... はじめて聞いた。
らばQ: 情報格差──これから始まろうとしている本当の格差社会
この記事の本題とは異なるのでトラックバックは送らないけれど、この中にこんな記述がある。
みなさんは「野良妊婦」という言葉をご存じでしょうか? 野良妊婦の恐怖という記事で紹介された言葉で、このブログは現役の医師が運営しているようです。
リンク先
ほねまであいして@奴隷院長の日々 - 野良妊婦の恐怖
に定義が載っている。書き方はおちゃらけてるけど。
妊娠してもちゃんと検診を受けない素敵なライフスタイルを実践する妊婦様のこと
この言葉は知らなかったのだけど、こういう人の存在は下記記事で知った。
なぜ産科医は患者を断るのか 出産費用踏み倒しに「置き去り」 (J-CASTニュース2007/8/31)
妊娠しても産婦人科に行かず、陣痛が来て救急車で病院に運ばれる。これを産科医の間では「飛び込み出産」といい、こうした例が増えているらしい。ただ、妊婦の状態などの情報が全くないため「責任が取れない」と、受け入れを断る産科医も多い。さらに、「飛び込み出産」の場合、出産費用を踏み倒したり、赤ちゃんを病院に置き去りにする可能性が高いというのだ。
奈良の妊婦も既に妊娠7ヶ月だった。
一方、断る側の産科の事情に関しては、今回非難の矢面に立たされた奈良県立医大が当日受けれられる事態でなかったということを公表している。これは下記ブログで知った(つぶろぐ経由で知ったことを忘れてて探すのに時間がかかった)。
新小児科医のつぶやき - マスコミよ これでもヒマか 夏の夜
・当直医2名 + 応援医師1名 (深夜2:30まで勤務)
・当日の救急応需5名
・手術、分娩3件 (うち1名はもともと朝9:00から23:00までの大手術でその後の経過観察が必要)
・当直者2名は一睡もしないまま、1名は外来など通常業務につき、他1名は代務先の医療機関において24時間勤務に従事
また、ニュースになった妊婦の受け入れを断った時刻 (2回) の状況がどのようであったかを分析し、
私は医師の目から見ても「断った」のは妥当な状況判断と思います。また返事も「拒否」ではなく、本当に手が回らないので「後にして欲しい」です。こんな状況で搬送されても、まともな治療が行なえないの正しい状況判断です。医師は自分の力の限界を心得るのも重要な資質であり、無闇矢鱈に引き受けて患者の生命健康を損なってはならないからです。
としている。また、「夜間勤務医」でなく「当直医」で対応せざるを得ない勤務実態を問題視している。
これは奈良県立医大、奈良県だけの問題ではないことを、医療問題に関して継続してとりあげている団藤さんが指摘している。
お産の危機は首都圏にこそ迫っている [ブログ時評83]
特に埼玉は、産科医1人当たりの人口が全国平均の2倍近い。
奈良で妊婦が転送を断られ死亡した事件が起こった1年前にも、団藤さんは産科医の減少をとりあげている。
医療崩壊が産科から始まってしまった [ブログ時評59]
重労働に加え訴訟リスク(賠償金の問題だけでなく、刑事事件として逮捕、有罪の可能性もあるのだ)。医者は尊敬され憧れられる職業だったが、診療科目によっては、むしろ避けたい職業であることがわかる。
団藤さんは次のように警告し、問題提起をしている。
小さな県では将来、お産が出来るのは県庁所在地だけにもなりかねない。遠隔地の妊婦は、事前に病院近くにアパートを借りたり、ホテル住まいで出産に備えなければならない。少子化対策が言われる時期に、出産そのものに大きな負担が加わる大逆行。医療費の増加を食い止めることにしか関心が無かった国の医療行政が、医療の内実を放置してきた結果である。
また、その後のレポートして、
ブログ時評: 奈良の転送妊婦死亡の病院が産科停止へ
という記事をあげている。婦人科は続けるが、産科をやってもらえる医師が見つけられず分娩の扱いをやめるという。
実はうちも奥さんの実家が奈良市で、二人の子を里帰り出産した。最初の子を産んだ病院が院長が高齢により産婦人科をやめ婦人科専門になったため、二人目の子は離れた町で産むことになった。当事者は産科医の減少はずっと前から肌で感じているのだ。