「またか」入国なぜ 日本人人質 (産経新聞 2004年10月27日)
イラク邦人人質:「なぜこの時期に…」 (毎日新聞 2004年10月28日)
4月の人質事件では「自己責任論」というのがあった。ビリヤード&サッカー&ニュースコラムさんが「日本人拘束事件 再発」で書かれているように、最初人質の家族の対応に対する反発もあって、人質になった皆さんへの批難も多かった。その後この「自己責任論」は、政府の責任逃れであって、我々がまんまとそれに乗ってしまったという反省がなされるようになってきたと思う。それがぶち壊しになることを怖れる。
Tomorrow's Wayさんが「イラク日本人拘束、アルジャジーラが伝える。」で述べているように、政府は全力を尽くしているように思える。「撤退こそが最善の策」という声もあがるだろうが、テロに屈する姿勢を見せるわけにはいかない (イラク人によるアメリカへの攻撃はレジスタンスと言うべきと思いますが、民間人を人質に取るのはテロ)。私も本音では撤退すべきと思うが別のタイミングで行う必要があるだろう (後述)。
政府はイラクには入らないように呼びかけているが、呼びかけ方が間違っているのではないか。ただ危険だから入るなではなく、日本はアメリカの同盟国であり、最大の支援国のひとつであり、イラク武装組織の敵なのだということを伝えなければならない。国民に対して参戦する (自衛隊が交戦するという意味ではない) 覚悟を求めていない。だから香田君も観光気分で敵対国に入っちゃうのだ。覚悟を求めなかったつけが今回ってきているのだ。
この件で、参戦の覚悟が認識されるようになったら、香田君は身を賭してそれを国民に知らしめたことになり、ヒーローだね (助かったとしても)。だからヒーローらしく毅然としろ。
さて、その後で議論が必要だ。我々は参戦の覚悟があるのか、と。私には (この戦争では) その覚悟はない。あの国の子分になる意志もない。宗教的な寛容さを持っている我々が中東の和平には貢献できるポテンシャルを持っているはずだが、それを捨てたくない。
撤退しよう。我々は間違っていましたと言うんだ。テロとの戦いという言葉に騙されました。復興支援をしてきたつもりでしたが、イラクの人々に望まれてもいないようです (愛のまぜご飯さん「嗚呼、自衛隊」)。
10/29追記 (コメントに書いたことですが、私の心の中の悪魔の囁きは聞こえないようにして書きます):
こんな彼でも (っていっちゃいけないとは思いますが)、助かってもらいたいと思います。命は何ものにも換えられないというメッセージを、政府が行動で伝えてもらいたいと思います。
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ぷち総研さん: 「クールな世論の覚悟を問う——邦人人質事件」
-- 国民の覚悟に関して書かれています。
コメント
Commented by yodaway2 at 2004-10-28 08:39 x
女優の岸恵子さんが「やはりイラクに自衛隊は行くべきでなかった」と述懐してしている文章を読みました。かなり前ですが。彼女は国連人口基金大使をしていますし、日本エッセイスト大賞も受賞していて、かなり幅広い活動をしている方です。5年位前に、あることでごいっしょし、それから彼女の言動が気になっていました。それで「やはり……」にひっかかってきています。私も「やはり」――の気持ちなのですが、今は撤退の時期ではないとも考えます。その「今は撤退の時期では……」については、ちょうど同じような言い方を加藤紘一氏がしています。「撤退すれば、国際政治の枠組みを日本が変えてしまうことになる」と。これもかなり前の発言ではあるのですが。みんな迷い、苦しんでいる……、これが今の、この国の姿であるのかもしれません。香田さんは無辜の一旅行者ですし、かくなるうえは救出されるよう祈るばかりですが、彼の行動についても残念に思わざるを得ません。
Commented by ssnostalgia at 2004-10-28 12:45 x
日本人の男性が捕虜になったことを知りました。危険なエリアに向かった個人の判断と国際社会に生きる日本という国の対応が語られるようですね。中途半端な国際貢献は中途半端な結果しかもたらさないと感じるのが、僕の感想です。人命は尊い、これも付け加えたいです。
Commented by yoshihiroueda at 2004-10-28 21:40 x
★yodaway2さん、ssnostalgiaさん、コメントありがとうございます。こんな彼でも (っていっちゃいけないとは思いますが)、助かってもらいたいと思います。命は何ものにも換えられないというメッセージを、政府が行動で伝えてもらいたいと思います。
Commented by priestk at 2004-10-30 02:24 x
政府としては、戦争や占領ではなく、復興支援の為に自衛隊を派兵していると説明している以上、「国民の皆さん、参戦の覚悟を!」なんて口が裂けても言えないのではないですか。この政府にしてこの国民あり。と言ったら言いすぎでしょうか。
Commented by yoshihiroueda at 2004-10-30 03:44 x
★priestkさん、ちょっと私の論点が整理されていませんでした。参戦は、アメリカのイラク攻撃 (本当は「侵略」なんですが) を支持・支援した段階で始まっています。自衛隊の派遣は復興支援という位置付けで良いと思いますが、まだ戦争は終わっていないので撤退すべきと考えています。戦争が終わってイラクの人から請われた段階で初めていけば良いと思うのです。
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