2020/06/07

"Black Lives Matter" の訳が「黒人の命は大事だ」に違和感

全米で "Black Lives Matter" の声が沸き上がっている。

HuffPost 2020/5/31『#BlackLivesMatter』企業も黒人差別に抗議、力強いメッセージ続く Netflix「私たちには声を上げる義務がある」
毎日新聞 2020/6/6 巨大な黄色文字で「BLACK LIVES MATTER」通り ホワイトハウス前に

この "Black Lives Matter" の日本語訳は「黒人の命は大事だ」とされていることが多いようだ。

しかし、そうすると「黒人以外の命は大事ではないのか」とか「本来 "All Lives Matter"であるべきだろう」という声が上がって来る。

これは "matter" の日本語訳を「大事だ」としていることに起因していると思う。

新英和中辞典 "matter"
動詞 自動詞[しばしば否定・疑問文で] 問題となる,重要である 《★【用法】 進行形・命令文にはならない》.
What does it matter? それがどうしたと言うのだ(かまうものか).
It doesn't matter a bit if we are late. 遅くなっても少しもかまわない.
Nothing mattered to him. 彼には何がどうなってもかまわなかった.
というように、確かに「重要である」はあるのだが、否定形で使われることが多いということ考えると、否定形 "don't matter" (どうでもいい) の否定「どうでもいいなんてことはない」と訳すべきものだと思う。

この "matter" の使い方は、マイケル・ジャクソンの "Beat It" で覚えた。
It doesn't matter who's wrong or right.
誰が正しくて誰が間違っていようと関係ないさ
(対訳:内田久美子 (ライナーノーツより))
"don't matter" (どうでもいい) の否定とみることにより、これまでは "Black lives don't matter" という状態だったということを認識できると思う。そして "All Lives" に対して否定している訳ではないということを理解いただけると思う。

参考: 以下では"Black Lives Matter" の訳を「黒人の命も大切」としている。本来の意味を伝えるには、この「も」ということがポイントだろう。
Harpers Bazaar 2020/06/03 なぜAll Lives Matter(すべての命が大切)」と言うのをやめる必要があるのか

2020/04/05

パンデミックと人権 (3) 様々な差別

この新型コロナウイルス肺炎 (COVID-19) の蔓延に伴い、様々な差別が浮き彫りになっている。

人種差別・民族差別

新型コロナウイルスが最初に問題になったのが中国で、このため中国人、さらには欧米人には区別がつきにくい日本人も差別にあっている。

 一般論は怖い。「中国人は」「大阪人は」「名古屋人は」、あるいは「白人は」「女は」「おっさんは」と属性でひとくくりにするのは、そう語る人自身の過去の残念な体験や、意地の悪さを映し出すだけなのに簡単には改まらない。特にこの新型コロナウイルス禍では、一般論好きの人たちがにわかに元気になり、差別と呼ぶのも恥ずかしいような無知、偏見をさらし始める。
自分の「外」と「内」を分け、「外」を排除するのは、 自分を守るための防衛本能から来ているところがあるだろう。しかしそれを起因する属性以外に広げることと、その「外」に対して攻撃を加えることが差別になる。ここで「起因する属性」というのは「新型コロナウイルスに感染しているか否か」であって、アジア人か否かは無関係だ。また、感染する人から距離を置けばいい話であって、攻撃する必要はない。

しかしそういう差別意識は、人はだれしも持っているものだろう。なくすのが難しければ自制して表に出さないのが、これまで人権重視が人間の共通の価値観であることを学んできた教養によるものだろう。しかしその自制は非常事態では忘れられていく。

その差別意識は簡単に利用される。トランプ大統領が『中国ウイルス』と呼んでいるは自分たちの無策を隠すため、日本でも麻生太郎副総理が「武漢ウイルス」と呼んだが、ボスカーさんは「これも無知だけではないだろう」と言っている (無知はもう前提としてある訳だ)。ちなみに、COVID-19 という病名は、発生した土地の名前をつけるとずっと偏見が残るからあえて土地の名前を付けないようにしたということだ。それでもトランプ大統領や麻生氏のように意図的に無視する人間が出てくる。

ここで「差別や憎悪はメディアやネットを通じて広がるので時にウイルス以上に“感染力”が強い。たちが悪いのは自分が『感染』していると思っていない点だ」という作家ショーン・ボスカーさんの言葉を皆が意識することが重要だ。

米国最高裁は「差別」と「区別」に明快な線引きを行っている。

米国最高裁は対象事件での「仕分けの性質」を問うことにした。具体的には「黒人ならこれはダメとか、女性ならあれはダメ」など、自分ではどうすることもできない、生まれ持ったステータスをもってして、特定の権利を受ける人・受けられない人を「仕分けていないか」を問うのである。
これは各個人が自問自答できる基準であるだろう。

左記記事より
そして日赤の訴えも参考になる。

「ウイルスは心の中にも感染する。特効薬やワクチンはないので自分で連鎖を断ち切るしかない。」
他の記事:

差別的な言葉は間違いなく人を傷つける。人を絶望に陥れる破壊力がある。
感染者・医療従事者への差別

感染者、感染者と接触した人、医療関係者への差別も続いている。

 医師と看護師の感染が確認された兵庫県小野市の北播磨総合医療センターでは、感染者と接触していない職員や患者、家族らから「ばい菌扱いされた」「勤務先から出勤停止と言われた」などの訴えが相次いだ。ライブハウスでクラスター(感染者の集団)が発生した大阪市では、別の店舗の経営者から「感染リスクが高い『危ない場所』との風評被害が出ている」との声が上がる。
差別であるだけでなく、「このままでは、感染者が立ち寄り先などに迷惑が掛かると感じ、保健所の行動歴聞き取りに正確な情報を話しにくくなる恐れがある」ということだ。


日本赤十字社が公表する「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応する職員のためのサポートガイド」の中で
「未知のウイルスは私たちを不安に駆り立て、ウイルスを連想させるものへの嫌悪・差別・偏見を生み出し、人と人との間の連帯感や信頼感を破壊します。私たちの誰もが、これら3つの感染症の影響を受けていますが、最前線で対応する職員はその影響を最も強く受けることになります。COVID-19対応においては、感染対策(第1の感染症対策)はもちろんのこと、第2、第3の感染症が職員に与える影響を考慮に入れながらCOVID-19対応者へのサポート体制を構築していくことが極めて重要となります」
と記載しているそうだ。

医療関係者による患者差別

医療関係者による患者差別もあるという。


差別の対象は精神科にかかっている感染者だ。精神科特有の難しさがあるかららしい。彼らをコントロールするのが (まだ) 長けている精神科医と感染病専門医で協力することで対応が可能でないかと思う。

2020/04/01

パンデミックと人権 (2) 感染者のプライバシー

だんだん感染経路が把握できない感染者が増えている ...

クラスターになればライブハウス、病院、大学名が特定される。一方、クラスターにならなければ名前が出ないので、どういうところを避ければいいのか判断がつかない。

クラスターを特定するのにこだわるからではなかろうか。感染経路が分からなければ可能性あるところを全部挙げればいいじゃん、と思う。

それぞれの感染者の名前をマスクして、自宅近辺を除き通ったところ立ち寄ったところを全部集めて重ねる。多くの人が通ったところはそれに応じて濃くなる。それによって危険な地域をあぶりだす。夜のお店はお店の協力が得られないというのであれば街の名前だけ出す。

これなら感染者個人のプライバシーも守られ、お店の立場も守られるのではないか。その店のある街にとっては迷惑かもしれないが、個々の店で感染対策をしっかりしてそれをアピールすればよい。

ということを考えていたら、こんな記事があった。

Courrier 2020.3.28 ユヴァル・ノア・ハラリ「非常事態が“日常”になったとき、人類は何を失うのか」
うっかりしていると、今回のコロナ危機が、「監視の歴史」における重大な分岐点になるかもしれないのだ。大量監視ツールの標準展開が、それまで展開を拒否していた国で続々と実施されるかもしれない。「皮膚より上」から、「皮膚の下」の監視へと劇的な移行が起きているだけに、その懸念は強くなる。 
プライバシーか、健康か。両者の二者択一を迫られれば、たいていの人が健康を取るだろう。
このあと両方をとるべきという方向性が示されるのだが、そのまま押し切られる恐れが大きいと思われる。

このことに関してはこのパンデミックが終息してからが本当の試練だろう。心しておきたい。

追記:

対応が評価されている韓国だが、過剰な対応が批判されている。
東京新聞 2020.04.02 コロナ対策で浮かび上がる「監視社会」韓国 個人情報をここまでさらしてよいのか

NHKでも取り上げられるようになった。
NHKニュース 2020.04.17 ビジネス特集 新型コロナで迫られる“選択” さよならプライバシー




2020/03/31

パンデミックと人権 (1) 行動の制限

だんだん感染経路が把握できない感染者が増えている ...

自分が感染しているかどうかわからない人から感染が広がっているということだろう。

そうするとPCR検査を積極的に行って、陽性の人を隔離する必要があると考えるが、そうすると医療崩壊が起こると言われている。幸い発症しても軽くで済む人が多いようなので、陽性の人を病院に入れるのではなく自宅隔離か特別の施設で隔離するようにすれば良いのではないかと考える。今はそうできないということみたいなので、必要なら時限立法等必要かもしれない。

自宅隔離がうまくいかないという話もある。

ブルームバーグ 2020/03/02 自宅隔離は感染広げる、武漢の轍を踏まぬよう-中国がイタリアに警告
研究者らによると、自宅隔離では家族への感染防止を徹底しないばかりか、自由に外出を続けて外で第三者にうつすことも多い。イタリア紙コリエレ・デラ・セラが30日報じたところによると、同国当局が28日に外出禁止の取り締まりを強化したところ、違反者のうち約50人が自宅隔離を指示された感染者だった。
やはり特別の施設が必要なのか。
武漢では2月初めにオフィスやスタジアム、体育館を転用した仮設病院に症状の軽い患者を全て隔離し始めてから、感染拡大が劇的に鈍化した。
現在イベントが中止になっているのでスタジアム、体育館の転用は比較的容易なのではないか。 利用料を国費で出せば損失の一部の充当にもなる。イベント主催者にも何らかの形で行くようにできればいいが、そこまでは出せないかもしれない。

症状が出ていなくて、検査を希望している人もたくさんいるらしい。希望者にも検査をばんばん行って、安心して隔離施設に行ってもらえば良いのではないか。

検査は100%正確ではなく、陰性の人も偽陰性の可能性がある。このため、陰性の人も自宅隔離にするという条件を飲んでもらう。数日開けて再度検査し再度陰性ならば自宅隔離をといても良いだろう。

ただ、隔離は行動の制限であり、自由権の侵害という側面はどうしても出てくると思う。陽性の人を隔離するのはこれまで行われてきている訳で、議論の上で結論が出ているのだと思われる。ここで私が陰性の人も行動の制限をすべきだと言っているのはその範囲外だろう。このため「希望して条件を飲んだ人」に限定した。

しかし都市封鎖という事態になれば、外出自粛ではなく諸外国のように外出禁止という措置が取られるかも知れない。これは健康な人も含めての話だ。今回人権先進国の西欧諸国で次々と外出禁止などの施策がとられているのは正直びっくりした。どういう根拠に基づきそういう命令が出せるのであろうか。そして日本でも同様なことができるのだろうか。

日本経済新聞 2020/03/30 緊急事態宣言発令なら知事に権限 自粛要請、強制力なし 官房長官「ぎりぎり持ちこたえ」 から引用:


緊急事態宣言が出されても「外出自粛」のままで、強制力はないという。強制力のあるものは財産権の侵害にとどまっている。人権の面では抑制されたものになっているのだが、パンデミックを抑えるのに諸外国のような強権的なことができなくて大丈夫かという懸念も出てくる。

人命と人権ではどちらが大事か問われればそれは人命なのだが、それによって人権がどこまで制限されて良いのかというのは考えていく必要があるだろう。

追記: 東京都が軽症者の隔離のためホテルを借り上げるようにするという。

都は軽症・無症状の患者は、病院外で療養させられるよう感染症法の運用見直しについて国と最終調整しており、受け入れ先と想定するホテルと交渉も始めた。
これをみると、時限立法は必要なく、感染症法の運用見直しですみそうだ。

そして厚労省も動いた。

厚生労働省は3日、新型コロナウイルスの感染の拡大状況に応じて、軽症者や症状がない感染者について、自治体の用意する施設やホテル、自宅での療養を検討するよう都道府県などに通知したと発表した。

2020/03/03

画家が見たこども展

3月15日から三菱一号館美術館で始まった「画家が見たこども展」、現在は新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため臨時休館になっているのですが、その直前の2月26日にブロガー内覧会が行われ、参加してきました。ギリギリのタイミングでしたね。

ブロガー内覧会自体も感染予防のため、高橋明也館長 (左) とTakさん (右) によるギャラリートークは取りやめということになっていたのですが、館長の挨拶だけは行うことになり、最初の部屋モーリス・ブーテ・ド・モンジェル《ブレのベルナールとロジェ》の前でお話がありました。

挨拶だけではなく、この展覧会の位置づけなどもお話いただきました。

三菱一号館美術館では、これまでもナビ派の展覧会を行ってきて、ナビ派をプッシュしてきたと言っても良いでしょう。19世紀頃から聖母子像など以外も子どもは題材として扱われるようになりましたが、特に日常の生活、家族を扱うナビ派では、子どもは重要な対象になります。そこで、ナビ派を中心として子ども

そして今回は南フランス ル・カネにあるボナール美術館の協力を得て、ボナール作品が多く集まっています。三菱一号館美術館所有もヴァロットンも多く出展されていました。

ただちょっと可愛い子どもの絵を期待している人にとっては物足りないかもしれません。以前森アーツセンターで行われた「こども展 名画にみるこどもと画家の絆」(→ ブログ記事「こども展」) では、「難しいことを考えず、かわいいと楽しんでもらえば良い」ということだったので、その点に主催者側のこだわりの差が出ているものと思います。

その中から、可愛い子どもの絵を選ぶと、左のドニ《サクランボを持つノエルの肖像》 があります。ドニはポスターに使われている《赤いエプロンドレスを着た子ども》も可愛いです。

ほとんどが絵画作品でしたが、彫刻作品もあります。左はジョルジュ・ラコンプの《シルヴィの胸像》、右の絵画作品は同じくラコンプの《立つシルヴィの肖像》です。

最後の部屋にはボナールの晩年の作品がありました。ナビ派がそれぞれの道を歩む中ボナールは風景画を中心に描くようになっていたのですが、最後にまた子どもという題材に回帰したということです。

美術館は密集した場所でとどまる訳でもないし、手で触るものもないので、ウイルス感染のリスクは少ないと思うので、休館するというのは過剰反応のように思います。山場の期間を過ぎた3月中旬以降は美術館あたりから徐々に活動を活発化させた方が良いのではないでしょうか。

なお、写真は特別の許可を得て撮影しています。

開催概要
画家が見たこども展 ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン
https://mimt.jp/kodomo/
場所:三菱一号館美術館 (東京都千代田区丸の内2-6-2 (Google Map))
会期: 2020年2月15日(土)~ 6月7日(日)
開館時間: 10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで
    (祝日を除く金曜、第2水曜、4月6日と会期最終週平日は21:00まで)
休館日: 月曜休館
    (但し、祝日・振替休日の場合、開館記念日4月6日、
     会期最終週6月1日と、トークフリーデーの3月30日、
     4月27日、5月25日は開館)
    ただし、2月28日から3月16日の期間臨時休館

2020/02/16

ダムタイプ

昨日、東京都現代美術館で、ダムタイプのアクション+リフレクション を見て、ラウンドテーブルトーク も聞いてきた。

もともと、2月16日に会期終了になる3つの展覧会を見る予定で出かけた。
東京都現代美術館が10:00 オープンで、この順番で行くのが効率的かなと判断した。

開館前に着いたが、チケット売り場にすでに行列ができていてびっくり。そこで3つの有料展覧会があって、セット割引に惹かれ、ダムタイプもあわせて見ることにした。ダムタイプは、NTT-ICCのダムタイプ特別上映で《memorandum》を見て難解だったのでちょっと心配だったのだれど、インスタレーションもあるだろうしまあいいかと判断。

実際に見たら、展示自体は数が少ないものの、やっぱり選択して良かったと思った。

右は《Playback》。16台のターンテーブルがそれぞれ異なった音源から採られ、針が上がったり降りたりして同期再生される。

《MEMORANDUM OR VOYAGE》は、《memorandum》(上記)、《OR》、《Voyage》という3つの作品の映像を組み合わせて作った映像インスタレーション。大画面で迫力がある。

ディスプレイはソニーの協力のようだ。横浜みなとみらいの資生堂グローバルイノベーションセンターS/PARKにある大画面LEDディスプレイと同じものかもしれない。

最後の部屋には《pH》と《LOVE/SEX/DEATH/MONEY/LIFE》が組み合わせて展示してある。



R. Yoshihiro Ueda(@ryokan)がシェアした投稿 -

一つの作品だと思っていたが、手前の移動しているのが《pH》で、奥が見ての通りの《LOVE/SEX/DEATH/MONEY/LIFE》。《pH》は移動している領域に入ってもいいけど、奥まで行き着くと戻ってくるので慌ててみんな戻ることになる。

出口近くに「テーブルトーク」という名前のトークイベントの案内がある。本日15:00からで、それまでまだずいぶん時間がある。失敗したな。午後にこっちにすれば良かった。と言っても仕方がないので、一旦六本木まで戻って国立新美術館でDOMANI・明日2020を見てからもう一度来ることにした。

戻ってきてみたらチケットを買う列が外まで伸びていたので、やっぱりこの順で正解だったと思った。

テーブルトークはケーキとお茶で壇上で語り合う形式。ダムタイプの高谷史郎さん、砂山典子さん、濱哲史さんに、モデレータの長谷川祐子さんが質問して話を進める形式だった。砂山典子さんといえば、「スカートの中、はいってみる?」の作品「むせかえる世界」のアーティストだった。ダムタイプのメンバーだったんですね。

トークのテーマは「パフォーマンスをどのように展示にするか」。ダムタイプは基本的にパフォーマンス集団で、それを人がいなくても見ることができる形式 (インスタレーション) にするかということになる。通常このよーなトークは最初に作品の映像を見せながら解説するのだが、今回はそういう映像は常にスライドショーで切り替わっているだけで解説はなく、ダムタイプの作品を知っている人でないと付いていくのは難しい。というか、私は全然付いて行けず、正直苦しかった。

その中で興味を惹かれたのは、ダムタイプはスーパースターがいるグループではなく、「みんなで考えて作っていくシステム」のことを「ダムタイプ」と考えているというところ。 常に話し合いで決めていて、以前は毎晩そうしていたが、周1回にしたらとたんに時間がかかるようになったという。新しいメンバーとして加わりたいというの拒否しないが、参加の条件は明確ではないということだ。

NTT-ICCのダムタイプ特別上映の《memorandum》以外の作品も見てみるかな。

トークが終わった後、MOTコレクション展も見てきた。オノサト・シノブ、末松正樹など、これまで知らなかったアーティストを知ることができた。岡本信治郎はあいちトリエンナーレ2013で見たはずだが、すっかり忘れていた。今回は右の《ころがるさくら・東京大空襲》など印象に残る大作が出ていた。

2020/02/03

フューチャー・デザイン・ワークショップ 2020 Day 2

1月25日、26日に、フューチャー・デザイン・ワークショップ 2020 が行われ、その2日目を聴講に行きました。

フューチャー・デザインとは何か。未来を現在の延長線上として考え改善していくのではどうしても今直近の問題が重要視される。これに対して、フューチャー・デザインは、まず未来の姿を想像しそこからそのために今やらなければいけないことを決めていく。とはいえ人間は現在の問題にとらわれがちなため、「将来世代になったつもり」の人間を作って将来世代の代理をさせるという手法を使う。

SDGs (Sustainable Development Goals) も世界の改革を目指しているが、現在ある問題を解決する複数のゴールを目指すとは対照的だ。

しかしフューチャー・デザインはまだSDGsほど広まっていない。良いアイデアならもっと広まっても良さそうではある。実現にはいろいろ課題もあるのだろう。このワークショップではそういう点も意識して学びたい。

「世代間倫理における責務と互恵性」 廣光俊昭 (財務総合政策研究所)

例えば現世代が限りある資源を費消すると将来世代はその分使える資源が減る。将来世代のことを考えれば現世代が困窮しても将来世代のために資源を残しておくべきである。これは現世代の人間にフリーハンドがある状態を基準とすれば、将来世代のために自分たちを犠牲にするということである。自分の血の繋がった子に対してならばともかく、何世代も先のしかも全世界の人間のために犠牲になるのが受け入れられるか、ということになる。「互恵性」はそのような一方的な「恵」の受け渡しではなく、将来世代の幸せが現世代にとっても幸せに繋がるという考え方。近い将来で言えば、現在世代の一員である若いせ世代が自分が年齢を重ねるごとに世界は貧しくなっていくという未来が見えているとき、はたして現在世代の秩序を守るインセンティブがあるかという問題になる。そうすると将来世代も今と同じ状態またはよりよい未来があるほうがいいよね、ということになる。

しかしそういう理想的な考え方もなかなか通用しない。現実的に我々日本人は将来世代に「恵」をわたすどころか借金を残している。「国の借金は自分からの借金だから問題ない」という人がいるけど、母ちゃんから借りているんじゃなくて自分の子どもから借りてるんだよ。じゃあ増税して国の支出も抑えるべきかというと、それで経済が低迷したらその低迷した経済を子どもたちに残すことになるので問題はやっかいだ。

自分の世代で使う資源と次の世代に残す資源をシミュレートする世代間持続可能性ジレンマゲーム (Intergenerational Sustainability Dilemma Game, ISDG) (A/Bゲーム) * というものをこのワークショップで初めて知ったが、これが複数の発表で取り入れられていることを見るとなかなか解決しない問題ということがわかる。
* 西條 2018「フューチャー・デザイン:持続可能な自然と社会を将来世代に引き継ぐために」(PDF)

「リーディングプログラムにおける“フューチャー・デザイン”ゼミ活動」 フューチャー・デザイン ゼミ(田中徹他) 慶應義塾大学大学院博士課程 教育リーディングプログラム

慶應大学には「リーディングプログラム」という仕組みが2つあって、もう一つシンギュラリティ・ゼミは「サイエンス・フィクションワークショップ」というテーマで午後に発表がある。このプログラムのユニークなところは、文理融合 (13学科) でどこかの学科に属している訳でなく、文系と理系で二つの専門、二つの修士号をとるところ。そしてフューチャー・デザインは最後に「政策提言」を行う。

興味をひいた概念は「ネガティブケイパビリティ」と水口氏が発表した「Fantasy Future Design」。

「ネガティブケイパビリティ」は、答えの出ない事態に耐えうる能力のことで、私もそうだが受験のための教育を経ているとどうしても「正解」があるという前提で物事を考えがちになり、「正解」がないと不安になる。それを乗り越える力が「ネガティブケイパビリティ」ということだろう。

フューチャー・デザインでは、仮想将来世代人間と現代世代人間が議論を行い合意形成を行うが、合意形成が難しいなどの欠点がある。「Fantasy Future Design」は、地球人の視点を捨て、仮想の地球の現在と未来をよそ者 (宇宙人) の視点で議論する。利害関係のないよそ者の視点をもつことで、現在の視点と将来世代の視点を同時に持てるという利点がある。

「フューチャー・デザインの政策応用の可能性と効果」原圭史郎 (日本学術会議、東京財団政策研究所、大阪大学大学院工学研究科)

政策応用は、2015年に岩手県矢巾町で初実践され、「仮想将来世代の創出」というレポートにまとまっている。 現世代と仮想将来世代の交渉、合意形成を行った結果、多くの将来案が採用された。 2017年には、グループを分けるのではなく「個々人での視点移動」という取り組みを行った。その結果、提案施策が、最初はハコモノ改善というものが中心であったのが、生活の質、現在・将来の関係性を配慮したものに変わっていった。2018年から本格的な応用が始まり、2019年には矢巾町総合計画 未来戦略室ができたほか、吹田市、京都市にも広がった。

「ニューロサイエンスを活用したフューチャー・デザイン研究」青木隆太 (首都大学東京) 

fMRI を用いて、フューチャー・デザインを行っている時の脳の働きの違いを調べた。ひとりISDG (ABゲーム) をMRI内で実施した。将来から考える実験群と、現在から考える対照群で、rTPJ (右側頭頭頂接合部) に違いが出た。

全体ディスカッション (モデレーター:小林慶一郎 (東京財団政策研究所))

もともと小林氏の総括的な発表の予定だったが、時間も少なくなってきたので全体ディスカッションに変更。みなさん色々言いたい人がたくさんいるコミュニティのようで、盛り上がっていた。私も結構質問する方で、今回もSDGsに関してどう思っているのか聞きたかったのですが、遠慮しました。

興味深かったのは、宗教とFDの関係についてのコメント。最初の発表であった社会的持続性はこれまで宗教の機能としてあったものではないかというもの。そうするとFDは科学的ではあるけれども新しい宗教ということになる。宗教とみなされると既存宗教から、その信奉者からは避けられてしまうだろう。むしろ既存宗教の中に組み込まれるような、フューチャー・デザインの論理武装が必要じゃないかと感じた。

2020/02/02

武術の孤児

2月1日、中国映画「武術の孤児」の上映とホアン・ホアン監督のトークショーがあり、行ってきました。

アジアセンターイベント情報 2020.02.01 第31回東京国際映画祭・国際交流基金アジアセンター特別賞受賞 『武術の孤児』上映&ホアン・ホアン監督トーク

この映画は2018年の第31回東京国際映画祭に出品され、国際交流基金アジアセンター特別賞を受賞したもの。賞金はない代わりに日本に短期滞在ができます。それは次の映画のロケハンや、映画関係者との交流に使って良いということです。行定監督や山下敦弘監督との交流などを行ったとそうです。今回はその来日に合わせてイベントが企画されました。

映画は、上記リンクに紹介がありますが、ユーモラスなエピソードと美しい自然の情景が織り込まれた楽しいものでした。主人公国語教師が女医さんのシャワーシーンを想像するところ、生徒の興味を引くために授業で出したダジャレが受けないところなどクスッと来ます。ただすっきりした結末 (問題が解決した等) を期待していたので、え?これで終わり?と感じました。

トークショーでは、ホアン・ホアン監督とともに共同プロデューサーのホウ・シャオドン氏、スタッフのジョウ・シャオラン氏も登壇され、石坂健治氏が質問しそれに答えるという形で進みました。ジョウ・シャオラン氏は「スタッフ」とありますが、ホアン・ホアン監督の奥さんで、助監督、脚本家でもあります。

舞台となった寄宿制の武術学校は中国にたくさんあって、特に少林寺のある河南省には100以上あるそうです。 この映画が1990年代という設定にしてあるのも、1980年代に少林寺映画があり、武術学校に入るブームがあったからだそうです。なお、今は問題児の矯正施設みたいになっているとのことで、石坂氏も「戸塚ヨットスクールみたいなもんだな」とつぶやいていました。

銀座メゾンエルメスのル・ステュディオで見た『ジョッキーを夢見る子供たち』を思い出させます。そちらのほうは、子ども達の騎手養成学校での日常生活を描きながらも着実に成長していく姿を追っていて、その意味では随分違うものです。

制作費に関しての話が興味深かった。中国政府から得た100万人民元をベースに、スポンサーを集めて全体で500人民元かかったということです。これは日本円で約7800万円。日本のインディーズ作品は一桁少ない予算とのこと。行定監督か山下監督かその両方から、その金額があれば3本撮れると言われたそうです。そういえば「カメラを止めるな」の制作費が300万円ほどだというのも話題になっていましたね。それだと26本撮れるよ。

新人にしては多いように見えるけど、中国ではそれくらいかかってしまう、その理由は主に、中国では物価が高いということと、スタッフの非効率な働き方によるとのことでした。石坂氏は「日本の映画界がブラックな側面もあるということだろうけど」と補足されていました。定時になったらさっさと帰ってしまうとか、そういうことだろうなと理解しました。

会場から検閲に関する質問があり、それも制作費が高くなる一因ということです。出したいシーンが検閲に引っかかったときのために別のテイクも用意しておかなければいけない、というのはなるほどと思いました。

先のリンクの映画の紹介では「中国武術への愛が感じられる作り」と書かれていますが、勉強に興味がない子ども達が描かれ、国語教師が最後に「武術なんか何も役に立たない」と爆発するシーンがあるなど、石坂氏も「これは反武術映画としてみることができる」とコメントしていました。ホアン・ホアン監督は「複雑な気持ち。父が軍の体育部門の責任者で自分を体育学校に入れたが、自分はそれを嫌いだった。 その後遊びとしてサッカーをやったら楽しかった。 武術に関しても愛憎混じった感情」と語っていました。学校になじめずいつも脱走する生徒ツイシャンに自分を重ねているんだなと思いました。

中国映画の現状の一部を知ることができて興味深いイベントでした。

2019/12/30

2019年に行った展覧会とアートイベント

日付順にまとめ、最後によかったものの感想をまとめます。
  • 2019/01/08 
    • オープン・スペース 2018 イン・トランジション @ NTTインターコミュニケーションセンター (LINK) # 《The Other in You》でVR体験してきた。
    • イン・ア・ゲームスケープ: ヴィデオ・ゲームの風景,リアリティ,物語,自我 @ NTTインターコミュニケーションセンター (LINK) #  こちらも《ZONE EATER》でVR体験してきた。
      → BizTechブログ「VR元年から3年」
    • 「眠らない手」エルメスのアーティスト・レジデンシー展 Vol. 2 @ メゾンエルメス(LINK
    • 続々 三澤 遥 @ ギンザ・グラフィック・ギャラリー (LINK
  • 2019/01/12
    • カタストロフと美術のちから展 @ 森美術館 (LINK)
  • 2019/01/16 
    • TARL ディスカッション4|物語から女性像をたどる―現在のイメージをとらえ直せるか
  • 2019/01/19
    • 「終わりのむこうへ - 廃墟の美術史 - 」展 @ 松涛美術館
  • 2019/01/22
    • Chim↑Pom グランドオープン @ ANOMALY (LINK)
  • 2019/02/01
    • Condition Report 連続トーク2「表象と参画の方法論―東南アジアのヴェネチア・ビエンナーレ国別参加」 (LINK)
  • 2019/02/03, 02/04
    • 第3回メディアアート国際シンポジウム 「インターネット以降の文化形成―創作、発信、ネットワーク―」 @ NTT-ICC (LINK)
  • 2019/02/05
    • 「発想はモノから生まれる - 循環型社会の実現へモノ:ファクトリーの施策と展示 - 」展 @ GOOD DESIGN Marunouchi
    • 高橋知子「見えない水」と打越君孝展 @ Oギャラリー
    • イイノナホ「時の花」展 @ Pola Museum Annex (LINK)
    • アントニ・タウレ 「INSULA LUX 光の島」@ CHANEL NEXUS HALL (LINK)
  • 2019/02/06
    • DOMANI・明日展 @ 国立新美術館
  • 2019/02/10
    • 美術館と国際展を巡る連続講座 第1回「美術館という箱はオルタナティヴな劇場になりうるか?」@ 横浜美術館 (LINK)
  • 2019/02/13
    • Inspire Talks 「バイオの想像力」 @ THE CORE (LINK)
  • 2019/02/18
    • イサム・ノグチと長谷川三郎―変わるものと変わらざるもの @ 横浜美術館 (LINK)
    • 横浜美術館コレクション展 「リズム、反響、ノイズ」@ 横浜美術館 (LINK)
  • 2019/02/20
    • 美術館と国際展を巡る連続講座 第2回「国際展をキュレーションすること」@ 横浜美術館 (LINK)
  • 2019/02/23
    • UENOYES バルーン DAYS #3 (LINK)
      • マーク・サルヴァトゥスによるサウンドインスタレーション『Whistles』および映像作品『Drawings』
      • 地主麻衣子の映像作品上映「わたしたちは(死んだら)どこへ行くのか」
      • 小沢剛とタイニイハウスアートセンター研究員によるプロジェクト 「タイニイハウスアートセンター」の成果報告展覧会 「やね・せん氏の美術仕事アーカイブ展。約百数十年の約百選」
    • 未来の学校祭 @ 東京ミッドタウン
      • ギリギリ・ラボラトリー (LINK)
      • ギリギリ・スクエア (LINK)
      • Talk Session 4 メディアアートはTOKYOを変えられるか? (LINK)
  • 2019/02/26
    • ソフィ・カル 「Parce que(なぜなら)」@ ギャラリー小柳 (LINK)
    • ポーラ ミュージアム アネックス展2019 -捨象と共感- @ ポーラ ミュージアム アネックス (LINK)
    • 山本瞳個展 @ 藤屋画廊 (LINK)
    • ポーラ・シェア:Serious Play @ ギンザ・グラフィック・ギャラリー (LINK)
    • 「それを超えて美に参与する 福原信三の美学 Shinzo Fukuhara / ASSEMBLE, THE EUGENE Studio」展 @ 資生堂ギャラリー (LINK)
  • 2019/02/27
    • サポーターズサロン・エクストラ「行けばわかるさ、芸術祭。」@ ヨコハマ創造都市センター
  • 2019/03/02
    • 美術館と国際展を巡る連続講座 第3回「美術館という建築物と展覧会の関係」@ 横浜美術館 (LINK)
  • 2019/03/03
    • Media Ambition Tokyo @ 東京シティビュー
    • Roppongi Crossing 2019 @ 森美術館
  • 2019/03/10
    • AiPHT 2019
      • トークイベント「バック・トゥー・ザ・80年代美術」
      • 対話型鑑賞プログラム「アート作品と気軽に会話しましょう!」Vol.2
  • 2019/03/11
    • イケムラレイコ 土と星 Our Planet @ 国立新美術館
    • 語り合う色 よりそう形
  • 2019/03/18
    • 東京アートポイント計画 ことばと本の展覧会 @ アーツ千代田3331
    • VOCA展2019 @上野の森美術館
    • 内海聖史展「やわらかな絵画」@ 上野の森美術館
  • 2019/04/14
    • KYOTOGRAPHIE international photography festival (LINK)
  • 2019/04/15
    • 菅俊一 「正しくは、想像するしかない。」@ 松屋銀座
    • 湊茉莉 「うつろひ、たゆたひといとなみ」@ メゾンエルメス・フォーラム (LINK) # アーティスト自ら銀座エルメスビルの側面にゴンドラに乗ってペインティング。
    • TDC 2019 @ ギンザ・グラフィック・ギャラリー
  • 2019/04/23 
    • 「色彩の聖域 エルンスト・ハース ザ・クリエイション」@ FUJIFILM SQUARE
    • アージェント・トーク034:私たちのなかのオセアニア―日本と太平洋諸島の間にある芸術、文化、そして歴史の潮流 @ 森美術館 (LINK)
  • 2019/04/29
    • 『言葉からはじまるデザイン 栗の木プロジェクト』展 @ ATELIER MUJI GINZA (LINK)
    • 山本容子ポートレート展 @ 和光本店
    • テラウチマサト「フィンセント・ファン・ゴッホ -ほんとうのことは誰も知らない-」@ リコーイメージングスクエア銀座 ギャラリー A.W.P (LINK)
    • ヘスス・ラファエル・ソト《Pénétrable BBL Bleu》@ エスパス ルイ・ヴィトン東京
  • 2019/05/02
    • 国宝の殿堂 藤田美術館展 @ 奈良国立博物館  (LINK)
  • 2019/05/13
    • 魔法少女DESTROYERS(萌)@ DIESEL ART GALLERY (LINK)
  • 2019/05/14
    • 束芋 「透明な歪み」@ ポーラ ミュージアム アネックス (LINK)
    • 黒崎典子展 @ Oギャラリー
    • 越中谷壽展 @ Oギャラリー
    • 『変える。エンツォ・マーリと“栗の木プロジェクト”』展 ―永井敬二コレクションより @ ATELIER MUJI GINZA (LINK)
    • 井上嗣也 「Beginnings」@ ギンザ・グラフィック・ギャラリー (LINK)
    • 荒木悠展 : LE SOUVENIR DU JAPON ニッポンノミヤゲ (LINK)
  • 2019/05/18
    • 横浜美術館開館30周年記念 Meet the Collection ―アートと人と、美術館 @ 横浜美術館 (LINK)
    • 束芋 アーティストトーク @ 横浜美術館
  • 2019/05/21
    • 百年の編み手たち -流動する日本の近現代美術- @ 東京都現代美術館 (LINK)
  • 2019/05/24
    • 束芋:Ghost Running @ アーツ千代田3331 (LINK)
    • ミア・オー  "Present" @ アーツ千代田3331 (LINK)
    • 謝花翔陽展『状況"環/蛇、全て最良の未来のために。"』@ アーツ千代田3331 (LINK)
    • 片岡純也+岩竹理恵 個展「二つの心臓の大きな川」@ アーツ千代田3331 (LINK)
    • Enduring Nature / 自然は不朽か Miyuki Kasahara / Calum F Kerr @ Art Lab Tokyo (LINK)
  • 2019/05/29
    • The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project @ 原美術館 (LINK)
  • 2019/06/01
    • 第22回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展 @ 日本科学未来館+フジテレビ湾岸スタジオ
      • アワードカンファレンス[アート部門]『特異点を超えて、ふたたび』
      • Japan Media Arts Festival x東京2020 NIPPONフェスティバル
      • Japan Media Arts Festival x  MUTEK.JP  DAY:1 【Art & The Intelligent Machine 】
  • 2019/06/02
    • 菅木志雄 上映&トーク @ 横浜美術館
    • 横浜美術館開館30周年記念 Meet the Collection ―アートと人と、美術館 @ 横浜美術館
  • 2019/06/04 
    • コア・ポア「Returnee」@ THE CORE (GINZA SIX) (LINK)
    • 品川亮展 -Nature's first green is gold.- @ ギャラリー広田美術 (LINK)
    • 藤倉久美子展 @ ギャラリー上田 (LINK)
    • Sony World Photography Awards 2019 @ Ginza Sony Park (LINK)
  • 2019/06/08
    • 大塚国際美術館
  • 2019/06/11
    • 中山英之展 ", and then" @ ギャラリー「間」(LINK)
    • リー・ミンウェイ「The Tourist」@ Perrotin Tokyo (LINK)
  • 2019/06/22
    • 塩田千春展アーティストトーク → ブログ「全身全霊塩田千春
    • 塩田千春展:魂がふるえる @ 森美術館 (LINK)
    • ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR @ 21_21 DESIGN SIGHT (LINK)
  • 2019/06/25
    • MAMスクリーン011:高田冬彦 @ 森美術館 (LINK)
  • 2019/07/06
    • ベネチアビエンナーレ報告会 @ Art Lab TOKYO
  • 2019/07/09
    • モーガン茉愛羅「HEY ME, how was it back then?」写真展 @ bookmarc
    • BOLTANSKI - ANIMITAS II @ エスパス ルイ・ヴィトン東京
  • 2019/07/16
    • 水野里奈 「思わず、たち止まざるをえない。」@ ポーラ ミュージアム アネックス (LINK)
    • 内山江里子 「八雲立つ彼方へ」 @ Oギャラリー
    • 波岸康幸展 @ Oギャラリー
    • 田名網敬一「田名網敬一の観光」@ ギンザ・グラフィック・ギャラリー (LINK)
    • ~次世代のアーティストたち~ recommend 2019 @ シルクランド画廊
    • 今村文 @ 資生堂ギャラリー
    • 菅木志雄 「測られた区体」 @ 小山登美夫ギャラリー
    • アージェント・トーク035:私たちのなかのオセアニア―日本と太平洋諸島の間にある芸術、文化、そして歴史の潮流 第二部 @ 森美術館 (LINK)
  • 2019/07/23
    • Open Space 2019 @ NTTインターコミュニケーションセンター (LINK)
  • 2019/07/27
    • 田凱「生きてそこにいて」@ Guardian Garden  (LINK)
    • ベルナール・ビュッフェ展 @ ギャルリー ためなが
    • 田名網敬一「田名網敬一の観光」@ ギンザ・グラフィック・ギャラリー (LINK)
    • ニコラス・ハットフル「Thermals of the Heart-こころの温度」@ THE CORE (LINK)
    • Hanabi展 @ Art Lab Tokyo
  • 2019/08/30
  • 2019/08/17
    • 小林 清乃 "Polyphony 1945"  @ 資生堂ギャラリー
    • 中村弘峰「SUMMER SPIRITS」@ ポーラ ミュージアム アネックス (LINK)
    • クリエイションの未来展 第19回
    • more than Reason 隈研吾+山口一郎(NF/サカナクション)+森永邦彦(ANREALAGE) 展 @ LIXIL ギャラリー (LINK)
    • 中田雅巳展 -SEN- @ LIXIL ギャラリー (LINK)
    • Kevin Jones展 「バックラッシュ」@ Art Lab Tokyo (LINK)
    • わらおびびし展 @ Art Lab Tokyo
  • 2019/08/23
    • 原三溪の美術 伝説の大コレクション @ 横浜美術館 (LINK)
  • 2019/08/25
    • 虫展トーク「建築家の巣」@ 21_21 DESIGN SIGHT
  • 2019/08/27
    • これもデザイン展 @ GOOD DESIGN Marunouchi
    • 石川愛子典 @ Oギャラリー
    • 澁澤久実子展 @ Oギャラリー # アーティストご本人がいらしてて「ペーパーリトグラフ」という技法のことを伺いました。
    • 有山達也展「音のかたち」@ クリエイションギャラリーG8 (LINK)
    • 今森光彦展 写真と切り絵の里山物語 @ 松屋銀座 (LINK) → ブログ「今森光彦展 写真と切り絵の里山物語
  • 2019/09/03
    • 「台南遊 - 疲れを癒す週末台南旅」展 @ GOOD DESIGN Marunouchi
    • コントラプンクト 「Sculptural Type」@ ギンザ・グラフィック・ギャラリー
    • shiseido art egg 遠藤薫「重力と虹霓」@ 資生堂ギャラリー (LINK)
  • 2019/09/15 ~ 09/16 あいちトリエンナーレ (LINK)
    • 2019/09/15 愛知県美術館、円頓寺地区、サナトリウム (加藤翼、毒山凡太郎を囲んだトーク)
    • 2019/09/16 名古屋市美術館、豊田市美術館、豊田市内
  • 2019/09/17
    • 井桁裕子展 @ ストライプハウスギャラリー
    • Emily Mae Smith @ Perotin Tokyo
    • シュテファン・バルケンホール展 @ 小山登美夫ギャラリー
  • 2019/09/22
    • 話しているのは誰? 現代美術に潜む文学 @ 国立新美術館 (LINK)
    • アーティストトーク:北島敬三 @ 国立新美術館
    • 井桁裕子展 トーク @ ストライプハウスギャラリー
  • 2019/09/25
    • 有山達也展「音のかたち」トーク @ クリエイションギャラリーG8
  • 2019/10/01
    • 椅子の神様 宮本茂紀の仕事 & 谷本景展 @ LIXIL gallery
    • 久保田昌代展 @ アートスペース羅針盤
    • 菅野由美子展 と 下平知明展 @ ギャルリー東京ユニマテ
    • 日比谷泰一郎個展 Survivors @ Gallery b. Tokyo
    • 内山睦展 @ ギャラリー檜B
    • 中西はるみ展 @ ギャラリー檜C
    • 小林健二「透質層と透明体」@ ギャラリー椿
    • たまびやき (石井あや子/王海倫/山崎真理恵) @ ギャラリーなつか
    • View's View 大橋朋美/チョン・ダウン @ ギャラリーなつか
    • 尾川和展と糸井二郎展 @ Oギャラリー
  • 2019/10/14
    • Tokyo 2021 美術展 un/real engine ―― 慰霊のエンジニアリング @ 戸田建設ビル
    • 岩清水さやか個展  ANOKO MALL @ Art Lab Tokyo
  • 2019/10/19
    • 森の学校2019「視点の採集」三澤 遥 先生 @ 東京ミッドタウン
    • 岩清水さやか個展  ANOKO MALL @ Art Lab Tokyo
  • 2019/10/20
    • 虫展トーク「センス・オブ・ワンダー <虫展編>」@ 21_21 DESIGN SIGHT
  • 2019/10/25 
    • スペシャルトークイベント『光とアートの感覚的空間』  岩間朝子 × 川上典李子 @ インテリアショップ LIVING MOTIF 
  • 2019/10/26
    • DESIGN TOUCH CONFERENCE @ 東京ミッドタウン
      • 六本木未来大学「クリエイティブ・カウンセリングルーム ~クリエイターの心を精神科医が解明!~」
      • JST CREST xDiversity シンポジウム
    • 塩田千春展:魂がふるえる @ 森美術館
    • 話しているのは誰? 現代美術に潜む文学 アーティストトーク: 小林エリカ @ 国立新美術館
  • 2019/10/27
    • DESIGN TOUCH CONFERENCE @ 東京ミッドタウン
      • 「デザインの森・六本木カラー渓谷」クリエイターズトーク
      • 「TOKYO2021–2020以降の東京–」
    • Comma - A Google Design Studio Exhibition @ 21_21 DESIGN SIGHT
  • 2019/11/03
    • 森村泰昌スペシャルトーク「生きている美術館、生きている芸術家ー実践的ミュゼオロジーについて」@ 横浜美術館
  • 2019/11/04
    • マルク・シャガール — 夢を綴る @ ポーラ ミュージアム アネックス (LINK)
    • グッドデザイン賞受賞展 @ 東京ミッドタウン  (LINK)
      • [TALK] フォーカス・イシュートーク#4 新ビジネス・デザイン
      • [TALK] グッドデザイン賞に見る『中国デザイン』の今
      • [TALK] 2019年度グッドデザイン賞 - 審査を振り返って〜正副委員長トーク
    • Audemars Piguet(オーデマ ピゲ)「時計以上の何か」@ 東京ミッドタウン 
  • 2019/11/09
    • イズマイル・バリー 「みえないかかわり」@ メゾンエルメス・フォーラム
    • 日本のアートディレクション展 2019 @ ギンザ・グラフィック・ギャラリー
    • 「Surface and Customジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダ、サーラ・ドゥラート、ピエール・ルギヨン、クララ・リーデン、カリッサ・ロドリゲス、竹岡雄二」展 @ 資生堂ギャラリー 
  • 2019/11/11
    • 小林 修 写真展 司馬遼太郎『街道をゆく』の視点 歩いた風土、見抜いた時代@ FUJIFILM SQUARE
    • 写真歴史博物館 企画写真展 「覚醒する写真たち」 今 道子 + 佐藤時啓 @ FUJIFILM SQUARE
    • 2019年度グッドデザイン賞審査報告会[ユニット18 - 取り組み・活動]@ 東京ミッドタウン・デザインハブ
    • 脱あおいうに展  @ Meets Gallery
    • 日本のアートディレクション展 2019 @ クリエイションギャラリーG8
    • ADC賞受賞「続々 三澤 遥」展 受賞者・制作スタッフトーク @ クリエイションギャラリーG8
  • 2019/12/03
    • 宮北裕美 個展「分身」@ アーツ千代田3331
    • nuranura展 @ DUB Gallery AKIHABARA & Art Lab TOKYO / AKIBA (LINK)
  • 2019/12/09
    • 未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか @ 森美術館 (LINK)
    • 東京ミッドタウン・デザインハブ第83回企画展「ヴィジュアル・コミュニケーション・デザイン・スタディ」夜のギャラリーツアー
  • 2019/12/17
    • 未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか @ 森美術館
個人的によかったもの。
  • 続々 三澤 遥:磁石を使って動く小さな作品群が愛らしい。(末尾に動画を置きました)
  • 横浜美術館開館30周年記念 Meet the Collection ―アートと人と、美術館: ボリュームがすごいだけでなく、新たに作った特別展示が良かった。特に淺井裕介の「いのちの木」の部屋が素晴らしい。
  • 品川亮展:伝統を踏まえつつ新しい要素が入った日本画。5万円とか買いやすい価格で思わず欲しくなったが、初日に全部売れたとのこと。
  • 塩田千春展:圧倒的な空間。美術手帖「2019年展覧会入場者数TOP10。1位はフェルメール展の68万人」では第3位に入っている。
  • 小林 清乃 "Polyphony 1945":1945年に書かれた女性たちの文通の手紙の朗読。その中には広島原爆で亡くなった女性の姉もいる。最後に「会いたくて、会いたくて」「きっとお会いしましょう」 がシンクロするとこは胸に響く。
  • あいちトリエンナーレ:卑劣な脅迫や補助金の取り消しなどの政府からの圧力はあったものの、世界のアーティストたちが即座に抗議の姿勢をとったことに光が見いだせる。入場者数が過去最高になるなどイベント的には成功だったかもしれないが、補助金不交付の文化庁に対する訴訟に勝って、河村たかし名古屋市長が次の選挙で落選するまでが戦いだろう。



R. Yoshihiro Uedaさん(@ryokan)がシェアした投稿 -

2019/12/29

横浜トリエンナーレ「サポーター・イニシアティブ」提案その後

活動上のルール・注意点1の12項 「活動独自のWEBサイトやブログを制作・公開することはできません。」の部分に抵触する「次の横浜トリエンナーレサポーター活動の枠組み」で、自主活動「サポーター・イニシアティブ」の位置付けと、私自身が2つの「サポーター・イニシアティブ」の届け出を出したことを書いた。その後報告をしていなかったが、一応方向性が決まったので報告する。

「この枠組みの範囲で/逆手にとって改善を目指す。諦めるのはチャレンジしてダメだったらでも遅くない」としていましたが、結論から言えば「チャレンジしてダメだったので諦める」ことにしました。

最初の回答

届け出を出してから約2週間後 (9月23日)、回答が来た。内容は

・アーティスト勉強会
 活動独自のWEBサイトやブログを制作・公開することはできない。
 代わりに公式WEBサイトを提供することはできない。
 会場内にロボット等の設置はできない。
・サポーター互助会
 イニシアティブを実施する際に事前にサポーターに相談するか否かは、活動の主宰者(サポーター)の判断となる。

ということで、拒絶判定なのか、文言を修正すれば通るのかわからない。特に互助会に関しては元から「誰かが援助を求めた場合、何らかの力になれる人が自主的に相談に乗り、解決を目指す」と記載しており、相談を強制するものではないため、その点を明確にすれば問題なく通るはずである。

一旦「ご指摘の事項は満たしていると考えます。誤解を招くようでしたら修正して再提出します。」と返したが、事務局を通じてのやりとりだと伝わらないものもあると考え、直接説明する場をいただくよう申し込んだ。

直接説明

10月20日に説明の機会を得たので、11ページのPowerPoint資料を用意して説明に行った。説明では届け出に書いたことに加え、まず2つの提案に共通する上位目的として「サポーター活動の活性化」をあげ、それぞれ背景となる問題意識から活動内容につながるように説明を構成した。互助会での情報交換に使うツールの例としてSlackのスナップショット、勉強会の想定成果としてヨコトリ2017の時に作ったアーティストごとのまとめも持って行った。

組織委員会から2名の方がいらして、また組織委員会との窓口になっている事務局の方も同席された。

組織委員会の基本的なスタンスとして、イニシアティブの活動に関して組織委員会が責任をもつ必要があると考えているようだ。ネットを使うことで炎上することを怖がっているように見える。

互助会はクローズなコミュニケーションであることを事務局の方に補足していただいたが、組織委員会の方はどちらもTwitterもFacebookも見たことがないようで、どこまで理解いただけたか。

勉強会のWeb公開に関しては、新しくサイトを立ち上げるだけでなく、既存サイトを使って成果物を上げるのもダメだという見解であることが新たにわかった。しかしこれは、説明会での「活動報告は公式ブログに書いてもらいたいということで研究成果を公表してはいけないという意味ではない」という回答と矛盾する。ここで議論になったが、ここで話しても押し問答にしかならないのでとりあえず先に進める。

互助会に話を戻すと、相談やマッチングなどは、組織委員会が自分たちでやろうとしているとのこと。どうするのかというと、彼らの話をつなぎ合わせてみると、
・相談する内容があればまず組織委員会に相談会の届けを出す。
・相談会の日程が決まったら、組織委員会からメールニュースでアナウンスする。
・相談会で相談。
ということのようだ。メールニュースに載せるにはまだ十分検討されていないものに対しては心理的障壁が大きいので、そこをカバーするものだということは再三伝えたのだが、納得されていない感じだった。誤解がないように、「障壁が大きい」というのは、組織委員会が障壁だというのではなく、プロセスが障壁なのだということも伝えた。

「それはイニシアティブではなくてウエダさんの仲間内でやってはどうか」とも言われた。これに対しては「それでは私と親しいわけではない人がどうやって助けを求めるのか」ということを伝えた。

また、イニシアティブという形ではなく組織委員会の活動としてやってはどうかという話も出された。これに関しては「同じことができるのなら組織委員会でやってもらっても構わない、その時は協力する」というように答えた。

全体を通じて大事なことは、相互に助け合うことがコミュニティを強くする、そして強いコミュニティが100日前イベントや緑化フェアなどでのプロモーションでの一体感をもった活動につながる、ということを何回か繰り返し伝えた。

結局説明と質疑応答で2時間くらいかかった。伝えるべきことは全部伝えることができたと思う。

その場で結論が出るわけでなく、組織委員会側が持ち帰って検討するということになった。この場で結論が出なかったWebの扱いに関しても、統一見解を出してくれるよう後で依頼した。

最終回答

11月13日になって回答のスケジュール調整をしたいと連絡があり、11月26日に回答が得られることになった。スケジュール調整の中で、一方的にお話を伺うだけなら面会である必要もないので、事前に内容を知らせていただくようお願いした。「提案を実現の方向で行きたいけれども、メールの文章だけだと意見の食い違いや時間差なども心配なので、直接お話しして進めたい」という回答だったので、期待して行くことにした。「イニシアティブという形ではなく組織委員会の活動として行うので協力を要請する」ということと想像した。

当日1時間半以上かけて出かけて行ったが、「提案は受け入れられない」というゼロ回答で10分ちょっとで終わった。ただし組織委員会からは「ウエダさんの知見を皆に伝えるため、互助会を実際の会合形式で行うイニシアティブにしてはどうか」という逆に提案さがあった。持ち帰って検討してほしいということだったが、その場で断った。繰り返し「私がサポートするのではなく誰もがお互いにサポートすること」、「いつでも気軽な相談ができることを目指していること」という主旨を伝えたつもりだったが、何も伝わっていなくて徒労感が大きい。

まあでもやるだけのことはやった。「諦めるのはチャレンジしてダメだったらでも遅くない」という当初の計画通りだ。

Webサイトを新規立ち上げるだけでなく、既存サイトに公開することも許されないということは、サポーターサイトにあるルール (PDF) や FAQ で明確化しアナウンスしてほしいということは伝えた。そうでないと誤解を与える。成果の公開を制限するということは、著作権 (著作者人格権ではなく財産権としての著作権) を制約することになるので、その点も明確にする必要がある、そうでないトラブルの原因になるということも伝えた。

また、互助会に関しては、どのルールに抵触しているのか公式な回答を依頼した。

さて本日12月29日の状況だが、
・Web既存サイトへのアップロード禁止に関してはまだアナウンスは出ておらず、公式サイトのルール、FAQもそのまま
・どのルールに抵触しているのか公式な回答はまだ
となっている。もう仕事納めなので今年中の回答はないだろう。

横浜トリエンナーレのサポーター活動には「ガイドサポーター」がある。2014年、2017年とこちらの活動もしてきたが、次回はもういいかなという気になっていた。リンク先を見ると募集人員が集まり、締め切られたようで、おめでたいことです。組織委員会としてはガイドサポーターさえ集まれば成功なんだろうなと思うと、これまで頑張ってきたのはなんだったんだろうとむなしい限りです。

追記 2020/1/14 

2020/1/9 付けのサポーター向けニュースメールでは他のサポーター・イニシアティブが成果を公開するというアナウンスがあった。Googleドライブでの公開で、これもWeb既存サイトへのアップロードには変わらない。とすれば私の提案も受け入れられる余地があるわけで、先の回答の依頼に、どういう条件で認められるのかという質問を追加した。引き続き回答を待ちたい。

追記 2020/2/2

1月24日、上記質問に回答が来た。
  • 互助会が認められないというのはどのルールに抵触しているのか。
    → サポーター・イニシアティブの活動はオンライン上ではなく、参加メンバーと場を設け、集まっていただき活動して頂くことが必要となります
  • Web既存サイトへのアップロード禁止に関してアナウンス
    → 近日中に実施します (1/24 時点ですでに変更済み)
  • Web公開はどういう条件で認められるのか
    → サポーターブログやメールニュースでお知らせできます。ダウンロード専用Googleドライブでの公開は一般公開でない。
ということで、
  • 互助会 → オフラインの活動があればOK (事前にオンラインで相談の概要を確認し、オフラインで実際の相談に関して議論する)
  • 勉強会 → 成果物 (Word文書など) をGoogleドライブにおき、サポーターブログやメールニュースでお知らせすればOK
ということになるので、この理解があっているか確認を求めており、その結果により再提出を検討したい。なお、元の質問が「サポーター・イニシアティブの活動はオンライン上ではなく、参加メンバーと場を設け、集まっていただき活動して頂くことが必要となります」がどのルールに抵触しているかだったので、再度問い合わせを行った。

追記 2020/2/10

2月10日、再度の問い合わせに回答が来た。

  • オンライン上での活動が認められない根拠
    → 活動上のルール・注意点1の12項 「活動独自のWEBサイトやブログを制作・公開することはできません。」の部分に抵触する。
    # 何の意味かわからないと思いますが、Slackでの書き込みが、「独自のWEBサイト」で、「公開」にあたると考えられているようです。10月20日の直接説明で「クローズなコミュニケーションである」ということは説明したのですが。
  • オンライン上で自主活動を行う上で連絡、質問、相談のために、メンバー内で、オンライン上で連絡を取り合うことも禁止されているか
    → 組織委員会としては禁止していない
2月9日にサポーターの集まりがあったので、これまでの経緯を報告してきた。今後の方針として以下のことを検討中で、皆さんのご意見をいただきたいということを表明した。
  • 互助会 → 相談会を定期的に開く組織委員会提案をベースに再提出
  • 勉強会 → 勉強会成果をWordで作成、PDF化し、Googleドライブでの公開


2019/12/08

恋人がサンタクロース

ユーミンの「恋人がサンタクロース」という曲があります。なぜ「は」ではなく「が」なんだろういうと、「誰がサンタクロースなの?」の質問の答えになるからです。

「あなたの恋人はどんな人?」→「恋人はサンタクロース」
「サンタクロースってどんな人かな?」→「恋人がサンタクロース」

新情報、旧情報という概念があって、旧情報はこれまでの文脈にでている概念、新情報は新しく加えられる概念です。例文の前者では旧情報は「恋人」、新情報は「サンタクロース」になります。一方後者では旧情報は「サンタクロース」、新情報は「恋人」です。

というように「が」は新情報を導入する役割があります (これはひとつの機能での見方で、他の説明が間違っているわけではありません)。

「今日天気はどう?」→「空は明るいよ」
「部屋が明るくなってきたね」→「空が明るいから」

というような文脈が想定されます。

なお、「は」は動詞に対する役割を示す「格助詞」ではなく、語に付加的な特別な意味を与えるものです。「は」は「とりたて」で、話題を設定する機能があります。ですから主格や目的格など何にでもつきます。もとの格助詞が省略される場合もあります。

「その本を読んだ」 →「その本は読んだ」
「学校へ行った」→「学校は行った」/「学校へは行った」
「太郎くんにお年玉をあげた」→「太郎くんにはお年玉をあげた」

「とりたて」は他のことには言及していない宣言でもあります。有名になった「ご飯論法」はこれですね。「ご飯は食べていない」(パンは食べたけどこのことは言及しない)。

------

以上、Quora "日本語の「は」と「が」の使い分けの基準、例えば「空は明るい」「空が明るい」での「は」と「が」使い分け基準は、何なのでしょうか?" への回答でした。

以前"*? 空が飛べたら" で、
新情報と旧情報を区別するとか (「恋人がサンタクロース」)、対比 (「(他の飲み物ではなく) コーヒーが飲みたい」) などの役割がある。
と書いたのの補足でもあります。


恋人がサンタクロース、手の早いサンタクロース …

2019/09/14

次の横浜トリエンナーレサポーター活動の枠組み

横浜トリエンナーレサポーターの自主的な活動「サポーター・イニシアティブ」の受付が始まった (→ 横浜トリエンナーレサポーターサイト)。

これまでの自主活動を振り返る。

フリーペーパー第一号
横浜トリエンナーレサポーターは以前からあったが、今のような自主活動と呼ばれるようなものが本格的に始まったのはヨコトリ2014から*。2013年度初めに運営側から4つの活動が示され (その後一つ追加)、各人が希望する活動のチームを選んで活動する形式だった。私は、フリーペーパーを作成するフリペチームを選んだ。

* 「2005年の横トリは自主活動だらけだった」というご指摘を受けました。申し訳ありません。私がサポーターに加わったのは2011年で、それより以前のことは古参のサポーターから話は聞いていたものの、文章中では端折ってしまいました。「今のような自主活動と呼ばれるようなもの」と書き替えました。

3年に一度の開催のはざま期間は、ヨコトリ2014が指導する2013年までは何も活動はない期間で、毎回リスタートしていたが、継続的な活動になるように2015年度はサポーター提案の自主活動が行われた。これは3名以上のメンバーがいるこという条件だけで、運営側では選別などを行わなかった。この活動を通じて、ヨコトリ2017本展時の活動を自主的に行えるようにするインキュベーションの狙いもあったと理解している。

フリーペーパー第2期第一号
ヨコトリ2017の活動は2016年度から始まった。運営側で「交」、「観」、「繋」、「支」の4つのキーワードをもとに自主活動の募集を行い、結果7つのグループができた。多くは2015年度の活動の延長や合体であり、その意味では狙い通りだったといえる。ただしフリーペーパーに関しては、2015年度は自主的な活動にはなかったが、必要とされるものという認識で有志が集まった。私もその中に加わった。

ヨコトリ2017が終わって、2018年度は継続的な活動を立ち上げる動きはなく、イベント的な活動を届けを出して行う形だった。サポーターとしては、継続的な活動がなくなることに懸念をもちつつも、Facebookなどの横の繋がりは維持していたという状態。

2019年4月になって、2019年度の活動説明会が行われた。懸念はあたっていて、本来なら2020年本展の助走期間である今年度なのに、昨年の活動の延長程度の位置づけということが分かった。自主活動は「サポーター・イニシアティブ」という名前になり、届け出が必要、予算は全くなし、組織委員会は全く関与しない。フリーペーパーは印刷代紙代も必要だし、組織委員会から毎回レビューを経て発行していたので、発行ができないことは確定だ。フリーペーパーはヨコトリの活性化に寄与している自負があったので、残念で仕方がない。

また、それまでは自主活動リーダーと組織委員会で構成される「運営会」と、リーダーを中心とした「れんらく会」が行われていたが、それらがなくなる。自主活動側から運営側に提言する機会はなくなり、自主活動同士のコミュニケーションの場もなくなるということだ。

当然やる気満々だった人たちからは活発な質問が出て、休憩時間にも以前から組織委員会にいる方をつかまえて議論していた。彼女からは、「届け出も審査するためではなく、活動を制限する意図はない。自主活動を自由に始めてもらうことが目的」という言質を得たので、次にもう少し具体的な届出方法などを明らかになる6月まで待つことにした。

結局6月は説明会は行われず、7月28日になってようやく説明会が行われた。前回の質疑応答が反映された形になっているかというとそうはなっておらず、「自主活動を自由に始めてもらう」主旨は表には表れていないまま、事務的な進め方の説明に終始していた。自主的なWebの立ち上げ禁止など、むしろ後退しているように見える。

質問は主に新たに出席した人から出され、4月に出席していた人たちはむしろ諦めモードに入っているように思えた。質問の中で「Webの立ち上げ禁止とあるが研究成果を発表してはいけないということか」という質問があって、それに対しては組織委員会から「活動報告は公式ブログに書いてもらいたいということで研究成果を公表してはいけないという意味ではない」という答えが得られたのは収穫かと思う (ただし横浜トリエンナーレサポーターサイト のFAQ では、個人の感想をブログやSNSにあげることしか許していないように見える)。

さてこれの枠組みに対しては、サポーターの姿勢としては2つの方向性があるように思う。一つはあきらめる、見捨てる、東京オリンピックや横浜トリエンナーレ以外のサポーター活動にシフトする。もう一つは、この枠組みの範囲で/逆手にとって改善を目指す。

私は後者の立場でチャレンジしようと思います。諦めるのはチャレンジしてダメだったらでも遅くないし、チャレンジしたものが横浜トリエンナーレで認定されなくても、自分の活動として残るような形で提案する。

以下の2つの届け出を出しました。

1. サポーター互助会

各サポーターイニシアティブ、各個人のサポーター活動において生じる疑問/課題を、お互い知識/知恵/技術/経験を持ち寄って解決する場を作る。通常はオンラインで活動する。
・活動相互支援: 誰かが援助を求めた場合、何らかの力になれる人が自主的に相談に乗り、解決を目指す。
・マッチング: 「イラストが描ける人いませんか」など、技術を求めている人と提供できる人のマッチングを行う。仲人役を設けるのではなく、各自が自分が提供できる技術を互助会内に公開し、公開情報から求めている人を探す形をとる。
・この指とまれ: 新しいサポーターイニシアティブを立ち上げる際に、同士を募る。同じ目的や似た内容のイニシアティブがある場合、協業したり、合併して、活動の強化を目指す。
・情報交換: 「ヨコトリ2020出展アーティストのAさんの個展がBギャラリーで行われている」、「著作権に関する解説記事がありました」など、サポーター活動に役に立つかもしれない情報を交換する。

2. アーティスト勉強会

ヨコトリ2020アーティスト、出展作品の内容、それに対する評論などを調べ、リンク情報を整理し、ガイドの情報源として提供するとともに、公開する。
・調べる内容
 アーティスト本人のサイト、所属するギャラリーのサイトへのリンク
 Wikipediaへのリンク: 略歴など
 最近の展覧会情報、出展作品の情報へのリンク
 インタビュー記事などアーティストをとりあげた記事へのリンク
 評論へのリンク
・公開先 (*はオプショナル)
 サポーターブログ: 下記活動の更新情報を掲載する
 Webサイト: アーティスト別ページに加え、アーティスト索引、サイト内検索をもたせる
 ヨコトリガイドロボット*: お客様からのアーティスト情報の質問に答える音声対話ロボットを会場内に設置する
 ヨコトリ検定ロボット*: 上記ロボットを用いて、ヨコトリに関する音声対話クイズを出し、お客様に楽しんでもらう

自前のWebサイトなど、チャレンジングな内容も含ませていて、この対応で7月の説明会の質疑応答の本意が分かるはず。

9月7日土曜日に届出を出したところ、9月12日木曜日受け取った旨の連絡があり、事務局で確認中、問い合わせがあるとのことでした。9月13日にまた連絡が来て、次週になるとのことです。ただ動いていないのか、逆にしっかり審査しているのか ...

2019/08/31

今森光彦展 写真と切り絵の里山物語

松屋銀座8Fで8月28日から9月4日まで行われる「今森光彦展 写真と切り絵の里山物語」のブロガー内覧会が8月27日に行われ、参加してきました。

今森光彦氏は、写真家であり、切り絵作家。今回初めて写真と切り絵の両方を出展する展覧会になるとのこと。また中には写真と切り絵を組み合わせた作品もあります。

テーマは「里山」。「里山」は、多くの人が山と認識していると思うが、山ではなく野良仕事の場所を指すとのことです。自然と共存している感覚から日本の芸術がうまれる。日本人の自然観は自然と対峙するのではなく、自然に溶け込む形になる。

そういう価値観というと、自然と生活が一体となった田園風景、古民家など、田舎暮らしの憧れを表現すると思われがちだが、彼は田舎をエキゾチックに捉えたいと語ります。実際に写真作品では美しい風景が広がり、旅行ポスターを思わせます。

切り絵は、黒一色のものと、フルカラーの作品があります。カラーのものは色を付けるのではなく、単色の紙を組み合わせたもの。寄ってみると梨のつぶつぶまで別の紙で表現されていることがわかります。

使うハサミは1つだけ。大きい部分と細かい部分を、ハサミの刃の位置によって切り分けるそうです。カッターで切るより細かく切れるとのことです。会場内には今森氏の作品製作実演ビデオも流れているのですが、思ったよりも大胆にザクザク切っていてて驚きました。

今回、写真と切り絵の展示だけでなく、「里山の再生」がテーマとなっています。彼のアトリエは、滋賀県大津市の竹林を開墾するところから始めていて、その過程の写真も展示されています。その周囲には畑や池、林など様々な環境がミックスされたものになっています。蝶をそこに生息させるようにするのですが、蝶はそれぞれ食料を得る植物が変わってくるので、蝶を70種生息させようと思うと70種の植物を育てる必要があるとのことです。

今は自宅アトリエのみならず、地域の人々と地域の再生を目指した活動を続けています。子ども達と昆虫採集を行ったりしている様子も展覧会の最後の方に出てきます。

今森氏は、人と話をするのが好きなんでしょうね。1時間の内覧会全体のうちトークは15分だけ割り当てられていて、3部構成のそれぞれの場所で話をする予定だったのですが、最初のところから10分をオーバーして、係のひとから「そろそろ次に」なんて促されていました。短い会期内ですが、ギャラリートークも何回か予定されていますので、その時間狙っていくとよいと思います。

なお、ここに載せてある写真は、主催者により特別の許可を得て撮影しているものです。

展覧会情報
今森光彦展 写真と切り絵の里山物語 (LINK)
会期: 2019年8月28日(水)-9月4日(水)※9月1日(日)は19:30まで。
場所: 松屋銀座8F (〒104-8130 東京都中央区銀座3-6-1)
入場料: 一般1,000円、高校生700円、中学生500円、小学生300円

内覧会までに時間があったので、銀座近辺の展覧会をいくつか回ってみました。
  • これもデザイン展 @ GOOD DESIGN Marunouchi
  • 石川愛子典 @ Oギャラリー
  • 澁澤久実子展 @ Oギャラリー
    アーティストご本人がいらしてて「ペーパーリトグラフ」という技法のことを伺いました。
  • 有山達也展「音のかたち」@ クリエイションギャラリーG8 (LINK)
    当日初日でオープニングパーティーが予定されていて、お客さんがたくさんでした。パーティーは誰でも参加できたそうですが、内覧会の時間とかぶってたので断念。9月25日にトークショーが予定されているので申し込みました。

2019/08/04

マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展

三菱一号館美術館で行われている「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」のブロガー内覧会が7月31日に行われたので、参加してきました。お話はおなじみブログ「青い日記帳」のTak (たけ) さんと、担当学芸員の阿佐美淑子さん。高橋館長も最初にご挨拶があり、その後も時々お話に割り込んでいくというスタイルでした。

マリアノ・フォルチュニという人は知らなかったのですが、お話を聞いて、現代ファッション・デザインの始祖のような人だとわかりました。1900年代はじめ女性はコルセットで締め付けるスタイルが上流から中流まで広がっていた状況で、そのスタイルから解放した人の代表的な一人です。

フォルチュニの代表作が上写真左の方の黒いドレス「デルフォス」。19世紀末に発見された、紀元前5世紀の彫刻「デルフォイの御者」(右) にインスピレーションを受けデザインされたそうです。

数年後には、この上に羽織って外出することが普通になった (それまで女性が一人で外に出ることはなかった) ということです。その意味で新しい時代を作った人の一人といえるでしょう。そのあとシャネルなどが続くことになります。
デルフォスは、波型のプリーツが全体に入っています。すごく軽く、たたんで専用の箱にしまいます (左)。日本の絹が使われているそうです。

フォルチュニ自身が亡くなって作られなくなり、今では再現できないということです。特許は出ているのですが、それだけでは再現できないノウハウがあったのでしょう。洗濯もフォルチュニ社が行うようにしていて、そうしないとプリーツが消えてしまうということでした。

今回展示されているドレスは、ほとんどが日本にあるものを集めたものになっています。実はベネチアのフォルチュニ美術館には衣装はなく、むしろ日本に沢山残っているそうです。

ファッションデザインで著名なフォルチュニですが、実は画家、舞台美術設計者、染色家、写真家といったマルチな才能を発揮していて、この展覧会はそのマルチタレントにスポットをあてたものになっています。

最初は画家としてスタートしています。父も有名な画家で同名のマリアノ・フォルチュニ (「マリアノ・フォルチュニ・イ・マエサル」とクレジットされていました)。9歳の時の絵も展示されていますが、最初は下手だから入れないつもりだったのを、「9歳の時の作品」と聞いて入れることにしたそうです。

舞台装置設計では、外光と間接照明を用いたシステムで、時刻によって異なる外の光を遠隔操作で変えることができるようになっています。1900年に特許を取得し、ヨーロッパ各地で採用されたそうです。

住居の照明も手掛けていて、本当に精巧に作られているとのこと。今は制作されていないので、展示会では模造品を作って展示しているが、展示会後はベネチアのフォルチュニ美術館で展示される予定になっています。

写真家としても才能を発揮しますが、写真は外部に公開するために撮影していたものではなく、そのためあまり知られていません。しかし、様々な機材、技法を試し、また内容も芸術的な作品も多く、特によく撮影した雲の写真は芸術性が高いものになっています。

フォルチュニ社、特許という言葉が出ましたが、ビジネスマンとしてもあったということです。染織物は、1921設立の工場で同じ技術で現在も作られているそうです。

ファッションということで女性に向けた展覧会というイメージを与えますが、このようにマルチタレント、ビジネスマンという視点で見ると、男性も楽しめると思います。阿佐美氏は、「男性も楽しめるように舞台装置の設計図や模型もおいた。期待通り男性の食いつきが良かった」とおっしゃっていましたが (言葉はもっと上品に)、私は時間の余裕がなかったせいでそこはほとんどスルーしてしまいました。

10月6日までですので、まだまだ余裕があります。

マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展
https://mimt.jp/fortuny/
場所:三菱一号館美術館 (〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2)
会期:2019年7月6日(土)~10月6日(日)
開館時間:10:00~18:00(祝日を除く金曜、第2水曜、8月12日~15日、会期最終週平日は21:00まで)
休館日:月曜休館(但し、祝日・振替休日の場合、9月30日とトークフリーデーの7月29日、8月26日は開館)

2019/06/24

全身全霊塩田千春

6月20日から、森美術館で塩田千春の大規模個展「塩田千春展:魂がふるえる」が開かれている。22日、アーティストトークが行われたので、聴きに行ってきた。

塩田千春は写真で見ていたので姿は知っていたが、声は初めて。なんとなくどっしりした声を予想していたが、予想と違ってかわいい声でした。

アーティストトークはいつまでたっても慣れないということで、最初は緊張した感じだった。アーティストトークは過去の作品をスライドで見せて、制作意図や手法など語っていればいいのにね、と思っていたのだが、塩田千春のトークはそうではないことがだんだんわかる。

インスタレーションにつて語る場面では、「絵はじわじわと感じるもの、インスタレーションは直観に訴えるもの」という。そして、「インスタレーションはその場で苦しんで作る」ものと語る。同じように見える作品でも、その場によって変えていく。同じテーマで3年くらい続ける。後でキュレーター片岡真実 (森美術館副館長) との対談では、苦しみが見た人にも伝わるということも言っているし、毎回失敗したと思うところが出てくるので、次の展覧会ではそれを直していく。

今回驚いたのは、がんとの闘病の中でこの展示会を立ち上げてきたということだ。今回の展覧会が決まったのが2年前で、その翌日、がんの再発が発見された。最近のがんは日帰り入院・手術ですぐに治るイメージもあるが、抗がん剤で髪が抜け始めているときの写真などを見ると「闘病」という言葉が容易に想起される。

その闘病も、普通だったら仕事を休んでじっくりということになるが、塩田千春の場合はそうならない、今回の展覧会の準備をしなきゃというのではなく、今病気の自分が作らないといけないものがあるという感じだった。後の対談で制作の原動力を問われて「アーティストは作ることしかない」と答えたように、人生そのものがアートなのだとわかる。

ただ、片岡真実によれば、この時期に作られた作品は「病気」を直接出したもので、そのままではまだ作品として出せるレベルではなかったという。まだ時間があるからと何度もダメ出しした。こんなにダメだしした展覧会は今までにないというのが面白かった。

アーティストとして作品に全身全霊を傾ける自分がいる一方で、「母親としての自分」もいる。これからどうやって生きていくのか、娘はこの後どうやって生きていくのかを考えた。それが子ども達が「魂」に関して自分の考えを話す作品につながる。

また、会場から出た「息抜きはなにか」という質問に対しても、「自分は24時間アーティスト」と答える一方で、「これで家族にはつらい思いをさせることもある。紙の抜ける写真はダンナが泣きながら撮った」ということも語っている。

アーティストとして全生活を作品にかけたい一方で、それを支えてくれる家族がいる、そのありがたさも噛みしめているというように感じた。

対談の中では、マリーナ・アブラモヴィッチに師事していた若いころの話も出てくる。その時の苦しみも、展示会に出ている作品で伝わってくる。特に ”Bathroom” は、バスルームで延々と泥をかぶり続ける作品で、どうしてこんなことまでと思う。本人も、今見ると辛いという。今は泥をかぶらなくとも言いたいことを表現できるようになったそうだ。

今塩田千春というと「糸を使った作品」というイメージが想起されるのだが、展覧会は若い時の作品もあり、塩田千春の全体像が見られる展示会になっています。

塩田千春展:魂がふるえる
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/shiotachiharu/index.html
会期:2019年6月20日~10月27日 (会期中無休)
会場:森美術館 (東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階)
開館時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)
※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
※ただし10⽉22⽇(⽕)は22:00まで(最終⼊館 21:30)
料金:一般 1800円 / 65歳以上 1500円 / 高校・大学生 1200円 / 4歳~中学生 600円

2019/04/09

不審メール

朝からこんなメールが来てて慌てました。


Apple アカウントにモザンビークからログインがあったので、アカウントをロックしているとのこと。早速この「検証」というところに行きました。


早速対応しようとしたのですが、URL を見たら
https://yaelah-tumang-susahbener-verifycation5533.jp/account/... (上記はID消去済み)
と、全然アップルと関係ないじゃないですか。危うく引っかかるところでした。

ちなみにAppleの本物のサイトは、


全く同じですね。ただこちらは普段使っているところなので、IDがあらかじめ入っています。

元のメールを見ると、@yahoo.co.jp のアドレスに来ているし、また送信者 (Appleと青反転で示されているところ) もアップルとは関係ないアドレスでした。

よく考えたら2ファクタ認証も導入しているので、パスワードが破られても自分のiPhoneに認証コードが表示されるはずでした。慌てているとそれも思い至らなかったのでした。

皆さんご注意ください。2ファクタ認証は必須ですね。

2019/04/02

新元号についてちょっと語っとくか

4月1日、新元号「令和 (れいわ)」が発表されましたね。号外をゲットするべく新宿まで行ったのですが、配布の場所とタイミングが合わず、入手できませんでした。あとでニュースを見ると、かなり混乱があったようなので、負け惜しみが言いやすくなってよしとしましょう。本当は「歴史の証言者」シリーズに加えたかったのですが。

平仮名にすると3文字というのは予想していたのですが、「令」の文字と「和」の文字はいずれも予想外でした。「和」は「昭和」でも使っていたし、「令」は初めてなんですね。これを聞いて最初に浮かんだのが次のツイート。
これまで中国古典を依拠していたものを、日本の古典からとるというのは、安倍首相が可能性を言及していたようで、それ自体は「やっぱりな」という感じ。

毎日新聞  2019/04/01 新元号「令和(れいわ)」 出典は万葉集、和書初 来月1日0時施行
出典は万葉集の「梅花(うめのはな)の歌三十二首」の漢文で書かれた序文「初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして、気淑(きよ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かお)らす」からとった。
「令月」と「風和ぎ」の関係が微妙。本来なら2字熟語は、「気淑く」と「風和ぎ」の対比からとか、形容詞-名詞や動詞-目的語などの関係からとるものじゃないかな。そういう意味でいうと「令和」=「和を命令する」のような印象になる。「和をもって尊しとなす」という聖徳太子17条憲法を思い出すという意味では良さそうだが、要は「揉め事を起こすな」、「不満があっても抑えろ」という「空気読め」文化の走りだよね。

ただ、「令月」の意味を引くと、
大辞林 第三版の解説 (コトバンク)
れいげつ【令月】
①  何事をするのにもよい月。めでたい月。よい月。
②  陰暦二月の異名。
と、「令」は「命令」の「令」でなく、「めでたい」とか「よい」という意味であることがわかる。そうならばやっぱり「形容詞-名詞」となる選択にしてほしかったな。まあ「和」は名詞でもあるんだけど。

ネットを見ていると、ロバート・キャンベルさんの言葉に目が止まった。

朝日新聞デジタル 2019/04/02 ロバート・キャンベルさん「国書か漢籍か、超えた元号」
「国書か漢籍かということはどうでもよく、国を超えて共有される言葉の力、イメージを喚起する元号だ」
本来の意味はどうでもよくて、新しい言葉として、新しい意味を付け加えていけばいいのかもしれない。「明治」が「維新」、「大正」が「デモクラシー」や「ロマン」、「昭和」が「復興」や「レトロ」というコノテーションであるように。

と、普段は「元号なんてやめてしまえ」派なんですが、色々考えてしまいました。

2019/01/13

(平成) 最後のオフ会

ブログを始めたのは2004年、それまでは楽天の日記やBlogger (まさにここ) に手を出していたのだけど、本格的に始めたのはExciteブログだったのです。エキブロでは続けられたのは、エキブロ内でのフォロー関係があって、ゆるい繋がりのコミュニティができやすく、その中でも良いコミュニティに恵まれたからだと思います。

そのコミュニティでは毎年オフ会をやっていて、最近は毎年という訳ではなくなったけど、昨日「(平成) 最後のオフ会」が行われました。「平成が終わるのを機に最後のオフ会を行います」ということでしたが、これはきっとまた復活すると思い、「(平成)」をつけています。

最初は15年前だったそうですが、私は初めは気づかず後になってから参加するようになりました。後になってと言っても、見直したら2005年で2年目には参加していたんですね。
にぶろぐ (2005/12/10) お腐海は世界を浄化する

TwitterやFacebookがなかった頃は、ブログのコミュニティがSNSだったんですね。今はみなさんブログはあまり更新していなくて完全にやめちゃった人もいますが、また再開する人もいました。ブログはやっぱりある程度まとまったことがかけるところがいいところで、私もはてなブックマークやTwitterの短いコメントだけでなく、もうしこしまとまったことをブログに書いていきたいと思います。

お互い近況報告をして、昔の話をしていると、あっという間に3時間近くたちます。楽しい時間でした。2時間半かけても行く価値はあったなと再確認しました。

職業や年齢、住んでいる場所も違うけど、なぜかゆるく繋がっている。そんな繋がりを今後も大事にしたいと思いました。という訳で、復活したらまた参加しますよー。

2019/01/06

Evernote 2アカウント体制

Evernote プレミアムを使っていて、Web記事のクリップも論文や雑誌記事のPDFもなんでもEvernoteに入れていたら、ノート数も4万を超え、どんどん遅くなってくる。ノートの切り替えも遅いし、一時期は入力にも追いつかない状態。

いよいよ耐えられなくなって、乗り換え先を探していたのだが、
  • テキストに添付ファイルがつけられる
  • テキストだけプレーンにもてる (OneNoteはノートにテキスト枠が複数置かれる)
  • Webから簡単にクリップできる
というのがなかなかなくて、困っていた。このまま課金に応じるのも癪なので無料版に戻し、遅いMacクライアントはやめて、Webだけで使っていた。

ただ問題はアップロード容量。以前はFreeで100MB/月だったのが、60MB/月になっている。でもまあいつもそれくらいで済んでいると思ったのだが、年末にパンフレットなどを整理するため数MB程度のスキャンデータを複数入れていたら、3日くらいで限度になってしまった。やっぱり有料版にしないとダメか。

そんな中、こんな記事があった。

Lifehacking.jp (2019/01/03) Evernoteをもう一度ゼロから始めよう
Evernoteは非常に便利なメモツールであり、ファイルの置き場であり、作業環境ですが、時間がたつほどにデータのノイズが多くなりすぎて利用しづらくなるという難点があります。
そこで今回とった荒療治が「アカウントを2つ用意して、作業用とアーカイブ用に情報の流れを分ける」というものです。
なるほど!

ただよく見るとLifehacking.jpの堀さんは両方とも有料版にしているのね。
わたしは大した出費ではないので、両方ともにプレミアムで運用しています。
一つだけでももったいないと思っていた私には真似ができない。どちらか一方だけ有料版にすると、作業用とアーカイブ用のどちらを有料版にするかな。

それから堀さんは
メインアカウントからアーカイブアカウントへは、定期的にノートを移動します。基本的には「必要のないものをざっと消してから、全部移動」という作業になります。
というやり方を取っているのだが、移動ではなくて共有にしようと思う。そうすればアーカイブの方に全部あることになるので、検索するときはどちらにあるか悩まずにアーカイブの方だけで検索すれば良い。

こんな感じ。

アカウント ノート 普段使う場所メモ
作業用 = 無料版 作業用 (共有) クライアント 軽いままを保つ
アーカイブ用 = 有料版 作業用 (共有)
アーカイブ用
Webブラウザファイルの添付はここから
検索もここから

  • クライアントでは軽くしておきたいので、作業用にする。
  • もう一方はWebブラウザで使うようにすることで、ユーザー切り替えを頻繁にしなくてすむようにする。
  • ファイルの添付を行うときは有料版から。すなわちアーカイブ用アカウントでWebブラウザから。
  • Web記事のクリップは、アーカイブ用アカウントから作業用 (共有) ノートに。
  • 読んだらタグをつけてアーカイブへ。
方針が固まったので、早速再度プレミアム登録する。今40%引きで、年間費用が3,120円。そのまま更新していたら$45だったのでこれだけでもラッキー。というか毎回継続せずに一旦Freeに戻した方がお得かもね。

今までクライアントでは新しくする作業用アカウントで使うので、これまで使っていたファイルを一旦全部消す。次のようになった。

ディスク空き容量 285.85GB → 313.8GB // 28GB か。案外少ないな。
削除数 40万項目以上 (ノート数は41400ちょっとなのに)

しばらく運用してどうなるかみてみます。