2004/12/08

革命の高揚感

こんばんは。西川貴教です (ウソ)。

ウクライナ大統領選挙結果に対する抗議デモは「オレンジ革命」と呼ばれているそうですね。私にはヤヌコビッチ候補とユーシェンコ候補のどちらが今後のウクライナにとって良いのか分かりませんが、暴動のような形になってないことは良かったと思います。

この報道を見ていて、ソ連崩壊の時を思い出しました。ニュース番組でモスクワ特派員からのレポートを見ていたのですが、彼は群衆を背にして「これは革命です」と言っていました。そのとき日本のスタジオには田中康夫氏がゲストで来ていたのですが、田中氏は「彼はその渦中にいるから高揚感が伝わっているのでしょうけど、これが良いことなのかどうかは分かりませんよ」というような冷めたコメントをしていました。日本人にはそれまでゴルバチョフに期待した人が多かったと思いますので、公平な判断のための冷静さというよりもゴルバチョフの改革がここで終わってしまうのかと言うがっかり感だったかもしれませんが。

再選挙もどういう形で行われるのかまだ決まらないようですが、少なくとも選挙で納得のいく形で決着をつけたいと言う双方の意志があるように感じます。米国、ロシアの影響を受けるにしても決めるのはウクライナ国民です。もちろん国際情勢にも影響を与えることではあるのですが、外野は彼等の選択を受け入れるしかないと思います (流血の事態や人権侵害が怒るような場合を除く)。

なお、参考にさせてもらっているブログを紹介します。どちらも広い情報源をウォッチされ、偏らず冷静に分析されています。
浮世風呂さん: 「ウクライナ情勢を読む」シリーズ
-- リンク先は最初のエントリですが、現在(4)までいっています。
Tomorrow's Wayさん: 「ウクライナ問題についての参考ページ」
-- 外務省から現地からの生の声まで網羅されています。

そうそう、私、東西ドイツ統一の日 (ベルリンの壁崩壊の日ではなく) に出張でドイツ国内の小さな街にいました。昼間は普通のお休みみたいな感じだったのですが、夕方から街の中心の広場や通りへみんなくり出してきていて、12時くらいまでオープンカフェみたいなところでビールを飲んだり街を巡ったりしていました。革命の高揚感というほどのものではないと思いますが、ドイツ国民の今後の希望が伝わったような感じがしました。

今のウクライナの皆さんの高揚感はなんとなく分かる。その高揚感に水をさすのがこの記事の意図ではありません。

5 件のコメント:

priestk さんのコメント...

こんにちは。本当に、当事者であるウクライナの人々にとって、いい選挙結果が出ることを望みたいですね。ウクライナに利害関係を持たない一日本人としては、なかなかこれ以上の感慨は湧かないですが、『ニューズウィーク』を読んでいるとその報道姿勢に驚かされます。「独裁プーチンの屈辱的敗北」。「選挙では、すさまじい不正が横行した」。「なぜ、これ(親欧米派ユシチェンコの人気)が、プーチンにとって面白くない話なのか。彼の壮大な野望に、自由で民主的な隣国はそぐわないからだ」。 もちろんロシアのメディアも、これを上回るくらいの偏向報道を繰り広げているんでしょうが……。 「オレンジ革命」は、日本人だからこそ、冷静かつ客観的に見ることができるのかもしれませんね。

yoshihiroueda さんのコメント...

★rakurakuonsenさん、統一の日は臨時の祝日になったのですが、それが決まる前に仕事の日程が入っていたんですよ。みんなお休みになるのでお昼とか取れなくて困りました。次の日統一を伝える新聞を買って(これは会社へのお土産)、1面を前に広げて記念写真をとりました。あのころブログがあったらもっと新鮮な感動を伝えられたと思います。今キエフにいる人はそういう思いを(さらに当事者として)伝えているんでしょうね。

yoshihiroueda さんのコメント...

★priestkさん、選挙が正しく行われればどちらに転んでもその結果がウクライナの人々にとって良い結果なのだと思います(この点は、結果が全世界の人々に影響を与えるアメリカの選挙と異なるところだと思います)。それなのにアメリカでどちらかが良いように定義づけられていて、民衆は(これに限らず)一方的な価値観の情報しか与えられないというのは不幸ですね。自由/平等の国という看板が泣きます。日本は報道の点ではアメリカよりも客観的に見ることが可能な国なんだろうと思います。国民がその意識をもっていれば、という条件がつきますが。

yodaway2 さんのコメント...

政治は、それがいずれの国であっても、オモテとウラ、光と影とができてしまうのでしょうか。オモテで正義か正義でないか、自由か自由でないか、民主的か民主的でないか……が問われながら、その反対側では大国の論理、利害、利権に翻弄され、地政学上の綱引きに会い……と。親ロシア派が悪で、親欧米派が善——と単純にとらえたくはありませんが、人々の心が堰を切ってしまえば、それは、止めようとして止まるものでもなくなるかもしれませんね。遅くなっての書き込みとなり、すみません。^^

yoshihiroueda さんのコメント...

★yodaway2さん、ユーシェンコ候補への服毒疑惑も当初はほんとかという感じだったのですが、明らかになると、正々堂々と選挙をなんていってられなくなりますね。選挙の一方でこちらもはやく捜査をすすめてもらいたいものです。新政権に暗い影をおとさないように。