おはようございます。ホメロスです (ベタでごめん)。
ずっと「ほめて育てる教育」、「叱らない教育」に違和感をもっていたのですが、この本を読んでその理由がわかったような気がします。
違和感というのは、
・これで「しつけ」はどうやってやるのだろうか。
・しつけがなされていない子 (+ その成長した姿である大人) が増えている。
・そうやって育った親がまたしつけがなされていない子を育てている。
・これで日本は大丈夫か?
...
私は、「ほめて育てる」の本質が悪いのではなく、本質を理解せず「ほめて育てる」というスローガンだけで育てているのではないかと思っていました。
しかし、この本では、「ほめて育てる」自体を批判しています。
・動物に芸を教える「シェーピング」と同じやりかた。
・本人の内発的なモチベーション(これを「アモーレ情熱」と呼んでいます)を壊す。
-- これは実験で検証しています。
・ほめられない行動に価値を見いだせない = 生活の活動そのものに喜びを見いだせない。
・この結果、「生きる力」をそいでいる。
・指示されないと行動できない人を増やす。
・失敗耐性を低下させる。
それから、「ほめるな」といっても、自然にほめたくなってほめることを否定していません (それも場合によっては我慢した方がよいとも書いてはいますが)。そのほめる行為は、(調教という) 意図をもってなされたものではなく、真に評価されていることがほめられる側にもわかるからです。
この本では、この問題に対しての解決策を提示しています。ただそれはマニュアル化されたものではありません。距離をもって見守ること、厳しさをもった真の愛情、ひとりの人間として尊重すること、を説いています。
もっとはやくこういう本に出会えたら良かったのにと思いました。ぜひ多くの人に読んでほしいです。読んでそのまま鵜呑みにするのではなく、一緒に考えていただきたいと思います。
追加トラックバック
常習女さん 「エラくてスゴいやつ」
-- 「プライドを持ってある程度の満足感の中暮らしている」人に対して、「哀れんで褒め殺す」ことが相手に与える打撃。「哀れんで」の部分は異なりますが、褒めることが逆に傷をつけるという点で相通じるものがあると思います。
ARTIFACT - 人工事実 - さん 「誉め上手に人は集まる」
-- ここで述べられている内容は同意できるものではありますが、ほめる側の視点で、ほめる側の利益のことを述べていることにご注意ください (そのこと自体を否定している訳ではありません)。
10 件のコメント:
素晴らしいですね。あーこれは読んでみたいです。今は学校教育ですら右往左往しているように感じますし、そうしている今も身内による殺人事件も多発していて、教育を変えて行く為には、何が正しいのかという手段を少しでも知りたいです。(勿論個々の個性に添ったものが必要なんでしょうけれど。)
多少誇張であってもほめるのっていいと思うなほめるとね、伸び伸びするの逆にしかると萎縮しちゃうんだ素のままが出せればみんないい人になれるという善人説支持派でっす
♪こんにちは。先日読んだ「話せぬ若手と聞けない上司」という本に「今の若者はネコのようにプライドが高いので、以前のように褒めて叱る『イヌ型』の教育は通用しない」と書かれていましたが、何か共通点を感じますね。
★からーさん、悩んでいる人は悩んでいるんでしょうね。一方で、なにか(ここでは「ほめる教育」)をよりどころにして、それに頼る、もっといえば責任を転嫁する姿勢もあるのだと感じました。ひとつの正解というものはなく、皆が考えていく姿勢、ディスカッションしてより良い方法を探る姿勢が必要なのだと思いました。
★hitoさん、ほめるにしても、どういうところをほめるのかが重要なんでしょうね。ここに出ていた例では、・当たり前のことをしているだけなのにほめられると、一人前扱いされていないように感じる。・好きなことをやっているだけなのにほめられると、かえって内発的なモチベーション(「アモーレ情熱」)が阻害される。などがありました。しからないことに関しては、これはこの本にはのっていないのですが、・今まさに暴力をふるっているような子を叱らなくてよいのだろうか。と思うのです。
★あざらしサラダさん、ネコ型のプライドですか。この本に「乱造されるうすっぺらな自信」という項があり、そこにつながるものじゃないかと思いました。「話せぬ若手と聞けない上司」という本も読んでみたいですね。
TBありがとうございます。わたしは父親から褒め倒されて育った子供で、それを今でも素直に「良かった」と思えているので、一瞬ドキッとしました。読んでみたい本です。こちらの記事を読ませていただいて、色々おもうところがあります。文章にできたら、TBさせていただきますね。
★緒架部さん、ほめられて良かった例は多く聞くので、ほめられる人によって違うのかもしれません。この本で否定されている「ほめ方の技術論の問題」なのかもしれません。少なくともいえるのは、この本で解決の指針に示されている「真の愛情」がそこにあったのだと思います。緒架部さんの記事を楽しみに待っています。
しつけに関しては、ほめるより叱るという意味合いが強いのではないかと思ってます。ほめるのは、「しつけ」じゃなくて「教育」だと思うのだけど。私も、なぎなた習っていて、一振りするたびに「ダメ!」と言われるより、「そこのとこ、良いよ」と言われたほうが上達するし^^悪いことしても叱らないのが問題なのでしょうか。叱らないほうが気が楽ですものね。
★そふぃあさん、そうすると、叱らない = しつけない、ということなんでしょうかね。ほめるにしても、何をほめるか、ということなんだとおもいます。よくなった部分をほめるともっとよくしようと思うし、努力しないでできているところをほめると成長しないでいいのかと感じるでしょう。「叱らない方が気が楽」という部分は大きいでしょうね。叱るのにもエネルギーがいるし、なにより良いことと悪いことのぶれない基準を必要としますものね。
コメントを投稿