターとは植民地の勅許状のことで、イギリス人から植民地を守るためこの樫の木のうろに勅許状を隠したことに由来するそうです。コネチカットの歴史に重要な意味を持つモチーフなんですね。
制作の様子。アトリエでステンシルシートをカットして壁に貼付けたとあるが、現場でもカットしているようです。
引用元: The Water-Activated Oak Tree Mural in Hartford.
DesignWorksでも取り上げられていました。
2012/10/21
アラブエクスプレス展と関連シンポジウム
Microsoft SkyDrive のオンラインドキュメントを試すつもりでアラブエクスプレス展の写真をまとめていたのだけれど、あわせて関連シンポジウムの感想まで記載しました。
アラブエクスプレス展
追記: 森美術館のFlickrアルバムに写真が載っていました。せっかく真ん中 (卯城氏とサルキシアン氏の間) に写っているのに下向いてiPhone見てました。
追記 (2017/1/7):関連シンポジウムの感想は上記SkyDrive (今はOneDrive) のドキュメントからここにも転記します。
9月29日には森ビル内の六本木アカデミーヒルズで行われたシンポジウム「ポップアップ・マトハフ@森美術館—マトハフ・アラブ近代美術館共催シンポジウム 遠くて近い、近くて遠い、アラブと日本:アーティストの役割とは何か」 (2日目)にも参加して来ました。このシンポジウムは無料で、展覧会はここでもらったチケットで行って来たのです。実はチケットくれるんじゃないかと思って、それまでは行っていなかったのです。
2日目のセッション2 「歴史をたどって」では、出展アーティストのハラーイル・サルキシアンとアーティスト小泉明郎の対談。
サルキシアン氏はトルコ生まれのアルメニア人で現在はシリアに住んでいます。トルコによる虐殺がありながら、トルコでは逆にアルメニア人がトルコ人を殺したというように教えられているアルメニア人虐殺事件 (Wikipedia)。彼はイスタンブールでひっそりと暮らすアルメニア人家族を撮影した作品を発表しています (今回出展しているものは別)。
小泉明郎氏は、「特攻に行く青年が両親に向けた出征の言葉を発する」という場面を映画撮影しているというシチュエーションの映像作品を紹介されました。監督が「もっとサムライを表現して」と煽り、出征兵士役の青年がそれに応えて撮り直すのを繰り返すうちに、だんだんエキサイトして行くもの。
この二人のトークでは自ずと戦争、平和がテーマになって行きます。その後の質問の回答の中で「日本人にはスイッチがある、いずれ (自爆テロの) テロリストになる (素養を持っている)」という発言がありドッキリしました。
セッション3 「キッチュなものの力」では出展アーティストゼーナ・エル・ハリールさんがスカイプによる出演し、スプツニ子!さんが会場でという変則的なセッションでした。
セッションのテーマは、二人に共通するポップなものの影響だったのですが、やはり女性ということでジェンダーのことも話題になります。アラブ世界の中で女性アーチストは活動しにくいのではないかということを質問しようと思っていたのですが、先に女性から同じ主旨の質問がありました。レバノンの女性は解放されているほうとはいえ、やはり活動には制約があるようです、外国人と結婚しても国籍は変えられないということでした。
最後のセッションは1日目も含めた出席者全員によるディスカッションです。森美術館の南条館長の発言で、現代アートという共通言語があり、アラブ圏というひとくくりにするのは本来は間違っているという旨の発言が印象に残りました。
この「地域でまとめた展覧会を行うことの是非と意義」は、この前のトリエンナーレ学校のテーマ「アジアの近現代アート」との関連もあって考えさせられました。
現代アートという世界共通言語の中で生きているという意味では地域性はないというのもわかるけど、アーチスト個人は、日本なら日本の影響を、イスラム教国ならその影響を受けているだろうし、それが作品にも滲み出てくると思うのです。また、作品を見る人にも受け入れられるものを作るベクトルは働くと思います。アジアの美術の発展の過程で、欧米人がアジアに期待するものを作って来た歴史もあるとのことでしたので、同様の外からの期待もそうですが、アラブ内部の期待と言うか嗜好も影響するのではないかと思います。それらからなにかしらアラブ的なものもやはり出て来るのではないかと思ったのです。
その点を質問してみました。アーチストの皆さんは、受け入れられるかは関係なく、自分の内面から湧き出る衝動を作品にする、と言っていました。でもそれは、もう売れているから、これからも売れるからじゃないのかと思うのです。売れるというと下世話だけど、評価は気になるのじゃないかと思うのです。
その意味で小泉さんの答えは納得がいきました。 オランダに呼ばれた時は、日本人として呼ばれた意味を考えた。しかしいつまでもそれにとらわれていては、自分の作品にならない。成功している人は皆、そういうプロセスを経て、自分なりのものをつかんだとと言えるだろう。 ということでした。
しかしビッグネームも、やはり、売れた作品から売れるものをつかんで売れるものを作るんだろうと思います。村上隆はこの意味での別格として、奈良美智も草間彌生もそうじゃないかと思うのです。売れなきゃ描き続けてない、売れたから描き続けられている、という側面はあるでしょうが。
売れることは関係ない、売りものでない作品を作っている人だって、賞をとるとか、大きな個展を開けるとか目標になるんじゃないでしょうか。
そういうことを考えさせられるシンポジウムでした。
アラブエクスプレス展
追記: 森美術館のFlickrアルバムに写真が載っていました。せっかく真ん中 (卯城氏とサルキシアン氏の間) に写っているのに下向いてiPhone見てました。
追記 (2017/1/7):関連シンポジウムの感想は上記SkyDrive (今はOneDrive) のドキュメントからここにも転記します。
シンポジウム
9月29日には森ビル内の六本木アカデミーヒルズで行われたシンポジウム「ポップアップ・マトハフ@森美術館—マトハフ・アラブ近代美術館共催シンポジウム 遠くて近い、近くて遠い、アラブと日本:アーティストの役割とは何か」 (2日目)にも参加して来ました。このシンポジウムは無料で、展覧会はここでもらったチケットで行って来たのです。実はチケットくれるんじゃないかと思って、それまでは行っていなかったのです。
2日目のセッション2 「歴史をたどって」では、出展アーティストのハラーイル・サルキシアンとアーティスト小泉明郎の対談。
サルキシアン氏はトルコ生まれのアルメニア人で現在はシリアに住んでいます。トルコによる虐殺がありながら、トルコでは逆にアルメニア人がトルコ人を殺したというように教えられているアルメニア人虐殺事件 (Wikipedia)。彼はイスタンブールでひっそりと暮らすアルメニア人家族を撮影した作品を発表しています (今回出展しているものは別)。
小泉明郎氏は、「特攻に行く青年が両親に向けた出征の言葉を発する」という場面を映画撮影しているというシチュエーションの映像作品を紹介されました。監督が「もっとサムライを表現して」と煽り、出征兵士役の青年がそれに応えて撮り直すのを繰り返すうちに、だんだんエキサイトして行くもの。
この二人のトークでは自ずと戦争、平和がテーマになって行きます。その後の質問の回答の中で「日本人にはスイッチがある、いずれ (自爆テロの) テロリストになる (素養を持っている)」という発言がありドッキリしました。
セッション3 「キッチュなものの力」では出展アーティストゼーナ・エル・ハリールさんがスカイプによる出演し、スプツニ子!さんが会場でという変則的なセッションでした。
セッションのテーマは、二人に共通するポップなものの影響だったのですが、やはり女性ということでジェンダーのことも話題になります。アラブ世界の中で女性アーチストは活動しにくいのではないかということを質問しようと思っていたのですが、先に女性から同じ主旨の質問がありました。レバノンの女性は解放されているほうとはいえ、やはり活動には制約があるようです、外国人と結婚しても国籍は変えられないということでした。
最後のセッションは1日目も含めた出席者全員によるディスカッションです。森美術館の南条館長の発言で、現代アートという共通言語があり、アラブ圏というひとくくりにするのは本来は間違っているという旨の発言が印象に残りました。
この「地域でまとめた展覧会を行うことの是非と意義」は、この前のトリエンナーレ学校のテーマ「アジアの近現代アート」との関連もあって考えさせられました。
現代アートという世界共通言語の中で生きているという意味では地域性はないというのもわかるけど、アーチスト個人は、日本なら日本の影響を、イスラム教国ならその影響を受けているだろうし、それが作品にも滲み出てくると思うのです。また、作品を見る人にも受け入れられるものを作るベクトルは働くと思います。アジアの美術の発展の過程で、欧米人がアジアに期待するものを作って来た歴史もあるとのことでしたので、同様の外からの期待もそうですが、アラブ内部の期待と言うか嗜好も影響するのではないかと思います。それらからなにかしらアラブ的なものもやはり出て来るのではないかと思ったのです。
その点を質問してみました。アーチストの皆さんは、受け入れられるかは関係なく、自分の内面から湧き出る衝動を作品にする、と言っていました。でもそれは、もう売れているから、これからも売れるからじゃないのかと思うのです。売れるというと下世話だけど、評価は気になるのじゃないかと思うのです。
その意味で小泉さんの答えは納得がいきました。 オランダに呼ばれた時は、日本人として呼ばれた意味を考えた。しかしいつまでもそれにとらわれていては、自分の作品にならない。成功している人は皆、そういうプロセスを経て、自分なりのものをつかんだとと言えるだろう。 ということでした。
しかしビッグネームも、やはり、売れた作品から売れるものをつかんで売れるものを作るんだろうと思います。村上隆はこの意味での別格として、奈良美智も草間彌生もそうじゃないかと思うのです。売れなきゃ描き続けてない、売れたから描き続けられている、という側面はあるでしょうが。
売れることは関係ない、売りものでない作品を作っている人だって、賞をとるとか、大きな個展を開けるとか目標になるんじゃないでしょうか。
そういうことを考えさせられるシンポジウムでした。
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