2005/03/29

夢想は夢想でいいんだけど

私も夢想家なので、夢想を夢想といっている限りはいいと思うのですが (ほんとは義に反した夢想を吐露するのは止めて欲しい)...

朝日新聞 2005.3.27 若宮啓文「風考計」
竹島と独島 これを「友情島」に…の夢想
 例えば竹島を日韓の共同管理にできればいいが、韓国が応じるとは思えない。ならば、いっそのこと島を譲ってしまったら、と夢想する。 
見返りに韓国はこの英断をたたえ、島を「友情島」と呼ぶ。周辺の漁業権を将来にわたって日本に認めることを約束、ほかの領土問題では日本を全面的に支持する。FTA交渉も一気にまとめ、日韓連携に弾みをつける——。
の部分は、夢想だといっているので、朝日新聞の読者の人もそれはわかると思うのですが、それ以外の部分で事実であるかのように書いてあるのは、事実だと理解しちゃうんじゃないでしょうか。

前にも書きましたが、これが事実! って書いてくれないので、この分野の専門家でない人は断片的な知識しか持ちえません。私もその一人ですが、それでもこれは違うんじゃないの、と思います。

「今回思い知ったのは島に寄せる彼らの深い情念だった。」
-- もともとこの島に愛着を持っていたのではないと思うのですが。

「韓国が日本に強要されて保護国となり、5年後に併合されてしまう。」
-- 朝鮮からの依頼で併合にしたと理解しています (石原慎太郎がそういったからではなく)。

「日本が独立運動を容赦なく弾圧したように、彼らも「竹島奪還」の動きには過敏に鉄槌(てっつい)を加える。」
-- 等価なものなのでしょうか。「容赦なく弾圧」ってなんでしょう (いやここは本当に知らないので)。まさか暴力による運動を抑えたって意味じゃないですよね (反語)。

追加 ('05.03.30): 一番問題な部分を忘れていました。
「島を取り返せる見込みはない。」
-- 勝手に断定するな。

これらの文章がまるで事実であるかのように書いてあって、注釈も何もなければ、朝日新聞を読んでいる人は事実と思っちゃうか、少なくとも潜在意識に刷り込まれるでしょう。複数の新聞を読み比べればよいという人もいるかもしれませんが、多くの市井の人々は金銭的にも時間的にも余裕はありません。

最近堀江社長のジャーナリズム観に対する異議をよく聞きます。その多くは同意できるのですが、その主張をいうためには、プロのジャーナリストは事実と主張をきっちり分けて伝える姿勢が必要だと思います。

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