2014/12/31

2014年に行った展覧会とアートイベント

今年行った美術展と付随するトークイベント、シンポジウムをまとめました。ヨコハマトリエンナーレがあったので、いつもよりも多いですね。[2013年2012年2011年、2010年どうした?、2009年]
  • 2014/01/07 アージェント・トーク022「具体:すばらしい遊び場所」展から考える日本美術のグローバルな位置 @ 森美術館
    → ブログ: アージェント・トーク022
  • 2014/01/11
  • 2014/01/18
    • トーク「特別でない、日常の道具をデザインする」@ 21_21 DESIGN SIGHT
    • コレクション展「私の一枚」@ フジフイルム スクエア
    • 内藤廣展 アタマの現場 @ ギャラリー・間
  • 2014/01/25
    • 「D-8が語るデザインとミュージアム」Vol.3テーマ「"デザインを語る場"の実現に向けて」@ 21_21 DESIGN SIGHT
    • ハギハラトシサト展 @ art lab tokyo
  • 2014/02/05 トリエンナーレ学校2013 vol.9 ヨコハマトリエンナーレ2014参加作家が語る!
  • 2014/02/14 メディア芸術祭 @ 国立新美術館
  • 2014/02/16 ヨコハマトリエンナーレ2014プレイベント 国際展で考える「東アジア地域における文化交流の仕組みづくり」@ ヨコハマ創造都市センター
  • 2014/02/21 「デジタル・ショック」オープニング・パーティー@ アンスティチュ・フランセ東京
  • 2014/02/25
    • 今井俊介展 @ 資生堂ギャラリー
    • 光るグラフィック展 @ クリエイションギャラリー G8
    • 佐藤雅彦 + 齋藤達也 「指を置く」 @ ギンザ・グラフィック・ギャラリー ggg
    • ボヌフォア展 @ Maison Hermes Le Forum
    • 「デジタル・ショック」Last Room 上映とアプリケーション『デプリ』の構想についての対談 @ アンスティチュ・フランセ東京
  • 2014/03/01
  • 2014/03/23 シンポジウム「ウォーホルと日本」 @ アカデミーヒルズ
  • 2014/03/26 トリエンナーレ学校2013 vol.10 森村泰昌×サポーター
  • 2014/03/29 魅惑のニッポン木版画 @ 横浜美術館
  • 2014/04/01 ミナミタエコ 個展「此処ではない何処か」@ マルプギャラリー
  • 2014/04/04 コメ展 @ 21_21 DESIGN SIGHT
  • 2014/05/19 荒川修作+M・ギンズ記念シンポジウム @ 早稲田大学
  • 2014/05/20 「こども展」ブロガー特別内覧会 @ 森アーツセンターギャラリー
    → ブログ: こども展
  • 2014/05/21 トリエンナーレ学校 トヨダヒトシ氏の作品上映及び対談 @ ヨコハマ創造都市センター
    → ヨコトリーツ![Yoko-Treats!]第5号 トヨダヒトシ氏インタビュー
  • 2014/05/27 映画をめぐる美術 ――マルセル・ブロータースから始める @ 東京国立近代美術館 → ブログ: 映画をめぐる美術
  • 2014/06/06 「イメージの力」展 @ 国立新美術館
  • 2014/06/07 伊豆高原ステンドグラス美術館
  • 2014/06/10 アージェント・トーク023 国際的同時性:60年代日本を世界美術史に着地させるために @ 森美術館
  • 2014/06/14 ゴー・ビトゥイーンズ展 トークシリーズ第1回「子どもと社会」
  • 2014/06/27 版画コレクションのあゆみI @ Fuji Xerox Art Space
  • 2014/07/04 プロジェクション・マッピング @ ドックヤードガーデン
  • 2014/07/05 イメージメーカー展オープニングトーク@ 21_21 DESIGN SIGHT
  • 2014/07/21 魔法の美術館~光と影のワンダーランド @ 長崎県美術館
  • 2014/07/30
    • アートアクアリウム @ コレド室町
    • バルテュス写真展 @ 三菱一号館美術館
    • たよりない現実、この世界の在りか @ 資生堂ギャラリー
  • 2014/08/01 ヨコハマトリエンナーレ2014開幕
    • アーティスト・トーク ヴィム・デルボア @ 横浜美術館レクチャーホール
    • アーティスト・トーク - サイモン・スターリング @ 横浜美術館レクチャーホール
    • アーティスト・トーク - カルメロ・ベルメホ @ 横浜美術館レクチャーホール
  • 2014/08/02 ヨコハマトリエンナーレ2014
    • アーティスト・トーク - イライアス・ハンセン @ 新港ピア
    • アーティスト・トーク - メルヴィン・モティ @ 新港ピア
    • アーティスト・トーク - やなぎみわ×沈昭良 @ 新港ピア
    • やなぎみわ移動舞台車トランスフォーム
  • 2014/08/03 ヨコハマトリエンナーレ2014 アーティスト・トーク - マイケル・ランディ@ 横浜美術館レクチャーホール
  • 2014/08/06 イメージメーカー展トーク「ビジュアルインパクト〜広告を超えて表現すること〜」@ 21_21 DESIGN SIGHT
  • 2014/08/09 ヨコハマトリエンナーレ2014 トヨダヒトシ《NAZUNA》@ 横浜美術館レクチャーホール
  • 2014/08/10 ヨコハマトリエンナーレ2014 アーティスト・トーク - 上田暇奈代×森村泰昌 @ 横浜美術館 円形フォーラム
    ヨコトリーツ![Yoko-Treats!] 第9号 「詩の仕事は詩を書くだけではない」
  • 2014/08/12 アージェント・トーク024:追悼 スチュアート・ホール:カルチュラル・スタディーズの創始者の遺産から、今、東京で考える @ 森美術館
  • 2014/08/15 ゴー・ビトゥイーンズ展 トークシリーズ第3回「子どもとアート」@ 森美術館
  • 2014/08/16 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「和田昌宏を解剖する vol.1」@ 横浜美術館
  • 2014/08/20 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「アート×横浜市 vol.1 」@ 富士通エフサス
  • 2014/08/24 ヨコトリノーツ - もう一つのヨコハマトリエンナーレ @ 高島屋 横浜店
  • 2014/08/27 ヨコハマトリエンナーレ2014 マイケル・ラコウィッツ トーク&上映会 BUKATSUDO
  • 2014/08/29 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「しばいたろか現代アート vol.1 」日ノ出スタジオ
    ヨコトリーツ![Yoko-Treats!] 第8号 「とっつきにくい現代アートもおいしく料理」
  • 2014/08/30 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「和田昌宏を解剖する vol.2」@ 横浜美術館
  • 2014/09/06 ヨコハマトリエンナーレ2014 映像プログラム オープニング上映:フランソワ・トリュフォー《華氏451》+大林宣彦氏講演会 @ 横浜美術館レクチャーホール
  • 2014/09/07
    • ヨコハマトリエンナーレ2014 アーティスト・トーク - エリック・ボードレール @ 横浜美術館レクチャーホール
    • 黄金町バザール 岡田裕子トーク @ 高架下スタジオSite-D
  • 2014/09/12 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「しばいたろか現代アート vol.2 」@ 高架下スタジオSite-D
  • 2014/09/13
    • イメージメーカー展トーク「ビジュアルインパクト〜広告を超えて表現すること〜」@ 21_21 DESIGN SIGHT
    • 松井智惠 映像作品上映会& 松井智惠展「一枚さん」& 対談 @ NADiff Gallery
  • 2014/09/14 ヨコハマトリエンナーレ2014 国際シンポジウム 国際展で考える:現代アートと世界/地域との関係 @ 横浜美術館レクチャーホール
  • 2014/09/17 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「アート×横浜市vol.2 〜アーバンデザインはいかに創造性を育むか〜 」@ 富士通エフサス
  • 2014/09/20
    • ヨコハマトリエンナーレ2014 TAKIDASHI カフェ @ 横浜美術館前
    • ヨコハマトリエンナーレ2014 釜ヶ崎芸術大学 in ヨコトリ 講座①「芸術と生きる」@ 横浜美術館 円形フォーラム
  • 2014/09/21 ヨコハマトリエンナーレ2014 TAKIDASHI カフェ @ 横浜美術館前
  • 2014/09/27
    • BankART Life IV @ BankART Studio NYK
    • ヨコハマトリエンナーレ2014 トヨダヒトシ《11211》@ 象の鼻テラス
  • 2014/09/28 bction @ ニュー麹町ビル
  • 2014/10/03 BankART Life IV 谷本真理さんパーティー @ BankART Studio NYK
  • 2014/10/05 ヨコハマトリエンナーレ2014 Temporary Foundation「横浜トライアル」Case-3「Still Moving : 漂流」@ 横浜美術館
  • 2014/10/08 ヨコハマトリエンナーレ2014 釜ヶ崎芸術大学 in ヨコトリ 講座③「まっかなおつきさんを見る会」@ 横浜美術館
  • 2014/10/10 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「しばいたろか現代アート vol.4 」
  • 2014/10/11 ヨコハマトリエンナーレ2014 アーティスト・トーク - 都築響一×森村泰昌 @ 新港ピア
  • 2014/10/12 トヨダヒトシ: 映像日記/忘却の海にて @ 横浜市内某所
  • 2014/10/17 アージェント・トーク025:ヤン・ヘギュー叙事的な離散をまとめていくこと @ 森美術館
  • 2014/10/18
    • Find ASIA @ ヨコハマ創造都市センター
    • ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「忘却の海」を航海する船のつくりかた @ 新港ピア
  • 2014/10/22 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「アート×横浜市 vol.3 創発されるものづくり~協働の現場から」@ 富士通エフサス
  • 2014/10/24 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「しばいたろか現代アート vol.5 」@ 高架下スタジオSite-D
  • 2014/10/29 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーター交流会 (森村泰昌ADによる作品解説)
    ヨコトリーツ![Yoko-Treats!]第10号 森村泰昌ADインタビュー
  • 2014/10/31 ヨコハマトリエンナーレ2014 高山明/Port B 「横浜コミューン」@ hitehi works
  • 2014/11/03 ヨコハマトリエンナーレ2014閉幕
    • やなぎみわ移動舞台車トランスフォーム @ 新港ピア
    • Moe Nai Ko To Ba を燃やす @ 横浜美術館前
  • 2014/11/04
    • G展 @ 東京ミッドタウン
    • アージェント・トーク026 ベルリンー社会と生活にアートが根ざす街 by かないみき @ 森美術館
  • 2014/11/16
    • リー・ミンウェイとその関係展:砂のゲルニカ 観客が砂の上を歩くイベント @ 森美術館
    • 活動のデザイン展 @ 21_21 DESIGN SIGHT
    • 蜷川実花の写真展 @ フジフイルム スクエア
    • リー・ミンウェイとその関係展:砂のゲルニカ パフォーマンス @ 森美術館
  • 2014/11/23 音楽と美術のあいだ オープニング・トーク2 @ NTT-ICC
  • 2014/11/28 MAMプロジェクト022 キュレータートーク「ヤコブ・キルケゴールの作品を通して見るサウンド・アートの可能性」@ 森美術館
  • 2014/11/29
  • 2014/11/30 いろは展トークイベント 「第一回 記憶のめくり方」@ デザイン・ハブ
  • 2014/12/06 トーキョー・エクスペリメンタル・フェスティバル Vol.9 ―TEFサウンド・インスタレーション トークイベント @ トーキョーワンダーサイト本郷
  • 2014/12/21 ヨコトリ2014サポーター活動シンポジウム @ ヨコハマ創造都市センター
2014-11-03 12.53.37
ヴィム・デルボア「低床トレーラー」CC-BY-SA

最初にも書きましたが、今年は何と言ってもヨコトリの年。昨年からフリペチームでフリーペーパー制作に関わり、取材のためというのもありますが、ほとんどのイベントに参加しました。美術館チームで団体向け事前ガイダンスやギャラリートークもおこない、おもてなしプロジェクトにも関わって主にビジターサービスセンターで用いる情報の整理を行ってきました (2011年に始めた「ヨコハマトリエンナーレ 勝手にサポーター」も今回展向けのものにしています)。おかげで現代美術の見方が分かった、とは言えないまでも、変わったということができると思います。それ以上に、複数の活動に参加して人とのつながりが広がりました。

これとは別にオンライン学習コースで、Machine Learning や統計学を勉強しました。こういう学習では基礎的なところしかできませんので、仕事で使うことが次の年の課題になります。

2014/12/14

選挙つまらん

毎回投票しよう!と呼びかけてはいるのだけど、すみません、私自身も教条主義的に言っているだけです。国民の権利だから、そして民主主義を守っていくのは市民の義務だから、言っているに過ぎない。投票しても変わらない無力感を自分でも薄々気づいてはいるが、気がつかないふりをしている。

やっぱり結果が見えている試合はつまらないよね。

小選挙区でどっちが勝つかは大概見えている。選挙区で落としても比例区で上がってくる。

候補者だって同じだろう。公認は最初から大抵決まっている。特に現職なら。選挙期間中は、文化祭の前みたいなもので、何を出すかよりもハイになってわーわー言っているのが楽しい。

昔、中選挙区だった時は自民党の中の候補者選びから頭を使ったことだろう。4人選挙区で二人たてるのか3人立てるのか、じゃあ誰などいろいろ考えることがあった。選挙になれば同じ自民党内で票の取り合いだ。

小選挙区だと派閥争いがなくなるのがメリットとしてあったが、今になってそれ自民党の活力だったと評価されている。いま総裁にストップをかける人はいないようだし。

小選挙区導入のとき、いろいろ議論があった。その中で面白いと思ったのが、マイナス票 (以前「投票率アップを考える(2)」で書きました)。ブラスの一票に加えマイナスの一票ある。しかもマイナス票は他の選挙区にも使える。こうなると、誰を落とすかで盛り上がると思う。

選挙のエンターテインメント性を高めるようなものになるのではないか。投票率も高くなると思う。

2014/12/07

チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地

ご無沙汰しておりました。

ヨコハマトリエンナーレ2014の期間前から、サポーター活動が活発化して、フリーペーパー向けには文章も書いていたのですが、こちらには時間を回せていませんでした。その間、ヨコトリ2014関係のトークを聞いたり、別の展覧会に行ったりしていたので、少しずつ書いていきたいと思います。

11月29日、日本科学未来館でこの日から始まる「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」のブロガー向け内覧会がありましたので行ってきました。

チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地
http://odoru.team-lab.net/
会期:2014年11月29日(土)~2015年3月1日(日)
会場:日本科学未来館 〒135-0064 東京都江東区青海2−3−6
開館時間:10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:毎週火曜休館。但し、2014年12月23日(火・祝)2015年1月6日(火)は開館。
年末年始休館:2014年12月28日(日)~2015年1月1日(木)
主催: 日本科学未来館/チームラボ/日本テレビ放送網/BS日テレ

最初は気づかなかったのですが、タイトルにあるように、「踊る!アート展」と「学ぶ!未来の遊園地」の二つが合体したものです。

チームラボは、ITエンジニア、メディアアーティスト、デザイナーなど構成された「チーム」です。一人の才能ではなく、「チーム」でものを作り出すことをポリシーにしているようです。チームでのディスカッションを通して作品を作り上げていきます。

チームラボが世に出す作品は、デジタル技術とアートを組み合わせたもの。今回これまでの作品を一堂に集め、さらに新作を加えました。アート作品という指向が強いものが「踊る!アート展」、遊びを通じて学ぶ場を提供するものが「学ぶ!未来の遊園地」という位置付けです。

「踊る!アート展」は大迫力のものばかり。写真も撮ってきましたが、サイトの写真、動画を見てもらったほうが良いと思いますので、リンクをつけます。

"花と人、コントロールできないけれども共に生きる、そして永久に – Tokyo" (リンク) 床の花は人が通ると咲きます。また、足でけちらすことができます。咲く花は時間によって変わります。季節を圧縮した感じ。

"花と屍 剝落 十二幅対" (リンク) 横に12枚並んだアニメーション作品。剥落して裏にあったものが見えるようになります。

"Nirvana" (リンク) 若冲作品のアニメーション化。高さ約5m、幅約20mあります。

2014-11-29 17.58.45

"追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして分割された視点 ‒ Light in Dark" (リンク) 複数画面を前後方向にも並べたビデオ・インスタレーション。

R. Yoshihiro Uedaさん(@ryokan)が投稿した動画 -


「学ぶ!未来の遊園地」も楽しかったのですが、逆方向には行きにくいので、「踊る!アート展」をもっとじっくり見ればよかったと思いました。

2014/05/29

映画をめぐる美術

「映画をめぐる美術」展を見て来た。

映画をめぐる美術 ――マルセル・ブロータースから始める

東京国立近代美術館 企画展ギャラリー
2014年4月22日(火)~6月1日(日)

展覧会は、映画を言語の拡張として捉えていたマルセル・ブロータースの考え方を基軸として構成されている。会場の構成もこの展覧会の構成を反映していて面白い。マルセル・ブロータースの考え方が中心の部屋に据えられ、それぞれのコンセプトごとにそこから繋がる別の部屋に入っていくように設定されている。「シネコンのような」という説明が与えられていた。

第一の部屋は"Still"。シンディ・シャーマンは扮装で映画の主人公になりきる。当然森村泰昌を想起させる。

アナ・トーフ《偽った嘘について》は写真と文字の自動スライドショー。スライドショーというとコンピューターのソフトウェアと思うだろうが、アナログポジフィルムをカルーセル映写機にセットして一枚一枚機械式に切り替えている。違いは多くあるものの基本線はトヨダヒトシ (今年行われるヨコハマトリエンナーレ2014の出展作家) を想起させる。トヨダヒトシは本人が手操作で切り替えるので、このような展示会でずっと見せるということはできず、毎回イベントのような形になる。トヨダヒトシが日常の風景、食べ物、人など、見たものをそのまま撮っているのに対して、アナ・トーフは一人の女性の表情、苦渋に満ちた表情を映し出していく。トヨダヒトシが個々の写真の繋がりを提示せず観客に委ねているのに対して、アナ・トーフは (動きはないものの) 言葉でストーリーが朧げながら浮かび上がる。アナ・トーフが使っているテキストはジャンヌ・ダルクに対する審問の記録という。

第2の部屋のやなぎみわも面白かった。映画部?の女子高生が「レオン」(→ Wikipedia) の二人 (レオンとマチルダ) と「グロリア」(→ Wikipedia) の二人 (グロリアとフィル) を再現するのだけど、同じ二人が演じていて、設定の似た両方の映画を交互に出すので、今どっち?と混乱する。というか考えながら見るのが楽しかった。やなぎみわもヨコハマトリエンナーレ2014の出展作家。

第6の部屋アイザック・ジュリアンの《アフリカの亡霊》は、アフリカの過去の映像、映画で国おこしを図るブルキナファソの現代の風景、アフリカの大地で踊る一人のダンサーを映し出すもの。アフリカの音楽、リズムが惹きつける。

常設展も毎回違っているものが入っていて面白い。今回は Chim↑Pom が入っていて、こういうところに展示されるようになったかと不思議な気がする。川端龍子 (りゅうし) の作品が新しく入ったということで、一つの部屋がまるごとあてられていた。太平洋戦争のための戦意高揚の作品が特集されていた。

2014/05/25

ブログ10年

今日でブログを書き始めてから10年になる。

昨日は以前書いていた記事を見直し、リンク切れを直したり改行によるずれを直したりしてアップデートしていた。

最初に書いたのはこの記事 → にぶろぐ: 愛国者宣言 (2004-05-25)
現在ブログを引っ越して現在はこちら → うえぶろぐWordPress:  愛国者宣言 (2004-05-25)


昔は愛国主義者だったんだね。

書いている内容は、平和、環境、社会問題、技術、ビジネス、アート、言語 (日本語) が多い、って全然まとまりないな。

そう言えば最初ブログ名を「環境/ビジネス/カルチャー」にしていたんだ。その意図はブログ名を変更するときに書きました。

Twitterが出てきて以来、そちらで書くことが圧倒的に多くなり、ブログの更新頻度がめちゃくちゃ落ちている。しかし、まとまったことを書くことは、考えを整理する上で役に立つ。

今後もまだまだやめる気はないので、みなさん、見守ってください。

こども展

5月20日、森アーツセンターギャラリーで開催されている「こども展」のブロガー特別内覧会が開かれ行ってきました。



「こども展 名画にみるこどもと画家の絆」展覧会情報

会期: 2014年4月19日(土)~6月29日(日)※会期中無休
場所: 森アーツセンターギャラリー
開館時間 10時~20時 (火曜日は~17時)

詳しくは 森アーツセンターギャラリー「こども展 名画にみるこどもと画家の絆」、または、特設サイトへ。

特別内覧会ということで、エキジビション・ディレクター中山三善氏のギャラリートークがありました (以降も含め写真は美術館より特別に撮影許可を得ています)。また、通常は有料の音声ガイドも無料で貸していただけます。音声ガイドのナレーターは竹内まりやで、展覧会のテーマソングになっている「人生の扉」も入っています。なお、音声ガイドは 2種類あって、もう一つのジュニア版はクイズ形式になっているそうです。

この展覧会は、以前オランジェリー美術館で行われた企画展を再構成して持ってきたもの。巨匠が子どもを描くということで、ピカソも入っていますが、基本的にはかわいい子どもの姿を写実的に描いたものです。この展覧会は難しいことを考えず、かわいいと楽しんでもらえば良いとのことでした。こんな毒にも薬にもならない展覧会は久しぶり ... って、あ、ごめんなさい、かわいい子どもの絵で癒されるので薬にはなりますね。

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その中でも私が一番気に入ったのは (おそらく、多くの人もそうかと思います) ポスターにもなっているルノワール「ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども」(→ Wikipaintings) とその関連作品でした。

ジュリー・マネは、ベルト・モリゾとウジェーヌ・マネ (エドワール・マネの弟) 夫婦のひとり娘。この一角はジュリー・マネの成長を絵で追います。右の2点はいずれもベルト・モリゾによるもの。右は「庭のウジェーヌ・マネとその娘」(→ Wikipaintings)、その左は「犬を抱く娘」(→ Wikipaintings) です。ルノワールの「ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども」にはベルト・モリゾは気に入ったらしく、自身で版画にもしています。これもいい感じでした。

ジュリー・マネは成長してやはり画家になっており、ここには彼女が描いた子どもの絵も展示してあります。

オフィスアイ・イケガミ アートブログによるレビュー「こども展―名画にみるこどもと画家の絆― 」にはもっといろいろなエピソードが載っています。その中で
マネの代表作≪すみれの花束をつけたベルト・モリゾ≫(1872年、オルセー美術館)をジュリーは生涯大事に自宅居間に飾っていたという。
Berthe Morisot with a bouquet of violets by Edouard Manet
Berthe Morisot with a bouquet of violets
by Edouard Manet
というのは母娘の愛情を感じさせるいい話ですね。右の絵です (WikiPaintingから持ってきました)。

竹内まりやの音声ガイドには、作品の解説から離れて、ベルト・モリゾをとりあげたチャプターがあります。彼女を「働くお母さん」という観点で評価をしているんですね。同じ働く女性として共感したのだと思います。あわせて夫ウジェーヌ・マネの理解あってこそと評価していています。そういうことが可能な階級、仕事だったということを考えないといけないとは思うのですが、そういう意味で似たような位置づけにある竹内まりやではしかたないかなという気もします。

このコーナーばかり取り上げましたが、他にも印象的な作品がありました。エンダディアン「ネガールの肖像」は気に入って後で調べようと思ったのですが、綴りが分らず検索できません。

5月31日から同じ森ビルの最上階にある森美術館で「ゴー・ビトゥイーンズ展 こどもを通して見る世界」があります。こちらは毒もある展覧会で、ハナ・マフマルバフ監督「子供の情景」(Wikipedia) 上映など関連イベントが多くあります。この展覧会にも行きたいと思います。子どもを見る「こども展」と、子どもの目で世界を見る「ゴー・ビトゥイーンズ展」。あわせて見ることで世界が広がるのだと思います。

2014/04/30

統計学ちゃんと勉強しなきゃ

ビッグデータとか統計学とか最近ブームなのでいろいろ見ているけど、どうもつまみ食いの範囲を越えていない。

購入した本
講演会など
「統計的思考の養い方」は、半期毎に行っている院生向け統計4日間シンポジウムに関して、その経験などの内容。教える内容は分野依存にしない一方で、対象学生が精通している分野を材料にすることでリアルに実感できるようにする。何を課題として、そのためにどんなデータを集めるところから計画を立てること、分ったことをまとめるところも重要とのこと。

逐次通訳はついていたけれど英語の講演で、統計学の用語を辞書をひきながら聞いていた。
  • R-sq = 決定係数
  • ANOVA = Analysis of Variance 分散分析
  • chisq = カイ2乗検定
SASのツールもそうだけど、こういう技法がある、こういう機能があるということは説明があるのだけれど、それで何がわかるか、あることを知りたいためにはどの技法を使えば良いか、どのようなデータが必要なのかが分っていないというのが正直なところ。以前「Excelで学ぶ統計」みたいな本は読んで、重回帰分析とかは思い出しながらできるようになったが、網羅的な知識が必要だなと感じている。まさに「統計的思考の養い方」で紹介されたような集中的コースはそのニーズにあっているのだろうなと思う。

2014/03/09

日本美術院再興100年 特別展『世紀の日本画』

東京都美術館で行われている、日本美術院再興100年 特別展『世紀の日本画』。前期後期で全作品を入れ替えるのですが、後期が始まる3月1日、閉館後にブロガー向け特別観覧会があり、参加してきました。

画像

表題のとおり、日本美術院の再興から100年を記念し、これまでの名作を俯瞰するものです。「再興」というのは、最初明治31年 (1898) に岡倉天心によって創立されたものの、その後資金不足で一旦休止状態にあったものを、大正3年 (1914) に岡倉天心の一周忌にあわせて活動を再開したということです。

最初に学芸員の河合晴生氏から全体の説明、最初の部屋のいくつかの作品の説明がありました。

狩野芳崖の「悲母観音」には、聖母と赤子を配置しているところにキリスト教というか西洋の影響が見られる。横山大観の「屈原」は、妬まれ左遷され自殺した屈原と東京美術学校を追われた大観に重ねたもの。同じく大観の「無我」は、幼いこどもを描くことで抽象的な概念をイメージ化している ...

また、それまでの日本画が輪郭を描くものであったのに対して、色と濃度の差でものの形を表現する西洋的手法が「朦朧体」と呼ばれたなど、美術院初期、これまでの日本画から脱却しようとしている時代の美術家の挑戦が感じられます。

それぞれの作品が、ただ日本画の伝統を追っているだけではないことがわかる展示になっていました。小倉遊亀の「コーちゃんの休日」(コーちゃんは越路吹雪) にはマチスの影響があることがわかります。月岡榮貴の「やまたのおろち」はシャガールのような幻想的な感じを受けました。

色の強さにインパクトを感じるものが多くありました。小林古径「芥子」の緑、小茂田青樹「虫魚画巻」背景の銀、速水御舟「比叡山」の群青の濃淡、今村紫紅「熱国之巻」インドの光の強さを表現するための金粉 ...

今回最も気に入ったのが、岩橋英遠の「道産子追憶之巻」。一面の風景の中に、秋から冬にかけて変わっていく自然を表現しているものでした。これが1978年から1982年の作品で、まだまだ変わっていく日本画のダイナミズムを感じました。

日本画というと、以前、"「日本画」なの?" でもう日本画ともいえない作品も見てきたのですが、今回のものは伝統に沿いながらも新しい「美」を目指す姿勢を感じることができました。現代美術に抵抗のある人にもオススメです。4月1日まで。

2014/01/14

バルテュスの優雅な生活

娘が成人式の式典に出席している間、図書館で読みました。

バルテュスの優雅な生活


バルテュスに関しては原久路の作品に関する記事であげたのですが、バルテュス自体はそれまで知らず、またそれ以降も詳しいことは知らなかったので、興味深く読みました。昔の人だと思っていたのですが、2001年に亡くなったので現代の人と言えるんですね。勝新太郎とも交流があり、一緒の写真も載っていました。その他リチャード・ギアとの写真もありました。

また、この著者にもなっている節子さんという日本人が奥さんだったのですね。節子さん自身が書かれた馴れ初めの部分が面白かったし、若くして結婚した節子さんが、教養をつけるために勉強したエピソードも興味深く読みました。

2014/01/12

ソウル東大門デザインプラザ

現在21_21デザインサイトで、企画展「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」が行われており、関連イベントがいろいろ行われています。1月11日、トーク「現場からみる、デザインミュージアムの可能性」を聴きにいってきました。

今回は実際のデザイン関係のミュージアムの関係者によるお話。
  • 東京国立近代美術館の工芸館: 工芸品だけでなくデザイン作品を所蔵している。
  • 竹中大工道具館(神戸市)
  • 東大門(トンデムン)デザインプラザ(DDP)2014年3月開館予定
「デザインミュージアム」という展覧会のコンセプトに近いということもあり、また、韓国から来ていただいたということもあるだろう。話題の中心は東大門デザインプラザにあったように思う。

鄭國鉉氏はここでは総監督という肩書きになっているが、オープン後は館長 (名称は違うかもしれない) 就任が予定されている。もともとサムスンのデザイン部門出身と言うこともあってか、単なる公式発表だけでなく、ざっくばらんに話をしていただき、面白かった。

さて、東大門デザインプラザ (DDP) ですが、ティーザー映像がありました。


このフォルムは! そう、話題のザハ・ハディッドです。

鄭國鉉氏によると、中国にもザハ・ハディッド建築があるが、雨漏りがあったりして、まともに建ったものは少ないという。韓国メディアからもさんざん叩かれているとのこと。しかし、鄭國鉉自身は、その点に関しては心配していないようだ。

外側を構成するパネルは一枚一枚違う。個々にプレスで制作しているとのこと。建築費がかさみそう。

内部も曲線で構成され、遠近感を狂わせる。下を向いて歩いていると頭をぶつけたりするそうだ。また、ポスターには屋根に座っている女性の写真が使われているのだが、なだらかな屋根で比較的容易に登れたりする場所もあるとのこと。開館前には安全対策をするらしいが、そのため無粋な立て看板だらけになるのではなかろうか (笑)。

韓国には一度も行ったことはないのですが、ここには一度行ってみたいです。

「ザハ・ハディッドを見に行こう!」

16th DOMANI・明日展

国立新美術館で行われている16th DOMANI・明日展 に行って来ました。毎年行われているのですが、以前は2010年に行ったので4年ぶりになります。

今回の特徴は、建築を大きく取り上げたことだろう。建築家43名それぞれに区分されたスペースを与えられている。それぞれじっくりみていると、時間がいくらあっても足りない感じ。

建築家のことはほとんど知らないのだけれど、現在NTTインターコミュニケーションセンターで行われている都市ソラリス展の事前シンポジウムで出ていた松川昌平のARKHITEKTOMEがあった。建築において可能なパターン (コンピュータ上のモデル) を作っては、与えられたコンテキストで評価し、淘汰していくことを繰り返すもの。昨年11月東京ミッドタウンで行われた、慶應SFCのORFでも出ていたらしい。

アート作品に関しては自分としてはあまり収穫はなかったが、その中にあって榊原澄人の作品は惹かれた。

É IN MOTION No.2(部分) http://domani-ten.com/artist/exhibition/01.php より
É IN MOTION No.2(部分) http://domani-ten.com/artist/exhibition/01.php より[/caption]

大きなスクリーンに、一部が繋がった4つのシーンが少しずつずれながら連続して投影されている。個々のシーンの中では部分部分でそれぞれイベントが発生していて、そのイベントを追っていると他のイベントを見るのが疎かになってしまいまうので、今度は別のところを中心にみることになる。画面の移動はゆっくりではあるが、それでも終端にくると見えなくなるので、そのあいだにみないといけない。一周は15分くらいだと思うが、この作品は全部じっくり見てしまった。

大野由美子の床面にジグソーパズルのピースを並べた作品も面白かった。靴を脱げばその上に乗れるようになっているのだけれど、ピースが靴下にひっかかって元と違ったものになるのではないとひやひやした。

川上りえの作品も、針金で制作したキューブの組み合わせを天井から吊るしたものの下を通っていく感じで、不思議な感覚。

2014/01/10

アージェント・トーク022

1月7日、森美術館で行われた

アージェント・トーク022:「具体:すばらしい遊び場所」展から考える日本美術のグローバルな位置

を聞いてきました。

「具体」に関しては一昨年国立新美術館で展覧会が開かれたので行って来ました(→「具体」展)、昨年はニューヨークのグッゲンハイム美術館で開かれていました。そのキュレーターの一人ミン・ティアンポさんのトークです。

日本の美術をどう世界の中で位置づけるか。それは今も日本の美術界のテーマであるのでしょうが、現在は村上隆以外は海外に打って出るような動きはあまりみられないと感じています。もちろん個人個人では意識している人も多いのでしょうが (ヴェネチア・ビエンナーレで日本館として賞をとった田中功起もその一人でしょう)、全体の力になっておらず、日本の中で分ってもらえればいいというようなスタンスに見えます。

このトークの中で面白かったのは、「具体」が雑誌というかカタログを作成して世界の美術家に送付していたということ。今はインターネットが使えますが、当時そういうものはない中で、世界に発信していたというところです。数こそ多くは配れませんが、物理的に存在するものは強いですね。

美術というと、美しいか美しくないか、されに現代でいえば、好きか嫌いかの差しかないように感じていましたが、全世界の中で相対化し美術の歴史の文脈の中に位置づけることが重要なんですね。国際公用語としての英語はそのためには重要ということで、会場とのQ&Aの回答中に言われていました。

2014/01/02

2014年 あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

2014-nenga

今年は横浜トリエンナーレの年です。サポーターとして昨年から本格的に動きだしてきましたが、今年はもっと忙しくなるでしょう。仕事と違った交流を大事にしていきたいと思います。

また昨年はTwitterの断片的な投稿ばかりでブログはほとんど投稿しませんでしたが、ブログで書いておくべきことは本来たくさんありました。展覧会や講演会等、感想程度でも書き残しておきたいと思います。

2014/01/01

2013年に行った展覧会

毎年年末にまとめている「今年行った展覧会」、こんな時間になっちゃった。

今年は展覧会というより、あわせて行われるトーク等が増えたように思います。
  • 2013/01/06 国芳展 @ 横浜美術館
  • 2013/01/13
    • 美術にぶるっ @ 東京国立近代美術館
    • 田中一光展の関連イベント。 @ 21_21 DESIGN SIGHT
  • 2013/01/29 吉竹美香さんアージェントトーク @ 森美術館
  • 2013/02/11
    • 装画を描くコンペティショングランプリ ミナミタエコ個展 @gallery_h_maya
    • 大巻伸嗣More Light @ 渋谷ヒカリエ
  • 2013/02/20 メディア芸術祭 @ 国立新美術館
  • 2013/03/13 デザインあ展 @ 21_21 DESIGN SIGHT
  • 2013/03/19 TECHNE映像の教室展 @ 東京ミッドタウン デザインハブ
  • 2013/04/21 ルーベンス最終日 @ Bunkamura ザ・ミュージアム
  • 2013/06/01 「ソフィ カル - 最後のとき/最初のとき」 @ 原美術館
  • 2013/06/29
    • カラーハンティング展ギャラリートーク @ 21_21 DESIGN SIGHT
    • 怠慢ガール @ TAMBOURIN GALLERY
  • 2013/07/07 箱根ガラスの森美術館 2013年特別企画 ─時空を超えた東西の技─「モザイク美の世界」ヴェネチアン・グラスと里帰りした箱根寄木細工 // 観光客向け美術館だけど結構良かった。
  • 2013/07/27 トークセッション「ニッポン国文化村~負の現在」@ さくらWORKS
  • 2013/08/11
    • 福井利佐 「LIFE-SIZED」@ ポーラ ミュージアム アネックス
    • ミン・ウォン展 @ 資生堂ギャラリー
    • ベネチアビエンナーレ報告会 @ さくらWORKS
  • 2013/08/17
    • 泥象 鈴木治の世界 @ 京都国立近代美術館
    • 『dreamscape ─ うたかたの扉』 @ 京都芸術センター
  • 2013/08/23 プーシキン美術館展とキュレーターの講演 @ 横浜美術館
  • 2013/08/30 エドワード・マイブリッジの「動物の運動」写真展 @ フジフイルム スクエア // 他にも木村伊兵衛展がありました。
  • 2013/09/08 横浜トリエンナーレサポーター企画 あいちトリエンナーレ2013 と 名古屋市美術館でのトークイベント
  • 2013/09/16 黄金町バザール (他の日にも行きました)
  • 2103/09/21
    • カラーハンティング展トーク 「やさいピグメント」@ 21_21 DESIGN SIGHT
    • クリスチャン・ケレツ展 @ ギャラリー・間
    • 六本木クロッシングとアーチストトーク @ 森美術館
  • 2013/09/28
    • カラーハンティング展トーク「国家珍宝帳プロジェクトを語る」@ 21_21 DESIGN SIGHT
    • NISSAN ART AWARD @ BankART Studio NYK
  • 2013/10/14
    • 竹内栖鳳展 @ 東京国立近代美術館
    • Rhizomatiks @ ICC: InterCommunication Center
  • 2013/11/05 アージェントトーク @ 森美術館
  • 2013/11/16「D-8が語るデザインとミュージアム」Vol.1 テーマ「デザイン・ミュージアムの魅力と力」@ 21_21 DESIGN SIGHT
  • 2013/11/23 シンポジウム「都市ソラリスへ」 @ ICC: InterCommunication Center
  • 2013/12/03 アージェントトーク021 中国社会のいま @ 森美術館
  • 2013/12/07
    • 森村・荒木対談 @ 資生堂花椿ホール
    • 森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る @ 資生堂ギャラリー
    • 「トマシェフスキ展 - 世界を震わす詩学」 @ ギンザ・グラフィック・ギャラリー ggg)
  • 2013/12/08 横浜トリエンナーレサポーター企画
    • 森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る@ 資生堂ギャラリー
    • 美しき、ブラックリスト展~D&AD Awards 1963-2013~ @ アド・ミュージアム東京
    • 「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」@ 原美術館
  • 2013/12/14「D-8が語るデザインとミュージアム」Vol.2 テーマ「ジャパンデザイン、そしてデザインの力」@ 21_21 DESIGN SIGHT
  • 2013/12/21 参加アーティストによるプレゼンテーションとトークセッション テーマ「空中都市」@ ICC: InterCommunication Center
ベストを選出する余裕はないけど、「美術にぶるっ」、竹内栖鳳展、「泥象 鈴木治の世界」、あいちトリエンナーレの名和晃平 フォームが見応えありました。

これ以外にヨコハマトリエンナーレ関係のイベントがありました。来年はいよいよ本展です。忙しくなりそうです。

2013/09/07

iPhoneそろそろ買い替えようかな

ソフトバンクのiPhone 4Sを使っているのだけど、このところソフトバンクからプロモーションのメッセージがくる。

5月末までの特典! iPhone5 への機種変更のみに使えるポイント9450円分プレゼント!

6月21日 「1年間パケット通信料1050円割引!」
-- 5月末までで駆け込みで機種変更した人かわいそう。

6月28日 「iPhone 4S下取り 14000円!」

その後毎週来てた。

そして 8月9日 「iPhone 4S下取り 14000円!さらに今なら 1年間パケット通信料1050円割引!」

電気屋さんへ行くとauならパケット通信料もっと割引になっているね。まだ2年契約が終わっていないのだけれど、違約金払っても安くなる計算だ。

という訳で、買い替えようかな ...

2013/05/27

2012 自主勉強会の発表

2011年度東工大の社会人向け「エッセンシャルMOT」というコースで学んでいました。この修了生向けに「アドバンストMOT」というコースが予定されていて、2012年度はそれに参加しようと考えていたのですが、人数が集まらず開講できませんでした。そのため、2012年度は自主的勉強会という形で進めることになりました。

ここでは、ひとつテーマを選んで1年かけて研究をまとめます。本来は仕事に直結したようなテーマが望ましいのですが、MOTに繋がるような職務ではないので、自分の興味で選びます。アップルは多く取り上げられていてそれぞれ聞く人も思い入れ強いと思いますので、マイクロソフトを取り上げてみました。

初めに、研究の課題設定を行い、ストーリーを組み立てます。順次新しいファインディングを加えて肉付けをし、毎月1回のペースで集まり発表を行って、そこで頂いたコメントを次に反映させます。

とはいえ、一度発表すると脱力して、なかなか次の取り組みができません。結局準備するのは次の発表の直前ということになり、半年以上かけた割には穴だらけの研究になってしまったと思います。せっかくなのでここに公開します。ご意見を頂ければ幸いです。


この中で特に、ビジネスエコシステムと言う概念で整理することを試みました。基本的にはプラットフォーム戦略の発展形ですが、プラットフォーム間の競争、共生が業界全体のパイを大きくするなど、競争から共生を強く意識したものになっています。

2013/05/11

Saul Bass

"Saul Bass"で検索すると検索結果のトップはWikipeiaの項目になる。

ソール・バス - Wikipedia
ソール・バス(Saul Bass, 1920年5月8日 - 1996年4月25日)は、アメリカ合衆国グラフィック・デザイナーニューヨーク市出身。しばしばソウル・バスとも表記されるが、これは発音の上からは明らかな誤りである(auは長音であって二重母音ではない)。
一方、人名等のとき検索結果の右の方にはWikipediaの項目が出るのだけど、そこにはこう書いてある。

ソウル・バス
ソウル・バス(Saul Bass, 1920年5月8日 - 1996年4月25日)は、アメリカ合衆国のグラフィック・デザイナー。ニューヨーク市出身。ソール・バスとも表記される
普通使われるのはどっちなんだ?

先日 (5月8日) 誕生日で、Googleのロゴが変わってた。

Doodle for Saul Bass' 93rd Birthday - YouTube

先日東京ミッドタウンのデザインハブで行われていた「映像の教室」展で出てた。ここでは「ソウル・バス」表記になっている。 Techne Works - タイポグラフィ

2013/04/06

経済わからん

こんにちは。

日銀の黒田総裁の方針発表で、株価急上昇、円安と現在の日本経済にとってプラスの効果が早速出ているという。

市場も驚いた異次元緩和、黒田日銀の「バズーカ砲」炸裂

黒田ハルヒの驚愕、異次元緩和により1時間半で日経平均株価を500円、ドル円を2円ほど動かす : 市況かぶ全力2階建

社会科で、「金融緩和は金利を下げることで、お金を借りやすくしてお金を使いやすくする」と習った。この「国債の買い取り量を増やす」というのは緩和の意味があるのだろうか。

国がお金を借りやすくお金を使いやすくする、という意味になるのか。国がお金を使えばそのお金は民間には回るだろうが、民間に渡る時に業種に偏りが出るんじゃないか。土建とか。民間に直接お金が行くようにしないといけないんじゃないだろうか。

その前に、国がお金を借りやすくなるというのも違うように思う。政府が発行する国債は、現在は民間が買っていて、一応全部捌けているのではないか。日銀が買い取るというのは、単に購入する人が変わるだけで、全体の量は変わらないのではないか。

確かに今まで買っていた国債が日銀に買われちゃって、お金の使い道に困るということはあるだろう。そのお金をどう使うのかと言った時に、じゃあ投資するか、消費にまわすかとはならないように思う。別の形の貯金になるだけじゃないか。下手したらタンス預金になるだけ。

規制緩和で新規事業の立ち上げを促進するとか、雇用の安定化や賃金の増加で安心して使える環境を作らないと、お金は回っていかないのではないかと思う。

もちろんインフレで目減りするくらいなら使ったほうが良いと言う判断はあるかと思うが、インフレだって目標を決めただけで、対策はないよね。インフレになると発表されているので、そうならないうちに買い物するということをみんなが実施したおかげで、インフレになると言うアナウンス効果はあると思う。

結局インフレ目標も国債買い取り量大幅増加も、これによって経済が良くなるのではないか、じゃあ株を買っておくかという雰囲気を作っているだけではないかと思う。もちろん雰囲気が重要な役割をになっているのは知っているが、それだけではみんなが気づいた時に一挙に瓦解するのではないかと思う。

それから、もう一方の円安になる理由がわからない。これまでの円高は、ユーロ危機など世界的な不況の中で、まだ日本はマシじゃね?として円が買われていたものと認識していた。安倍政権の発足や今回の日銀発表で日本経済が良くなると期待されているのなら、さらに円高になってしかるべきではなかろうか。円安になるというのは逆の予測がなされているということではないのか。

以上の疑問、だれか解説していただけるとありがたいです。

追記:
国債の買い入れは新規発行分の引き受けというのではなく、市場に出回っているのを買うことのようだ。購入価格が上がるということが期待できる。債権の価格が上がるということは金利が下がるということ。また、国債を売って得たお金はもう少しリスクの高い投資に回ることが期待でき、株価が上がる。このメカニズムは分かった。

2013/01/01

2013年 あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

20130101-newyear

毎年、お正月になると、これもやりたい、これもやらなくちゃ、と思うのですが、目標が高過ぎるようで、それでいて漠然としている傾向があって、年末になると達成できていないなと思うのです。

そんな中、こんな記事がありました。

Thinking Differently About New Year’s Resolutions

"resolution" というのは「解決」ではなく、「決意、決心」というのが第一の語義でした。この文章の主旨は、「毎年新しいことを "決意" するよりも、好きなこと、得意なことを伸ばしていこう」ということでした。

好きなことも遠ざかっていると能力は次第に落ちて行くので、続けることが重要です。それを意識しながら続けると、能力の維持だけでなく、少しずつでも伸びて行くのだと思います。いろいろなことに取り組んで、どれも中途半端になってしまいがちですので、取り組みことを増やすことは得策ではありません。新しいことを始める際には、やりたくて取り組んでいるのか、やらされているのかを問うてから始め、また常に問い直す必要があると思っています。

ということを今年は「決意」したのでした。ぇ?

2012/12/31

2012年にいった展覧会

今年も最後になりました。また今年行った展覧会をまとめてみたいと思います。
昨年 (「2011年アート系イベント」) よりは少ないけど、結構いってますね。なんかまだ忘れているような気がする。

今年良かったのは
  • ぬぐ絵画展: やらしい目で見るためじゃないよ!というアピールに苦労していた様がよく分った。
  • 石子順造的世界: マンガ、キッチュな世界等普通の美術展と違う雰囲気が楽しめた。
  • 松井冬子: 制作途中の素材等の展示もあって充実していた。
  • エリック・ギルのタイポグラフィ展: ページにあわせて文字を修飾する等、昔は手間かけてたんだねえ。
  • 村山知義: 装丁、ポスター、舞台装置など様々な分野での活躍。
  • アラブエクスプレス展: どうしても戦争や文化を考えさせられる展覧会。
  • 「具体」展: 当時の熱気が感じられた。
  • 与えられた形象―辰野登恵子/柴田敏雄: これも若い時代の熱気が感じられた。
  • 山口晃: そんなに大きなスペースではないのだけれど作品ごとのディテールが楽しめる。
  • 会田誠: カオスラウンジみたいなスペース、18禁エリア、でかい作品などバラエティに富む展示。これはもう一枚チケットがあるので行く。
ベスト10なんて出せる程行ってないと思ったけど10個になりました。

追記: 地中美術館 (写真) に行ったの忘れてました。

DSCF1690

2012 in review

以下、WordPressが作ってくれた今年のレポートです。これとは別に「今年行った展覧会」作成中。

WordPress.com 統計チームは、2012年のあなたのブログの年間まとめレポートを用意しました。


概要はこちらです。
2012年にエベレスト山の登頂に成功したのは600名でした。2012年にこのブログは約5,600回表示されました。もしエベレストに登った人たちだけがブログを見たとすると、同じ表示数に達するには9年間かかる計算になります。
レポートをすべて見るにはクリックしてください。

2012/11/18

沖縄の人たち 山城知佳子

昨日 2012年11月17日から「会田誠展:天才でごめんなさい」が開催されており、初日の昨日はトークセッションも開催され、こちらも参加して来ました。会場外に立ち見が出るほどの盛況でした。

これに関しては別稿で書きたいと思います。ここでは、同期間に行われている「MAMプロジェクト18 山城知佳子」アーティストトークにも参加して来たので、その感想を書いておきたいと思います。


 肉屋の女

トークは山城さんと森美術館キュレーターの近藤さんの対談形式で行われました。山城さんはあまり雄弁な方ではないようで、近藤さんが話題をふってそれに答えるという形で進行がなされました。

過去の作品を紹介して、最後に今回の作品「肉屋の女」に話題がなった時も、近藤さんが作品の背後にあるストーリーを補足説明していました。作品に出てくるものに様々なメタファーを感じ取った近藤さんがそのことを質問すると、全体で「肉」を表現したい、出てくる人間も肉を食べそして肉として食べられることを意識しているとのこと。作品の中のに出てくる洞窟 (沖縄ではガマ) もその中で一般人が自決をした沖縄戦のイメージを重ねているのかという問いに対しても、人間の体内の穴を奥まで進んで行くイメージとのことでした。

作品に対して、その意図を問うと「作品そのものを見てください、感じてください」という日もいて、山城さんもそういうタイプなのかと思ったのですが、答えを聞いて行くとやはりコンセプトが少しずつ出て来て、現代アートはやはり概念であり言葉なんだなと思います。

沖縄の住民に関しても、周りからは住みやすく人々も楽天的なように見えるけれども、そこに住んでいる人は、基地があって、レイプが身近に感じられ、逃げ場のなさを感じているとのことです。沖縄に住んでいる表現者は、そのことを考えざるを得ない。

そういう背景を聞いたので、セッションの最後の質問の時間では「肉屋の女の女性には悲しそうな表情が見える、それは意図したものか」と聞きました。「そういう意図はなく、役者さんにそういう指示も出していない。むしろたくましさを表現した」とのことでした。また「むしろ肉に群がる男達 (労働者) に悲しさを感じる」とのことでした。出演者の女性の表情は、山城さんが男達に向けている目なのかもしれません。

山城さんの作品には、黙認耕作地、その中のマーケット (闇市)、黙認浜 (これは山城さん命名の言葉)、壊される自然、辺野古の海など、沖縄、日本を考えさせられるモチーフが色々出て来ます。同時期に開催されている『黙認のからだ』(2012年11月17日(土)–12月22日(土)、Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku) も行ってみようと思います。

2012/10/28

雨で出現する壁画

雨で濡れると現れる樫の木の壁画。アメリカコネチカット州ハートフォードのダウンタウンに先月公開された。

木の部分以外は防水加工されており、濡れると木の部分だけが色が濃くなって、壁画が出現する。

Photograph by Erika Van Natta

雨で濡れると、と書いたが、スプリンクラーが取り付けられていて、毎日午後3時に作動させている。

モチーフはCharles De Wolf Brownellの "Charter Oak"。Wikipedia記述ではわかりにくいので日本語の説明を探しました。
Link USA アメリカ州辞典 > コネチカット州チャーターとは植民地の勅許状のことで、イギリス人から植民地を守るためこの樫の木のうろに勅許状を隠したことに由来するそうです。コネチカットの歴史に重要な意味を持つモチーフなんですね。
制作風景

制作の様子。アトリエでステンシルシートをカットして壁に貼付けたとあるが、現場でもカットしているようです。

引用元: The Water-Activated Oak Tree Mural in Hartford.

DesignWorksでも取り上げられていました。

2012/10/21

アラブエクスプレス展と関連シンポジウム

Microsoft SkyDrive のオンラインドキュメントを試すつもりでアラブエクスプレス展の写真をまとめていたのだけれど、あわせて関連シンポジウムの感想まで記載しました。

アラブエクスプレス展

追記: 森美術館のFlickrアルバムに写真が載っていました。せっかく真ん中 (卯城氏とサルキシアン氏の間) に写っているのに下向いてiPhone見てました。
休憩時間にも交流するアーティスト達。左から小泉明朗氏、卯城竜太氏、ハラーイル・サルキシアン氏、スプツニ子!氏

追記 (2017/1/7):関連シンポジウムの感想は上記SkyDrive (今はOneDrive) のドキュメントからここにも転記します。

シンポジウム


9月29日には森ビル内の六本木アカデミーヒルズで行われたシンポジウム「ポップアップ・マトハフ@森美術館—マトハフ・アラブ近代美術館共催シンポジウム 遠くて近い、近くて遠い、アラブと日本:アーティストの役割とは何か」 (2日目)にも参加して来ました。このシンポジウムは無料で、展覧会はここでもらったチケットで行って来たのです。実はチケットくれるんじゃないかと思って、それまでは行っていなかったのです。

2日目のセッション2 「歴史をたどって」では、出展アーティストのハラーイル・サルキシアンとアーティスト小泉明郎の対談。

サルキシアン氏はトルコ生まれのアルメニア人で現在はシリアに住んでいます。トルコによる虐殺がありながら、トルコでは逆にアルメニア人がトルコ人を殺したというように教えられているアルメニア人虐殺事件 (Wikipedia)。彼はイスタンブールでひっそりと暮らすアルメニア人家族を撮影した作品を発表しています (今回出展しているものは別)。

小泉明郎氏は、「特攻に行く青年が両親に向けた出征の言葉を発する」という場面を映画撮影しているというシチュエーションの映像作品を紹介されました。監督が「もっとサムライを表現して」と煽り、出征兵士役の青年がそれに応えて撮り直すのを繰り返すうちに、だんだんエキサイトして行くもの。

この二人のトークでは自ずと戦争、平和がテーマになって行きます。その後の質問の回答の中で「日本人にはスイッチがある、いずれ (自爆テロの) テロリストになる (素養を持っている)」という発言がありドッキリしました。

セッション3 「キッチュなものの力」では出展アーティストゼーナ・エル・ハリールさんがスカイプによる出演し、スプツニ子!さんが会場でという変則的なセッションでした。

セッションのテーマは、二人に共通するポップなものの影響だったのですが、やはり女性ということでジェンダーのことも話題になります。アラブ世界の中で女性アーチストは活動しにくいのではないかということを質問しようと思っていたのですが、先に女性から同じ主旨の質問がありました。レバノンの女性は解放されているほうとはいえ、やはり活動には制約があるようです、外国人と結婚しても国籍は変えられないということでした。

最後のセッションは1日目も含めた出席者全員によるディスカッションです。森美術館の南条館長の発言で、現代アートという共通言語があり、アラブ圏というひとくくりにするのは本来は間違っているという旨の発言が印象に残りました。

この「地域でまとめた展覧会を行うことの是非と意義」は、この前のトリエンナーレ学校のテーマ「アジアの近現代アート」との関連もあって考えさせられました。

現代アートという世界共通言語の中で生きているという意味では地域性はないというのもわかるけど、アーチスト個人は、日本なら日本の影響を、イスラム教国ならその影響を受けているだろうし、それが作品にも滲み出てくると思うのです。また、作品を見る人にも受け入れられるものを作るベクトルは働くと思います。アジアの美術の発展の過程で、欧米人がアジアに期待するものを作って来た歴史もあるとのことでしたので、同様の外からの期待もそうですが、アラブ内部の期待と言うか嗜好も影響するのではないかと思います。それらからなにかしらアラブ的なものもやはり出て来るのではないかと思ったのです。

その点を質問してみました。アーチストの皆さんは、受け入れられるかは関係なく、自分の内面から湧き出る衝動を作品にする、と言っていました。でもそれは、もう売れているから、これからも売れるからじゃないのかと思うのです。売れるというと下世話だけど、評価は気になるのじゃないかと思うのです。

その意味で小泉さんの答えは納得がいきました。 オランダに呼ばれた時は、日本人として呼ばれた意味を考えた。しかしいつまでもそれにとらわれていては、自分の作品にならない。成功している人は皆、そういうプロセスを経て、自分なりのものをつかんだとと言えるだろう。 ということでした。

しかしビッグネームも、やはり、売れた作品から売れるものをつかんで売れるものを作るんだろうと思います。村上隆はこの意味での別格として、奈良美智も草間彌生もそうじゃないかと思うのです。売れなきゃ描き続けてない、売れたから描き続けられている、という側面はあるでしょうが。

売れることは関係ない、売りものでない作品を作っている人だって、賞をとるとか、大きな個展を開けるとか目標になるんじゃないでしょうか。

そういうことを考えさせられるシンポジウムでした。

2012/09/25

IOS6 Apple製Mapで「独島」を検索したら...

... こんなのが出て来たよ!



多分「独島」で検索 → 正しくは「竹島」→ 「竹島」で検索

その前に「竹島」で検索したのだ (どうも検索結果が履歴に影響されるようだ)。


引いてみると ...


Apple独自のマップ非難する人多いけど、というか私も面白がっていたけど、この例で帳消し。私はアップルを全面的に支持します!

2012/08/21

韓国との関係で参考になるリンク

いろいろ見ていると分らないことも多いのですが、感情的にならずロジカルな記述が掬えるものを集めてみました。

外務省:竹島問題
竹島の領有権に関する我が国の一貫した立場
  1. 竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに我が国固有の領土です。
  2. 韓国による竹島の占拠は、国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠であり、韓国がこのような不法占拠に基づいて竹島に対して行ういかなる措置も法的な正当性を有するものではありません。※韓国側からは、我が国が竹島を実効的に支配し、領有権を確立した以前に、韓国が同島を実効的に支配していたことを示す明確な根拠は提示されていません。
韓国外務省にもこういうページがあって、各項目ごとに相互リンクがあればいいのにね。でも「韓国側からは、... 明確な根拠は提示されていません。」ってきっぱり書かれている。

元韓国人だけど竹島を日本領だとする証拠ってさ
外務省にうまくまとめられてんだな
しかもいろんな言語で(ちょっと英語はわかりづらいところもあるけど)

もっとこれ広めようぜ
韓国人が湧いても韓国語もしくは彼らが得意()だとする英語の
サイトのリンクでも貼り付けてやればいい
この中で、「学校で一方的に自国の主張のみ習って、日本側の主張は無いと言われて以降それに関して調べようともしないから、そもそも日本がこういう主張をしているって事自体知らない人が多い」という記述が気になった。一方、韓国の国民もちゃんとした資料を示されれば考えるだろうというような記述がある。これだけ発展して教育も熱心な国なので、一枚岩で話の通じない民族なんて思わない方がいいと思う。

日本側も学校では外務省HPに載っているようなことは習わないので、外務省HPの「竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに我が国固有の領土です。」という主張しか知らず、それで満足しちゃっているところがあると思う。

で、そういう人は最初に聞いた論を信じちゃうのだろう。「嫌韓」のブームってありましたね。作者ツイッターやってるんですね。

Togetter 『嫌韓流』シリーズの参考文献と引用の精度
Togetter 『嫌韓流』シリーズの参考文献と引用の精度(その2)
Togetter 李氏朝鮮時代に清へ50万とも60万とも言われる強制連行があったという言説と史料の裏付け
弾薬庫/「美女三千人」貢納言説について

最初のまとめでは、山野 車輪 (@sharinyamano) 氏の、最初は「 (検証を) 出版前にさんざんやってますよ」と言っていながら、後の方では「これ、僕か編集さんのどっちかが確認取っているはずなんですけどね。」とか「まぁ最終的な責任は僕にありますが、確認作業をまかせるところも当然あります。何しろ情報量が膨大なので。」とか「うーん、確認取れてないけど、例え一箇所でも穴があったとしたら、反省だなー。」とかだんだんヘタレになって来て面白い。

「ロジカルな記述が掬えるもの」というのをあつめていたのであった。それはこの中の @jpn1_rok0 氏の発言をたどって行けば良いと思う。

韓国とは少し離れるけど、この人の下記記述も面白かったな。

jpn1_rok0/日本における元寇の評価に対する私見

最後に、以前私が書いたものも挙げておきましょう。リンク切れが多くなっていて使えないものになっているのが残念。

2005/03/19 対馬の日
2005/03/23 竹島問題の解説が…
2005/04/07 事実は事実と
2006/04/23 日韓交渉妥結って…
2006/04/26 韓国大統領、堂々と対処の方針

2012/08/20

山下以登さん個展「ふくろとじ」

8月19日、山下以登さん個展「ふくろとじ」へ行って来ました。



HB FILE COMPETITION Vol.22
藤枝リュウジ賞 山下以登個展【ふくろとじ】


2013年8月17日(金)~8月22日(水)
11:00~19:00(最終日のみ17:00まで)
<Opening Party>8/17(金)18:00~20:00

HB Gallery
渋谷区神宮前4-5-4 原宿エノモトビル1F
03-5474-2325
(東京メトロ 表参道駅A2出口より徒歩3分)

受賞おめでとうございます。

山下以登さんの展覧会は、2008年に個展「さよならブルーマンデー!」(ブログ投稿)、2010年「クロムイエロー」、昨年「キップル雑食系」に行っています。その他にもEN博、マッチ箱展などのグループ展でも作品を拝見していますし、昨年は「私の未明展」でのトークも聴かせていただいています。

昨年「キップル雑食系」で、あれ?と思ったのですが、今回の作品はそれよりも大人向けになって来ています。なるほど「ふくろとじ」というのはそういうことでしたか。おじさんとしてはもっとリアルな表現のほうが ... グハ!☆(゜o゚(○=(-_-;パンチ

ギャラリーには山下さんが挿絵や表紙を描かれた書籍、雑誌もおかれているのですが、それも今回はかなり増えていました。

一人の作家さんを続けて見ていると、作品の傾向の変遷や、活躍の場が広がっているのが分って楽しいですね。

その日はこの後、同じく表参道 Espace Louis Vuitton Tokyoでの 『AWAKENING』展、娘の大学美術部の合同展「心展」、NTT インターコミュニケーションセンターで行われている「ひかり*くうかん じっけんしつ」に行って来ました。

ひかり*くうかん じっけんしつ

NTT インターコミュニケーションセンターで行われている ひかり*くうかん じっけんしつ に行って来ました。展示会タイトルに "ICC キッズ・プログラム2012" とつけられているように、子供向けのプログラムではあります。

いくつかの小部屋に分けられていて、それぞれの小部屋では光と影の関係を見せてくれます。

実験ですから、参加できます。模型鉄道をゆっくり走る電車には、小さな光源が載せられていて、鉄道の周辺におかれたものの影が周囲の壁、天井に映ります。周辺のものを自由に置き替えて影の出来方の違い、電車が動く効果を確認できます。ざるのような網状のものは特に面白い。

これどこかで見たなーと思ったので、帰って検索してみました。

必見!鉄道模型による光と影のアート (元気!本気!勇気!)

The Tenth Sentiment / 10番目の感傷(点・線・面)という作品で、第14回文化庁メディア芸術祭のアート部門優秀賞・受賞作品でした。メディア芸術祭には2010年と2012年には見に行っているが、2011年第14回には行っていないので、ここオープンスペース2010で見たのでしょう。

その制作者のクワクボリョウタが、今回パーフェクトロンというユニットとして出展しているのですね。

当日は閉館19:00からアーチスト・トークがあったのですが、そこまで待つ元気がなくて帰って来ました。

8月26日には小学生対象のワークショップがあります。もう事前締め切りは過ぎてますが。

2012/08/19

「具体」展

もう1ヶ月前になりますが、国立新美術館で行われている「具体」展に行って来ました。

「具体」-ニッポンの前衛 18年の軌跡
展覧会Facebookページ: http://www.facebook.com/gutai.nact

「具体」というグループの存在自体知らなかったのだけれど、時代を切り開いていった集団だったんですね。彼らの熱気とその変質が感じられる展示でした。

「熱気」というのは、「これまでになかったものを作る」ことを目指していたことが伝わります。様々な素材、動く作品、音の出る作品、美術館から出たインスタレーション、アクションペインティング等制作方法、観客が参加することで成立する作品、朽ちる等変容を受容した作品 ... きっとグループ内でも、誰が最初にやったかで競争になっていたのだと思います。

きっとそこには、作品を「売る」という意識はなかったでしょう。しかしフランス人美術評論家ミシェル・タピエ氏がこのグループを世界に紹介し出したことで「変質」が始まります。彼は画商でもあったため、作品が売買の対象になります。売るためには保存、移動ができないといけません。前衛であることには変わりはなかったでしょうが、活動の中心がタブロー形式の絵画に移って行きます。

これは想像ですが、作家の意識も「新しい」ものよりも「売れる」ものにシフトして行ったのではないかと思います。ある作品が売れたら、同じような傾向の作品が求められるようになる。それは「画風」という意味で非難されることではないですが、グループ内では、また個人としても葛藤があったのではないかと思います。

最初の「新しいもの」というところに戻ります。

展覧会の解説には、これが関西の、しかも、高級住宅街を擁する芦屋を中心する活動だったので、受入れられ育ったとありました。土地全体に進取の気性に富んでいたとのことでした。展覧会もデパートで行われるなど、上流階級だけでなく、一般にも受入れられていたんでしょう。

展覧会の休憩室では、当時のニュース映像が流されていました。「これが新しい芸術というものらしいです」みたいな表現があって、分らないけれども受入れる姿勢が微笑ましく思いました。今だと、私は分ってますよ的なスタンスで伝えるんじゃないでしょうか。



これ知らなかったんですが、作品だったんですね。当時の再現だそうです。ニュース映像の中では、この紙を破るパフォーマンスが「まさに横紙破り」と紹介されていました。



これは外に展示してあって、見逃してしまいました。「水の彫刻」の再現。過去のニュース映像では「前衛芸術を見て頭が痛くなった人は、これで頭を冷やしてください」って言ってて実際に子供が頭にあてていました。当時は触れたんですね。

9月10日までです。

2012/08/06

Feel on! 使ってみた

どうやって知ったのか忘れちゃったけど、Feel on! for Twitter というアプリの存在を知って使いはじめた。タダだしね。
Feel on!だから面白い!SNSマルチポスト機能も搭載されて、ますます楽しくなった新感覚のTwitterアプリです。
SF Japan Nightでの優勝をはじめとして、国内外で数々の受賞と高評価を獲得しています。
手書き風文字、マンガつきで表示されます。



自分で投稿する時にイラストを選択することもできる。これだと、普通のTwitterアプリを使っている人にもイラストが見れる(下記リンク先)。

https://twitter.com/ryokan/status/231726538851221504

しかし面白いのは、イラストが自動で選択されるとき。投稿内容に反応しているようだ。





怒っているとき (上)。[徳力さんのツイート使わせていただきました]



「映画」に反応している。



「調べる」に反応している。



「いいね!」でサムアップ。「曲」でヘッドホン。



文字化けにはこんな。



もとから「日本語にしか対応していない」と書いてある。

イラストには特別なバリエーションもあるようだ。



松岡修造の似顔絵もあった。「熱い」に反応して出て来たかな (笑)。

2012/07/16

個人向けグリーン電力証書「えねぱそ」

グリーン電力証書は、大規模イベントに使うだけでなく、個人や小規模事業者でも使うことができる。それが「えねぱそ」。サイトは別になっているがやはりエナジーグリーン社の商品だ。

これはオンラインで購入申し込みをすることもできるし、パタゴニアの直営店およびオンラインショップで購入できる。購入に関してはハードルが低い。小規模事業者でも環境保護への取り組みをアピールしたいところにはうってつけだろう。メリットの最初に、「選んだ発電所の電気を、ご自宅やお店で使っていると表明する権利が得られます。」と書かれている。宣伝に使えるということだ。

仕組みもちゃんと書いてあるし、これが自然エネルギーの普及に繋がることも示されているのだけれど、やはり気になるのは、買う人が理解して買っているか、買った小規模事業者が宣伝に使う時にお客様にちゃんと伝わるかどうかだ。

買う人が理解して買っているかというのは、特にパタゴニアの店舗などで購入する際に説明を受けて買っているかということだ。お店の雰囲気に流されて買っちゃうじゃないかとも思う (日本のサイトにもないけど、お店ではシーシェパードを支援しているなんて書いてないだろうし)。オンラインショップにも簡単かつ適切な説明は書いてあって、少なくともレビューを書いている人はちゃんと理解していることが分る。

より気になるのは宣伝に使う場合で、前の記事にも書いたが、
宣伝に使う時に「環境付加価値」の説明なんか書いてもお客さんに読んでもらえないと判断すると「自然エネルギーで賄ってます!」ですますだろう。
お客さんはそれを見て、どういうことか詮索しないだろう。

「環境付加価値分」を購入するなんて分りにくい構図よりも、いっそのこと寄付といってしまえばいいじゃんとも思う。

グリーン電力証書に関して

ここ数年、「このイベントには全て自然エネルギーで作られた電力が使われています」といったキャッチコピーを見ることが多くなった。特にアースデイなどエコ関係のイベントや、自然環境保護を訴えるコンサート等で多く見られる。

とはいえ、現在の太陽光発電や風力発電で、その場で発電してそのイベントで使える電力が賄えるとは思えない。また、そのイベントのために風力発電所や太陽光発電所から送電線をひく訳にはいかないだろう。

自然エネルギーによる電力を謳っているところでは、グリーン電力証書というものを購入するということだ。

なるほど、グリーン電力証書を買って、そのお金が風力発電所や太陽光発電所に行けば、実質的に自然エネルギーによる電力を買っていることになるわな、と思った。

想定したのはこんな仕組み。ここではイベントが東京電力管内であると仮定する。
  • 電気の使用者は、グリーン電力証書を買う。電気自体は東京電力が供給するものを使う。
  • グリーン電力証書の代金は、一部手数料を除いて、自然エネルギー発電所に行く。その代金分の電力は東京電力に供給される。
  • 東京電力は、電気の使用者へ提供する電力分が、自然エネルギー発電所からの供給分で相殺される。一部手数料を受け取る。


これにより通常は東京電力から自然エネルギー発電所に対価がはいるところを、グリーン電力証書を経由して電力使用者から対価がはいることになる。これが東京電力の買い取り価格よりも高い値段であれば、自然エネルギー発電所にとってもプラスになり、自然エネルギー振興に繋がるだろう。

と考えていた。

しかし、グリーン電力証書を発行しているエナジーグリーン社グリーン電力証書 証書のしくみ (図はリンク先から引用) を見ると、お取り引きの電力会社 (ここでは東京電力) との間は「従来通りの電力供給」となっている。また、自然エネルギー発電事業者と地域電力会社の間は「電力販売」となっている。これはともにここには通常の対価が発生していることを意味する。



とすると、電力使用者は、東京電力とエナジーグリーン社に二重に支払いが必要になる。また、自然エネルギー発電所も地域電力会社とエナジーグリーン社から二重に支払いを受け取っていることになる。

このような認識は正しいのか、エナジーグリーン社に問い合せた。その結果、その認識は間違っていないことが分った。

ただし、こちら (「グリーン電力とは」) には次のような図がある。



グリーン電力証書によって「グリーン電力を買う」のではなく、自然エネルギーであることの「環境付加価値」分を買うことになっているとのことだ。「ご購入頂いたグリーン電力証書のグリーン電力相当量は、環境に優しい自然エネルギーによる電気を利用したとみなすことができます」とある。

言い換えると、「環境に優しい自然エネルギーによる電気を利用した」と言える権利を購入したということができると思う。

もうひとつ分ったことは、自然エネルギー発電事業者が発電する全てがグリーン電力証書の対象ではない、ということだ。自然エネルギー発電事業者は発電してそれを地域電力会社に売るだけでなく、自分たちでも使う。設備を稼働させたり、自社で働く人のための照明や空調などに使うと言うことだ。これが前の図の「場内消費」。この限られた「場内消費」分だけが、グリーン電力証書の販売対象になる。

以上、ホームページから分ることと、エナジーグリーン社に問い合せた内容をまとめた。

一番の疑問は、グリーン電力証書を購入することで「イベントをグリーン電力で賄っている」と言えるかということだったが、これには納得していない。また、一般に正しい理解がされているかと言えばそれも疑問に残る。

グリーン電力証書を導入しているところを見ると「環境付加価値分を購入している」ということは分る。例えば丸紅の「株主総会会場でのグリーン電力使用について」。しかし、グリーン電力証書を使っている会社がそのことを宣伝に使う時に「環境付加価値」の説明なんか書いてもお客さんに読んでもらえないと判断すると「自然エネルギーで賄ってます!」ですますだろう。

一般の人にどれだけ伝わるか疑問だ。誤解を招く使われ方をしているのではないか、その認識に関しても問い合せてみたのだが、それにはまだ結果が来ていない。

2012/05/19

「課金」の誤用が気になる

最近「課金」が話題ですね。

ネットを見ていると、「課金する」という言葉が「料金を課する」という意味とは逆の「料金を払う」という意味で使っていることに気づく。実際にゲームをやっている人が「課金する」という言い方をしているのだ。

ドリランドに課金しすぎてヤバイことになった:キニ速

この人はユーザーみたいですが、次のKAWANGOってドワンゴの社長じゃないの? (「ドワンゴ会長?「kawango」氏、人力検索はてなで質問中 ほか」をみると会長みたいですね。本人は否定しているそうだけど)。 課金する側だけど、あきらかに「会員が課金する」という使い方をしている。

Twitter / KAWANGO: 今週はじめてわかり、ドワンゴ社内で衝撃が走ったある数 ...(リンク先ははてなブックマーク - もとの投稿は消されているようだ)
今週はじめてわかり、ドワンゴ社内で衝撃が走ったある数字を紹介する。ニコニコのプレミアム会員80万人のうち、携帯のメールアドレスで登録して課金しているのは18万人。そのうちPCでのアクセスを一回もしていないユーザは11万人。
他にも以下のような記事で「課金」が「支払う」意味で使われている。
最初にこの現象に気がついたのは4年前。

「人はなぜゲーム内アイテムにお金を払うのか」 デジタルジェネレーションが生んだ新しい経済価値について,成蹊大学の野島美保氏にあれこれ聞いてみた

ブックマークコメント
「鯖代の足しにしてください」「運営がんばってください」というメッセージを添えて課金(しかもあんまり有利にならないのに)してくれるユーザーばかりです。
というのがある (前は複数あったように思うのだが)。

この記事本文は明確に「お金を頂く」方の立場から書かれているので、この記事を読んだ人の中では誤用はすくないということはあるだろうが、これ以降数年で誤用が定着しているように感じる。

もう少し調べたらこんな情報があった。

課金とは (カキンとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
本来この言葉は「料金を課する」、つまり提供者が利用者から料金を徴収することを指すのだが、インターネット上では主体が完全に逆転した解釈のほうが定着している。

「課金されたものに納金する」→「課金する」のように略された形になる。

税金を納めることを"納税"と言わず"課税"と言うぐらい異なった用法である。

とは書いてあるものの、その後は
インターネット上で課金と言えば主に、オンラインゲームなどの内容に利用料金を払うことを指す。使用料を払うこと。
として、その用法で統一してある。

「大百科」にこういう書き方されては、それが正しいと思うよね。KAWANGO氏もここで勉強したんではなかろうか。

ところで、このことを書いたらツイッターで松永英明氏から以下のようなコメントをいただいた。

@ryokan 課金を「金を課す」ではなく「課される」の意味で使って違和感がない人たちって言語感覚鈍いですよね。
8:33 AM - 14 May 12 via モバツイ / www.movatwi.jp . · Details

私はこれに対して、

@kotono8「課される」の意味でも使っていないと思います。「課金する」と能動態で使っていますから。本来の意味とか考えたことないだろうと思います。
8:14 PM - 14 May 12 via Twitter for iPhone · Details

と書いたが、松永氏から

@ryokan 受身形じゃなく意味だけ受け身という気持ち悪い表現はいくつかあるように思いますよ。「商品が店で売ってる」(売られている、ではなく)という表現もありますので、「金を課されることをする」で「課金する」に違和感がない人たちがいそうです。
9:00 PM - 14 May 12 via TweetDeck · Details

とまたコメントを頂いた。これに対しては私はうまい説明をもっていません。

別の観点で「〜を課する」ものとして「課題」があるが、これの反対語には適切な言葉がない。「課題への回答を提出する」、さらには、「課題を提出する」というような使い方になってしまう。あとは「課題やらなくちゃ」のように「課題 - する」という形で使われるのではないか。こういうところから「課金 - する」という使い方になったということも考えられる。

いずれにせよ、「課金」を「お金を払う」の意味で使うのは、現段階で誤用といえるだろう。私は言葉の意味の変遷には寛容なほうだとは思うが、全く逆の使い方が併存してはコミュニケーションを阻害するので避けた方が良いだろう。

たとえ国立国語研究所が許しても、このウエダが許しません。

2012/04/22

Bringing colour to life


Canon Pixma: Bringing colour to life from mcgarrybowen London on Vimeo.

インクをスピーカーの上で踊らせて高速撮影した映像作品 (キヤノンのプリンターのCM)。制作過程が語られている。

2012/03/04

原久路の写真作品

Design Your Trust というサイトを見ていたら、レトロな写真があって興味が引かれた。

そのリンク先"Painterly Photography by Hisaji Hara" * には、
これらの写真は見たことがあるような気がするかもしれない。日本の写真家 Hisaji Hara は近代画家バルテュスの絵画の構図を注意深く再現している。バルテュスの描く少女は、少し薄気味が悪くエロチック。オリジナルはゴージャスな部屋でだらけている少女の絵だが、それを新しいメディア (写真)、新しいシチュエーションで再創造した。オリジナルほど脅威的ではないが、危険な香りが残っている。(意訳)
とあった。日本人から見たら、Hisaji Hara (原久路) のほうが危険な香りがするけどね。

* リンク切れ/同じ記事が "My Modern Met" にある。

オリジナルとどう違うか並べてみた。もとのサイズの絵はそれぞれリンク先にあります。

The room

  

Katia Reading

 

Golden Years

 


原久路のサイトのニュースによると、2月24日から3月31日までロンドンのマイケル・ホッペン・ギャラリーで個展が開催されているそうだ (→ リンク)。

原久路公式サイト Exhibitions/Works に他の作品もあります。

2012/02/27

ユーミン、松井冬子、上野千鶴子

2011年12月18日に松任谷由実氏×松井冬子氏 クロストークに参加してきたのだけど記事にしていませんでした。その時点で展覧会自体は見ていなかったので、2月11日に松井冬子アーティスト・トークがあるのでそのとき行ってあわせて見てから書こうと思っていたのですが、それも出遅れて満員で入れず、展覧会も人が多そうなのでパスして、女子美卒業制作展に行っていました。このぶんだと、いつになるか分らないしなー。

応募が1650通あったそうです。定員200名ですから結構な倍率ですね。

ユーミンは松井冬子にあわせて (対抗して?)、着物で来ていました。松任谷由実の実家は呉服屋さんだそうで、古いけど良いものだそうです。アレンジして着こなしているのだとか。

ひとしきり、今回出されている作品の中でユーミンが気に入ったものとか、話題の作品の話をしていたのだが、途中で「実は客席に上野千鶴子先生が来られているんですよ」と上野千鶴子を紹介。どこにいるんだろうと思ったら私の斜め後ろの方で、本当に一般客として来ていた。立ってはくれたものの、ステージに上がることは固辞されたので、話が変な方向に走ることがなく一安心。

上野千鶴子は、以前「美人なだけじゃない」で書きましたが、どうも持論を主張するために松井冬子を使っている感があって、フェミニズムがどうこうというのではなく上野千鶴子には嫌悪感を感じた。でも今は松井冬子もそのときよりはあしらいになれた感じ。

その直前に読売新聞に上野千鶴子が松井冬子のことを書いた文章が載ったそうで、ユーミンが新聞をみせていました。「リストカットとか、そういうこわいことが書いてあるんですが、本人はそんなことないんですよ」なんて言っていた。ユーミンも苦々しく思ってたんだろうな。また、対談の中で「松井冬子さんってこう見えて実は体育会系ですよね。そうでないとこんな大作作れない」とも言っていて、それも上野が与えようとするイメージを否定するために思えた。

まあフェミニズムはおいておいても、松井冬子の作品の話をすると、グロテスクなものの扱いとか生と死とかそういう話になる訳で、小学5年生のとき初めて猫の死体に触れそれがきっかけになっている話や、子羊の死体をもらって冷凍したものをアトリエにおいていた話とか面白かった。

ユーミンが美大生だった話も出て来た。加山又造が先生で、「音楽やっているんだったら、(提出作品として) アルバム持って来なさい」と言われた話をしていた。加山又造を「サル」とか「エロ」とか言っているのも面白かった。

芸術論のまとめとして、何を描いたかではなく、「対象と筆のストロークが一致する瞬間がある」、それは音楽で「歌詞とメロディーが一致する瞬間がある」のと通じるという話だった。

松井冬子アーティスト・トークも聴きたかったな。「東京藝術大学の博士論文を講演形式で紹介します」ということなので、CiNiiを探したのだけど見つからなかった。
追記: 国立国会図書館にはありました。→ 知覚神経としての視覚によって覚醒される痛覚の不可避 
ここからたどるとCiNiiにもあることが分りました。→ → 知覚神経としての視覚によって覚醒される痛覚の不可避 

参考:ART TOUCH 絵画と映画と小説と 2008.04.28 「松井冬子と上野千鶴子」

2012/02/20

政策決定に対する科学の役割と課題

昨日 (2月18日) 下記ワークショップ (シンポジウム) に行って来ました。

「ファンディングプログラムの運営に資する科学計量学」第2回ワークショップ

主旨引用します。
科学者が政策の現場からエビデンスを求められても、それをシンプルな科学的合意事項として提供することには様々な困難がつきまとうと考えられます。現代の科学技術自体や科学技術を巡る社会・自然の状況を考えれば、エビデンスそのものが複雑になり、すなわち、専門家以外にはなかなか理解しがたいものとなることも避けがたいといえます。このような状況において、政策の現場では、科学的なエビデンス、とりわけ定量的なエビデンスへのニーズは益々高まっており、一連の「科学技術イノベーション政策のための科学」プログラムに脚光があたっております。
複雑な状況の中で作られつつある科学的知見を提供する第一線の研究者が見た科学的エビデンスについて学び、さらに議論を進め、政策のためのエビデンスについての理解と対話を共有することを目的とし、本ワークショップを企画いたしました。
これはもともと政府の補助金をどのプロジェクトに出すか決定し、理由を示せるようにする、という文脈で始まったものと思っていて、またそれは企業においてどのプロジェクトを進めるかを感ゲル上でも役立つだろうと思って参加のですが、そういうプロジェクトの定量的評価までは至っていなくて計量学という感じにはなっていませんでした。でもそれがかえっておもしろかったと思います。

むしろ、放射線量の基準妥当なの? とか、地震発生の確率って何? とか、可能性は限りなく低いがゼロとはいえないという科学者よりも、スパッと指針を出してくれるトンデモさんのほうが受けるとか、そういう昨今の話題にマッチしていたように思います。

最初の、江守正多氏による「地球温暖化政策とエビデンス」は、IPCC (気候変動に関する政府間パネル) の役割に関して。そう、二酸化炭素が温暖化を引き起こしている、とか、それは陰謀だ、とかいう話につながる話です。

IPCCは政策を決めるところではなく、政策決定のためのエビデンス (証拠というか科学的裏付け) を提供する役割を担っているところということでした。政策決定はCOPが行います。

恣意性を避け、透明性を上げるために、一次草稿のレビュー、二次草稿のレビュー、最終草稿のレビューを行います。一文単位で合意を決めて行きます。レビューコメントひとつひとつに回答を行ってそれも公開するそうです。

IPCCの報告書にはエビデンスだけということで、「気温上昇を2度以下に抑えるためには、CO2排出量を1990年比25%~40%減にしなければならない、4度以下に抑えるためには ...」というような書き方になります。そう書いても、IPCCの報告書が「CO2排出量を1990年比25%~40%減にしなければならない」と書いたようにCOP合意で記載されそうになったので、前提を記載するよう文言修正を要求し変えてもらったと言うことでした。報告書出しただけでは終らないんですね。

牧野淳一郎の「スパコン開発とエビデンス」もちょっと前に話題になった「京」に関することです。「京」は世界一にはなった訳ですが、プロジェクトとしての成功はまだ終っていません。世界一をとることが目標ではなく、そのコンピュータを役に立てることが本来の目標であるべきですから。「べき」と書いたのはそのプロジェクトの目的目標も明確ではないらしい、それは失敗プロジェクトの共通の特徴、ということで牧野氏は「失敗」という断定を避けながらも、このプロジェクトの問題点を語ります。私が特に気になったのは、官僚主導ということでした。官僚が専門家委員会を選ぶが選ぶ専門家によって結論はだいたい見えてくる。官僚は中身には詳しくなく、また2-3年で異動するため専門的知識をつける前にその部門を去ってしまう ...

藤垣裕子さんのコメント "「数量化、政策のための定量化」の陥穽~ポーターの「数値への信頼」より" も興味深い内容でした。現在ポーターの「数値への信頼」という本を翻訳しているそうですが、そこからの教訓を話していただきました。民主主義の世界になって、何かが問題であり替えなければならないと言うためには、裏付けとなるデータが必要になるが、データを集めるためにも権力が必要になる (インターネットの時代になって変わって来たところではあるだろうけど)、データを収集するだけで人の行動を変容させる、そのデータ自体が権力を持ち始める (例えばデータにより正常と異常に分ける言葉が定義される)。一方でそれでもデータによる定量化は、距離を越える技術になる (グローバルに適用できる指標になる) というところがポイントのようです。

という訳で、期待とは違っていたけれど、期待とは違う収穫が得られた半日でした。

追記: 資料はここで公開されています (しのはらさんサンキュー)。→ 第二回ワークショップ報告

2012/02/18

石子順造的世界 美術発・マンガ経由・キッチュ行

行って来ました。

石子順造的世界 美術発・マンガ経由・キッチュ行 府中市美術館



石子順三は評論家です。評論家の視点で展覧会が構成されるのは珍しいとのことで、私の記憶にはありません。

展覧会は三部構成になっています。展覧会のサブタイトルにあるように、美術、マンガ、キッチュです。

美術評論家の時代は、虚と実を評論の視点におき、芸術が現実の生活と乖離していくことに疑問をもち、それを気づかせるものをとりあげています。特に、企画に関わった「トリックス・アンド・ヴィジョン展」(1968年)に多くが割かれていました。全然関係ないですが朝の番組でトリックアートが取り上げられていて、似た作品もあったのでグッドタイミング。

個人的には横尾忠則が自らをスターのように作品に取り上げているのが面白かった。

マンガの時代は、正直言ってあまり興味が持てませんでした。収集したマンガ単行本が十数冊あるので時間のある人は見て行くと良いと思います。

ここのコーナーの目玉は、つげ義春の「ねじ式」の全原画。私は「ねじ式」は文庫版だけど持っているので真面目には見なかったのですが、ちょっと見たかぎりではほとんど覚えてないことに気がつきました。

このコーナーで興味をひいたのは林静一の自主制作アニメ2作品。

最後はキッチュのコーナー。ここだけ写真撮影可だったので撮って来ました。

キッチュコーナー展示

世界堂の広告があることは知っていたのですが、行ってみたら「モナリザグッズコレクション」のひとつとして展示されていました。モナリザがなぜよくモチーフに使われるのか、その興味から集められた作品だそうです。


また、ここには食品サンプルが出展されてて、一般のアート作品と同様に説明にミクストメディアと書かれていました。普通なら「油彩、カンバス」とか「シルクスクリーン」とか書かれる場所ね。「ミクストメディア」というのはそういうジャンルに入らない、という意味以外ないな。

2月26日までです。

2012/02/13

女子美卒業制作展 2011

2月11日、女子美大の卒業修了学年選抜学外展 女子美スタイル2011(→ スペシャルサイト(音が出ます)) へ行って来ました。横浜美術館で松井冬子講演を聴いてから行こうと思っていたのですが、満席で入れないという情報を入手、松井冬子展覧会のほうも激込みということだったので、急遽こちらのみに。

見応えがあって、なかなか楽しかったです。

目的「ブログ掲載」として写真撮影許可とったのでいくつか載せて行きますね。

la pluie / 松本来夢さん
R. Yoshihiro Uedaさん(@ryokan)が投稿した写真 -


cycle. / 木下咲香さん
R. Yoshihiro Uedaさん(@ryokan)が投稿した写真 -


夢子屋 / 三原由貴さん
R. Yoshihiro Uedaさん(@ryokan)が投稿した写真 -


昔の駄菓子屋風の作りで、中には女の子のメンコとか紙袋に入って中が見えないフィギュアを売ってる不思議な世界。

和菓子少女 / 松尾康子さん
R. Yoshihiro Uedaさん(@ryokan)が投稿した写真 -


兵馬俑みたい。

作品名忘れちゃった。ごめんなさい。再生 / 松井靖果さん、だったかな。
R. Yoshihiro Uedaさん(@ryokan)が投稿した写真 -


カオスラウンジを思い出しました。この中では珍しいです。

夢裡 / 小山千晶さん


裏地に彼女の思い出が描かれている布が展示されていて、それの上に制作過程やその布を纏っている姿が投影されています。自分は自分だけで出来ているのではなく、蓄積された記憶とともにあることを表現しています。

Dolce 集い語らう優しい時間 / 田中春奈さん


大きな作品も多かったのですが、これってどう保管されるのかなあ。美術学生というと貧乏というイメージしか持ってないのですが、今はスポンサーをみつける能力ももたないといけないのだろうか。

それから、これって選抜なんだけど、選抜されなかった作品もある訳で。その差はなんだろう。「アートの評価ってなんだろうね」を思い出した。

2012/01/22

エリック・ギルのタイポグラフィ展

多摩美術大学美術館で、エリック・ギルのタイポグラフィ展が行われています。

昨日は、関連の講演会があったので行って来ました。

講演開始20分前にいったのですが、すでに満員でした。しかし急遽前の方の関係者席を減らして開けてくれたのでラッキー。

最初の講演は、ルース・クリブさん。女性でした。名前じゃわかんないね。 http://uk.linkedin.com/pub/ruth-cribb/26/952/49
エリック・ギルの研究をつづけている方です。

主にエリック・ギルの生涯を追って、碑文彫刻、彫刻、印刷、モノタイプ社のタイプフェース開発という変遷が語られました。

その中で、社会運動 (社会主義) に関与するようになり、その後カトリックへ改宗したということが語られました。

私は、なぜこんな揺れがあるのかと思っていましたが、次の指先生のお話で背景説明がありました。イギリスでは英国教会が国教で、カトリックは反体制なんですね。

パーティーがあって誰でも参加できるとのことなので、最初の方だけ出て来ました。

20120122-100320.jpg

2012/01/01

2011/12/31

2011年アート系イベント

今年も1年に行ったアート系イベント (展覧会、ワークショップ) をまとめてみました。といっても今年はヨコハマトリエンナーレに初めてサポーターとして参加して、まさにヨコハマトリエンナーレの年と言えるでしょう。


数にしたら結構ありました。何か書いておこうと思いながら記事にしていないのもたくさんあるー、うう。