2008/07/12

「転び公妨」って言葉 ...

... 初めて知りました。

以前も取り上げた、COURRiER Japonの森巣博氏による連載「越境者的ニッポン」。8月号の第15回「日本は法治国家なのだろうか?(前)」で紹介されている。

定義の前に、オウム真理教の信者を題材にしたドキュメンタリー「A」の1シーンについて書かれた部分を引用する。
1996年8月7日、オウム真理教の亀戸・新東京総本部から山本靖春さんが出てくると、その行く手を公安の私服刑事が阻んで、職質 (職務質問) を始めた。警察官による職質はあくまで任意だ。されるのがいやなら、無視しても構わない。それは日本国の法律によって保障されている。

小一時間ほど続いた職質に業を煮やした山本さんは、刑事を振り切り駅の方向に歩みだす。すると私服刑事は、山本さんの首を押さえながらのしかかり、路上に押し倒した。山本さんは後頭部を舗道に激しく打ち、失神したのか動かなくなってしまった。

ここで山本さんにのしかかっていた私服刑事は、突然膝をかかえて悲鳴を上げる。駆けつけた制服警官2人の間で、

「公妨だね?」
「ええ、公務執行妨害」

という会話が交わされ、脳震盪状態の山本さんは現行犯逮捕された。パトカーに乗せられ、連れ去られる。これで山本さんは、娑婆とはしばしのお別れだ。いつ戻れるのかわからない。なぜなら、警察の拘置延長請求を裁判所は、ほとんど無制限に認めるからだ。
この手法は「転び公妨」と呼ばれ、60年代から使われてきた。
パクりたい相手に、私服の刑事がぶつかって、自ら転ぶ。ぶつかってくる者は私服なのだから、ぶつかられた人にとって、相手が「公務」を執行中なのか、まったく不明な状態だ。それでも「公務執行妨害罪」は成立して、現行犯逮捕されてしまう。これが通称「転び公妨」である。
Wikipediaにも記述がある(「『独自研究』に基づいた記述が含まれているおそれがあります」という断り書きがあるが)。

Wikipedia: 転び公妨

YouTube: 転び公妨 オウム 公安調査庁 森 達也

オウムに関しては、カッターナイフを所持してたとして銃刀法違反で信者が逮捕されたことがあった。そのときは、多くの人が、カッターナイフを持っていて逮捕されるのかと同時に、サリン事件を起こしたオウムを調べるためだったら仕方ないかと思ったのではないか。

しかし最近になってこれが利用されたケースはどう思うだろうか。

痛いニュース(ノ∀`):デスノート作者の漫画家・小畑健(37)が銃刀法違反で逮捕 (2006年9月7日)
-- 最近って思っていたけどもう一昨年の話だったか...

痛いニュース(ノ∀`):秋葉原で十徳ナイフ(刃渡り5cm)所持のオタクが警察官10人以上に囲まれる (2008年6月15日)
-- 秋葉原連続殺傷事件の直後

警察に批判的な意見が多いのかと思ったら、後者はそうでもないのだね。みんな従順だなあ。相手が「オタク」だから?

そして最近はこれ。

▼CLick for Anti War 最新メモ (九郎政宗さん): 洞爺湖サミット批判デモを警察が不法弾圧/逮捕されたのは
トラックを包囲して窓ガラスを割り、怪我をさせながら逮捕・・・まるで「中国のチベット弾圧」のよう。
ここの記事自体では逮捕に利用した理由は分らないので、そこでリンクされている記事もあげておこう。

クッキーと紅茶と(南京事件研究ノート): サウンドデモ&道路交通法に関する「真っ赤な嘘」

九郎さんの記事の
・・・なんと警察はロイターのカメラマンに襲いかかって拘束してしまいますたとさw
こいつはメ・ン・ド・ウ・な・こ・と・に・なるよっ
に対してコメントがついている。
たいしたことにならんでしょw
clawの先見のなさは異常だからなぁ。
「たいしたことにならん」というのはこわいことだと思うけどな。それを容認するところがこわい。

そしてリンク先のもう一つの記事

クッキーと紅茶と(南京事件研究ノート)もっとも「現行犯逮捕」に値するのは誰か?
であげられているブックマークコメントの引用
2008年07月08日 tyouaniki
デモ側の方々には申し訳ないですが、映像写真を見た印象ではデモ側がとても気持ち悪い・ウザいので個人的に警察GJって感じです。 見た目で判断するのは良くないんでしょうけれど…。
これも怖い。

自分が気に入らない者は逮捕されてしまえと考える人は、自分は大丈夫だと思っているのだろうか。お上にたてつくのがいけないと考えているのだろうか。

森巣さんの記事には、「立川反戦ビラ事件」のことにも言及されている。これにも警察の行為を是とする人が多かったのだよね。そして植草一秀氏の事件。これは2回目はもうどうしようもないと思ったのだが、ちゃんと追えていないのだが警察発表とかなり違う事実があるようだ。

明日は我が身... ということは確かにめったに起こらないかもしれないが、それを怯えながら過ごすのを皆さん容認できるだろうか。電車で痴漢に間違えられることは多くの人がおそれていると思うのだが、お上にたてつかなければ大丈夫だと思っているのだろうか。お上にたてついていなくても、高知バス白バイ衝突事件なんてのもあることを忘れてはいけないと思う。

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