木島櫻谷って、島崎藤村と同様、漫才コンビみたいですね、って失礼しました。
木島櫻谷は、「このしまおうこく」と読みます。
木島櫻谷という画家は、私は知りませんでした。実は4年前に展覧会を行なったところとても評判がよかったので、今年櫻谷の生誕140年に合わせて再度展覧会を企画したとのこと。今回Part I では、櫻谷の得意な動物画を中心に構成しています。「どうぶつのおうこく」 ... 失礼しました。
4月から行われるPartⅡのテーマは、"「四季連作屏風」+ 近代花鳥図屏風尽し" となっています。
ギャラリーで説明するのは、泉屋博古館 (京都) 学芸課長の実方葉子氏です。浅井忠の時にたっぷり説明していただいたのですが、今回はなるべく短くするように言われていたみたいです。今回は取り上げる数は全部ではなかったものの、作品ごとの説明は十分丁寧で、作品が好きなんだなということが実感できます。
櫻谷の描く動物は、写実的でありながら、人間的な表情を浮かべています。
《獅子虎図屏風》(1904)。ポスター作成にあたって右のライオンの目のあたりをトリミングしたところ、皆で「人間じゃんね」という感想になったとのこと。
この作品は《寒月》(1912)で、第6回文展出品作品。櫻谷は、文展の第1回から出品しており、第1回では最高賞を受賞しています。そしてこの作品でも最高賞を受賞しています。菱田春草らをライバルとして切磋琢磨していたということです。
この作品はモノクロームに見えますが、竹は様々な色彩を重ねて描かれており、右手の月の空はどう形容していいかわからない色調です。
この作品《かりくら》(1910) も同じく文展 (第4回) に出品されたもの。その後翌年のローマ万博で出品されて以降行方が分からなくなっていたとのことです。最近櫻谷文庫 (櫻谷が生前住んでいた家) で発見された時は、表装もされず、傷みが激しかったのを2年かけて修復したそうです。修復前の写真も作品のそばに展示してあります。
この作品は武士の絵なんですが、やはりこの馬に櫻谷の特徴をみてほしいということです。
スケッチや画材、道具の展示もあります。高価な日本画用絵の具がぎっしり詰まったトランクも出展されています。
京都市動物園に足繁く通ってスケッチをしていたそうで、今回新たに発見された京都市動物園の年間パスも展示されていました。当時年間パスという制度自体がなかったのでしょう、櫻谷専用に作られています。櫻谷に贈られた経緯はわかっていないそうです。
なお、写真は特別の許可をいただき撮影しました。
展覧会情報
https://www.sen-oku.or.jp/tokyo/program/index.html
展覧会名: 生誕140年記念特別展 木島櫻谷 PartⅠ 近代動物画の冒険
主催: 公益財団法人 泉屋博古館/公益財団法人 櫻谷文庫/ BS フジ
会場: 住友コレクション 泉屋博古館分館 〒106-0032 東京都港区六本木1-5-1
会期: 2018年2月24日(土)- 4月8日(日)(月曜休館)
開館時間: 午前10時00分~午後5時00分(入館は4時30分まで)
入館料: 一般 800円(640円) / 学生600円(480円) / 中学生以下無料
20名様以上の団体の方は( )内の割引料金