はっ、いきなり脱線した。
閑話休題。
動き出して初めて真面目に考える、ってのは私に限らず日本人の悪いクセだと思う。いやこのことに関しては以前から警鐘を鳴らしていた人は多くいるんですが (ぶんさん、村野瀬さんなど)。ごめんなさいごめんなさい。
佐平次さんの「梟通信〜ホンの戯言」でユーウツな裁判員制度の発足 コリンP.A.ジョーンズ「アメリカ人弁護士が見た裁判員制度」(2)と言う記事があった。
コリンは云う。裁判員制度は裁判所に対する批判をなくすためにある。
今まであった「常識がない」とか「量刑がおかしい」「冤罪」、、多くの裁判に対する批判が、裁判員を関与させることによって封じられるのだと。
裁判員は「御殿場事件」裁判、「高知バス事件」裁判の共犯者になってしまうのか。
自分が与した決定だからそれを擁護する側に回る。反対の立場をとっていても多数決で負けてしまった場合は後悔の念に苛まれるだろう。批判する側も、市民が関与した決定となれば、強くは批判できなくなるだろう。
本書はアメリカ人の”権力に対する疑い深い目”で裁判員法の条文を分析してその裏に検察や裁判所がいかなる狡知をめぐらせて裁判員の影響力を殺ぐように創ってあるかを明らかにしている。
たとえば裁判官が「今までの判例ではこうなっている」と説明するのは密室であり、それに疑いを抱く裁判員がいても従来の判例・判決書の類は秘扱いでみることができない。
そして裁判員には守秘義務がある。
裁判員制度Q&A > ○ 具体的にはどのような秘密をもらしてはいけないのですか(守秘義務の対象)。
漏らしてはいけない秘密には,1.評議の秘密と2.評議以外の裁判員としての職務を行うに際して知った秘密とがあります。
1.評議の秘密には,例えば,どのような過程を経て結論に達したのかということ(評議の経過),裁判員や裁判官がどのような意見を述べたかということ,その意見を支持した意見の数や反対した意見の数,評決の際の多数決の人数が含まれていると考えられています。
しろうとさんの裁判員に関しては分る。でもこれじゃ裁判官がどのように誘導したかまで秘密にしなければならないということだ。
社員がもつ守秘義務で、会社の違法行為を告発しにくい構図と同じだと思う。違法と断定できるだけの法律知識 (判例と照らし合わせて断定できるレベル) がない場合、「これって違法かも」という行為の告発は自分が守秘義務違反を犯すリスクが大きいのだ。
かくして問題と思われることが発生しても、裁判員は口をつぐまざるを得ず、それに加担することになるのだ。
裁判員制度Q&A > ○ 裁判員等に選ばれたことを公にしてはいけないと聞いたのですが,上司や同僚,さらには家族や親しい人に話すことも許されないのですか。
裁判員等でいる間,裁判員等に選ばれたことを公にしてはいけません(裁判員法101条1項)。
ここには理由すら示されていない。
テレビの朝のワイドショウでは「裁判員を脅迫などから守るため」と言っていたが、脅迫する方をなんとかすべきじゃないのか。
次のQ&Aは、それ自体は問題じゃないけれど。
裁判員制度Q&A > ● 裁判員や裁判員候補者として選ばれた場合,どのような服装で裁判所に行けばよいのですか。
どのような服装で来ていただくのか等の具体的な定めはなく,普通の服装でお越しいただければ結構です。
ここにはこう書いてって、先のテレビ番組でもそういっていたが、最後に「でもちゃんとした服装で」って付け加えていた。
そう、これは「空気読め」ってやつだ。
服装はともかく、評議では必ずこの「空気読め」って出てくる。断言する。そうなった場合でも守秘義務で言っちゃいけないのだ。
「空気読め」に関しては以前書きました。→ 「考える力と同調圧力と愛国心といじめと企業不祥事と」