2015/09/19

忘れてはいけない

Facebookのコメントに書いたのだけど、自分で忘れてはいけないのでブログに書いておく。

毎日新聞2015年09月17日 安保法案:合言葉は「賛成議員を落選させよう」(魚拓)
安全保障関連法案に反対する人々が集まる国会前で、各地の街頭で、ネット上で、一つの合言葉が野火のように広がっている。「(法案)賛成議員を落選させよう」。来年の参院選をにらみ、抗議のうねりが「落選運動」へと発展する可能性が出てきた。

今、有権者が持っている最大の武器は参政権というか選挙権だ。選挙時以外にも投書やデモで政治を動かすことができるというが、今はその力はあまりない。「デモをやっても次の選挙ではどうせ忘れている」と政治家がたかをくくっているからだ。

有権者がやらなければいけないのは、「これは今だけ熱くなっている訳ではない」というメッセージを投票を通じて伝えることだ。「デモは有権者の声であって、それにたがうことをすれば次の選挙につながる」ということを理解させることだ。次の参院選はその始まりにしなければならない。

しかし、
シールズに刺激され60〜70代で結成した「OLDs(オールズ)」のメンバーで、建築作業員の枚田繁さん(66)だ。「法案が通っても来年の参院選まで声を上げようと話し合っています」
「来年の参院選まで」ではダメなのだ。1年後だけでなく、次の総選挙、そしてその次4年後の参院選 ... と続けていかなければならない。OLDsのみなさんもずっとボケないようにしてもらいたい。

投書やデモなど選挙期間外の有権者の声と選挙が密接につながっていることを何回も示してやっと、今後も有権者の声を尊重していかなければならないということが理解される。そう持っていかなければならない。

ただし、私を含めた日本人の問題点として、すぐに忘れちゃうというのがある。新しい話題があればすぐそちらに飛びついてしまう。目の前に提示されたイシューに引きずられ、他の論点をないがしろにしてしまう。

その問題を加速しているのがマスコミだ。マスコミ自体も誰かが設定した争点というか「今回のテーマ」に騙されて、それに乗った報道をする。その争点が出された意味についての批判はほとんどない。消費税増税を先送りすることを争点にした昨年の選挙だって、もともと5%から8%にあげた時に次は状況を見てからと決めていたのだから、総選挙の必要は何もなかったはず。

安倍首相は覚えていたのだ。郵政選挙のことを。

小泉元首相は、郵政民営化を参議院で否決されたら衆議院を解散した。そこで設定されたシングルイシュー「郵政民営化」に乗って、刺客を立てた選挙区を面白おかしくとりあげた。結果はごらんの通りで、大成功だった。1ヶ月で「郵政民営化」は成立してしまった。そしてその遺産は第一次安倍内閣に引き渡され、教育基本法の改正など今につながる法案が次々と通された。このことを私は忘れていない。(2005/10/16"「お釣りはお駄賃」は許しません")。

「ねじれ国会」がいけないことのようにテーマを設定したのも忘れない。逆に「マドンナ旋風」や民主党の「政権交代」も、中身は空っぽの日本新党を「殿様」と言って持ち上げていた時も同じ。

一番最初にそのことを思ったのは、大平元首相が亡くなった時の選挙だ (1980年なんですね → Wikipedia 大平正芳)。自民党内の抗争のため、内閣不信任決議が成立し、衆議院が解散になった。その中で大平元首相は急死した。心労がたたったと思われる、いわば、自民党が殺したようなもの。それなのにあろうことか「弔い合戦」を掲げて大勝したのだ。

もううんざり。

こんなのに騙される国民であってはいけない。だから、SEALDsの若者だけでなく、彼らを応援した大人たちも忘れないでいかなければならない。

2015年9月19日 志葉玲 安保法制可決「悲壮感ない」「これからが始まり」―SEALDs、総がかり行動、野党が「打倒安倍」で結束

そう、これからが大事なところですよ。

2015/08/17

戦後70年内閣総理大臣談話

戦後70年安倍首相談話に関しては、Twitterなどいろいろなところに書いてしまったので整理しておきたいと思います。

2015年8月14日、安倍首相談話がでました。テレビは見ていなかったので、新聞社のサイトで読みました。

毎日新聞70年談話:安倍晋三首相談話全文

新聞はリンク切れするので、首相官邸にあるのもリンクを貼っておきましょう。

平成27年8月14日 内閣総理大臣談話

読む前に「お詫び」、「侵略」というキーワードを含んだものになっているという評価が耳に入っていたので、どう入っているのかと意識して読みました。しかし、直接は言っていないのですね。
  • お詫び:
    我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。
とありますが、安倍首相として「お詫びします」という表現はありません。「こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります」とあって、自分も同じだと言っているわけです。どうしても自分の口から謝罪の意を表明したくない彼のキャラクターが発揮されていると思います。

一方、
あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。
と言っていて、今後は「謝罪」を繰り返すことはしない、と言っているわけです。

ただ私自身は、どこかで「これまでお詫びしてきた/その心は忘れない」という総括を行うべきだは思っていたので、これは適切だと思います。ただそれが、繰り返し、村山談話や河野談話を批判し、無力化しようとしてきた安倍首相では説得力がありません。しかし、肝心なのは、この先この談話が口先だけではないことを証明していくことだと思います。
  • 侵略:
    事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。
「日本が侵略した」、「植民地支配を行った」という表現は避け、「もう二度」ということで間接的に侵略を認めていますが、ここは「未来に向けた意志表明」というのが主体です。

以前、有識者懇談会の北岡座長代理が、首相に『日本は侵略した』と言わせたい、と言っていたが、結局言っていないことになるます。安倍氏は今後も「侵略の定義は定まっていない」という立場で、日本の戦争は自衛のためのやむにやまれない戦争という位置付けなんでしょう。しかし、それを言うとこの談話が台無しになる。そこは
世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試みました。
というところに滲み出ていると思います。この表現にとどめたのはよかったと思いますが、これも「お詫び」と同様、今後の言動が重要になります。

正直なところ、安倍首相のこれまでの発言を聞いていると、村山談話を継承すると言いながら上書きする気が満々だっように見受けられ、期待していませんでした。有識者会議の報告書 (→ 要旨 [日本経済新聞 2015/08/07]) が出た後もの原案では、「おわび」、「侵略」は入っていなかったようです (「安倍談話の原案「おわび」盛らず 公明「侵略」明示要求」 [朝日新聞 2015/08/09])。

しかし、出てきたものを見ると、安倍氏個人の政治信条は極力抑えられ、未来につながる良いメッセージがふんだんに盛り込まれています。
いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。
日本国憲法を変える必要ばありませんね。
我が国は、いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。この原則を、これからも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまいります。唯一の戦争被爆国として、核兵器の不拡散と究極の廃絶を目指し、国際社会でその責任を果たしてまいります。
日本が世界の平和をリードしていく、力強いメッセージです。
繁栄こそ、平和の礎です。暴力の温床ともなる貧困に立ち向かい、世界のあらゆる人々に、医療と教育、自立の機会を提供するため、一層、力を尽くしてまいります。
ここは、日本は平和先進国として「平和」を輸出していくべきという私の思いに最も近いところです。ガルトゥング博士の「積極的平和主義」と同じだと言えるでしょう (ハフィントンポスト 2015/06/25)。
我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります。
自民党の改憲案では 「天賦人権論」をとらないのが基盤にありますが、このような談話を出してきた以上、そのような改憲論は出せないでしょう。

アジア、近隣諸国への配慮も素晴らしい。特に「寛容」に対して感謝の意を表明している点もうまいと唸らせるものがあります。
戦後、六百万人を超える引揚者が、アジア太平洋の各地から無事帰還でき、日本再建の原動力となった事実を。中国に置き去りにされた三千人近い日本人の子どもたちが、無事成長し、再び祖国の土を踏むことができた事実を。米国や英国、オランダ、豪州などの元捕虜の皆さんが、長年にわたり、日本を訪れ、互いの戦死者のために慰霊を続けてくれている事実を。
特に中国も、こう評価されたら拡大の野望をあらわにする訳にはいかないでしょう。

と、評価すべきところがたくさんあります。全体としては良い談話になったのではないでしょうか。もっとも「不良だったヒロシくんがこの前おばあちゃんに席を譲ってたよ」的な意味で評価している面は多分にありますが。確かに焦点はぼけたものになっているが、お詫びしたくないし侵略を認めたくない安倍首相にしてはこれができる最大限のところだろうと思います。スピーチライターの苦労がしのばれます。

せっかく未来につながる良い談話になったので、繰り返しになりますが、今後はこれに矛盾しない言動を続けることが肝心です。本音を言うと、安倍首相はその点で不安があるので、ここで勇退していただけたらと思うのです。勇退することでこの談話を台無しにするようなリスクをなくせば、名宰相として後世に名を残すことができるのではないかと思います。いかがでしょう、安倍首相。

とはいえ、まだやめないでしょうね。今後この談話に恥じない政権運営を期待していくしかありません。いや、我々国民はそう誘導しないといけない。この談話をたびたび引用し、"「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」と語った安倍首相素晴らしい。今の日本国憲法大事にする姿勢に感銘を受けました。"、"「自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持」する安倍首相かっこいい。片山さつきが言っている「天賦人権論をとるのは止めよう」なんてもってのほかだよね" と褒め讃えるのです。

せっかく安倍首相が自縄自縛の談話を出してくれたのだから、それを生かしていきましょう、ということです。

2015/08/02

スガさんは助けられない

安倍首相のたとえ話「アソウさんが襲われたら助けられるようになる」だけど、バカバカしくてちゃんと見ていなかったので、スガさんが登場するのは知らなかった。

「強盗に襲われたスガさんは助けられない」の真意は…首相の「たとえ話」 自衛隊の「助け」必要な国を代弁 (産経新聞 2015/07/09)
一方、強盗に入られたスガさんのケースでは「家まで行って助けることはできない」と指摘した。首相自身(=日本)に危機が迫っていないため、集団的自衛権の発動要件である存立危機事態には該当しないという論理だ。
できないことも言っていたんだね。
スガさんは菅義偉(すが・よしひで)官房長官をそれぞれ指すようだ。菅氏は8日の記者会見で、例え話で首相に助けられなかったことに対し「私は見捨てられてしまった…」と冗談めかした。

しかし、菅氏の発言は、日本の自衛隊の「助け」を必要としている国を代弁しているようにも聞こえる。
なるほど、韓国か! 朝鮮戦争が再発しても、韓国は助けなくてよいということだな。これは嫌韓のみなさん大喜びだろう。

しかし、アメリカが黙っているかな。俺が助けているんだからお前も手伝えと言ってくるんじゃないか。

日本は朝鮮戦争勃発時に「憲法9条があるから」と協力を断ったらしい。アメリカは憲法9条があっても協力要請してきたということだな。

安保法制が通ったら、「存立危機事態には該当しない」という理由は使えないんじゃないか。

2015/07/20

ザハ・ハディッドのデザイン

今話題ですよね、ザハ・ハディッドのデザイン。2014年になりますが、21_21 DESIGN SIGHTのトーク「現場からみる、デザインミュージアムの可能性」 の話題の一つでした。

トークの話者の一人は、ソウルデザイン財団 東大門 (トンデムン) デザイン・プラザ (DDP) 総監督の鄭 國鉉(チョン・クッキョン)氏。この時はまだオープン前でしたが、2014年3月のオープン後は館長になることが決まっています。

このDDPが、ザハ・ハディッドのデザインで、Wikimediaの画像によればこんな感じ。

640px-Dongdaemun_Design_Plaza_on_April_2014

"Dongdaemun Design Plaza on April 2014" by Massyparcer - Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.

面白かった点を箇条書きにまとめます。
  • ザハ・ハディッドの設計はこれまでまともな建物ができていない。中国で作られたものなど雨漏りしている。

  • 外壁のパネルは一枚一枚違う。個々にプレスで制作している。

  • 当初の予算をかなりオーバーしてしまった。

  • 建物が曲線的で、距離感がつかめない。まっすぐ歩いていて頭を天井にぶつけてしまう。

  • また屋根も低いところがあって、そこから登れてしまう。(宣伝用のパンフレットに実際に女性モデルが屋根に座っている写真が使われている。)

  • このため、安全面で対策を考えている。(誘導のためのポストとか置いていくとせっかくのデザインが台無しになるのが懸念だが仕方がない。)
ハディッド・デザインの悪いところを挙げていて、困ったというような内容ではあるのですが、困難な仕事をやり遂げた自負を感じました。

後の質問の答えで、「マスコミの批判が強い。他の失敗したプロジェクトと一緒に語られてしまう」とおっしゃっていました。日本も同じですね。日本は結局ハディッド・デザインはできないということになったのですが、新しいデザインがどういうものになるか今の段階では分からないので。これが吉と出るか凶と出るかわかりません。少なくとも韓国では、「日本も結局できなかったザハ・ハディッドを我々は作って運営している」という自負が強化されるのではないでしょうか。

日本との違いに、日本がザハ・ハディッドのデザインのみを使うのに対して、韓国DDPではザハ・ハディド事務所が設計・監理を全部担当し、全過程を主導したということだそうです (中央日報 2014年04月11日 「ソウルのアイコンになった2つの建物、建設過程は両極端」)。
DDPプロジェクトで建築家ザハ・ハディドに全体過程を統制する権限を与えたことは意味のある事例として残るだろう
一方日本の国立競技場では、ザハ・ハディドの知らないところでデザインが変更されています。キールアーチが本来の役に立たない構造に変更されているそうです。この変更された設計で価格が上がってもそれは責任持てないだろうと思います。

夜の水族館

チームラボの作品は昨年から今年にかけて行われた「踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」でたっぷり見て、触ってきたのですが  (第1期第2期)、今度は水族館での展示です。

えのすい×チームラボ ナイトワンダーアクアリウム2015
http://www.enosui-wonderaquarium2015.com/

7月15日に、プレスやブロガー向けの内覧会があったので、申し込んで行ってきました。

最初に出てきたのが「呼応する球体と夜の魚たち」。「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」の「光のボールでオーケストラ」でも出ていた、叩くと色を変えるソフトな球体です。ただこれは「夜の魚たち」はあまり関係がありません。



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今回のメインはやはり「花と魚 - 相模湾大水槽」でしょう。大水槽に外から花模様を投影します。エイのように大きくて腹が白い魚がいちばん映えますね。



気づきにくいですが、個々の小さな水槽にも、近づくと照明の色が変わるという仕掛けがなされていました。「呼応する小さな海」という作品です。

ちょっと離れたところに「お絵かき水族館」があります。これは基本的に「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」のときの展示と同じです。もしかしたらえのすいオリジナルのキャラがいたかもしれません。

また、チームラボカメラのPhoto Boothがあり、撮った合成写真をFacebookにあげることができます。

表情が間抜けだったので再度挑戦したのですが、やっぱりだめでした。

水族館の普通の展示も楽しめました。えのすいというとクラゲが有名なようですが、クラゲ水槽にプロジェクションマッピングをしながら、各水槽のクラゲとえのすいのクラゲの飼育の歴史をする「海月の (そら)」というアトラクションが良かったです。

深海探索の部屋にはしんかい2000の展示がありました。映画「日本沈没」で草なぎ君がこれに乗って自分が犠牲になることで日本を救ったんですよね。

2015-07-15 20.25.582015-07-15 20.24.07

展示概要
えのすい×チームラボ ナイトワンダーアクアリウム2015
http://www.enosui-wonderaquarium2015.com/

開場新江ノ島水族館
所在地神奈川県藤沢市片瀬海岸2-19-1
会期2015年7月18日(土)~12月25日(金)
開催時間17:00~20:00
水族館自体の営業は9:00から
休館日期間中休催日あり
料金大人:2,100円 / 高校生:1,500円 / 小・中学生:1,000円 / 幼児(3歳以上):600円

※水族館の入場料金のみ
主催新江ノ島水族館 チームラボ 日本テレビ放送網

追加情報:

FASHION PRESS (2015-07-13) チームラボの個展が銀座で - 新作「クリスタルユニバース」は“宇宙の中を歩く”インタラクティブな作品

ポーラ ミュージアム アネックスのサイトにはまだあまり詳しい情報は載っていません。

teamLab Exhibition, Walk Through the Crystal Universe
会期:2015年8月21日(金)~2015年9月27日(日)
会場:ポーラ ミュージアム アネックス
住所:東京都中央区 銀座1丁目7−7
開館時間:11:00〜20:00(入場は19:30まで)
休館日:会期中無休
料金:無料

2015/05/24

言葉の軽さ、重さ

一国の首相の資質について考えさせられる。いや宇野宗佑氏のときも森喜朗氏のときも細川護煕氏のときも麻生太郎氏のときも思ったんだけどさ。今回は特に。

神奈川新聞への寄稿(ロング・ヴァージョン)内田樹
安倍首相は年金問題のときに「最後のひとりまで」と見得を切り、TPPについては「絶対反対」で選挙を制し、原発事故処理では「アンダーコントロール」と国際社会に約束しました。「あの約束はどうなったのか?」という問いを誰も首相に向けないのは、彼からはまともな答えが返ってこないことをもうみんな知っているからです。
そして「誰も以前の発言に関して問いただすことはない」ということは覚えてしまった。今後も嘘をつき続けるだろう。

なんと言葉が軽いことか。

そんな彼でも、言葉の重さを感じるところがあるようだ。それは「非を認める」ということだ。自分に限らず、日本国の非も含めて。

ポツダム宣言の歴史知らず「戦後レジームの打破」とは/志位委員長が指摘 (2015年5月22日 しんぶん赤旗)
 「彼にとっては、(ポツダム宣言は)戦勝国が勝手な要求を突きつけたものであって、『破り捨てたい』というのが本心だと思います。それを言うわけにいかず、あのような(=読んでいない)答弁になったのかなと思います」とのべました。
追記: 日本の間違いを自分の口から認めたくないためにとった行動が世界の不信を呼ぶ。

2015 とくほう・特報/安倍首相の「ポツダム宣言読んでない」/党首討論 国内外に衝撃/“世界との関係ご破算”の深刻さ (2015年5月23日 しんぶん赤旗)

このように自分の言葉として口に出したくないものの一つが慰安婦問題における旧日本軍の非だろう。「河野談話を継承する」との一点張り。「5年前の歴史すら修正する従軍慰安婦否定論者」(2012年6月4日 誰かの妄想・はてな版) から引用。
安倍首相 は、辻元氏の質問によって滅多打ちにされ、ひたすら「慰安婦問題 に関する政府の基本的立場は、平成五年八月四日の内閣官房長官 談話のとおりである。」とほとんど、ママに叱られて布団に包まって泣いている子どものように同じ台詞をひたすら繰り返しています。

おそらく安倍内閣 は、”政府が河野談話を踏襲していること”を明言した回数において、歴代内閣中トップでしょう。
旧日本軍の非は誰かが言ってくれているので、このようにそれを引用すれば良い。いや、引用は自分の口でいうことになるのでそれも避けて「踏襲する」と言っている訳だ。

では自分の非に関してはどうか。この前の「日教組」野次にしても、謝罪は拒否して「遺憾である」しか言ってない。

安倍首相が事実誤認認め「遺憾」表明 「日教組」やじ巡る背景説明で (産経ニュース 2015年2月23日)
「正確性を欠く発言があったことについては遺憾で訂正申し上げる」
正しくは、
「日教組は補助金をもらっている」「(日教組の本部がある)日本教育会館から献金をもらっている議員が民主党にいる」などと指摘。しかし、日教組は補助金を受けていないことが発覚した。
「正確性を欠く」というよりひとつもあっていない。それなのに「間違い」、「嘘」という言葉を避けている。

謝罪に関しても同様だ。テレビを見ると「謝罪はしないんですか」と問いただしたのに対し「先ほど申した通り『遺憾』だ」と答えていた。「謝罪」という言葉も口にできないのだと思う。「遺憾」という言葉はよく謝罪会見で使われるが、「残念だ」という意味で「謝罪」の意味はく、謝罪会見で使われているということは「自分はそういう指導はしていないのに部下がやった」という意味だ。自分の非をいうのに「残念だ」もないもんだ。きっと、この叱られている状況が不本意で残念だってことか。

私は以前「62年目の夏、長崎原爆慰霊祭」において、安倍首相が憲法遵守の立場を宣言したことを評価した (「この方針転換が本当ならば」という留保は付けているが)。今考えると、彼にとって憲法自体が解釈でどうにでもなる存在だったんだなと思う。

戦後70年談話だって上っ面の言葉の羅列なんだろうな。

2015/03/08

チームラボ展が会期延長!新作展示!

昨年「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」内覧会に参加し、報告を記事にしました (「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」)。

この展覧会は非常に評判がよいとのことで、当初2015年3月1日(日)までの予定でしたが、会期を延長することになったそうです。さらに展示作品を増やすので、その準備のために一旦お休みし、3月7日から後期日程として5月10日まで行われることになりました。

チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地
http://odoru.team-lab.net/
会期:2014年11月29日(土)~ 2015年3月1日(日)
※3月2日(月)~3月6日(金)の期間、本企画展の開催はありません。
会場:日本科学未来館 〒135-0064 東京都江東区青海2−3−6
開館時間:10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:毎週火曜休館。但し、3月31日、4月28日、5月5日は開館 (後期のみ記載)
主催: 日本科学未来館/チームラボ/日本テレビ放送網/BS日テレ

2015-03-06 17.46.22
後期開幕の前日3月6日にプレス発表会&特別内覧会があったのですが、ブロガー招待枠があったので今回も申し込んで参加してきました。

前回のブロガー内覧会ではチームラボ代表の猪子寿之さんは来られなかったのですが、今回はプレス発表ということで登壇され、対談形式で今回の展示を語ります。猪子さんは写真で見るとかっこいいのですが、トークは結構グダグダなんですね。しかし憎めない人と感じました。

今回の新作の一つが、スクリーンに投影されている「Floating Flower Garden - 花と我と同根、庭と我と一体と」です。天井から空中に吊るされた花は、人が近づくとゆっくり上に上がり、人の通る道を作ります。このため花に囲まれた中に自分が漂う感覚になります。花に重量がなく重力が働いてないような浮遊感を出したかったとのこと。花を引き上げるモーターは性能が良く、人間が早く近づいても避けられるような速さで引き上げることはできるのですが、それだと機械的に見えるので、わざと速さは抑えている。通常、庭園を散策するときはゆっくり巡っていくので、ここでもゆっくりと鑑賞してもらいたいということでした。



以前“Nirvana”と呼ばれていた作品(前回記事) は、インタラクティブ性を加え、「世界は、統合されつつ、分割もされ、繰り返しつつ、いつも違う」 (リンク) という作品にリニューアルされました。インタラクティブといっても象を動かしたりできるという意味ではなく、人が手をかざしたところに霞が立つようなものでした。ただ、私が気がついたのがこれだけで、他に仕掛けがあったのかもしれません。

2015-03-06 18.33.38
「学ぶ!未来の遊園地」のパートの新作は、「お絵かきふなっしー」(リンク) です。参加者が描いた絵 (塗り絵) が3D化され (裏側も自動的に補完されます)、画面の中で動きます。さまざまなふなっしーと言えないようなキャラクターが動き回っていました。

塗り絵はふなっしー、男の子、女の子の3種類が用意されていますが、私が行った時にはふなっしーしか画面にいなかったので、女の子を追加してきました。話題の青と黒のドレスにしてみました。動きがダイナミックなのでピンボケしちゃったのが残念。

「3Dお絵描きタウン」にはヘリコプターからのビューが別画面で加わりました。



展覧会の人気が続いているようですので、これから行かれる方はできれば休日を避けたほうがよいと思います。特にフラワーガーデンは3名ずつしか入れないので待ち時間が長くなりそう。列が先頭近くになると前の人の様子が外から見えるようになっています。

2015/01/26

パスキン展

現在Panasonic汐留ミュージアムで行われているパスキン展、そのweb内覧会が1月20日に行われましたので行ってきました。ブロガー向けの内覧会で、このため特別に写真の撮影が許可されています。

展覧会入口 - パスキンの肖像がお迎え
展覧会入口 - パスキンの肖像がお迎え

まず展覧会情報をあげておきます。

展覧会名: パスキン展 -生誕130年 エコール・ド・パリの貴公子- (LINK)
開館期間: 2015年1月17日 (土) ~ 3月29日 (日)
開館時間: 午前10時より午後6時まで
(入館は午後5時30分まで)
休館日: 毎週水曜日 (但し2月11日は開館)
場所:東京都港区東新橋1-5-1
Panasonic汐留ミュージアム (LINK)

入口を入った最初にパスキンの写真がどーんとあるのですが、外から見ると右のような感じになります。

展覧会は、パスキンの生涯にあわせ、雑誌の風刺画家としていきなり成功したミュンヘン時代、ちゃんと絵画をやりたくてパリに移り住んだ時代、第一次世界大戦の戦火を避けアメリカに拠点を移した時代、そして再びパリに戻り人気作家となった時代の4部構成になっています。

今回は内覧会は、"青い日記帳Presents" と冠が付いており、人気アートブログ「弐代目・青い日記帳」主宰TakさんとPanasocnic汐留ミュージアム宮内真理子学芸員の対談の形式でトークが行われました。 Takさんの記事はこちら

トークをする「青い日記帳」主宰Takさんと宮内真理子学芸員
トークをする「青い日記帳」主宰Takさんと宮内真理子学芸員

トークは、パスキンの人生にそって、人生のステージと住んだ場所、それらが作品の与えた影響をつなげる形で進みます。ブルガリアの裕福なユダヤ人の息子として生まれ、その後画家になりたくて家を出て絵画の勉強をし、19歳で早くもミュンヘンの風刺雑誌の挿絵画家になったパスキン。風刺画家として素描が中心だった時代、パリのモンパスナスに住み本格的に油絵の勉強を始めるとオーソドックスな画風になります。戦火を避け移り住んだアメリカで解放された作風になり、そしてまた戻ってきたパリでは、柔らかい輪郭、色使いで人気作家になります。最後の時代は「真珠母色の時代」とよばれているそうです。

肌が美しく映えるとご自慢のパナソニックLED照明
肌が美しく映えるとご自慢のパナソニックLED照明

本人は以前から芸術家は45歳までと言っていたそうですが、実際その年齢で自殺してします。不倫が成就しなかったのが直接の原因のようですが、人気作家になっても満たされないところがあったのでしょう。

当時人気があったとのことですが、アートの歴史を見たときに、ユトリロ、シャガール、ローランサン、モディリアーニ、フジタのような残り方をしていないように思います。もっと長く生きていたらという話もあるのですが、もしかしたら本人が自分のスタイルを極めることに情熱を失ったのかもしれません。または、人気画家として同じスタイルで描き続けることを潔しとしなかったのかもしれません。

最後の全盛期の柔らかなタッチの絵は日本人に好まれるのではないでしょうか。あまり紹介される機会がないアーティストだと思いますので、一度行ってみてはいかがでしょうか。

他にパスキン展について書かれているブログ:
Art & Bell by Tora (とらさん) 2015/01/24 「パスキン展 @パナソニック汐留ミュージアム」
 -- 時代別の説明と作品の紹介が詳しく載っています。

2015/01/01

あけましておめでとうございます '15

あけましておめでとうございます。
2015年賀01
本年もよろしくお願い申し上げます。

昨年はヨコハマトリエンナーレの年で、いろいろなアクティビティーに参加したため、たいへんではありましたが充実していた年だったと思います。年代の異なる人々との交流で勉強になりました。

並行してオンラインコースで勉強もしていたましたのが、実践がなければ身についたと言えないですので、今後実践につなげることを目指したいと思います。

2014/12/31

2014年に行った展覧会とアートイベント

今年行った美術展と付随するトークイベント、シンポジウムをまとめました。ヨコハマトリエンナーレがあったので、いつもよりも多いですね。[2013年2012年2011年、2010年どうした?、2009年]
  • 2014/01/07 アージェント・トーク022「具体:すばらしい遊び場所」展から考える日本美術のグローバルな位置 @ 森美術館
    → ブログ: アージェント・トーク022
  • 2014/01/11
  • 2014/01/18
    • トーク「特別でない、日常の道具をデザインする」@ 21_21 DESIGN SIGHT
    • コレクション展「私の一枚」@ フジフイルム スクエア
    • 内藤廣展 アタマの現場 @ ギャラリー・間
  • 2014/01/25
    • 「D-8が語るデザインとミュージアム」Vol.3テーマ「"デザインを語る場"の実現に向けて」@ 21_21 DESIGN SIGHT
    • ハギハラトシサト展 @ art lab tokyo
  • 2014/02/05 トリエンナーレ学校2013 vol.9 ヨコハマトリエンナーレ2014参加作家が語る!
  • 2014/02/14 メディア芸術祭 @ 国立新美術館
  • 2014/02/16 ヨコハマトリエンナーレ2014プレイベント 国際展で考える「東アジア地域における文化交流の仕組みづくり」@ ヨコハマ創造都市センター
  • 2014/02/21 「デジタル・ショック」オープニング・パーティー@ アンスティチュ・フランセ東京
  • 2014/02/25
    • 今井俊介展 @ 資生堂ギャラリー
    • 光るグラフィック展 @ クリエイションギャラリー G8
    • 佐藤雅彦 + 齋藤達也 「指を置く」 @ ギンザ・グラフィック・ギャラリー ggg
    • ボヌフォア展 @ Maison Hermes Le Forum
    • 「デジタル・ショック」Last Room 上映とアプリケーション『デプリ』の構想についての対談 @ アンスティチュ・フランセ東京
  • 2014/03/01
  • 2014/03/23 シンポジウム「ウォーホルと日本」 @ アカデミーヒルズ
  • 2014/03/26 トリエンナーレ学校2013 vol.10 森村泰昌×サポーター
  • 2014/03/29 魅惑のニッポン木版画 @ 横浜美術館
  • 2014/04/01 ミナミタエコ 個展「此処ではない何処か」@ マルプギャラリー
  • 2014/04/04 コメ展 @ 21_21 DESIGN SIGHT
  • 2014/05/19 荒川修作+M・ギンズ記念シンポジウム @ 早稲田大学
  • 2014/05/20 「こども展」ブロガー特別内覧会 @ 森アーツセンターギャラリー
    → ブログ: こども展
  • 2014/05/21 トリエンナーレ学校 トヨダヒトシ氏の作品上映及び対談 @ ヨコハマ創造都市センター
    → ヨコトリーツ![Yoko-Treats!]第5号 トヨダヒトシ氏インタビュー
  • 2014/05/27 映画をめぐる美術 ――マルセル・ブロータースから始める @ 東京国立近代美術館 → ブログ: 映画をめぐる美術
  • 2014/06/06 「イメージの力」展 @ 国立新美術館
  • 2014/06/07 伊豆高原ステンドグラス美術館
  • 2014/06/10 アージェント・トーク023 国際的同時性:60年代日本を世界美術史に着地させるために @ 森美術館
  • 2014/06/14 ゴー・ビトゥイーンズ展 トークシリーズ第1回「子どもと社会」
  • 2014/06/27 版画コレクションのあゆみI @ Fuji Xerox Art Space
  • 2014/07/04 プロジェクション・マッピング @ ドックヤードガーデン
  • 2014/07/05 イメージメーカー展オープニングトーク@ 21_21 DESIGN SIGHT
  • 2014/07/21 魔法の美術館~光と影のワンダーランド @ 長崎県美術館
  • 2014/07/30
    • アートアクアリウム @ コレド室町
    • バルテュス写真展 @ 三菱一号館美術館
    • たよりない現実、この世界の在りか @ 資生堂ギャラリー
  • 2014/08/01 ヨコハマトリエンナーレ2014開幕
    • アーティスト・トーク ヴィム・デルボア @ 横浜美術館レクチャーホール
    • アーティスト・トーク - サイモン・スターリング @ 横浜美術館レクチャーホール
    • アーティスト・トーク - カルメロ・ベルメホ @ 横浜美術館レクチャーホール
  • 2014/08/02 ヨコハマトリエンナーレ2014
    • アーティスト・トーク - イライアス・ハンセン @ 新港ピア
    • アーティスト・トーク - メルヴィン・モティ @ 新港ピア
    • アーティスト・トーク - やなぎみわ×沈昭良 @ 新港ピア
    • やなぎみわ移動舞台車トランスフォーム
  • 2014/08/03 ヨコハマトリエンナーレ2014 アーティスト・トーク - マイケル・ランディ@ 横浜美術館レクチャーホール
  • 2014/08/06 イメージメーカー展トーク「ビジュアルインパクト〜広告を超えて表現すること〜」@ 21_21 DESIGN SIGHT
  • 2014/08/09 ヨコハマトリエンナーレ2014 トヨダヒトシ《NAZUNA》@ 横浜美術館レクチャーホール
  • 2014/08/10 ヨコハマトリエンナーレ2014 アーティスト・トーク - 上田暇奈代×森村泰昌 @ 横浜美術館 円形フォーラム
    ヨコトリーツ![Yoko-Treats!] 第9号 「詩の仕事は詩を書くだけではない」
  • 2014/08/12 アージェント・トーク024:追悼 スチュアート・ホール:カルチュラル・スタディーズの創始者の遺産から、今、東京で考える @ 森美術館
  • 2014/08/15 ゴー・ビトゥイーンズ展 トークシリーズ第3回「子どもとアート」@ 森美術館
  • 2014/08/16 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「和田昌宏を解剖する vol.1」@ 横浜美術館
  • 2014/08/20 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「アート×横浜市 vol.1 」@ 富士通エフサス
  • 2014/08/24 ヨコトリノーツ - もう一つのヨコハマトリエンナーレ @ 高島屋 横浜店
  • 2014/08/27 ヨコハマトリエンナーレ2014 マイケル・ラコウィッツ トーク&上映会 BUKATSUDO
  • 2014/08/29 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「しばいたろか現代アート vol.1 」日ノ出スタジオ
    ヨコトリーツ![Yoko-Treats!] 第8号 「とっつきにくい現代アートもおいしく料理」
  • 2014/08/30 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「和田昌宏を解剖する vol.2」@ 横浜美術館
  • 2014/09/06 ヨコハマトリエンナーレ2014 映像プログラム オープニング上映:フランソワ・トリュフォー《華氏451》+大林宣彦氏講演会 @ 横浜美術館レクチャーホール
  • 2014/09/07
    • ヨコハマトリエンナーレ2014 アーティスト・トーク - エリック・ボードレール @ 横浜美術館レクチャーホール
    • 黄金町バザール 岡田裕子トーク @ 高架下スタジオSite-D
  • 2014/09/12 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「しばいたろか現代アート vol.2 」@ 高架下スタジオSite-D
  • 2014/09/13
    • イメージメーカー展トーク「ビジュアルインパクト〜広告を超えて表現すること〜」@ 21_21 DESIGN SIGHT
    • 松井智惠 映像作品上映会& 松井智惠展「一枚さん」& 対談 @ NADiff Gallery
  • 2014/09/14 ヨコハマトリエンナーレ2014 国際シンポジウム 国際展で考える:現代アートと世界/地域との関係 @ 横浜美術館レクチャーホール
  • 2014/09/17 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「アート×横浜市vol.2 〜アーバンデザインはいかに創造性を育むか〜 」@ 富士通エフサス
  • 2014/09/20
    • ヨコハマトリエンナーレ2014 TAKIDASHI カフェ @ 横浜美術館前
    • ヨコハマトリエンナーレ2014 釜ヶ崎芸術大学 in ヨコトリ 講座①「芸術と生きる」@ 横浜美術館 円形フォーラム
  • 2014/09/21 ヨコハマトリエンナーレ2014 TAKIDASHI カフェ @ 横浜美術館前
  • 2014/09/27
    • BankART Life IV @ BankART Studio NYK
    • ヨコハマトリエンナーレ2014 トヨダヒトシ《11211》@ 象の鼻テラス
  • 2014/09/28 bction @ ニュー麹町ビル
  • 2014/10/03 BankART Life IV 谷本真理さんパーティー @ BankART Studio NYK
  • 2014/10/05 ヨコハマトリエンナーレ2014 Temporary Foundation「横浜トライアル」Case-3「Still Moving : 漂流」@ 横浜美術館
  • 2014/10/08 ヨコハマトリエンナーレ2014 釜ヶ崎芸術大学 in ヨコトリ 講座③「まっかなおつきさんを見る会」@ 横浜美術館
  • 2014/10/10 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「しばいたろか現代アート vol.4 」
  • 2014/10/11 ヨコハマトリエンナーレ2014 アーティスト・トーク - 都築響一×森村泰昌 @ 新港ピア
  • 2014/10/12 トヨダヒトシ: 映像日記/忘却の海にて @ 横浜市内某所
  • 2014/10/17 アージェント・トーク025:ヤン・ヘギュー叙事的な離散をまとめていくこと @ 森美術館
  • 2014/10/18
    • Find ASIA @ ヨコハマ創造都市センター
    • ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「忘却の海」を航海する船のつくりかた @ 新港ピア
  • 2014/10/22 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「アート×横浜市 vol.3 創発されるものづくり~協働の現場から」@ 富士通エフサス
  • 2014/10/24 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーターズサロン「しばいたろか現代アート vol.5 」@ 高架下スタジオSite-D
  • 2014/10/29 ヨコハマトリエンナーレ2014 サポーター交流会 (森村泰昌ADによる作品解説)
    ヨコトリーツ![Yoko-Treats!]第10号 森村泰昌ADインタビュー
  • 2014/10/31 ヨコハマトリエンナーレ2014 高山明/Port B 「横浜コミューン」@ hitehi works
  • 2014/11/03 ヨコハマトリエンナーレ2014閉幕
    • やなぎみわ移動舞台車トランスフォーム @ 新港ピア
    • Moe Nai Ko To Ba を燃やす @ 横浜美術館前
  • 2014/11/04
    • G展 @ 東京ミッドタウン
    • アージェント・トーク026 ベルリンー社会と生活にアートが根ざす街 by かないみき @ 森美術館
  • 2014/11/16
    • リー・ミンウェイとその関係展:砂のゲルニカ 観客が砂の上を歩くイベント @ 森美術館
    • 活動のデザイン展 @ 21_21 DESIGN SIGHT
    • 蜷川実花の写真展 @ フジフイルム スクエア
    • リー・ミンウェイとその関係展:砂のゲルニカ パフォーマンス @ 森美術館
  • 2014/11/23 音楽と美術のあいだ オープニング・トーク2 @ NTT-ICC
  • 2014/11/28 MAMプロジェクト022 キュレータートーク「ヤコブ・キルケゴールの作品を通して見るサウンド・アートの可能性」@ 森美術館
  • 2014/11/29
  • 2014/11/30 いろは展トークイベント 「第一回 記憶のめくり方」@ デザイン・ハブ
  • 2014/12/06 トーキョー・エクスペリメンタル・フェスティバル Vol.9 ―TEFサウンド・インスタレーション トークイベント @ トーキョーワンダーサイト本郷
  • 2014/12/21 ヨコトリ2014サポーター活動シンポジウム @ ヨコハマ創造都市センター
2014-11-03 12.53.37
ヴィム・デルボア「低床トレーラー」CC-BY-SA

最初にも書きましたが、今年は何と言ってもヨコトリの年。昨年からフリペチームでフリーペーパー制作に関わり、取材のためというのもありますが、ほとんどのイベントに参加しました。美術館チームで団体向け事前ガイダンスやギャラリートークもおこない、おもてなしプロジェクトにも関わって主にビジターサービスセンターで用いる情報の整理を行ってきました (2011年に始めた「ヨコハマトリエンナーレ 勝手にサポーター」も今回展向けのものにしています)。おかげで現代美術の見方が分かった、とは言えないまでも、変わったということができると思います。それ以上に、複数の活動に参加して人とのつながりが広がりました。

これとは別にオンライン学習コースで、Machine Learning や統計学を勉強しました。こういう学習では基礎的なところしかできませんので、仕事で使うことが次の年の課題になります。

2014/12/14

選挙つまらん

毎回投票しよう!と呼びかけてはいるのだけど、すみません、私自身も教条主義的に言っているだけです。国民の権利だから、そして民主主義を守っていくのは市民の義務だから、言っているに過ぎない。投票しても変わらない無力感を自分でも薄々気づいてはいるが、気がつかないふりをしている。

やっぱり結果が見えている試合はつまらないよね。

小選挙区でどっちが勝つかは大概見えている。選挙区で落としても比例区で上がってくる。

候補者だって同じだろう。公認は最初から大抵決まっている。特に現職なら。選挙期間中は、文化祭の前みたいなもので、何を出すかよりもハイになってわーわー言っているのが楽しい。

昔、中選挙区だった時は自民党の中の候補者選びから頭を使ったことだろう。4人選挙区で二人たてるのか3人立てるのか、じゃあ誰などいろいろ考えることがあった。選挙になれば同じ自民党内で票の取り合いだ。

小選挙区だと派閥争いがなくなるのがメリットとしてあったが、今になってそれ自民党の活力だったと評価されている。いま総裁にストップをかける人はいないようだし。

小選挙区導入のとき、いろいろ議論があった。その中で面白いと思ったのが、マイナス票 (以前「投票率アップを考える(2)」で書きました)。ブラスの一票に加えマイナスの一票ある。しかもマイナス票は他の選挙区にも使える。こうなると、誰を落とすかで盛り上がると思う。

選挙のエンターテインメント性を高めるようなものになるのではないか。投票率も高くなると思う。

2014/12/07

チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地

ご無沙汰しておりました。

ヨコハマトリエンナーレ2014の期間前から、サポーター活動が活発化して、フリーペーパー向けには文章も書いていたのですが、こちらには時間を回せていませんでした。その間、ヨコトリ2014関係のトークを聞いたり、別の展覧会に行ったりしていたので、少しずつ書いていきたいと思います。

11月29日、日本科学未来館でこの日から始まる「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」のブロガー向け内覧会がありましたので行ってきました。

チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地
http://odoru.team-lab.net/
会期:2014年11月29日(土)~2015年3月1日(日)
会場:日本科学未来館 〒135-0064 東京都江東区青海2−3−6
開館時間:10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:毎週火曜休館。但し、2014年12月23日(火・祝)2015年1月6日(火)は開館。
年末年始休館:2014年12月28日(日)~2015年1月1日(木)
主催: 日本科学未来館/チームラボ/日本テレビ放送網/BS日テレ

最初は気づかなかったのですが、タイトルにあるように、「踊る!アート展」と「学ぶ!未来の遊園地」の二つが合体したものです。

チームラボは、ITエンジニア、メディアアーティスト、デザイナーなど構成された「チーム」です。一人の才能ではなく、「チーム」でものを作り出すことをポリシーにしているようです。チームでのディスカッションを通して作品を作り上げていきます。

チームラボが世に出す作品は、デジタル技術とアートを組み合わせたもの。今回これまでの作品を一堂に集め、さらに新作を加えました。アート作品という指向が強いものが「踊る!アート展」、遊びを通じて学ぶ場を提供するものが「学ぶ!未来の遊園地」という位置付けです。

「踊る!アート展」は大迫力のものばかり。写真も撮ってきましたが、サイトの写真、動画を見てもらったほうが良いと思いますので、リンクをつけます。

"花と人、コントロールできないけれども共に生きる、そして永久に – Tokyo" (リンク) 床の花は人が通ると咲きます。また、足でけちらすことができます。咲く花は時間によって変わります。季節を圧縮した感じ。

"花と屍 剝落 十二幅対" (リンク) 横に12枚並んだアニメーション作品。剥落して裏にあったものが見えるようになります。

"Nirvana" (リンク) 若冲作品のアニメーション化。高さ約5m、幅約20mあります。

2014-11-29 17.58.45

"追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして分割された視点 ‒ Light in Dark" (リンク) 複数画面を前後方向にも並べたビデオ・インスタレーション。

R. Yoshihiro Uedaさん(@ryokan)が投稿した動画 -


「学ぶ!未来の遊園地」も楽しかったのですが、逆方向には行きにくいので、「踊る!アート展」をもっとじっくり見ればよかったと思いました。

2014/05/29

映画をめぐる美術

「映画をめぐる美術」展を見て来た。

映画をめぐる美術 ――マルセル・ブロータースから始める

東京国立近代美術館 企画展ギャラリー
2014年4月22日(火)~6月1日(日)

展覧会は、映画を言語の拡張として捉えていたマルセル・ブロータースの考え方を基軸として構成されている。会場の構成もこの展覧会の構成を反映していて面白い。マルセル・ブロータースの考え方が中心の部屋に据えられ、それぞれのコンセプトごとにそこから繋がる別の部屋に入っていくように設定されている。「シネコンのような」という説明が与えられていた。

第一の部屋は"Still"。シンディ・シャーマンは扮装で映画の主人公になりきる。当然森村泰昌を想起させる。

アナ・トーフ《偽った嘘について》は写真と文字の自動スライドショー。スライドショーというとコンピューターのソフトウェアと思うだろうが、アナログポジフィルムをカルーセル映写機にセットして一枚一枚機械式に切り替えている。違いは多くあるものの基本線はトヨダヒトシ (今年行われるヨコハマトリエンナーレ2014の出展作家) を想起させる。トヨダヒトシは本人が手操作で切り替えるので、このような展示会でずっと見せるということはできず、毎回イベントのような形になる。トヨダヒトシが日常の風景、食べ物、人など、見たものをそのまま撮っているのに対して、アナ・トーフは一人の女性の表情、苦渋に満ちた表情を映し出していく。トヨダヒトシが個々の写真の繋がりを提示せず観客に委ねているのに対して、アナ・トーフは (動きはないものの) 言葉でストーリーが朧げながら浮かび上がる。アナ・トーフが使っているテキストはジャンヌ・ダルクに対する審問の記録という。

第2の部屋のやなぎみわも面白かった。映画部?の女子高生が「レオン」(→ Wikipedia) の二人 (レオンとマチルダ) と「グロリア」(→ Wikipedia) の二人 (グロリアとフィル) を再現するのだけど、同じ二人が演じていて、設定の似た両方の映画を交互に出すので、今どっち?と混乱する。というか考えながら見るのが楽しかった。やなぎみわもヨコハマトリエンナーレ2014の出展作家。

第6の部屋アイザック・ジュリアンの《アフリカの亡霊》は、アフリカの過去の映像、映画で国おこしを図るブルキナファソの現代の風景、アフリカの大地で踊る一人のダンサーを映し出すもの。アフリカの音楽、リズムが惹きつける。

常設展も毎回違っているものが入っていて面白い。今回は Chim↑Pom が入っていて、こういうところに展示されるようになったかと不思議な気がする。川端龍子 (りゅうし) の作品が新しく入ったということで、一つの部屋がまるごとあてられていた。太平洋戦争のための戦意高揚の作品が特集されていた。

2014/05/25

ブログ10年

今日でブログを書き始めてから10年になる。

昨日は以前書いていた記事を見直し、リンク切れを直したり改行によるずれを直したりしてアップデートしていた。

最初に書いたのはこの記事 → にぶろぐ: 愛国者宣言 (2004-05-25)
現在ブログを引っ越して現在はこちら → うえぶろぐWordPress:  愛国者宣言 (2004-05-25)


昔は愛国主義者だったんだね。

書いている内容は、平和、環境、社会問題、技術、ビジネス、アート、言語 (日本語) が多い、って全然まとまりないな。

そう言えば最初ブログ名を「環境/ビジネス/カルチャー」にしていたんだ。その意図はブログ名を変更するときに書きました。

Twitterが出てきて以来、そちらで書くことが圧倒的に多くなり、ブログの更新頻度がめちゃくちゃ落ちている。しかし、まとまったことを書くことは、考えを整理する上で役に立つ。

今後もまだまだやめる気はないので、みなさん、見守ってください。

こども展

5月20日、森アーツセンターギャラリーで開催されている「こども展」のブロガー特別内覧会が開かれ行ってきました。



「こども展 名画にみるこどもと画家の絆」展覧会情報

会期: 2014年4月19日(土)~6月29日(日)※会期中無休
場所: 森アーツセンターギャラリー
開館時間 10時~20時 (火曜日は~17時)

詳しくは 森アーツセンターギャラリー「こども展 名画にみるこどもと画家の絆」、または、特設サイトへ。

特別内覧会ということで、エキジビション・ディレクター中山三善氏のギャラリートークがありました (以降も含め写真は美術館より特別に撮影許可を得ています)。また、通常は有料の音声ガイドも無料で貸していただけます。音声ガイドのナレーターは竹内まりやで、展覧会のテーマソングになっている「人生の扉」も入っています。なお、音声ガイドは 2種類あって、もう一つのジュニア版はクイズ形式になっているそうです。

この展覧会は、以前オランジェリー美術館で行われた企画展を再構成して持ってきたもの。巨匠が子どもを描くということで、ピカソも入っていますが、基本的にはかわいい子どもの姿を写実的に描いたものです。この展覧会は難しいことを考えず、かわいいと楽しんでもらえば良いとのことでした。こんな毒にも薬にもならない展覧会は久しぶり ... って、あ、ごめんなさい、かわいい子どもの絵で癒されるので薬にはなりますね。

IMG_1802

その中でも私が一番気に入ったのは (おそらく、多くの人もそうかと思います) ポスターにもなっているルノワール「ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども」(→ Wikipaintings) とその関連作品でした。

ジュリー・マネは、ベルト・モリゾとウジェーヌ・マネ (エドワール・マネの弟) 夫婦のひとり娘。この一角はジュリー・マネの成長を絵で追います。右の2点はいずれもベルト・モリゾによるもの。右は「庭のウジェーヌ・マネとその娘」(→ Wikipaintings)、その左は「犬を抱く娘」(→ Wikipaintings) です。ルノワールの「ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども」にはベルト・モリゾは気に入ったらしく、自身で版画にもしています。これもいい感じでした。

ジュリー・マネは成長してやはり画家になっており、ここには彼女が描いた子どもの絵も展示してあります。

オフィスアイ・イケガミ アートブログによるレビュー「こども展―名画にみるこどもと画家の絆― 」にはもっといろいろなエピソードが載っています。その中で
マネの代表作≪すみれの花束をつけたベルト・モリゾ≫(1872年、オルセー美術館)をジュリーは生涯大事に自宅居間に飾っていたという。
Berthe Morisot with a bouquet of violets by Edouard Manet
Berthe Morisot with a bouquet of violets
by Edouard Manet
というのは母娘の愛情を感じさせるいい話ですね。右の絵です (WikiPaintingから持ってきました)。

竹内まりやの音声ガイドには、作品の解説から離れて、ベルト・モリゾをとりあげたチャプターがあります。彼女を「働くお母さん」という観点で評価をしているんですね。同じ働く女性として共感したのだと思います。あわせて夫ウジェーヌ・マネの理解あってこそと評価していています。そういうことが可能な階級、仕事だったということを考えないといけないとは思うのですが、そういう意味で似たような位置づけにある竹内まりやではしかたないかなという気もします。

このコーナーばかり取り上げましたが、他にも印象的な作品がありました。エンダディアン「ネガールの肖像」は気に入って後で調べようと思ったのですが、綴りが分らず検索できません。

5月31日から同じ森ビルの最上階にある森美術館で「ゴー・ビトゥイーンズ展 こどもを通して見る世界」があります。こちらは毒もある展覧会で、ハナ・マフマルバフ監督「子供の情景」(Wikipedia) 上映など関連イベントが多くあります。この展覧会にも行きたいと思います。子どもを見る「こども展」と、子どもの目で世界を見る「ゴー・ビトゥイーンズ展」。あわせて見ることで世界が広がるのだと思います。

2014/04/30

統計学ちゃんと勉強しなきゃ

ビッグデータとか統計学とか最近ブームなのでいろいろ見ているけど、どうもつまみ食いの範囲を越えていない。

購入した本
講演会など
「統計的思考の養い方」は、半期毎に行っている院生向け統計4日間シンポジウムに関して、その経験などの内容。教える内容は分野依存にしない一方で、対象学生が精通している分野を材料にすることでリアルに実感できるようにする。何を課題として、そのためにどんなデータを集めるところから計画を立てること、分ったことをまとめるところも重要とのこと。

逐次通訳はついていたけれど英語の講演で、統計学の用語を辞書をひきながら聞いていた。
  • R-sq = 決定係数
  • ANOVA = Analysis of Variance 分散分析
  • chisq = カイ2乗検定
SASのツールもそうだけど、こういう技法がある、こういう機能があるということは説明があるのだけれど、それで何がわかるか、あることを知りたいためにはどの技法を使えば良いか、どのようなデータが必要なのかが分っていないというのが正直なところ。以前「Excelで学ぶ統計」みたいな本は読んで、重回帰分析とかは思い出しながらできるようになったが、網羅的な知識が必要だなと感じている。まさに「統計的思考の養い方」で紹介されたような集中的コースはそのニーズにあっているのだろうなと思う。

2014/03/09

日本美術院再興100年 特別展『世紀の日本画』

東京都美術館で行われている、日本美術院再興100年 特別展『世紀の日本画』。前期後期で全作品を入れ替えるのですが、後期が始まる3月1日、閉館後にブロガー向け特別観覧会があり、参加してきました。

画像

表題のとおり、日本美術院の再興から100年を記念し、これまでの名作を俯瞰するものです。「再興」というのは、最初明治31年 (1898) に岡倉天心によって創立されたものの、その後資金不足で一旦休止状態にあったものを、大正3年 (1914) に岡倉天心の一周忌にあわせて活動を再開したということです。

最初に学芸員の河合晴生氏から全体の説明、最初の部屋のいくつかの作品の説明がありました。

狩野芳崖の「悲母観音」には、聖母と赤子を配置しているところにキリスト教というか西洋の影響が見られる。横山大観の「屈原」は、妬まれ左遷され自殺した屈原と東京美術学校を追われた大観に重ねたもの。同じく大観の「無我」は、幼いこどもを描くことで抽象的な概念をイメージ化している ...

また、それまでの日本画が輪郭を描くものであったのに対して、色と濃度の差でものの形を表現する西洋的手法が「朦朧体」と呼ばれたなど、美術院初期、これまでの日本画から脱却しようとしている時代の美術家の挑戦が感じられます。

それぞれの作品が、ただ日本画の伝統を追っているだけではないことがわかる展示になっていました。小倉遊亀の「コーちゃんの休日」(コーちゃんは越路吹雪) にはマチスの影響があることがわかります。月岡榮貴の「やまたのおろち」はシャガールのような幻想的な感じを受けました。

色の強さにインパクトを感じるものが多くありました。小林古径「芥子」の緑、小茂田青樹「虫魚画巻」背景の銀、速水御舟「比叡山」の群青の濃淡、今村紫紅「熱国之巻」インドの光の強さを表現するための金粉 ...

今回最も気に入ったのが、岩橋英遠の「道産子追憶之巻」。一面の風景の中に、秋から冬にかけて変わっていく自然を表現しているものでした。これが1978年から1982年の作品で、まだまだ変わっていく日本画のダイナミズムを感じました。

日本画というと、以前、"「日本画」なの?" でもう日本画ともいえない作品も見てきたのですが、今回のものは伝統に沿いながらも新しい「美」を目指す姿勢を感じることができました。現代美術に抵抗のある人にもオススメです。4月1日まで。

2014/01/14

バルテュスの優雅な生活

娘が成人式の式典に出席している間、図書館で読みました。

バルテュスの優雅な生活


バルテュスに関しては原久路の作品に関する記事であげたのですが、バルテュス自体はそれまで知らず、またそれ以降も詳しいことは知らなかったので、興味深く読みました。昔の人だと思っていたのですが、2001年に亡くなったので現代の人と言えるんですね。勝新太郎とも交流があり、一緒の写真も載っていました。その他リチャード・ギアとの写真もありました。

また、この著者にもなっている節子さんという日本人が奥さんだったのですね。節子さん自身が書かれた馴れ初めの部分が面白かったし、若くして結婚した節子さんが、教養をつけるために勉強したエピソードも興味深く読みました。

2014/01/12

ソウル東大門デザインプラザ

現在21_21デザインサイトで、企画展「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」が行われており、関連イベントがいろいろ行われています。1月11日、トーク「現場からみる、デザインミュージアムの可能性」を聴きにいってきました。

今回は実際のデザイン関係のミュージアムの関係者によるお話。
  • 東京国立近代美術館の工芸館: 工芸品だけでなくデザイン作品を所蔵している。
  • 竹中大工道具館(神戸市)
  • 東大門(トンデムン)デザインプラザ(DDP)2014年3月開館予定
「デザインミュージアム」という展覧会のコンセプトに近いということもあり、また、韓国から来ていただいたということもあるだろう。話題の中心は東大門デザインプラザにあったように思う。

鄭國鉉氏はここでは総監督という肩書きになっているが、オープン後は館長 (名称は違うかもしれない) 就任が予定されている。もともとサムスンのデザイン部門出身と言うこともあってか、単なる公式発表だけでなく、ざっくばらんに話をしていただき、面白かった。

さて、東大門デザインプラザ (DDP) ですが、ティーザー映像がありました。


このフォルムは! そう、話題のザハ・ハディッドです。

鄭國鉉氏によると、中国にもザハ・ハディッド建築があるが、雨漏りがあったりして、まともに建ったものは少ないという。韓国メディアからもさんざん叩かれているとのこと。しかし、鄭國鉉自身は、その点に関しては心配していないようだ。

外側を構成するパネルは一枚一枚違う。個々にプレスで制作しているとのこと。建築費がかさみそう。

内部も曲線で構成され、遠近感を狂わせる。下を向いて歩いていると頭をぶつけたりするそうだ。また、ポスターには屋根に座っている女性の写真が使われているのだが、なだらかな屋根で比較的容易に登れたりする場所もあるとのこと。開館前には安全対策をするらしいが、そのため無粋な立て看板だらけになるのではなかろうか (笑)。

韓国には一度も行ったことはないのですが、ここには一度行ってみたいです。

「ザハ・ハディッドを見に行こう!」

16th DOMANI・明日展

国立新美術館で行われている16th DOMANI・明日展 に行って来ました。毎年行われているのですが、以前は2010年に行ったので4年ぶりになります。

今回の特徴は、建築を大きく取り上げたことだろう。建築家43名それぞれに区分されたスペースを与えられている。それぞれじっくりみていると、時間がいくらあっても足りない感じ。

建築家のことはほとんど知らないのだけれど、現在NTTインターコミュニケーションセンターで行われている都市ソラリス展の事前シンポジウムで出ていた松川昌平のARKHITEKTOMEがあった。建築において可能なパターン (コンピュータ上のモデル) を作っては、与えられたコンテキストで評価し、淘汰していくことを繰り返すもの。昨年11月東京ミッドタウンで行われた、慶應SFCのORFでも出ていたらしい。

アート作品に関しては自分としてはあまり収穫はなかったが、その中にあって榊原澄人の作品は惹かれた。

É IN MOTION No.2(部分) http://domani-ten.com/artist/exhibition/01.php より
É IN MOTION No.2(部分) http://domani-ten.com/artist/exhibition/01.php より[/caption]

大きなスクリーンに、一部が繋がった4つのシーンが少しずつずれながら連続して投影されている。個々のシーンの中では部分部分でそれぞれイベントが発生していて、そのイベントを追っていると他のイベントを見るのが疎かになってしまいまうので、今度は別のところを中心にみることになる。画面の移動はゆっくりではあるが、それでも終端にくると見えなくなるので、そのあいだにみないといけない。一周は15分くらいだと思うが、この作品は全部じっくり見てしまった。

大野由美子の床面にジグソーパズルのピースを並べた作品も面白かった。靴を脱げばその上に乗れるようになっているのだけれど、ピースが靴下にひっかかって元と違ったものになるのではないとひやひやした。

川上りえの作品も、針金で制作したキューブの組み合わせを天井から吊るしたものの下を通っていく感じで、不思議な感覚。