私、「既定路線?」で、『安保条約を「同盟関係」として位置づけるのはもう当然になってるの?』と書きました。勉強不足でした。
先日紹介した記事「大詰めの選択: 米大統領選の焦点/中 小泉首相、過度の“親ブッシュ”」 (毎日新聞 2004年11月2日) に以下のような記述がある。
10月19日、首相は在日米軍再編の問題について「安保条約と世界の中の日米同盟という観点から議論すればいいことだ」と記者団に語った。この発言は、竹内行夫外務事務次官の前日の訪問が伏線になっている。
竹内氏は首相に「世界の中の日米同盟」と題する1枚の紙を見せた。そこでは日米同盟が日米安保条約に基づく協力と、国連安保理決議に基づくグローバルな安保協力の2本柱から成り立っていると整理されていた。
日米同盟の中核は日米安保条約だが、小泉政権になって拡大したのは、安保条約の外側での対米協力だ。
首相は昨年5月の日米首脳会談(米テキサス州クロフォード)ですでに「世界の中の日米関係」という言葉遣いをしている。01年4月の就任時には「日米友好関係」と表現していた首相だが、次第に「同盟関係」を強烈に意識するようになったとみられる。外務省幹部は「あの会談で二人の関係は完成品になった」と指摘。首相が自衛隊をイラクに派遣する腹を固めたのはこの時だった。今、「日米同盟」と言っているのは、主に「安保条約の外側での対米協力」を指していることになる。
先日から疑問に思っていたことは、
・「アメリカの戦争に協力しなければ有事の際(具体的に言えば北朝鮮、中国からの脅威)にアメリカから守ってもらえない」という前提での意見を述べている人が散見される。
・また小泉首相も「日米同盟があるからアメリカを支持する」という論調を使っている。
・しかし、日米安保条約 (大雑把にいうと基地を提供する代わりにアメリカが日本を守ることを決めているもの) があるのだから、そんなことはないだろう。
ということでした。
この記事で私の疑問は解消した。基本的には私の理解は間違ってはいなかった。しかしここで新たな疑問が起こる。
・なぜ日米同盟が必要なのか。新たに「日本がアメリカに協力する」という片方向の協力が追加されただけで日本にとってのメリットは何か
・「日米同盟」は国会で批准された条約ではないと思われるが、「日米同盟があるから」という前提で使われるときの後ろ盾は何か。
ということ。
調べてみました(すぐに調べろって?)。allaboutに解説がありました。
政治の超基礎講座(5)日米安保条約基礎知識
・冷戦構造が終結しても、安保体制、日米同盟は必要と考えた(日本にとっては脅威はソ連ではないので当然ですね)。
・このため、安保の「再定義」を行うことになった。
・1996年日米安全保障共同宣言 (橋本首相=クリントン大統領の首脳会談)。
→ 日本の防衛と「アジア・大平洋地域の安定維持」
・1997年「新ガイドライン」
・1999年 周辺事態法:米国軍への後方支援を既定
・2001年 テロ対策特別措置法:アフガニスタンでの米軍後方支援
・2003年 イラク特別措置法: イラクでの自衛隊活動
・2004年 安保防衛懇「多機能弾力的防衛力」を提唱
今のところ後ろ盾は1996年日米安全保障共同宣言と毎回作っている特別法のようですね。特別法を作る際には、「日米同盟があるから」という論理は絶対的なものとしては成り立たないわけだ。特別法を成立させる裏には、ここで協力しておかないと日米安保条約を守ってくれないかもしれないという恐怖があるのだろう。今後私も「日米同盟があるから」という論理の拡大解釈 (「日米同盟があるからアメリカが戦争するといったら協力する」という類) には注意を払っていきたいと思う。
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