Cons table というとcons cell の拡張かな?と思うよね、フツー。いやいやここはConstableですから。
ジョン・コンスタブルは19世紀はじめに活躍した英国の風景画家です。ターナー (→ 過去の投稿「ターナーとサブライム」) と同時期の人なんですね。
三菱一号館美術館で開かれているコンスタブル展のブロガー内覧会に参加させてもらいました。
この頃風景画は「ピクチャレスク」(絵になる) 題材が好まれていましたが、コンスタブルは自分の生家がある農村地帯の絵を中心に描いています。題材が平凡なのと、風景画自体もは歴史画などより低くみられていたため、生計のために人物画も描いていました。
彼は、光を感じ、表現するため、屋外での絵画制作を重要視していました。油絵の制作、特に大型のものには道具が水彩に比べてかさ張りますが、父親の製粉工場に道具をおくことができたり、父親がアトリエを郊外に借りてくれていたり、その点では恵まれた環境だったと思います。のちには船で川を移動しながら描くこともやっていたそうです。
右は展示の様子。絵と共に絵を拡大した布がアクセントになっていて、単調な展示になるのが避けられています。写真は特別の許可を得て撮影しています。
同時代の作家の作品も併せて展示されています。下はターナーの作品群。
評価が高くなってくると、展覧会に出展して評判を得るための大型の作品を制作する一方、購入しやすく一般の家庭でも飾りやすい小型の作品 (「キャビネ・サイズ」) も描いていたというのは、微笑ましいお話ですね。結婚して子供もできて、養う必要が出てきたので、人物画もコンスタントに描いていたということです。右は《ジェイムズ・アンドリュー卿》と《ジェイムズ・アンドリュー夫人》。またピクチャレスクな題材も制作するようになりました。ブライトンはリゾート地で以前は俗っぽいと避けていましたが、《チェーン桟橋、ブライトン》(写真右) で取り上げた時には、以前からそこに住んでいて仕事をしている漁民も併せて描いています。その点は他の作家と一線を画すところだと思います。1932年のロイヤル・アカデミー展で、コンスタブルの《ウォータールー橋の開通式(ホワイトホール階段からの眺め、1817年6月18日)》(右) は、ターナーの《ヘレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシティ64号》(左) と並べて展示されました。その頃展示会直前に「ヴァーニシング・デイ」という最後の手直しをする期間が設けられていたのですが、ターナーは、コンスタブルの作品に比べて地味だった自作の右下の方に赤いブイを描き加えました。コンスタブルの「ターナーはここへやってきて、銃をぶっ放していったよ」というコンスタブルの発言が勝者の余裕を感じます。以下展覧会の情報です。
テート美術館所蔵 コンスタブル展
https://mimt.jp/constable/
場所: 三菱一号館美術館〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2
会期: 2021年2月20日(土)~5月30日(日)
開館時間: 10:00〜18:00 (金曜日の夜間開館は3月中は中止中)
休館日:月曜日 (※但し、祝日・振替休日の場合、会期最終週と2月22日、3月29日、4月26日は開館)
⼊館料・当日券: 一般1,900円、高校・大学生 1,000円、小・中学生 無料