2005/05/04

現実的な視点での改憲論議

こんばんは。拳法の達人です (ウソ)。

私自身は、憲法の文言を誤魔化しながら運用している今の状況はあまりほめられたものではないと思っている。しかし、私と立場は違うが、毎日新聞の社説は、「憲法はどうあるべきか」という視点からの議論が多い中で、現実的な指向での議論となっていて、なるほどと思わせる一面があると思う。

社説: 憲法記念日 改憲への原則3点を確認する

・国連憲章前文で謳われている平和主義への返答として憲法9条がある (我々が平和を乱す存在とならないことの決意)。
・国連が認める自衛権、集団的自衛権も封殺してきたのは、旧敵国としての自制。
・常任理事国への立候補は、再び人類に戦争の惨害をもたらさない側の国として認知され信頼されるはずという宣言。
・それが国際的に承認され常任理事国になれるとすれば、日本は名実とも敵国ではなくなり、自衛権を封殺した理由は大きくそがれる。
・このため、集団的自衛権の論争より、常任理事国入りにエネルギーを傾けることははるかに効率的で有効。

ふむふむ。

そして、その前提になっているのが、次の「国柄、国民の義務論争」に関するポイントと思う。
米国などは憲法があって国が成立している歴史がある。日本は違う。憲法は日本の長い歴史の中では最後のほうで国際社会に向けた自らの証明書として作られた。日本の国柄は憲法に書き込まれるいかなる作文より深く広く人々の心と風土に浸透しているものでなければそもそも意味がない。
憲法より先に日本人が育ててきた価値観、文化を前面に出しているといえる。

これはこれで納得のできる議論だと思った。

しかし、日本人の「心と風土に浸透しているもの」というのが安定的にあれば、という前提条件がつくと思う。それが壊れていっていると感じているのは私だけでないと思う。

自然を大事にすること、自然の前に謙虚であること、資源の少なさを勤勉・工夫・誠実さで補ってきたこと...。これらを再確認し書き留めておくことで、今後の我々の行動指針、我が国の運営指針とすることが必要なのではないかと思う(憲法はもともと国を国家権力を縛り付けるものだとことはこの社説にも書かれていることでもあり、理解していますが、国民を含めた国のありかたを積極的に謳うのもありなのではないかと考えて書いています)。そしてこれらの価値観を世界に広めていくことが我々の存在意義であり、誇りとすべきことなのだと思う。

追記: 私自身は常任理事国入りに賛成の立場ではありません(過去記事)。

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